第186 通常国会 2014/1/24~2014/6/22 日付:2014-08-10 |
(1)福島原発事故 汚染者負担原則を貫け
●自治体負担の除染費は東電が負担せよ(2月4日、総務委員会)
東京電力福島原発事故に伴う自治体の除染経費の一部が、自主財源でまかなわれている問題を取り上げ、汚染者負担の原則に立って東電に負担を求めるよう迫った。
自治体が行う除染経費は、汚染対処特措法に基づく国庫補助や震災復興特別交付税・特別交付税が交付されているが、2012年3月末時点で67自治体が自主財源でまかなっている。
特別交付税が措置されずに自治体負担が生じている。実態の把握と是正を求めるとともに、事故を起こした東電に負担の責任があり、特別交付税などで措置した除染経費について東電に賠償請求することを要求した。
新藤義孝総務相は「費用を求めるかは決まっていない」と答弁。
政府はさらなる税金投入のしくみをつくろうとしている。国民の負担に転嫁する形で東電の責任をあいまいにすることは許されない。
●「復興指針」批判(2月21日、経産委員会)
福島原発事故処理費用の負担のあり方について、事故を起こした東京電力が負担をするという原則(汚染者負担原則)を基本にすえ、国民の負担を最小化する立場を貫くよう求めた。茂木敏充経産相は「口は出すけど金は出さないでは進まない」と答弁。原発を推進してきた国の反省を踏まえた対応が必要だ。
昨年12月20日に閣議決定された「原子力災害からの福島復興の加速化にむけて」(復興指針)では、除染特措法に基づく除染後の再除染費用について「公共事業的観点」で実施、中間貯蔵施設費用(1.1兆円)は電気料金に上乗せされている電源開発促進税を流用するなど税金投入や国民負担を前提としている。
国が前面に出ることとその費用を負担することは別問題だ。まず東電、株主、メガバンクをはじめとした債権者に負担を求めるべきだ。
●原子力損害賠償支援機構法改定案に関する論戦
1、原発事故廃炉費用の負担問題を質問(4月9日、経産委員会)
東電が約2兆円と見積もる廃炉経費は
1)燃料デブリ取出し費用見積もりが甘いと会計検査院も指摘
2)今後10年分の費用しか見積もっていない。さらに膨らむことも
しかも廃炉経費を電気料金に上乗せできる省令改正を経産省が行っていた。とんでもないことだ。
2、参考人質疑。除本参考人「ステークホルダーの責任追及が大事」(4月11日、経産委員会)
大阪市立大大学院教授の除本理史氏らが意見を述べた。
除本氏は、損害賠償の現状について、東京電力の事故に対する責任の検証が十分でなく、対応が不誠実で加害者としての自覚があるのかという声が被害者から出ていると指摘。「東電のステークホルダー(大株主など利害関係者)の責任を追及することが大事だ」と述べた。
今後の損害賠償の方向性を問われた除本氏は「金銭的な賠償に加え、壊れた地域の再生・復興を総合的に組み合わせて被害者を救済していくことだ」と提起。東電が廃炉費用などを電気料金に転嫁しようとしていることについて、「経費であるかのように転嫁することは問題であり、東電の利益から出すのが本来のあり方」と指摘した。
3、東電への無原則な税金投入を批判(4月16日、経産委員会)
政府は、法第68条を使った機構への資金交付の枠組みを活用して、中間貯蔵施設の施設費相当分(1.1兆円)を税金で負担しようとしている。
この条文については、法案制定時(2011年)に当時の枝野経産大臣が「今回の東電福島原発事故においては、この条文に該当することを想定していない」と答弁。ところが、昨年末に閣議決定された「原子力災害からの福島復興の加速化にむけて」(復興指針)により、電気代に上乗せ徴収している電源開発促進税を今後30年にわたり、流用するとしている。
これまで機構は、資本注入や資金交付によって東電を救済してきたが、さらに東電が負担すべき原発事故費用についても、電力需要家や国民に「ツケ回し」するもの。
また、法案が、原子力損害賠償支援機構を通じた、東電への無原則な国費投入を行うものになっていることを批判した。
4、廃炉費用の電気料金への転嫁問題を追及(4月23日、経産委員会)
