【内閣委員会】公文書改ざん/11閣僚に認識ただす/徹底した真相究明を

 学校法人「森友学園」との国有地取引に関する決裁文書の改ざんについて11閣僚の認識をただし、徹底した真相究明を求めました。

 
  国会の資料要求に対して改ざんした公文書を提出したのは、政府が国会を欺いた極めて重大な問題だ。国会が行政監視機能を果たすには十分な調査と情報収集が不可欠だ。公文書改ざんにより、国会の国政調査権を冒とくし、行政監視機能を妨害した認識はあるか、と問いました。 
 
 野田聖子総務相、加藤勝信厚労相、小此木八郎国家公安委員長、福井照沖縄・北方相、松山政司1億総活躍相、梶山弘志地方創生相、鈴木俊一五輪相は、国会の求めに対して改ざんした公文書を出したのは重大な問題だとの認識を示しました。
 
  一方、菅義偉官房長官は「結果として国会審議を混乱させた」「行政への信頼を揺るがしかねない事態」と述べるだけ。  
 
 私が5回にわたって追及しても、まともに答えませんでしたが、各大臣の答弁を聞いてようやく「そのような認識だ」と答弁しました。
 
  茂木敏充経済再生相も、3回目の質問に「(各大臣と)同じ認識だ」と答えました。  上川陽子法務相はこれまで「答弁を差し控える」としていましたが、初めて「重大な問題」と答えました。 
 
 森友公文書の一部を保有し、問題の当事者である国土交通省の石井啓一大臣は、他の大臣と同様に「大きな問題だ」と述べるにとどまりました。
 
  佐川宣寿前財務省理財局長への証人喚問で疑惑がいっそう深まった。真相究明のため、安倍晋三首相の妻の昭恵氏ら関係者の証人喚問と予算委員会での集中審議を求めました。
 
 

「議事録」
<第196通常国会 2018年03月30日 内閣委員会 6号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 内閣委員会における大臣所信質疑を行わせていただきます。
 この内閣委員会におきましては、この間、非常に異常な委員会運営が行われてきた。本来、三月の頭で行われるはずだった大臣所信質疑、野党分を飛ばし、また、子ども・子育て支援法の委員会質疑また本会議での質疑、採決、本会議の採決を含めて、野党の出席のないまま強行されたという経緯、極めて、過去にも前例がないような、前代未聞の暴挙と言わなければなりません。
 一昨日ときょう、残された野党分の大臣所信質疑が行われることになりました。いわば、内閣委員会は、いまだ正常化の途上であります。
 こういった異常な国会運営の大もとに、政府による公文書改ざん事件があるわけです。この点についての大臣の考えを伺いたい。
 一昨日の内閣委員会の冒頭、山際内閣委員長は、今回の決裁文書の改ざん事件について、今般の財務省決裁文書書換え事案は、国会の国政調査権を冒涜し、国会と行政との信頼関係を損なうだけでなく、民主主義の根幹を揺るがし、国民の行政に対する信頼をも損なうものであると発言をされたのは、極めて重要であります。
 三権分立のもとで国会が政府に対する監視機能を果たすことは、国民の負託を受けた国会が行うべき重要な責務であります。行政監視機能を果たすためには、十分な調査と情報の収集が不可欠であります。それなのに、森友公文書改ざん事件では、国会からの資料要求に対して、政府が公文書を改ざんして提出をした。
 それでは、まず菅官房長官にお尋ねをしますが、国会の国政調査権を冒涜した、そういう認識はお持ちですか。

○菅国務大臣 国政調査権というのは、まさに憲法に規定されている国会の権能であって、政府としても重要と考え、国会の資料要求に対してはできる限りの対応をすべきであると考えております。
 いずれにしろ、政府としては、今後、国会の御要請にできる限り丁寧に対応していく必要があると思っています。

○塩川委員 お答えになっていません。
 今回の事案についてどう考えるかというのを聞いているんですよ。一般論の話じゃないんです。
 いずれにせよというので話をそらすのが官房長官のいつもの答弁ですけれども、要するに、国会の行政監視機能、国会の国政調査権を妨害したという認識があるのか、この改ざん事件において。その点、お答えいただけますか。

