<第179臨時国会 2011年12月01日 総務委員会 6号>



○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 被災者への課税免除等を行います地方税法一部改正案については賛成であります。
 きょうは、関連して避難者の支援策について質問をいたします。
 復興対策本部は、十一月二十四日に全国の避難者等の数について、約三十三万人と公表をいたしました。これまで、被災三県の避難者数については、仮設住宅等への入居戸数しか把握をされず、入居者数は明らかになっておりませんでした。六月以来、正確な避難者数の把握を求めてきましたので、今回の発表は一定の前進があったと評価をしております。
 その上で、この多数に上る避難者支援を求める立場から質問をいたします。
 避難者数については、災害救助法を所管している厚生労働省が正確に把握をしていると承知しております。そこで、厚生労働省にお尋ねいたしますが、いわゆる仮設住宅の入居戸数、入居者数が何人で、民間の借り上げ住宅の入居戸数、入居者数が何人で、URや公営住宅、国家公務員宿舎などの公的住宅の入居戸数、入居者数が何人になっているのかについて、まずお答えください。

○牧副大臣 お答え申し上げます。
 十一月二十八日時点でありますけれども、応急仮設住宅四万七千九十四戸に十一万五千百七十三人が入居、民間賃貸住宅六万三千七百四十六戸に十七万一千五百十一人が入居、公務員住宅、公営住宅等の公的住宅五千百九十六戸に一万四千九百三十五人が入居されているとの報告を受けております。

○塩川委員 今お答えいただきました数は、災害救助法に基づく応急仮設住宅として扱われている避難者入居住宅に限定されているものであります。ですから、例えば、応急仮設住宅となっていないのに避難者が入居している施設として雇用促進住宅がありますけれども、この雇用促進住宅への入居者数などは含まれておりません。
 時間の関係で、答弁は求めませんが、私の方でしゃべりますけれども、雇用促進住宅の入居戸数が五千百二十八戸、入居者数は一万五千五百二十三人、十月三十一日現在ということで承知をしております。応急仮設住宅扱いとなっていないUR賃貸住宅や公営住宅なども含めると、公的住宅への避難者数は三万人を超えることになると思います。
 公的住宅については応急仮設住宅扱いとすることを求めるとともに、雇用促進住宅やUR賃貸住宅については、その入居の避難者について、自治体との連携を強めながら国が責任を持って対応すべきであります。
 整理しますと、仮設住宅への入居者数が十一万人を超える、公的住宅への入居者数は三万人を超える。それ以上に多いのが民間借り上げ住宅の入居者で、十七万人を超える数となっております。仮設住宅、公的住宅の入居者へのきめ細かい支援を行うとともに、居住場所が散在をする形になる民間借り上げ住宅の入居者を視野に入れた取り組みが必要であります。
 そこで、民間借り上げ住宅の数の多いのが仙台市であります。重ねて厚生労働省にお尋ねしますが、仙台市における仮設住宅と民間借り上げ住宅と公的住宅のそれぞれの入居戸数及び入居者数がわかれば教えてください。

    〔内山委員長代理退席、委員長着席〕

○牧副大臣 仙台市に限ったお話でありますけれども、建設された応急仮設住宅が千四百七十九戸、三千二十八人が入居をいたしております。十一月二十八日現在ですね、先ほどと同じ。それから、民間賃貸住宅八千百四十七戸に二万四百四十二人が入居、公務員住宅、公営住宅等の公的住宅五百二戸、千百八十五人が入居されているとの報告を受けております。