東電福島原発事故に伴う廃炉費用を電気料金に転嫁しようとする仕組み「廃炉会計規則」について追及。原発事故の責任を棚上げにして、国民、利用者につけ回しすることは許されない。
(2)原発輸出問題
●インドへの原発輸出問題(2月13日、予算委員会)
核不拡散条約(NPT)に加盟せず核保有国となったインドの原子炉に日本製品が納入されていた事実を告発。安倍政権は、インドとの間で原発輸出につながる原子力協定交渉を進めている。
他国の核兵器製造に加担してはならない。原発の輸出をやめるべきだと主張した。
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●貿易保険法改定案 原発輸出に前のめり(3月26日、経産委員会)
貿易保険制度を拡充して、原発輸出拡大をはかる法案を審議。
安倍内閣が昨年5月に策定した「インフラシステム輸出戦略」では、国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)などの公的金融の支援強化がうたわれているが、日本企業の原発関連機器の輸出に際し、これまでNEXIが53件1716億円もの保険引き受けを行ってきたことが、明らかになった。
さらに問題なのは、NEXIが保険引受けの判断を行う前提として、国が実施してきた安全確認体制の問題。
これまでは、NEXIの照会に基づき、経済産業省の産業機械課、資源エネルギー庁原子力政策課、原子力安全・保安院が
1)相手国・地域が安全規制を適切に行える体制等を整備していること
2)安全確保等のために整備されている国際取決め等を受け入れ、それを遵守していること
3)輸出する機器等の製造者が、長期間にわたり当該機器等の保守補修及び関連研修サービスに積極的な対応を行うこと、について「安全確認」を行ってきた。
ところが、2012年9月に原子力規制委員会が発足して以降、原子力規制庁が「原発輸出には関与しない」と業務の引き継ぎを拒否。安全確認を担う部署が不明確なままの状態が続いている。
現在、新たな体制について、経済産業省を中心に検討を行っている。しかし、これは単に省庁間で所管を変更したという問題ではない。原発資機材等の部品輸出から原子炉本体を含むプラント輸出に踏む込みたい原子力産業界の思惑に沿うものへと、安全確認の内容そのものも〝前のめり〟なものへと変えられようとしている。
前述のインフラシステム輸出戦略でも、原子力分野における日本企業の海外受注額を、0.3兆円(2010年)から2兆円(2020年)へ7倍程度に拡大することをもくろんでおり、今後の動向に注視が必要だ。
事故リスクを「輸出」する原発輸出の中止を求めた。
(3)福島原発構内労働者の賃上げを要求
●危険手当増額分、作業員に届かず(3月28日、経産委員会)
東電は昨年11月、作業員の日当の割り増し分(危険手当)を1日当たり1万円から2万円に増額すると発表。12月の新規契約分から実施している。
福島第一原発で働く作業員に、発注元の東京電力が増額した労務費を賃上げとして確実に届かせるよう求めた。茂木敏充経産相は「しっかり指導していく」と答えた。
東電の広瀬直己社長は、増額した新規契約は2月末で48件あり、完了した工事は3件だとした上で、東電から増額分が支払われるのは発注工事が完了した翌月だと説明。「まだ工事が終わっていないと、(作業員に)届いていないと思う」と答えた。
昨年12月以前に結ばれた長期契約の場合には、賃上げにつながらない。
広瀬社長は元請け会社に対し、末端の一人ひとりにまで行き渡る対策を立案させ、東電もその実現に協力するとし、元請けとのすべての書面契約において増額分を別枠で明示していきたいと述べた。
●作業時の装備に対応した危険手当額が明らかに(4月4日、経産委員会)
昨年12月以降の新規契約分から元請けに対し危険手当分1万円増額を始めた東電。作業時の装備に着目して、マスク着用なら2万円、ボンベやアノラック、タングステンベスト着用なら3万円という単価で元請けに支払っていることが明らかになった。しかし実際に受け取ったという労働者はほとんど聞かない。確実に労働者に支払われる仕組みに変えることを要求。
●危険手当の別枠支給を要求(4月16日、経産委員会)
