第189 通常国会 2015/1/26~2015/9/27 日付:2015-12-23 |
(1)情報監視審査会が衆院で始動/秘密法廃止こそ(2月26日、議院運営委員会)
本会議に先立つ衆院議院運営委員会で、国会を政府の秘密保全体制に組み込む情報監視審査会の発足・始動について意見表明。
政府監視という国会の第一義的任務を投げ捨てる自殺行為であり、断じて認められない。国民の目耳口をふさぎ、憲法の基本原則を根底から覆す希代の悪法・秘密保護法の廃止こそ求められている。
議院運営委員会は審査会の事務局を担う国会職員に対する適性評価(身辺調査)の運用基準も賛成多数で決定。政府の「監視機関」の職員には身辺調査が義務付けられていないにもかかわらず、国会職員に身辺調査を課すのは矛盾する。
加藤勝信官房副長官は政府の「監視機関」の職員について「政令含めて(身辺調査の)規定がない」と答弁。鈴木正典衆院法制局長は「適性評価など手厚い保護措置の結果、一般の委員会に提出できないような秘密も(審査会でなら)提出を受けることができる」と答えた。身辺調査で「手厚い保護措置」を講じても、国会に特定秘密を出すかどうかは政府の判断次第だ。
(2)秘密保護法と密約問題(3月25日、内閣委員会)
日米間の密約問題を取り上げて、秘密保護法の問題点を指摘した。
「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会報告書」(2010年3月)は、1960年1月の安保条約改定時の、核持ち込みに関する「密約」問題を取り上げている。
1987年4月の衆院予算委員会で、中曽根康弘総理大臣は「安保条約及びその関連取り決めである岸・ハーター交換公文あるいは藤山・マッカーサー口頭了解というものは厳然と存在し、それ以外の秘密協定というものはありません」と答弁している。しかし実際には「討議の記録」が存在した。
「報告書」では「何より問題は、歴代の政府答弁が安保条約の事前協議に関して日米間には『交換公文』と『藤山・マッカーサー口頭了解』しかないと、事実に反する明白な嘘をつき続けたことである」と指摘し、その具体例として先の中曽根答弁を引用している。総理大臣が、存在する文書を存在しないと明白な嘘をついていた。
秘密保護法について、政府は秘密の恣意的な指定を防止する、適正な運用を確保するという重層的な仕組みをつくったと説明してきた。しかし、秘密の内容が明らかにされないことを盾にして、総理大臣が嘘をついた場合、チェックのしようがないのではないかと政府を追及。
上川担当大臣は「秘密保護法の施行にかかわる公務員が、法律、閣議決定に従うことが期待されないことを前提とするのは適当ではない」と答弁。
私は「秘密を指定する立場に立つ総理大臣が過去、明白なうそをついていた事実がある。このように悪意を持って運用されたら、そもそもチェックできない」と批判した。
日米間の密約は、国民にうそをつくことを前提に成り立っている。これでは秘密保護法のチェック体制など機能しない。秘密保護法の廃止を改めて要求した。
(3)戦争法案/特別委の設置に反対の討論(5月19日、議院運営委員会)
安保関連法案=戦争法案は、アメリカが世界中で起こす戦争に、自衛隊が、いつでも、どこでも、どんな戦争でも、戦闘地域まで行って、燃料や物資、弾薬の補給活動など軍事支援活動を行うものであり、殺し殺される自衛隊になりかねない。同法案は日米軍事同盟を地球規模に拡大する日米新ガイドライン(軍事協力指針)の具体化をはかるものであり、日米同盟強化のために、従来の憲法解釈をことごとく捨て去ろうとすることは許されない。撤回を求めた。
また、PKO法、周辺事態法、武力攻撃事態法、イラク特措法、テロ特措法などは過去100時間に匹敵する審議をしてきた。これらの重大な法律の大改定を一括で提案したことは、安倍総理の『夏までに成就させたい』という意向を最優先にするものだ。
「平和安全」など政府の提出法案名をそのまま特別委員会の名称にあてはめることも、法案の危険な本質を隠し、国民を欺こうとするもので許されない。PKO法など重大な安保関連法案を審議した特別委員会はいずれも委員数が50人だった。45人という委員数は前例をも無視し、質疑や委員会運営から小会派を排除するものだ。
(4)通常国会の会期延長反対の討論(6月22日、本会議)
会期延長反対の討論をおこないました。討論の内容は以下のとおりです。
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私は、日本共産党を代表して、国会史上かつてない95日間の延長に断固反対の討論を行います。
