第189 通常国会 2015/1/26~2015/9/27 日付:2015-12-23 |
(1)中小企業は“アベノミクス不況”(2月4日、予算委員会)
予算委員会で、安倍政権のもとで大企業と中小企業の格差が広がっている実態を明らかにし、中小企業はすでに“アベノミクス不況”のさなかにあると告発した。
1990年代以降の経営状況の推移グラフを示して、大企業は経常利益、配当金を大幅に伸ばす一方、中小企業にはその恩恵が及んでいないと指摘。しかも、アベノミクスによる円安は大企業にプラスに働いたが、中小・小規模事業者にはマイナスに働いたと告発。
安倍晋三首相は「一般論として、マイナスの影響を及ぼしている」と認めたうえで、「中小・小規模事業者の仕事量は増えているが、利益にならない」と答弁。
中小企業庁の影響調査では、原材料・エネルギーコストの増加を販売価格に反映できていないと答えた業者が7割にのぼるうえ、昨年4月の消費税の8%増税が相まって、価格転嫁をさらに困難にしている。
その仕組みを現場の実態を突きつけて明らかにした。
「価格転嫁をとても親事業者に言えない」(トヨタの下請け企業)
「競争が激しいので、中身を充実しないとお客が値上げを納得しない」(東京都内の弁当製造・販売業者)
など・・・。
赤字でも払わなければならないのが消費税だ。中小企業の経営と営業を破壊する消費税の10%増税の中止を要求。
しかし、安倍首相は「賃金を上げていくことができれば(経済の好循環が実現し)、中小・小規模事業者も増税に耐えうる状況がつくられる」との答弁を繰り返すばかり。
中小企業に負担を強いる一方、大企業にはさらなる法人税減税を行う安倍内閣。大企業の内部留保を賃上げと下請け企業に還元させることが必要だ。
(2)WTO・TPPが中小企業官公需契約の妨げに(3月6日、予算委員会)
国や自治体が物品購入や工事を発注する官公需について、WTO(世界貿易機関)政府調達協定が中小企業契約の妨げになっている問題を取り上げ、是正を求めた。
WTO政府調達協定は、政府調達の適用基準額などを定め、外国の産品やサービス供給者にも国内への参入を可能にする国際的な取り決め。
官公需の契約実績について、中小企業向け比率が大きく上昇している。割合が上がったのは、中小企業に仕事が回ったからではなく、WTO政府調達協定の適用基準額以上の契約を除いたために、分母が小さくなっただけだ。
WTO政府調達協定が分割発注を禁じていることから官公需が中小企業を除外する結果となっていることは問題だ。学校へのテレビの大量購入が大企業への発注になった京都府の事例を提示。同協定を口実に、地元の中小企業の仕事を損なってきたことは重大だ。
また、WTO政府調達協定を口実に適用基準額以上の契約から一律に中小企業をはずすことはやめるよう求めた。
さらに、環太平洋連携協定(TPP)交渉の問題。TPP参加によって、調達において基準額が引き下げられる危険性があり、中小業者の受注機会がさらに狭められるなどの懸念が自治体から出されている。TPPは中小企業優先の地域振興策の大きな足かせとなる。TPP交渉からの撤退を迫った。
甘利明経済財政担当相は「(TPPは)日本からビジネスチャンス(商機)をつくっていくもの」と述べるだけ。安倍晋三首相は「(中小企業へ)影響を及ぼすことは想定していない」と答えるにとどまった。
(3)中小企業の受注機会拡大へ/官公需法・担い手三法の活用を(3月10日、予算委員会分科会)
●「官公需法」について質問。官公需法は、国や自治体が発注する建設工事や物品購入などについて、中小企業の受注機会の拡大を図ることを目的としている。
それなのに、大企業の子会社の受注契約が、中小企業契約の実績に含まれている事例があり、大企業の子会社を排除する仕組みをつくれと要求。中小企業庁長官は、大企業が5割以上出資する中小企業などは「みなし大企業」とし、官公需法の対象から除くことを関係機関に通知すると答弁しました。
また中小企業庁長官は、WTO政府調達協定の運用基準額以上の契約は中小企業が受注できないものとして、中小企業官公需契約の対象外としていたことについても「見直す」と表明。重要な答弁です。3月6日の予算委員会での追及が、反映している。
●建設現場労働者の賃上げ/「担い手三法」の活用を
さらに分科会では、建設産業における若年労働者の賃上げ、労働条件改善を求めて国交省に質問。重層下請構造の下で、現場の労働者の賃上げが確実に行えるように、「担い手三法」なども活用して取り組みを強化することを求めました。