第187 臨時国会 2014/9/29~2014/11/30 日付:2014-11-29 |
●人口減少、東京一極集中、地方の疲弊をもたらした自民党政治を批判(10月14日、本会議)
人口減少など地方が苦しんでいる現状を「地方を切り捨ててきた歴代自民党政治に原因がある」と追及。安倍晋三首相は「政策は適切に実施された」と開き直った。
「地方創生」で掲げている「人口減少の克服」と「東京一極集中の是正」について質問。人口減少の原因は、若者と女性の2人に1人が非正規など不安定雇用と低賃金、長時間労働にある。自公政権による労働法制の規制緩和で作り出された。
東京一極集中の原因は、農産物輸入自由化による農林業つぶし、大店法廃止などによる商店街つぶしなどで地方の産業が壊され、「平成の大合併」で自治体がほぼ半減し、地方の疲弊を加速させた。
さらに、安倍内閣がやろうとしている環太平洋連携協定(TPP)の推進や消費税増税、リニア中央新幹線建設などは、地方から産業と雇用を奪った原因を放置し、一極集中を加速する政策をとりながら、どうして是正できるのか。
農林水産業など地域資源の活用によって雇用と所得をつくる、医療・介護を確保して地域の安心を築くことなど、地方の活性化のための方策こそ必要だ。
●「地方創生」は、公共サービスの削減と企業参入が狙い(10月15日、地方創生特別委)
「地方創生」関連法案は、国が地方創生の長期ビジョンと総合戦略をつくるとし、その中で「行政サービスの集約と経済活動の活性化」を検討している。
土地利用の規制緩和や、公共施設・公共サービス、公立病院など行政サービスの「集約」は、企業参入をすすめ、住民福祉後退につながる。
行政サービスの「集約」と一体でPFI(民間資金活用による社会資本整備)の積極活用などが検討されている。PFIは、事業の破たんや事実上の倒産が相次いでいる。『民間資金活用』のはずが、税財源に依存しない事業はほとんどない。
政府の地方創生本部は、基本方針で介護の要支援者向けサービスの切り捨てなど安上がりの「地域包括ケア」の推進を掲げている。
財政的保障のないまま、市町村に『高齢者医療・介護対策』をゆだねることは医療・介護などを後退させる。
●「公共施設総合管理計画」は、公共サービスの削減とPFIによる大企業参入狙う(10月16日、総務委)
自治体が公共施設についての「総合管理計画」を策定する際にPPP・PFIの活用押し付けをやめるよう、総務省に求めた。
公共施設の統廃合等は「地方創生」法案に基づく国の計画策定にも関係している。
総務省の「指針」(4月)では、個々の施設が公共施設でなければならないのかを考慮し、PPP・PFIの積極的活用の検討を求めている。
なぜPPP・PFIを特別扱いするのかを質問。
佐藤文俊自治財政局長は「政府はアクションプランでPPP・PFI活用を推進している。検討してもらうことが望ましい」と答弁。また検討対象には、公営企業や病院等も対象になると答えた。
PFI事業の担い手は大手ゼネコン。従来の公共発注に代えてPFI推進にすれば地元事業者が排除される。総務省の調査でもPFIを企画・実施した自治体の7割以上が今後採用の予定なしとしている。
●「地方創生」は「東京一極集中」を聖域化(10月31日、地方創生特)
大企業優先の国際競争力の強化が東京一極集中の弊害を拡大している。東京圏への公共投資の集中と大規模再開発プロジェクト推進の規制緩和政策の転換こそ必要だ。
2002年以降の東京都における超高層ビルの増加傾向、これを支える税制・予算・金融上の支援措置や規制緩和政策、公共投資の比重をもとに、大規模再開発プロジェクトの拡大状況を示して(グラフ下)質問。
このような状況で大規模再開発プロジェクトを進めれば、仕事も人もさらに、東京に呼び込むことになり、『東京圏への人口の過度の集中』がいっそう深刻になる。
安倍晋三首相は、東京一極集中が人口減少や住宅価格の高騰、待機児童の増大、大規模な災害リスクなどの問題を招いていることを認めつつも、「(東京は)日本経済成長のエンジンの一つだ。東京の再開発、競争力の強化はしっかりやらないといけない」とのべた。
●「平成の大合併」が周辺の旧自治体の人口減少もたらした(11月5日、地方創生特)
安倍内閣が今国会の「目玉」とする「地方創生」関連法案が5日、衆院地方創生特別委員会で自民、公明、次世代の賛成多数で可決。日本共産党は反対した。
法案は、「地方創生」の基本理念を定め、「総合戦略」の作成を求めるもの。採決に先立つ質疑で、「平成の大合併」によって「一部離島」「一部過疎地域」となった条件不利地域で、より大きな人口減少が起こっていることを国交省、総務省のまとめた資料で指摘。
石破担当相は「指摘は事実。よく分析しなければいけない」と述べ、「合併せずにがんばっている自治体が相当ある」と答弁。
石破茂担当相は地方中枢拠点都市圏などに資源を重点配分することで、地方圏からの人口流出を食い止める「ダム機能」論を主張している。周辺の小規模自治体からの人口流出は仕方がないという立場に立っているのではないか。
石破担当相は「どこかで人口流出を止める必要がある」「(周辺部は)ハードだけでなく、ソフトでの対応もある」と述べた。
政府が地方経済活性化のカギと位置づけるコネクターハブ企業(地域中核企業)は東京に4分の1が集中し、条件不利地域の小規模自治体にはほとんど存在しない。小規模自治体の自主的な取り組みを疎外することになりかねない。
石破担当相は「(地域中核企業に)限定されないものも地域の『総合戦略』づくりに生きていくようにしたい」と答えた。
●「地方創生」は新たな装いの地方構造改革。「東京一極集中」は聖域(11月6日、本会議)
安倍内閣が今国会の「目玉」とする「地方創生」関連法案が、衆院本会議で自民、公明、次世代の賛成で可決された。日本共産党は反対。
採決に先立つ討論で、安倍内閣のいう『地方創生』は、人口減少への危機感をあおり、社会保障費と地方交付税の削減は仕方がない、足りない分は民間投資の活用と住民の『自助・互助』で賄えというものだ。「平成の大合併」が自治体周辺部での大幅な人口減少をもたらした。『人口のダム機能』論にもとづく地方中枢拠点都市圏構想は、さらなる人口減少をもたらすという過ちを繰り返すだけだ。
『東京圏への過度の人口の集中を是正する』といいながら、規制緩和による大規模再開発と公共投資による東京一極集中は聖域としている。地方の疲弊と東京一極集中を作り出した自民党政治の総括も反省もないまま、財界・大企業主導の成長戦略のために地方の構造改革を進めていく法案には反対だ。
いま行うべきことは、住民自治を発揮してがんばる自治体を応援することだ。農林水産業など地域資源を活用した仕事と所得の確保、すべての小規模事業者への支援、条件不利地域への地方交付税の大幅拡充、大都市圏の大型開発の見直しと地域密着、防災・維持管理優先の公共投資への転換こそ必要だ。