政府・与党が会期延長で最大の目的にしている安保法制は、憲法9条を根底から覆し、日本がどこからも攻撃されていないのに、集団的自衛権を発動して、アメリカの戦争に自衛隊が参戦し、海外での武力行使に乗り出すものであります。
自衛隊は、世界中で、いつでも、どこでも、アメリカが起こすどんな戦争でも「戦闘地域」まで行って武器の輸送、弾薬の提供などのいわゆる後方支援、兵站を行おうというものであり、武力行使と一体となることは明らかであります。
さらに、戦乱が続いている地域での治安維持活動に、自衛隊を派兵し、任務遂行のための武器使用まで拡大は、違憲の武力行使に至る危険が明白であります。
まさに、日本国憲法を全面的に破壊する「戦争法案」にほかなりません。
そもそも、戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を明記した憲法9条のもとで、歴代政府は「自衛のための必要最小限度の実力組織だから、自衛隊は憲法違反ではない」「自衛隊の海外派兵は憲法違反」「集団的自衛権の行使は認められない」との見解をのべてきました。
この長年にわたってとり続けてきた憲法解釈をかえる理由として、政府は「安全保障環境の根本的変容」を唯一の根拠としてあげましたが、他国に対する武力攻撃によって、法案がいうような「存立危機事態」に陥った国の実例は、ひとつも示せなかったのであります。
結局、何が「存立危機事態」で、どういうときに集団的自衛権を行使するのか、明確な基準は何もありません。政府の一方的判断で自衛隊を「中東有事」にまで出動させ、武力行使するという危険極まりないものであることが、この間の国会審議で明らかになりました。
また、政府は集団的自衛権行使の根拠として最高裁の「砂川判決」を持ち出しましたが、この判決は、集団的自衛権について触れていないばかりか、当時のアメリカ政府の圧力のもと「統治行為論」をとり、憲法判断をさけたものであります。
いまや「集団的自衛権の行使が認められる」という政府の弁明は、ことごとく崩れ去っているのであります。
にもかかわらず、通常国会最長の95日間もの延長によって、憲法違反の戦争法案をなんとしても強行成立させようなど、断じて許されません。
しかも、この大幅会期延長は、参議院の審議において60日間を過ぎれば否決したものとみなし、衆議院で3分の2以上の多数で再議決し成立させることまで、視野に入れているのであります。憲法違反が明白な法案を、議会制民主主義を踏みにじって成立させるなど、断じて容認できません。
また、この会期延長は、昨年2度も廃案となった労働者派遣法をはじめとする悪法を成立させようというものであります。戦後労働法制の根幹を崩す派遣法の成立など、到底認めることはできません。
最後に、連日、国会周辺で、多くの国民が「憲法違反の戦争法案やめよ」の声を上げています。世論調査では、国民の大多数が「成立を急ぐべきでない」としています。
政府・与党には、この声が聞こえないのでしょうか。いまなすべきは、この国民の声に耳を傾け、会期を閉じ、戦争法案など悪法を廃案にすることであります。
以上、会期延長反対の討論を終わります。
(5)戦争法案審議/戦闘発進機給油は憲法違反(6月26日、安保法制特別委員会)
●戦争法案は、これまで憲法上行わないとしてきた後方支援活動にも踏み出そうとしている。法案で可能にする、戦闘作戦行動に発進準備中の戦闘機への給油について、これまでは「憲法上慎重を要する」として認めてこなかった。憲法上の問題として理屈が通らない。
中谷元・防衛相は、給油を当時認めなかったのは「米軍からニーズがなかったためだ」として、あくまで政策判断だったと答弁。「今般は(米側からの)ニーズが確認された」とした上で、「(憲法上の適否を)慎重に検討した結果、現に戦闘行為が行われている現場では支援活動を実施しないという『一体化回避』の考え方が適用できる」として、憲法が禁じる「武力行使との一体化」はしないと強弁した。
これに対して、わたしは、大森政輔内閣法制局長官(当時)が「憲法上の適否について慎重な検討を要する」と答弁(1999年1月)していたことを指摘した。
さらに『憲法上の適否』が問われるのは、『給油する場所』ではなく、給油した戦闘機が『戦闘作戦行動』を行うという問題だ。大森元長官が7月の月刊誌でのインタビューで、戦闘準備中の戦闘機の給油について「一番典型的な武力行使の一体化の事案」と発言している。なぜ給油が認められるのか、とただした。
