第181 臨時国会 2012/10/29~2012/11/30 日付:2012-11-08 |
国が「秘密」とする情報を扱う国家公務員を国が無断で身辺調査している問題で、本人だけでなく、その配偶者の調査や本人に無断で第三者に情報照会をしている可能性が、政府答弁書でわかった。法の裏付けがない国による身辺調査で、プライバシー侵害が無制限に行われている恐れがある。
国による無断での身辺調査は「秘密取扱者適格性確認制度」として、2009年4月から始まっている。国が持つ「特別管理秘密」を扱っていい職員かどうかを選別する制度。
質問主意書で「配偶者は調査の対象となるのか」と質問。これに対し答弁書は「お答えを差し控えたい」として、可能性を排除しなかった。また、病院や金融機関などに病歴や借金の有無を問い合わせる第三者への照会について、答弁書は「必ずしも本人の同意を得て行っているものではない」としている。
さらに答弁書では、身辺調査を経て特別管理秘密を扱うことができる国家公務員の数は、6万4361人(今年6月末時点)としている。11年末時点の5万3162人から1万人以上増加している。「不適格」とされた公務員数を合わせると、身辺調査を受けた公務員は、さらに多数にのぼるとみられる。
この身辺調査を裏付ける法律はない。また政府は、調査の具体的項目を明らかにしておらず、チェックする場もないため、実態はヤミだらけ。
とくに病歴や借金の有無などの個人情報は「センシティブ情報」と呼ばれ、保護する重要度が高いもの。こうした情報が無断で取得され、公務員ではない配偶者も対象になる可能性があることは、行政機関個人情報保護法の趣旨に反する可能性がある。
政府答弁書は国家公務員の身辺調査が家族におよぶことを否定せず、本人の同意なしで第三者機関に照会していることが明らかになった。具体的な調査項目の開示を私が請求したのに対し、政府の回答はスミ塗りだらけ。国民に説明できない違法行為を、野田内閣が提出を狙う秘密保全法案は「合法化」するものといえる。この身辺調査の全容を明らかにさせ、秘密保全法案をきっぱり出させない国民的な運動を進めていきたい。