第187 臨時国会 2014/9/29~2014/11/30 日付:2014-11-29 |
●入間基地隣接留保地の自衛隊利用計画の問題点(8月9日)
8月7日の防衛省ヒアリングで、自衛隊による留保地利用計画の問題点が明らかになりました。
1)この利用計画は、住民と自治体の基地拡大反対の立場に逆行する、入間基地拡大計画であること。
もともと基地として使用していた場所を地元に返還するものだったはずなのに、また基地として使用するというのでは、基地被害をこうむってきた住民の理解は得られない。入間市の街づくり計画との整合性も問われる。
2)「航空医学機能」を有する空自自衛隊病院の建設計画は、一連の航空医学に関連する部隊を入間基地に集約化する計画となる可能性が高いこと。
立川基地から入間基地への集約化がとん挫している航空医学実験隊の移転計画について、新病院建設を契機に完成させることや、元々航空医学実験隊の一部門だった航空機動衛生隊(小牧基地)を入間基地に再配置することなどがありうる。
3)「災害対処拠点等施設」の建設は、入間市側に基地被害を拡大することになる。
「災害対処拠点等施設」は「各種の部隊が集結、展開するエリア」であり、空地の確保を検討しているという。そうなれば物資や人員を輸送する大型車両や航空機が出入りすることになる。そのエリアで訓練も行われる。すぐ近くに学校があり住宅地がある場所で、基地による被害が新たに生ずることになる。
このような計画の問題点を多くの市民に伝えていくときです。
●佐賀空港へのオスプレイ配備問題(8月23日)
(1)佐賀空港へのオスプレイ配備問題現地調査の概要
8月20日、党国会議員団オスプレイ配備反対闘争本部の一員として、標記の調査に参加した。佐賀県庁、有明海漁協、佐賀市、佐賀空港において、関係者と懇談、佐賀県党メンバーとの意見交換や調査内容に関する記者会見を行った。
(2)防衛省による佐賀空港へのオスプレイ配備、訓練に関する「要請」の概要
自衛隊導入のオスプレイ17機を佐賀空港に配備。陸自目達原(めたばる)駐屯地(佐賀県吉野ヶ里町)のヘリ約50機も移駐。最大70機の航空機を運用する。空港西側に20~30haの用地を確保して、駐屯地を新設する。
米海兵隊オスプレイの訓練移転とともに、仲井真沖縄県知事の「5年以内の普天間基地閉鎖」という要望を受けて、海兵隊の佐賀空港への暫定移転も要請。
(3)佐賀空港へのオスプレイ配備、訓練の問題点
1)オスプレイ配備、訓練による危険性の増大で、住民の暮らしと安全が脅かされる
オスプレイのもたらす墜落の危険性、低周波騒音、下降気流による被害などへの不安の声が上がっている。有明海漁協の組合員は「海や漁業、ノリ養殖に影響が出ないか」と危惧。周辺住民には騒音や健康への影響の懸念がある。佐賀市に寄せられた市民の声の8割以上が「反対」だった。
1)佐賀空港周辺における民間の空域使用が大幅に制約される懸念
佐賀市の風物詩となっている「バルーン」。その空域使用範囲が狭くなるのではないかという不安の声がある。佐賀市の副市長は「バルーンの街として世界に売り出していることへの影響を危惧している」と述べた。
またこの間、着実に搭乗者数が伸びている旅客便増加の制約にならないか、佐賀空港での民間小型機の訓練飛行が制限されることにならないか、懸念される。
(4)今回の防衛省の「要請」の意味するものは何か
1)県営の民間空港を軍事基地に変質させるもの
航空機約70機という規模は、第一ヘリコプター団などのある木更津駐屯地(千葉県)の約70機と並ぶ陸自最大規模の航空基地となる。西日本の拠点基地に。
民間空港を活用した大規模な自衛隊基地建設は過去に例がない。民間空港の自衛隊共用の事例として挙げられる熊本空港は、自衛隊機約10機程度。秋田空港の自衛隊機も約10機。佐賀空港では自衛隊の空港利用がメインとなる。
しかもオスプレイは、日本版海兵隊である水陸機動団の輸送を担う。水陸機動団と一体になった海外派兵のための拠点基地化するもの。「海外で戦争する国」づくりの拠点になる。
これらは佐賀県の「自衛隊との共用はしない」とした県民への約束を国が踏みにじるものである。
2)九州全域がオスプレイの訓練場になる
自衛隊のオスプレイ導入によって、佐賀空港での発着訓練だけでなく、背振山をはじめとして九州各地の陸自低空飛行(最低安全高度以下)訓練エリアでの訓練が繰り返される。陸自相浦駐屯地(長崎県佐世保市)や高遊原(たかゆばら)駐屯地(熊本県)、目達原駐屯地での訓練もありうる。また米海兵隊のオスプレイ訓練移転となれば、「イエロールート」や日出生台演習場(大分県)、大矢野原演習場(熊本県山都町)などでの訓練の可能性もある。九州全域に訓練被害が拡大する。