○塩川委員 今、御答弁ありましたように、入居後の避難世帯というのが一万戸を超えるのが仙台市であります。仙台市内においては、民間借り上げの住宅が八千戸余りという話でありました。
 この民間借り上げ住宅などの避難者支援に取り組んでいる仙台市及び仙台市社会福祉協議会に実情をお聞きいたしました。借り上げ住宅約八千戸のうち、二千世帯は石巻市あるいは福島県内からの原発事故の避難者の方だ、仙台市以外からの民間借り上げでの入居の方が二千世帯を超えるという話でした。
 このような借り上げ民間賃貸住宅を対象にして、仙台市の社会福祉協議会は、厚生労働省の「絆」再生事業を活用して、避難者の見守り活動、巡回相談を行う計画ということです。民間借り上げ住宅の場合に、今回の大震災被災の大きな特徴として、避難者の広域性、点在性ということがあり、しかも被災者の姿が見えない状況にあるという認識だ、ここに巡回相談や情報提供や必要な行政機関とのつながりをつくる取り組みをしたいとお話をしておられました。
 プレハブ仮設や公的住宅等への避難世帯については、NPO団体に委託をして、お願いしているそうであります。民間借り上げ住宅への避難世帯については、社会福祉協議会として取り組むという整理だそうです。
 そういう意味でも、プレハブあるいは公的住宅というのはある程度まとまってあるわけですけれども、そうすると、民間借り上げの場合とどうしても情報格差が生まれるというのが実態ということですし、特に市外から仙台市に避難をしている方などについてはなおさら情報が届かない。ですから、避難元の自治体の方では暖房器具が提供されると聞いているんだけれども、仙台市にいるものだからそういう話が届かないんだということなども訴えがあるそうであります。
 そこで、厚生労働省にお尋ねいたしますが、一万戸のうち二千戸が仙台市の外の被災者、被災自治体の避難者の方ということで、情報格差も非常に大きいという話もあります。こういったことについてどういうふうに対応するのか、その点について、国としての対応方、御答弁いただきたいと思います。

○牧副大臣 おっしゃるとおり、特に民間借り上げの方は点在しているわけでありますから、情報が十分に行き届かなかったり、あるいは孤立をしてしまったりという懸念ももちろんあるわけです。
 そんな中で、被災された方々の孤立防止や日常生活上の支援を行うための巡回訪問活動や集会所等を活用したサロン活動等の支援を行っているところであります。被災地などの地域できずなやつながりを再構築して、高齢者、障害者や生活に困窮している方々などの生活を支えるため、社会福祉協議会等が行う巡回訪問による住民ニーズの把握や見守り等の支援を行う事業を創出いたしたところであります。
 御指摘のように、第三次補正において、きずな、つながりの再構築に、基金を積み増ししているところであります。社会福祉協議会において支援を行う人材を確保して、活動の支援にこれからも資するものと考えているところであります。

○塩川委員 三次補正で「絆」再生事業について四十億円上積みをする、これは被災地対応ということで措置されたと承知をしておりますが、仙台市の方でお聞きしますと、この「絆」再生事業で仙台市社会福祉協議会で確保した予算は四千万円だというお話でした。四十億円の一%、被災の規模からいってどうかなとも思いますけれども、この額ですと、生活支援相談員のような方の数を確保するということが基本になります。二十五人を計画して、現在二十三名を採用しているということなんですが、課題としては、やはり生活支援相談員の配置と予算の増額だということを訴えておられます。
 プレハブの仮設と公的住宅についてはNPO団体にお願いをしているわけですけれども、そのNPO団体では、おおむね百世帯に対して三名ぐらいが望ましいということでの人員の確保を要請しているそうであります。そういった数で民間借り上げ住宅に対応するとなれば、八千戸ですから二百四十人、つまり今の予定している二十五人の十倍ぐらいいないととても間に合わない。しかも、仮設住宅はまとまってありますけれども、民間借り上げは広範囲に散在している立地ですから、もっといなければ実際には回らないんじゃないのかというのが現場の率直な声であります。
 こういう点について、厚生労働省として、こういった民間借り上げ住宅の避難世帯数に見合うような生活支援相談員の配置、支援体制、そういったための財政措置をしっかり行うことが求められていると思うんですが、この点についてぜひお答えいただきたいということ。
 あわせて、郡和子大臣政務官は、仙台市も御地元でもありますし、こういった事情についても承知をされておられることと思います。被災者の姿が見えない状況にあるこの民間借り上げ住宅の避難者支援について、ぜひ一言御答弁いただけないでしょうか。