東電の廣瀬社長に、原発事故構内労働者の危険手当増額について質問。昨年、12月以降の新規契約から危険手当分が増額というが、現時点で元請から1次下請への増額事例が1件。労働者の賃上げ事例は未把握。
危険手当の別枠支給の実施、既存契約分についても増額を図ることを重ねて求めた。
また、福島第一原発の医療体制強化について廣瀬東電社長に質問。3月に起きた福島第1原発での作業員死亡事故で、労働者に不安が広がっている。
3月の事故では下請け事業者の作業員が座ったままの作業中に亡くなった。作業環境は適切だったのかが問われる。東電に事故を繰り返さないための検証と具体的な対策を求めた。
3~4000人が働く場にふさわしい救急医療体制として常勤医師の確保や「ドクターヘリ」の運用など、東電自身が資金面でも積極的にすすめるべきだと提起。
東電の広瀬直己社長は「原因調査をしているところであり、しっかりした再発防止策をとっていきたい」「医師の増員に向け照会を行っている」と答弁した。
(4)電気事業法改定案質疑
1、「重要電源」の位置づけ批判/エネルギー基本計画撤回を求める(4月11日、本会議)
安倍内閣が同日閣議決定したエネルギー基本計画が原発を「重要なベースロード電源」と位置づけている。福島原発は賠償から廃炉まで含めるとコストがいくらかかるかわからない。どうしてコストが安いといえるのか。稼働率ゼロでも安定供給だというのか、同基本計画の撤回を求めた。
そのうえで、「原子力に依存しない社会の構築」というなら原発削減の数値目標こそ示すべき。原子力産業界、財界の思惑に沿った原発輸出、とりわけNPT非加盟国のインドとの原子力協定交渉は、唯一の被爆国で、福島事故を経験した日本が絶対にやってはならない。
また、原賠機構と東電が策定した東電再建計画は、原発事故被害者を分断し切り捨てる一方で、東電に無原則な税金投入をするものだ。東電とメガバンクなど利害関係者に原発事故の責任と負担を求め、原賠機構法を見直し、事実上債務超過の東電は破綻処理して一時的に国有化することを電力システム改革と一体に行うべきだ。
安倍晋三首相は「原発のコストは原発事故対応費用や使用済み核燃料の処理コストを含めて、石炭火力、LNG火力や再生可能エネルギーと比較して高くない」と強弁。原発輸出は「世界の原子力安全の向上に貢献するのはわが国の責務だ」と正当化し、「世界で最も厳しい水準の規制基準を策定した」と、原発再稼働する考えを改めて表明した。
2、原発の新規制基準/「世界最高水準」というごまかしを追及(4月25日、経産委員会)
安倍政権が原発の新規制基準を「世界で最も厳しい水準」としている問題を取り上げ、重大事故シナリオに関する独自の解析も避難計画もない、まやかしだと追及。
九州電力が再稼働に向け原子力規制委員会の審査を受けている川内(せんだい)原発の「重大事故シナリオ」を示し、事業者とは別の解析プログラムを使って妥当性を調べる「クロスチェック解析」を実施するべきだと求めた。
さらに、過酷事故が起こった際に、原子炉の溶融炉心を炉の内部で受け止める「コアキャッチャー」と呼ばれる装置が義務付けされていない点を追及した。
田中俊一規制委員長は、コアキャッチャーについてフランスの新設炉に設置されているが既設炉には設置「不可能」などと答弁。
日本でも既設炉への導入に向け資源エネルギー庁が「コアキャッチャー」を研究開発している事実を指摘した。また、原発周辺住民の「避難計画」がアメリカ原子力規制委員会では「規制基準」に含まれているのに、日本では含まれていない問題を指摘。これでは世界で最も厳しい規制水準とは到底いえない。
3、電力自由化の改定案/参考人から料金・情報・独占の懸念も(5月7日、経産委員会)
電力小売り参入の自由化などをすすめる電気事業法改定案の審議で、参考人質疑。
東京大学社会科学研究所教授の松村敏弘氏、21世紀政策研究所研究主幹の澤昭裕氏、全国消費者団体連絡会事務局長の河野康子氏、政策工房社長の原英史氏が意見を述べた。
料金やサービスのあり方、情報開示をめぐる意見や「規制なき独占」に陥る懸念などが出された。
河野氏は「消費者にとって納得できる料金とサービスを求めたい。生活困窮者への配慮や国と事業者の適切な情報開示も重要だ」と述べた。
松村氏は「自由化で電気料金が下がるとは限らない。規制なき独占に陥る危険もある。バラ色ばかりでない、詳細な制度設計が必要」と注文。
