国会質問

<第186通常国会 2014年05月27日 総務委員会 24号>




○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、放送法及び電波法の一部を改正する法律案への反対の討論を行います。
 第一の理由は、認定放送持ち株会社による株式保有拡大を可能にし、マスメディア集中排除原則を緩和させるものにほかならないからです。
 この原則は、憲法二十一条に保障された放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにすることにより、放送の多元性、多様性、地域性の確保を目的とするものです。
 二〇〇七年に認定放送持ち株会社の子会社化の特例、二〇一〇年に系列局の議決権保有の上限が見直され、原則が緩和される中で、一部の放送持ち株会社で、地方局の株式保有を引き上げ、関連会社化、ネットワーク体制の強化が進められています。
 放送の多元性、多様性、地域性の確保よりも、持ち株会社の経営戦略、経営強化策を優先するものであり、視聴者・国民の知る権利の後退につながるものです。
 第二の理由は、経営基盤強化計画の認定制度を創設し、認定を受ければ、違う放送対象地域の放送事業者が全て同一の放送番組の放送を行うことも可能となり、計画認定された地域の視聴者・国民は、地域の情報を恒常的に得られなくなりかねないからです。さらには、民放系列ネットワーク全体の番組制作機能を低下させる懸念があります。
 地方局が放送事業者として事業を継続していくには、地域に密着し自主番組をつくり、視聴者、地域に欠かせない存在となっていくことが欠かせません。自主制作番組をふやしていくことこそ求められています。ローカルラジオ局は、AM、FMともに、自主制作は五〇%を超えています。だからこそ災害時の役割も注目されるのであります。
 そもそも、放送の普及計画で、放送は地域社会を基盤にし、情報の多元的な提供及び地域性の確保を求めていますが、こうした放送のあり方を覆すものです。
 質疑の中で、この計画と産業競争力強化法の併用が行われれば、株主利益追求、事業再編、リストラ合理化が優先されかねないことも指摘をしました。これでは、放送事業をゆがめるものになりかねず、問題です。
 なお、NHKのインターネット業務の拡大には、受信料で行うものであり、留意が求められることを指摘しなければなりません。
 放送法の一部を改正する法律案、衆法については、経営委員会の合議制をゆがめるものとし、反対であります。
 以上述べて、討論といたします。