第189 通常国会 2015/1/26~2015/9/27 日付:2015-12-23 |
(1)中小企業の仕事を減らし、大企業の仕事を増やすPFI(3月6日、予算委員会)
安倍内閣は、成長戦略の一環として、PFI事業を推進してきた。このPFI事業は、公共施設の設計、建設、運営、維持管理などを一体的に行うため、契約規模が大きくなる。公共事業の営利事業化によって大企業が中小企業の仕事を奪う懸念がある。
実際、国交省は、全国14か所の直轄駐車場の維持管理・運営を一括してPFI契約を行ったが、駐車場は、北海道から四国まであるのに、東京に本社のあるタイムズ24が受注。地元企業の契約の機会が損なわれたことになった。
これまでのPFI事業を見ると、選定された契約代表企業は、大林組、大成建設、清水建設、三菱UFJリース、鹿島建設、大和リースなど、大手ゼネコンを初めとして、ほとんどが大企業。こんな大企業の仕事をふやし、中小企業の仕事を減らしているのがPFI事業だ。
PFI受注の企業ランキングを見ると、その上位が大手ゼネコンだ。2013年に自民党、国民政治協会に献金した企業を見ると、大林組が千二百万円、大成建設が千二百万円、清水建設が千二百万円、鹿島建設が千二百万円。軒並み巨額の献金を行っている。自民党は、献金の要請も行ってきた。
大手ゼネコンの業界団体の日建連は、過去、行き過ぎた中小保護の見直しなどといって、分割発注など地元企業を優遇する政策の撤廃、緩和を要求してきた。官公需法についても見直し、廃止を求めてきた。中小業者に仕事を回すより自分たちにもうけをよこせと言っているようなものだ。
私が「このような要望を出している企業、団体から献金をもらう、さらには献金を要請するということは、金で政策を売っていると言われても仕方がない」と指摘すると、安倍首相は「政策に理解を得られる団体から支援をもらっている。政治資金は透明化を図っている」と答弁。
企業は主権者ではない。企業が政党や政治家に金を出し政治に影響を与えるということは、主権者である国民の基本的権利を侵すことにつながり、国民主権の原則と相入れないと厳しく批判した。
(2)PFI法改定案が衆院委可決/共産党は「公共性後退」と反対(9月2日、内閣委員会)
公共施設の運営を民間企業に委ねる「コンセッション事業」で、専門性のある公務員をいったん退職させて民間企業に派遣する制度などを創設するPFI法改定案の採決が衆院内閣委員会で行われ、自民、民主、公明などの賛成で可決した。日本共産党は反対。
政府は法案の必要性について、地域における民間の事業機会創出や来年3月末に事業開始予定の仙台空港などで、企業側が公務員派遣を強く求めていることをあげている。
質疑で、仙台空港の駐車場は全国の17空港を管理する公的団体が運営してきたからこそ採算性を確保し、単体で赤字でも周辺自治体の復旧・復興事業に助成するなど公共性を確保してきた。企業の運営となれば個別の枠内しかできない。公共性の後退は明らかだ。
また、国家・地方公務員を“退職派遣”という仕組みで企業に送る仕組みは、今回の改定案で初めてつくられることを内閣人事局、総務省が認めた。民間企業の営利活動に直接奉仕する初の制度だ。公務の公正性と信頼性を損なうもので容認できない。