2)「沖縄の負担軽減」を口実にした米海兵隊オスプレイの訓練移転、暫定移転の「要請」は、日本政府にとっては沖縄県知事選に向けたパフォーマンスであり、米軍にとっては沖縄だけでなく、本土でのいっそうの訓練拡大をはかるものとなる。米軍基地被害を固定化、拡大することは認められない。
(5)佐賀空港利用に関する協定書(合意書)、議会決議の重み
1)佐賀空港建設時に佐賀県は、関係団体との間で多くの協定書、合意を交わしている。漁協、農協、佐賀市(旧川副町)との「公害防止協定書」や福岡県柳川市との「合意書」である。いずれも空港の用途変更があれば事前協議を行うということが規定されている。さらに漁協の協定書の覚書付属資料には「県は佐賀空港を自衛隊と共用するような考えは持っていない」と記載されている。この言葉は重い。民間空港を軍事基地へと変質させる、今回の国の要請をそのまま県が受け入れることは、この一連の合意を踏み破るものとならざるを得ない。
3)2010年民主党政権下で、普天間基地の移設先として佐賀空港が取りざたされたときに、佐賀県議会、佐賀市議会は、佐賀空港への普天間基地の移設反対の議会決議を行っている。佐賀市長は「(反対決議の)言葉の重みは続いている。今は賛成できる状況にない」と述べた。「政権が変わった」「暫定移転は決議の対象外」などと決議を棚上げしようという動きは、オスプレイへの危惧を訴える県民をないがしろにするものと言わざるを得ない。
(6)今後の取り組みについて
上記の協定書(合意書)、議会決議を踏まえ、県民総意でオスプレイの配備、訓練を許さない運動に連帯してがんばりたい。沖縄のたたかいと団結し、佐賀県民とともに、福岡県柳川市など影響を受ける九州各地の自治体、住民との共同の取り組みをすすめていきたい。
●熊本県内の米軍機飛行ルートについて(9月13日)
熊本県内の米軍機飛行ルートについて、9月12・13日の現地調査と関係者のヒアリングで、その一端が明らかになりました。
1、イエロールートについて
菊池市原の畜産農家が被害を被った事件(2007年)について、被害者から実情を聞くことができました。阿蘇山の山頂部分の飛行も写真で記録されています。山都町の大矢野原演習場上空での飛行も目撃されています。これらはほぼイエロールート下の地点です。イエロールートで米軍戦闘機の訓練飛行が行われていることを改めて確認しました。
2、謎の米軍輸送機の飛行ルートについて
これまで大分県と鹿児島県で米軍輸送機の訓練飛行がが行われていることを指摘しましたが、今回この両県をつなぐ熊本県内の米軍輸送機の飛行ルートがおぼろげながら見えてきました。
1)熊本県南部の人吉盆地に宮崎県えびの市から、プロペラ機が飛行している証言がある
2)五木村でも目撃されている
3)美里町(旧砥用町)で目撃した方のお話を直接聞きました
さらに
4)山都町蘇陽地区でも目撃されているとのこと
こうなると、断定するには至りませんが、鹿児島県薩摩半島-宮崎県えびの市-熊本県人吉盆地-五木村-美里町(旧砥用町)-山都町蘇陽地区-大分県竹田市-豊後大野市-臼杵市(あるいは大分市)とつながる飛行ルートが浮かび上がってきます。米軍輸送機の機種については、鹿児島県薩摩半島でMC130の写真記録があるので、MC130の可能性もあると思いますが、KC130、C130も視野に入れて、引き続き調査をしていきたいと思います。
熊本県山都町が二つの米軍機飛行ルートの「交差点」になっているのかもしれません。その山都町に所在する大矢野原演習場でオスプレイ訓練を行うなどとんでもない!さらに格納庫や給油施設などをつくって、オスプレイの常設訓練場にすることなど許せません!
●関東地方の主な米軍・自衛隊施設に関する2015年度概算要求(10月11日)
関東地方の主な米軍・自衛隊施設に関する2015年度概算要求の内容が明らかになりました。主な特徴は以下の通り。
1)第1ヘリ団(木更津)の装備品として、ティルトローター機5機、540億円が計上されている。「金額はオスプレイの額を仮置きしている」とのこと。中期防で17機調達するオスプレイのうち来年度は5機分計上、自衛隊オスプレイの配備先は佐賀空港に計画しているが、オスプレイ運用部隊は第1ヘリ団ということになることが明らかになった。
2)中央即応連隊(宇都宮)の増員がはかられる。隊庁舎の新設予算が計上されている。中央即応連隊の国際活動に対応する体制の増強として、施設科部隊等の増員をはかるためだという。現在の740名から数十名増やす。
3)入間基地隣接の米軍基地跡地にある留保地(入間市内)の整備関連として、調査検討費が4億6千万円、計上されている。災害対処拠点等施設に3億4千万円(15、16年度の二か年分、15年度分は3千万円)、新病院に1億2千万円(15、16年度の二か年分、15年度分は1千万円)。