○菅国務大臣 書き換えた文書を国会に提出したことで、結果として国会の審議を混乱させたことについては、大変遺憾なことであると思っています。

○塩川委員 結果として国会審議を混乱させたという話じゃないんですよ。
 なぜ混乱したか。つまり、まともな審議ができないということで野党が審議に応じられないとしたというのは、そもそも国会の国政調査権、行政監視機能の土台となる政府からの提出資料が、書き換えられたと言われますけれども、改ざんをされたということが問題なわけで、そもそも国政調査権を妨害した認識があるかどうかということをお聞きしているんですが。もう一回。

○菅国務大臣 今申し上げましたように、まさに今回の文書の書換えについては、行政全体に対する信頼を揺るがしかねない事態であり、まさにこうした文書を国会に提出したことで国会の審議を混乱させた、このことについては極めて遺憾であるというふうに思いますし、また、全容が明らかになった段階において、このような事態が再発しないよう、信頼回復に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 納得いく話ではありません。
 この国会からの要請に対して、いわば改ざんした文書を提出したということについての、その結果として混乱の話なんですよ。その改ざんした文書を出したことが問題だった、そういう認識はないんですか。

○菅国務大臣 今申し上げましたけれども、こうした書換えについて、行政全体に対する信頼を揺るがしかねない事態であって、政府として、国民の皆さんから厳しい目が向けられていることを真摯に受けとめ、なぜこんなことが起きたのか全容を解明する、そして、明らかになった段階においては、このような事態が再発しないよう、信頼回復に向けて必要な対応策をしっかりとっていきたいというふうに思います。
 結果、書き換えた文書を国会に提出したことで国会の審議が混乱したことについては、大変遺憾だと考えます。

○塩川委員 国会と政府との関係を聞いているわけです。国会を冒涜した、そういう受けとめはありますか。

○菅国務大臣 国会の審議を混乱させた、そしてまた、こうしたことに対しては大変遺憾だと考えておりますし、政府としては、全容が明らかになった段階において、このような事態が再発しないように、信頼回復に向けて必要な対応をしっかりとっていきたいというふうに思います。

○塩川委員 納得いくものではありません。
 時間の関係もありますから、きょうお越しの内閣委員会所掌にかかわる大臣にそれぞれ伺っていきます。
 今、菅官房長官にもお尋ねしましたが、今回の森友の公文書の改ざん事件、この並びの順番でまずお答えいただこうと思いますから、じゃ、茂木大臣。
 森友公文書改ざん事件では、国会からの資料要求に対して政府が公文書を改ざんして提出をした。これを、国会の国政調査権を冒涜した、そういう認識はお持ちですか。

○茂木国務大臣 今回の件は、国民の行政への信頼を大きく揺るがす事案だと重く受けとめております。真相究明を進め、事実関係を明らかにし、国民及び国民から負託を受けた国会に対してしっかりと説明をし、また、このようなことが二度と起こらないように、再発防止策を徹底する必要があると考えております。

○塩川委員 国会と政府との関係を聞いているんです。もちろん、国民との関係で信頼を損ねるような重大な事態というのは当然のことでありますけれども、国会の行政監視機能、国政調査権を侵害する、国会を冒涜する、そういう事態だったのではないのかという認識について、もう一回。

○茂木国務大臣 国民から負託を受けた国会に対してしっかりと事実関係を説明する必要がある、このようにお答えを申し上げました。

○塩川委員 納得いくものじゃありませんが、ちょっと一通りと思いますので、野田大臣、いかがですか。

○野田国務大臣 お答えいたします。
 法令を遵守し、適正に事務を執行することは、行政として当然のことです。このたびの財務省の決裁文書の書換えにより、行政全体の信頼が損なわれる事態となったことは、大変残念です。
 また、国会における御審議のために必要な資料の提供が求められた場合には行政として真摯に対応すべきであり、国会の御要請に対し書き換えた文書を提出したことは大きな問題があると考えています。
 真相をしっかり究明するとともに、このような事態が再発しないよう、信頼回復に向けて必要な対応を行うべきであり、私も内閣の一員としてしっかり取り組んでいきたいと考えています。
 いずれにせよ、私が担当する分野については、国会の御要請にはできるだけ丁寧に対応していくとともに、国民の信頼が得られるよう、丁寧な説明に努めていきたいと思います。

