国会質問

<第186通常国会 2014年06月12日 総務委員会 26号>




○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 行政書士法の改正案について、動議提出者にお尋ねをいたします。
 今回の法案、内容に関連してですけれども、従来、行政書士は、依頼を受けて、官公署への書類の作成、提出を代理してまいりましたが、不服申し立ての代理はできませんでした。改正により、研修を修了し、特定行政書士に登録されれば、事前手続での依頼人の意向を踏まえ、事後の不服申し立てでも審査請求書の補正や反論書の作成ができることとなる、このような改正を目指すものであります。
 不服申し立ての代理権は、これまで、弁護士のほか、税理士、弁理士、司法書士、土地家屋調査士などに早くから付与され、一九九八年には社会保険労務士にも付与されているところであります。
 そこでお尋ねをいたしますが、税務については税理士、特許に関しては弁理士など、他士業による独占の業務があるわけであります。特定行政書士が不服申し立ての代理業務を行う場合に、扱う不服申し立て代理の分野というのは具体的にはどのような範囲というのが想定をされるのか、この点についてお示しいただけないでしょうか。

○石田(真)委員 塩川議員にお答えをさせていただきたいと思います。
 どのような範囲が想定されるかということでございます。
 先ほど原口委員からも御説明を申し上げましたけれども、特定行政書士は、行政書士さんが作成した官公署に提出する書類に係る許認可に関する不服申し立ての手続を代理できることといたしておりまして、その範囲は、行政書士が作成した書類に係る許認可手続に限定されるということでございます。
 そして、それを具体的に申し上げれば、先ほども答弁がございましたけれども、例えば、建設業の許可申請とか産業廃棄物処理業の許可申請、そういうものが考えられるということでございます。

○塩川委員 建設業あるいは産廃などについての許認可に係るということでのお話がございました。
 この点、この委員会でも行政不服審査法の議論を行ってまいりました。そういう中で、出訴に当たっての前置を大きく見直すというのが今回の行政不服審査法の改正の大きな中身でもあったわけであります。九十六法律から四十九法律に減らす、二重前置はそういう中でなくすということで、そういう点では、出訴の前提となる前置という法律の限定もあるわけですが、それに関連して、出訴の前提としての前置、この前置が存置をされているような法律において、特定行政書士が扱うことが想定されるものというのはどういうものがあり得るのかどうなのか、この点についてお答えいただけないでしょうか。

○石田(真)委員 行政不服審査法の改正によりまして、不服申し立て手続を経なければ訴訟をすることができないとする、いわゆる不服申し立て前置をとる制度については、御指摘のように、四十九の法律に基づくものとなったわけでございます。
 その中で、不服申し立て前置が残っている分野というのは、税理士や社会保険労務士など他の士業の業務範囲であったり、許認可等を伴わないものが多くございまして、行政書士が行うことができる許認可等に係る手続についてはごく一部である。例を申し上げますと、宗教法人法に基づく宗教法人の設立に係る認証の申請等が対象となるにすぎないということでございます。
 その上、行政書士がこれらの申請に携わっている件数は少ないことから、不服申し立てが前置とされている不服申し立てを実際に特定行政書士が行うことは余り想定されないというふうに考えておるところでございます。

○塩川委員 次に、行政不服審査法の十二条は、代理人は、各自、審査請求人のために当該審査請求に関する一切の行為をすることができるとしております。
 特定行政書士が代理人として審査請求の中でできる行為としてはどういうものが想定されるのか。審査請求書の補正ですとか弁明書に対する反論書の作成代理のほかに、審理関係人として口頭意見陳述に立つ、こういうことも行われ得るのか、この点について、確認でお聞かせください。

○石田(真)委員 特定行政書士が代理人としてできる行為としては、依頼者の依頼の範囲内においてということになるわけでございまして、審査請求書の作成、提出や補正、さらには反論書の作成、提出等が考えられるほかに、御指摘の、不服申し立て手続に含まれる口頭意見陳述を行うことも可能であると考えておるところでございます。

○塩川委員 依頼者の依頼の範囲内ということでございます。
 続けて、一切の行為をすることができるという点についてですけれども、口頭意見陳述に立った場合に、代理人独自の判断で陳述ができるのか。例えば、行政手続上の代理では、依頼人との業務委託契約に伴って、建設業許可や農地転用許可などについて包括委任状を得て代理業務を行っているとも聞くわけですが、このような代理人の行為は、審査請求人との関係でどのようになるのか、どのようにお考えか。この点についてお聞かせください。

○石田(真)委員 不服申し立てにおける代理人は、依頼者である不服申立人との間の委任契約に基づいて、不服申し立てについての代理権を授権され、本人にかわって不服申し立てに係る行為を行うこととなるわけでございます。
 特定行政書士が行うことができる不服申し立て手続の代理につきましても、許認可等の書類を官公署に提出する手続の代理と同様、他人の依頼を受けて行うことができるものであり、依頼者からの代理権の授権範囲内において、口頭陳述を含め、不服申し立て手続の代理ができるものと考えております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 このような士業間の調整を伴うような、さまざまな御苦労のある中での今回の法改正であります。こういった法改正が、やはり国民の皆さんの利便性の向上につながっていく、また事務の迅速化に資する、こういうものであることを心から願いまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。