澤氏は「巨額の初期投資が必要な原発には一般担保付き社債、債務保証など英国のような公的な金融補完措置が求められる」と述べた。
わたしの質問に、河野氏は「バックエンド費用(使用済み核燃料の再処理や最終処分費など)のことを踏まえると、原子力発電は必ずしも安全で安価でないことはまぎれもない事実」と指摘した。
4、参考人質疑/「新規制基準は不十分」と植田京大大学院教授(5月9日、経産委員会)
電気事業法改定案について参考人質疑。八木誠・電気事業連合会会長、広瀬道明・東京ガス社長、安念潤司・中央大学大学院教授、植田和弘・京都大学大学院教授の4氏が意見を述べた。
わたしは、4月15日に関西経済連合会と九州経済連合会が「安全審査の最大限の効率化」で一刻も早い原発再稼働を求める意見書を原子力規制委員会に提出した問題について八木氏に質問。
八木氏は、再稼働ができないことにより「企業活動に大きな影響がある」「切実なるご要望だ」と擁護。
原発再稼働の新規制基準をどうみるかとの質問に、植田氏は「事故を二度と起こさない」ということを基準とするべきで「大事な点は住民の安全だ」と強調。事故が発生した際の避難先の受け入れ計画が明確でないなど「安全性の中身が不十分だ」と述べた。
安念氏は、福島第1原発事故の重大性を受け止め、「莫大(ばくだい)な数の損害賠償請求を念頭に置けば、特別立法が必要だっただろう」「(東京電力は)会社更生以外の方法はなかったのではないか」と述べた。
5、東電の社債発行優遇を批判(5月9日、経産委員会)
電気事業法改定案に、発送電部門を分社化(2017年3月期から)して持ち株会社(HDカンパニー制)に移行する東京電力の社債発行を優遇する規定が盛り込まれていることを批判した。
改定案について、自主的に分社化する一般電気事業者があった場合、分社後の持ち株会社、子会社も引き続き(特権的な)一般担保付社債を発行できるようにする規定がある。柏崎刈羽原発の再稼働を前提として経産相が認定(1月25日)した原子力損害賠償支援機構と東電の「新・総合特別事業計画」で、HDカンパニー制移行の際に必要な“金融機関の了承”を得るための「立法措置」が今回の法改定ではないのか。
資源エネルギー庁の高橋泰三電力・ガス事業部長は、電気事業者が「自主的に分社化できるようにするための規定」であって「東京電力のためだけに規定したわけではない」と居直りながらも、東電計画具体化の後押しであることを否定できなかった。
改定案付則に「電気事業を営む者の間の適正な競争環境の確保」を盛り込む一方、分社化後も東電が一般担保付社債を発行できるようにすることは「方向性が逆ではないか」と批判し、見直しを求めた。
6、原発より再生可能エネ優先へ/制度見直しを(5月14日、経産委員会)
風力発電など再生可能エネルギーの爆発的普及に向けて、再生可能エネルギーよりも原発からの給電を優先する現行制度の見直しを求めた。
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度では、電力供給が需要を上回って出力抑制が必要となる場合でも電気事業者は自らの火力発電所の出力を抑制し、再生可能エネルギーを優先的に引き受けるよう義務付けられている。しかし原発は出力抑制の対象外とされているため、電力会社によっては風力発電の受け入れ上限枠を設定するなど、再生可能エネルギー普及の阻害要因となっている。
現状は原発を「最優先給電」にするものだ。再生可能エネルギーについて原発を含めた従来型電源より優先給電する仕組みに改めるべきだ。
さらに、電気を送る系統設備(変電所など)の増強費用などについて、ドイツでは原則として系統運用者(送配電事業者)の負担になっている。再生可能エネルギー事業者に費用を転嫁しないよう求めた。
茂木敏充経済産業相は「他国の事例を参考に制度の見直しをすすめるが、ドイツとは条件の違いもある」と答えた。
7、住民の避難計画なしの原発再稼働など論外(5月16日、経産委員会)
電気事業法改正案に関連して、東京電力と原子力損害賠償支援機構が策定した「新・総合特別事業計画」が柏崎刈羽原発の再稼働を前提としている問題を取り上げた。