○牧副大臣 必ずしも十分ではないというお話は、お気持ちはすごくよくわかります。だからこそ、四十億円の積み増しをさせていただいたところでございます。
 仙台市で四千万円というお話でありましたけれども、二十三年度で五千二百五十万円、生活支援相談員がトータルで三十名程度というふうに聞いております。
 今後一層中身を充実させなければと思っておりますけれども、例えば、小学校単位での地域におけるいろいろな世話役の方、あるいは社協の方ともより一層緊密に連携をとっていくことも肝要ではないかと思っております。

○郡大臣政務官 厚労省の施策をしっかりと後押しできるように、また応援をしてまいりたいというふうに思っています。

○塩川委員 現状、非常に不十分だということでありますので、しっかりとした対応を求めたいということです。
 次に、今回、被災三県について避難者数が発表されたわけであります。岩手、宮城、福島ですね。平野復興担当大臣も、被災三県については、入居戸数のみ把握し、人数までは把握していませんでした、私どもも人数の把握の必要性は感じておりましたと本会議でも答弁をしておられます。そういう点で、今回の避難者数の把握というのは、今言った民間借り上げ住宅の入居者の方が見えてくるという出発点としても非常に重要だということであります。そうであるならば、被災三県に限らず、避難者の把握に努めるべきだと考えます。
 そこで、お尋ねしますが、被災三県以外の被災県、例えば首都圏でも液状化の被害ですとか宅地の地盤被害による避難者の方々がいらっしゃいます。そこで、首都圏、茨城県と栃木県と千葉県と埼玉県のそれぞれの県民の避難者数について、国は把握をしておられるでしょうか。

○郡大臣政務官 お尋ねの四県に避難をされている方々の数ですけれども、避難者の数等は全国の各地方公共団体の協力を得て把握に努めているところでございますが、十一月十七日現在で、茨城県がおよそ三千人、それから栃木県がおよそ二千七百人、埼玉県がおよそ四千九百人、千葉県がおよそ三千七百人というふうになっております。
 これらのうちで、岩手、宮城、福島、いわゆる被災三県から避難をされている方を除いた数ですけれども、茨城県が三十人、栃木県が二人、埼玉県が十人、千葉県はゼロでございます。これらの今申し上げた数値がそのまま、それぞれの県にお住まいの方であったのではないかと推察されるところです。

○塩川委員 今お話ありましたように、つかんでいないんですよ。
 例えば千葉県などでも、県民の避難者数を百二十一人という発表はしているんですけれども、民間ですとかURに入居している方の数というのは、千葉県としても県民の避難者を把握していないんですね。茨城県に問い合わせをしても、県民の避難者数を把握していない。栃木県に聞いても、県としては把握をしていない。埼玉県も把握をしていないという状況なんです。
 避難者の方はいらっしゃるんですよ。栃木県でも、那須烏山市でも宅地地盤被害のところがありますから。そういった方々は、仮設住宅に入居している人もいるし、それ以外に、親戚宅を頼っているとか民間アパートを借りている方なんかもいらっしゃるんですね。そういった方の数というのが入ってこないんですよ。そうなると、しっかりとした支援策が届かないんじゃないのか、こういうことが強く懸念されるんです。
 これはやはり国として、岩手、宮城、福島での避難者数の把握ということで取り組んでこられたわけですから、その三県以外の被災県におけるそれぞれの県民の避難者数についてもしっかりと把握をするということにぜひ取り組んでいただきたいんですが、その点はいかがでしょうか。