安倍晋三首相は「(給油が)戦闘作戦行動と時間的に近いのは確かだ」としながら、「給油そのものを戦闘活動とはいえない」と居直った。
この問題での政府統一見解の提出とともに、大森元長官の参考人招致を要求した。
●空中給油の大転換/日本防衛から空爆支援に/防衛相
中谷元・防衛相は、当初は日本の「防空」のためと説明してきた航空自衛隊の空中給油機が「戦争法案」では地球規模で米軍などの支援を行う「国際平和共同対処事態」「重要影響事態」や、集団的自衛権を行使する「存立危機事態」といった、あらゆる事態で戦闘発進中の米軍機などへの空中給油が可能になることを認めた。
空中給油機導入の目的について中谷防衛相は「わが国の防空を全うしていくために、空中給油機能により戦闘機の滞空時間を延伸する、空中警戒待機の態勢を整えることが不可欠(だった)」と述べ、日本の防空が目的と答えた。
これに対しわたしは、同機が運用開始された2010年には日米空中給油訓練に関する覚書が改定され、自衛隊機から米軍機への空中給油を可能にするとともに、アメリカ西海岸からインド洋に至る「米太平洋軍の担任地域」まで拡大されてきた事実を指摘。
今回の法案で、自衛隊空中給油機から米軍機への給油が可能となる。この経緯を考えれば、自衛隊の空中給油機部隊は米軍機への給油のためにつくられたと指摘されても当然のものだ。
●「違憲」の給油/訓練で先取りの実態
2010年に改定された「空中給油訓練に関する航空自衛隊と太平洋空軍との間の了解事項に関する覚書」を取り上げ、「違憲」の給油活動が日米共同訓練を突破口に、先取りで能力化・制度化されてきた実態を示した。
自衛隊の空中給油機KC767の配備(愛知県・小牧基地)は2007年度から始まり、部隊運用は10年度から。導入にあたり政府は、「日本の防空のため」であり、専守防衛に反しないと強調してきた。
しかし、戦争法案による、戦闘作戦行動に向かう他国軍の戦闘機や爆撃機への空中給油の解禁は、導入時の説明を根本から覆すものだ。
「覚書」は04年に「訓練のため」との名目で日米間の給油手順を取り決め、10年の改定で自衛隊側からの給油も可能になった。この改定について防衛省は「自衛隊が運用体制を整えたことから締結した」(深山延暁運用企画局長)と述べ、給油機部隊が当初から米軍支援を念頭に編成されたことを示唆した。
この「覚書」は、日米間の給油訓練を北大西洋条約機構(NATO)が定める空中給油手順書(ATP56)に従って実施すると明記している。
ATP56とは、湾岸戦争(1991年)やアフガニスタン戦争(2001年)で各国の給油手順がバラバラだった経験を踏まえ、同盟国間の統一化を図ったものとされ、日米同盟の軍事協力水準をNATO並みまで引き上げたい米戦略の狙いを露骨に示している。
ATP56の「日本側の手続きは終了」(深山局長)しており、自衛隊が事実上、多国籍軍の一員に組み込まれていることも明らかになった。戦争法案は、実態に法律をあわせるものに他ならない。
●自民会合で言論弾圧の暴言問題/謝罪を要求
質問の冒頭、自民党の若手議員らが同党本部で開いた会合で、講師として招かれた作家の百田尚樹氏や出席議員から「マスコミを懲らしめる」「つぶせ」などと言論弾圧をあおる暴言が相次いでいた問題をとりあげた。
報道の自由、言論の自由に対する許しがたい挑戦であり、沖縄県民に対する許しがたい発言だ。安倍晋三首相に対し、自民党総裁として事実関係の徹底した調査と謝罪を強く求めた。
(6)「採決は民主主義に挑戦」と弁護士会会長/参考人質疑(7月8日、安保法制特別委員会)
さいたま市で開かれた衆院安保法制特別委員会参考人質疑で、戦争法案と米軍基地被害の関係を質問。
戦争法案と一体で進められてきた新ガイドライン(日米軍事協力の指針)の一環として、米軍横田基地(東京)へのCV22オスプレイ配備が発表されている。米軍基地の存在が、日本国民の暮らし、安全と相いれない状況になるのではないか、と指摘した。
埼玉弁護士会の石河秀夫会長は「米軍が首都圏の上空を支配しているという屈辱的な独立国家がどこにあるのか」と語り、オスプレイ配備計画を批判。弁護士の倉持麟太郎氏は「基地問題はもはや主権の一部移譲みたいな話だ。そこまでしているのにこれ以上、集団的自衛権行使などの問題で付き合う必要があるのか」と述べた。
また、戦争法案の国会審議が進む中での国民意識の変化について質問。
石河氏は、戦争法案反対の集会はどこでも過去最多の参加者となっていることも紹介し、「市民は法案の説明を受ければ受けるほど、問題の多い法案だとわかってきている。強行採決するようなことがあれば民主主義に対する挑戦だ」と述べた。