○塩川委員 国会に対して事実ではない文書を提出したことは大変な問題だというお話がありました。
 梶山大臣。

○梶山国務大臣 国会における質疑というものが民主主義そのものであるという点に鑑みますと、国会からの求めに対して書き換えた決裁文書を提出したことは重大な問題であると考えております。

○塩川委員 石井大臣、お願いします。

○石井国務大臣 このたびの決裁文書の書換えによりまして行政全体の信頼が損なわれたことについては、大変遺憾に思っております。
 また、国会の御要請に対し書き換えた文書を提出したことは大変大きな問題であると認識をしております。
 政府としては、国会の御要請にできる限り丁寧に対応していく必要があると考えております。

○塩川委員 鈴木大臣、お願いします。

○鈴木国務大臣 財務省における文書の書換えにつきましては、行政全体に対する信頼を揺るがしかねない事態であり、書き換えた文書を国会に提出したことは重大な問題であると考えております。
 私といたしましても、国民の負託を受けた国会からの御要請には可能な限り丁寧に対応するとともに、国民の信頼を得られるよう、できる限り丁寧な説明を行ってまいる所存であります。

○塩川委員 小此木大臣、お願いします。

○小此木国務大臣 国会の委員会からの要求を受けて提出する資料については、書換えがなされるようなことはあってはならない話だと認識しています。
 また、今回の事態を閣僚の一人として重く受けとめておりまして、総理からの公文書管理に関する指示をしっかりと踏まえて、国民の信頼回復に努めていかなきゃならないものと考えております。
 いずれにせよ、国会の要請にできる限り丁寧に対応していくよう、引き続き指導してまいりますし、私もその気持ちでおります。

○塩川委員 今回の事案について、国会の国政調査権の侵害、行政監視機能を妨害した、そういう認識はお持ちですか。

○小此木国務大臣 今回の事態のことについて、閣僚の一人として重く受けとめておりまして、あってはならないことであると認識しています。

○塩川委員 上川大臣、お願いします。

○上川国務大臣 国会からの求めに対し書き換えた文書を提出したことは、重大な問題であると認識しております。
 決裁文書の書換えにつきましては、現在財務省で調査中であり、全容が明らかになった段階におきまして、国民の皆様から信頼が得られるよう、財務省において丁寧に説明が行われるものと思います。
 いずれにせよ、国権の最高機関である国会から資料の提出を求められた場合には、これを重く受けとめ、誠実に対応すべきものと考えております。

○塩川委員 松山大臣、お願いします。

○松山国務大臣 このたびの決裁文書の書換えによりまして行政全体の信頼が損なわれたことについては、大変遺憾に思っているところでございます。
 また、国会の御要請に対し書き換えた文書を提出したことは大変な問題であると認識いたしております。
 全容が明らかになった段階において、このような事態が再発しないよう、信頼回復に向けて必要な対応を行う必要がございます。
 いずれにせよ、政府として、国会の御要請にはできるだけ丁寧に対応していくとともに、国民の信頼を得られるよう、できる限り丁寧な説明を行う必要があると考えております。

○塩川委員 福井大臣、お願いします。

○福井国務大臣 国会における質疑というものが、先生先ほどからおっしゃっていただいていますように、民主主義そのものであるという点に鑑みますと、国会からの求めに対して書き換えた決裁文書を提出したということは大変重大な問題であるというふうに考えている次第でございます。

○塩川委員 加藤大臣、最後に一言。

○加藤国務大臣 今回の決裁文書の書換え、もう今各大臣が言われたように、行政全体の信頼が損なわれたということで、大変遺憾に思っております。
 また、国会の要請に対して書き換えた文書を提出するということはあってはならない問題だというふうに考えております。

