第186 通常国会 2014/1/24~2014/6/22 日付:2014-08-10 |
(1)「公共施設総合管理計画」の問題点
地方財政法改定案で公共施設などの取り壊しに地方債をあてることができる特例を設けることについて質問。老朽化対策への財源措置は必要だが、その条件として義務付けられる「公共施設総合管理計画」策定について「隣接する市区町村を含む広域的な視野をもって計画を検討することが望ましい」と明記されている。市町村合併や道州制に向かうようなものになってはならない。(2月27日、総務委員会)
(2)地方分権改革の問題点
1)一律の権限移譲を批判
●保健所問題(4月8日、総務委員会)
地方自治法改定案に関し、強引な権限移譲が住民福祉の後退をもたらす事例として、保健所の設置問題を取り上げた。改定案は、中核市の人口要件を20万人以上に引き下げ特例市を廃止するもの。保健所は中核市には必ず置くとされており、20万人以上の新中核市にも設置が求められる。ところが、現行の特例市で保健所設置を検討している自治体は40市のうち9市どまり。業務内容や水準の低下などの問題が明らかになっている。
保健所や児童相談所など専門的な知識、経験、人材確保が求められる機関では、権限移譲ありきではなく、分野、地域によっては県が直接担うことも必要。事務・権限の移譲について立ち止まって検証するべきだ。
新藤義孝総務相は「行政の後退にならないことを原点に円滑に推進していきたい」と答えた。
●社会福祉法人の許認可権限問題(4月17日、総務委員会)
2011年に成立した地方分権改革の第2次一括法により、2013年4月から社会福祉法人の認可などの事務権限が都道府県から一般市に移譲された問題を取りあげた。
内閣府の状況調査では、多くの自治体が「社会福祉法人の定款の認可等」について「具体的な支障がある」と回答している。専門的ノウハウを持った職員が不足し、法人監査の業務量が増えるもと大変な労苦がともなっている。
兵庫県では2014年度まで、県が20市と委託契約を結んで、引き続き県が事務処理をしている。また、市では「福祉向上のため法人と事業内容改善でがんばってきたが、一方で監督もするとなるとギクシャクする」という懸念も広がっているという。一律の権限移譲は実態に合っていないのではないか。
新藤義孝総務相は、円滑な事務執行が出来るように「都道府県と連携しながら、技術的な助言と財政支援をしていく」と答弁。
これに対して、「権限移譲にあたっての人員や財政面での新たな措置はないと感じている」との自治体職場の声を紹介し、一律の権限移譲はやめるべきだと求めた。
2)政令市・都道府県調整会議の問題点(4月22日、総務委員会)
地方自治法改定案は、「二重行政」解消を目的に「政令指定都市・都道府県調整会議」を設置。同会議は知事と市長のどちらかの求めがあれば開かれて協議するとしている。協議を調えるために総務相が「勧告」を行うことも想定。大阪で行われている「大阪府市統合本部会議」のような組織を国も関与し実施しようというもの。
「二重行政」の対象とは、指定都市の市域で任意事務として営まれる施設や事務のこと。公営住宅など、単純に減らしていいものではない。二重行政を口実に住民サービスが後退する恐れがある。
新藤義孝総務相は「選挙で選ばれた首長が住民のニーズ(要求)を無視する決定はされないと考えている」と答弁。
地方自治法の目的が「民主的にして能率的な行政の確保を図る」としている。今回の法改定は『能率の原則』だけを取り出して、具体化を図ろうとしている。それは民主が欠落し、住民不在、住民軽視の行政をもたらすものだ。
(3)道州制批判
地方自治法改定案について、安倍晋三首相に質問。安倍政権が狙う道州制導入について、さらなる市町村合併につながり住民福祉の後退をもたらすと批判した。
「平成の大合併」の検証が必要だ。全国町村会がまとめた「『平成の合併』をめぐる実態と評価」では「地域の特性に合った行政を行うことで生じる効率性や従来のサービス水準などを犠牲にしながら、財政支出を縮小しただけ」とされている。「住民が行政から遠くなる」、「地域の活力で差が生じている」、「財政規律の低下」、「周辺部となった農山村の疲弊」などが合併の問題点としている。全国町村会は、道州制導入にも「断固反対」の立場を表明している。
安倍首相は「道州制の検討にあたっては、地方自治体の声も聞きながら国民的な議論を深める」と答弁。道州制は地方分権ではなく自治の大変質につながる。導入はやめるべきだ。(4月22日、総務委員会)
地方自治法改定案の参考人質疑で、道州制に断固反対する全国町村会の見解に対する考えを聞いた。橋下徹大阪市長は「地方交付税制度がある限り、道州制は進まない。地方の改革を促すためにも、早く地方交付税制度みたいな甘えを断って、道州制を成立させて自立をさせる」ことが必要と答弁。地方切り捨ての姿をあらわにした。(4月24日、総務委員会)
地方自治法改定案及び第4次一括法案と道州制の関係をただしたのに対し、新藤義孝総務相は「地方分権を進めた結果と道州制の設計は、必ずそこに連携が生まれてくる」と答弁した。
全国町村会が『合併を事実上強制』と道州制導入に懸念を表明している。国家リストラと地方自治破壊の道州制導入には強く反対する。(4月24日、総務委員会)
(4)過疎法、辺地法
わが党も賛同した過疎法改正案について意見表明。過疎団体は公共施設の除却について過疎債のハード事業で活用できるようにすることが要望だったことを銘記しておくべきと指摘。
また、辺地法について質問。辺地数が減少している理由として、50人以上という要件を満たさなくなっている地域が増えていることを指摘。50人要件の見直しについて、大臣に質問。新藤総務大臣は「辺地の人口要件については、施設整備には一定の受益人口が必要ということで設定されている。投資効果の観点から、現在の人口要件の基準を緩和することはよくよくの研究が必要。制度の成り立ちを考えながら、御指摘も踏まえて考えていきたい」と答弁。(3月13日、総務委員会)
(5)地方公務員法改定案の問題点(4月10日、総務委員会)
法改定による人事評価制度は、住民に寄り添い問題を解決していく本来の地方自治体のあり方をゆがめるもので、生活保護行政や徴税業務などでは権利侵害や福祉切り捨てをいっそう深刻な事態にする。上から一律に押し付けるやり方ではなく、自治体の自主性を尊重するべきだと主張した。
住民の生活保護申請を制限して餓死者や自殺者を出した北九州市の事例を示し、福祉事務所ごとに生活保護申請の交付を制限する「目標管理」が行われたことが重大な人権侵害につながった。
目標管理を伴う業務評価を賃金に反映させることは公務員にはなじまない。