○郡大臣政務官 今御指摘をいただきました問題につきまして、私どもも、それぞれの県に対して、把握をしているのか否かを含めて確認をとってまいりたいと思います。

○塩川委員 それは出発点になりますので。
 災害救助法に基づく応急仮設住宅が対応していないところも結構あるんですよね。埼玉県の久喜市でも、液状化被害で避難しておられる方がいるんですけれども、そういった世帯に対しては、災害救助法が適用されないということが前提となって、応急仮設住宅、民間借り上げ住宅が適用されていません。市による三万円の補助だけなんですよ。こういったところも視野に入れた対策こそ必要だということを重ねて申し上げておくものであります。
 最後に、原発事故避難者への支援策について、総務省にお尋ねをいたします。
 原発事故による避難者は十万人を大きく超えるものであり、この間、原発避難者特例法も制定をしたところであります。指定市町村は福島第一原発立地周辺の十三自治体で、その中にいわき市も含まれております。
 そこで、総務省に数字の確認ですけれども、いわき市との関係で、いわき市内への避難者数が何人で、いわき市民の避難者数は何人で、いわき市民の住所移転者数は何人か、この点についてお答えください。

○久元政府参考人 お答え申し上げます。
 いわき市から提供された情報によりますと、いわき市以外の指定市町村からいわき市内への避難者の数は、十一月七日現在で約二万一千人。いわき市から市外への避難者で住民票を移していない方の数は、十一月十八日現在で約八千人。最後に、震災の発生から十月末までにいわき市外に住民票を移した転出者の方の数は約一万人というふうに聞いております。

○塩川委員 いわき市自身、三十万人を超える大きな都市ではありますけれども、しかし、その周辺自治体から受け入れている方の数が二万人を超える。また、いわき市民の方で、市外に避難をした、あるいは住所を移された方が、合わせると二万人近くになるということで、大変多くの方々が移動しているという状況がここに見てとれるわけであります。
 お話をお聞きしましたら、いわき市としても、指定市町村としては全国四十七都道府県に避難住民がいると同時に、避難先団体としては他のすべての市町村から避難住民を受け入れているなど、その対応については困難をきわめている状況にあると訴えておられます。
 いわき市の担当者の方に実情をお聞きしたところ、この原発避難者特例法に基づく業務を進めようというとき、幾つか課題があるんだということをおっしゃっておられました。
 例えば、業務量の見通しが立たないというわけです。特に、介護ですとか障害者福祉、認定の作業などもある。こういったことについて、福祉関係の業務の量が見通せないということを訴えておられます。それとの関係で、情報提供がどうしても限られる、ないということもあって、業務の提供に支障が出かねないということもお話がありました。あと、やはり受け入れている人数もふえる傾向にあるんだというわけなんです。というのは、双葉八カ町村などを初めとして、中通りあるいは会津に避難をしていた方々が、冬が迫ってきて、やはりできれば同じ浜通りに戻りたいということで、いわき市に戻れないかと願う避難者の方々がおられるという状況にあります。
 そういう点で、やはりこういった実態のいわき市に対して、この原発避難者特例法も踏まえて、国としてどのような支援を行っていくのか。このことについて、大臣にお尋ねをいたします。

○川端国務大臣 今御指摘の原発避難者特例法は、八月十二日に公布、施行、九月十六日にいわき市を含めた市町村の指定ということで、約一カ月かけました。ということは、こういう法の趣旨に基づいて、いわき市さんとしてはどういう実情にあるのかと。今おっしゃったように、両方ありますというのを踏まえて、この指定の市として中身はこういうことでやっていただけるかどうかということを含めて御相談をした中で、指定をさせていただきました。
 それが九月で、十一月十五日に、処理すべき特例事務の告示を行った。これも、今おっしゃったような介護認定とかいろいろなことも、具体的にどういうことが発生するのかということも踏まえて、きめ細かく、関係府省及び市町村と相談して指定させていただいたということで、この間には、いろいろな事務の調整含めて結構時間をかけて行って、その後、運用としては一月ということに決めました。
 これは、十一月に選挙がありました。それぞれの市町村においては、これが終わってからでないとちょっと事務的になかなかしっかりできないということなので、確かにこの中の手当ての検討がおくれてきていることは事実だというふうに思います。
 そういう部分で、一月からということで、いよいよ本格的な、今いろいろな検討作業をしていただいているのが、十二月、今月がピークになるというふうに思いますので、いろいろな御事情はまた我々もきめ細かく聞きながら、できる限りの御相談とサポートはしてまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 実情をお伝えしましたので、ぜひしっかりとした対応方をお願いし、質問を終わります。