○塩川委員 菅官房長官に改めてお尋ねいたします。
 各大臣、若干いろいろばらつきはありますけれども、国会の要請に対して書き換えた文書を提出したことは重大な問題、大変な問題という認識は当然示されているわけですが、官房長官もその認識をお持ちですか。

○菅国務大臣 先ほど来答弁をさせていただいていますように、そのような認識であります。

○塩川委員 茂木大臣も同様でしょうか。

○茂木国務大臣 私も同じ認識を持っております。

○塩川委員 国会と政府との関係、政府が国会を欺いた問題について、それぞれ問われているわけであります。
 行政監視機能を果たすべき国会に対して、行政側が要求された公文書を改ざんして国会に提出したということは極めて重大な話であり、この間、議論がされていますように、いわゆる憲法六十二条の国会の国政調査権、「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」これは、国会は、選挙された国民の代表として、立法、政府、行政に対する統制、財政に対する統制など、国政全般にわたる強い権限を持つわけで、こうした権限を行使するためには、十分な調査や情報の収集を行うことが不可欠であります。
 また、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と憲法六十六条の三項にうたわれているように、国会での審議において、国会議員から批判や質問を受け、答弁を行うことを通じて、内閣の責任、これは政治責任、説明責任が問われることになるわけであります。
 冒頭紹介しましたように、山際委員長が発言をされましたように、国会の国政調査権を冒涜し、国会と行政との信頼関係を損なうだけでなく、民主主義の根幹を揺るがし、国民の行政に対する信頼をも損なう、このことを改めて政府の方に強く求めていくものであります。
 残りの時間で、公文書管理担当の梶山大臣にお尋ねをいたします。
 加藤大臣は、後ろの時間、厚労委員会ということですので、退席いただいて結構です。
 そもそも公文書とは何なのかということについて、梶山大臣、お答えいただけますか。

○梶山国務大臣 公文書につきましては、過去から現在、そして未来へと国の歴史や文化を引き継いでいくとともに、行政の適正かつ効率的な運営を実現し、現在と将来の国民への説明責任を全うする上においても重要なインフラであると考えております。
 公文書管理法第一条では、公文書等は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録であり、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであると規定をしているところであります。

○塩川委員 公文書とは健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源、こういう角度を国民主権との観点でどう捉えるのか。国民主権の立場から公文書とはどういう意味があるのか、この点についてお答えいただけますか。

○梶山国務大臣 民主主義の根幹は、国民が正確な情報に自由にアクセスをし、それに基づいて判断を行い、主権を行使することにあると考えておりまして、まさに、その意味において、公文書等は、健全な民主主義の根幹を支える基本インフラであるとともに、国民共有の知的資源であります。
 こうした趣旨を踏まえて、公文書管理法第一条において、主権者たる国民の立場に立って、公文書等が国民共有の知的資源であり、国民が主体的に利用し得るものと位置づけることによって、公文書管理に携わる行政の立場のみならず、公文書等を利用する国民の立場についても、公文書管理法上、明文化しているものと承知をしているところであります。

○塩川委員 今答弁ありましたように、国民主権の立場からいったときに、公文書というのが、一つ、国民共有の知的資源、つまり国民共有の財産だ、あわせて、国民が主体的に利用し得る、それはまさに国民の知る権利を保障する。
 今回の改ざんというのは、国民の皆さんにとっていえば、国民の財産が侵害をされ、そして国民の知る権利が侵害をされた、そういう重大な問題であるわけで、国会の国政調査権、行政監視機能を侵害された、こういう問題とあわせて、極めて重大なこのような事案について、その真相の解明ということが強く求められているわけであります。
 佐川氏の証人喚問で疑惑が一層深まったというのが実態であります。真相究明が求められております。予算の集中審議や、迫田元理財局長、谷査恵子氏、そして安倍昭恵氏の証人喚問をぜひ実現をする、このことを強く求めて、質問を終わります。