柏崎刈羽原発6・7号機の原子炉設置変更許可申請書には、新潟県の要請に基づき「避難計画との整合性をとらない限りフィルターベント設備の運用は開始できない」ことが明記されている。住民の広域避難対策や避難困難者への対応を実際に担う自治体が、住民の安全を守る立場から、避難計画など住民の安全確保策が図られないままの再稼働を懸念するのは当然だ。
避難計画など住民の安全確保策が原発の規制基準の大前提だ――との指摘に対し、田中原子力規制委員長や茂木経産大臣は、避難計画の策定は地方自治体の仕事だと無責任な答弁を繰り返した。
8、「福島第二原発廃炉」はオール福島の声/総理質疑(5月16日、経産委員会)
安倍首相出席の下で、電気事業法改定案の締めくくり質疑が行われた。
5月9日の参考人質疑で植田和弘参考人は、規制基準にかかわって安全性を考えた時には、原子力規制委員会の審査をパスするだけではなく、「住民が安全かどうか」が大前提だと指摘した。総理の言う、いわゆる「世界最高水準の安全基準」の中には、住民の避難計画や避難受け入れ計画が含まれているのかただしたのに対し、安倍総理は、避難計画は地方自治体が作るものであると述べるのみだった。
福島原発事故により、東京二十三区の倍の広さの地域が無人の地となって三年。今なお、14万人の方々が困難な避難生活を強いられている。福島県楢葉町からいわき市に避難している住民から寄せられた長期化する避難生活へのストレスや、「福島第二原発が存在する限り不安で戻れない」の声を紹介。福島第二原発に固執していることが、復興の妨げとなっていると厳しく指摘し、速やかな廃炉を求めた。
9、電気事業法改定案が可決/新たな電力独占が出現/反対討論(5月20日、本会議)
衆院本会議で、電力小売り参入の自由化などを進める電気事業法改定案を賛成多数で可決。日本共産党、みんなの党は反対した。
反対討論で、電力改革は、福島原発事故をふまえ、戦後の発送配電一貫体制、電力独占支配の打破と根本的転換のため、原発政策・東京電力改革とセットで解決されなければならないと主張し、三つの重大問題を指摘した。
1)原発を「ベースロード電源」とする新エネルギー基本計画との関連で、電事連代表らが電力需給などを口実に原発再稼働を主張している
2)原子力損害賠償機構法改定で東電を延命させた上、新総合特別事業計画によって柏崎刈羽原発の再稼働、持ち株会社化によるエネルギー再編がもくろまれているもと、法案が東電救済条項によって同計画を担保している
3)法案の目玉である小売り参入と発電自由化に関し、既存電力大手と新規参入の鉄鋼、ガスなど巨大独占企業間の再編がもたらされる一方、市民、NPO、中小企業や地域による発電の育成と支援策がともなわなければ新たなガリバー(電力独占)が出現するだけ―――。
日米『原発利益共同体』を最優先にした原発の再稼働、輸出と一体の『成長戦略』と決別し、大規模集中型電力システムから再生エネルギー・地域循環型への大転換と、電力の民主化を求めた。
(5)原発事故対応の検証/東電社長が事故直後の退避認める(5月21日、経産委員会)
東京電力の広瀬直己社長は、「朝日」5月20・21日付の報道に関して、福島第1原発事故直後の2011年3月15日に所員約700人の9割が10キロ南の福島第2原発に退避していた事実を認めた。広瀬社長は、退避した所員の中には事故対応の指揮にあたるべきグループマネジャー(GM)がいたということについても「そうした人間がいたのは事実」と認めた。
現場の責任者だった故・吉田昌郎第1原発所長(当時)が、政府事故調の聴取に対して「2F(福島第2原発)に行けとは言っていない」と答えた「聴取結果書」の内容について質問。
広瀬社長は「そういうことだったのだろう」と認めつつ、事故で非常に危険な状態にある中で「とにかく安全なところに一時的に避難しろ」ということだったと説明。その上で「必要な対応人員は確保されていた」と繰り返した。
広瀬社長は、(ウエットベントの実施後)格納容器の圧力を下げるために「ドライベントの検討を始めた」とする報道の事実を認め、実施した場合の放射性物質の拡散の予測についても「行われていた」と認めた。
「住民に知らせるという考えはなかったのか」との追及には、「それをせずに済んだということ」と述べた。