第189 通常国会 2015/1/26~2015/9/27 日付:2015-12-23 |
(1)安倍政権で企業献金増(2月4日、予算委員会)
自民党への企業献金が12年から13年の一年間で1.5倍の19.5億円に増加。国民の権利を侵すと批判し、企業・団体献金の禁止を求めた。
日本自動車工業会が開いた2015年の賀詞交歓会で、宮沢洋一経産相が「高村副総裁から『自民党の財務についての御礼もいっておいてくれ』と承った」と「謝意」を表明したことの事実を確認。宮沢経産相は「申し上げた」と認め、「自民党の財務については知らない」と述べた。
日本自動車工業会と会員企業の自民党への献金額が、12年には2.2億円だったのが13年には3億円に増加している。財務を承知していないのに、お礼を言う。その姿勢が問われる。
(2)企業・団体献金全面禁止を(3月6日、予算委員会)
補助金や公共事業など、税金が入った企業からの献金は「税金の還流」にあたる。「カネの力で政治をゆがめる」として、企業・団体献金の全面禁止を主張した。
自民党が2013年の参院選前に大手ゼネコンでつくる日本建設業連合会(日建連)に献金を求めた文書がある。自民党の政治資金団体である国民政治協会は「(自民党の)政策遂行を支援するため」として4億7100万円の献金を日建連に求め、大林組、大成建設、清水建設、鹿島建設はいずれも1200万円を献金している。
日建連が「行き過ぎた中小保護の見直し」、官公需法の廃止を要望している。その日建連に自民党が献金を要請し、献金を受けている。カネで政策を売っていると言われても仕方がない。
安倍晋三首相は「浄財として、支えをお願いしている。政策は政策として評価してもらっている」と答えた。
また、補助金交付先企業からの献金禁止については、カネの力で、補助金決定など政治をゆがめかねない危険性があるから交付決定1年以内の献金を禁止するというのが法の趣旨だ。「(補助金交付は)知らなかった」「違法ではない」という政府・自民党の言い訳は通用しない。企業が政治に金を出せば“投資”に見合う“見返り”を政治に要求することは避けられない。だから企業献金は本質的にワイロ性をもつ。政治資金パーティーも含む企業・団体献金の全面的禁止を強調した。
(3)選挙の投票機会の確保と正確な事務実施に十分な予算・人員の確保を(5月27日、倫理選挙特別委員会)
選挙の投票時間を短縮する投票所が増えていることや、選挙事務のミスが多発している問題を取り上げ、有権者の投票機会の確保と正確な事務実施のために十分な予算・人員の確保を求めた。
2014年総選挙での投票所総数は、00年と比べ1割減。閉鎖時刻を繰り上げた(投票時間短縮)投票所は35.19%にのぼった。(00年総選挙8.69%)
人口30万人超の群馬県高崎市でも投票時間を短縮している。都市部を含め3分の1超が投票時間を短縮するのは、国民の選挙権・投票権の行使を制約することになる。
高市早苗総務大臣は「むやみに繰り上げることは好ましくない」と答え、問題がある場合は大臣名で見直しを求めて通知する考えを示した。
また、群馬県で唯一午後8時まで投票を受け付けたみなかみ町では「たとえ1人でも有権者の権利を奪ってはならない」と述べている。国が、この立場で選挙事務を行う選挙管理委員会を支援すべきだ。
国負担の選挙経費削減が自治体の投票時間短縮に拍車をかけている。さらに経費削減が開票時間を短縮しなければとのプレッシャーをうみ、選挙事務のミスを多発させている。経費削減で民主主義の根幹である選挙の公正性、公平性を担保できなくなってはならない。
高市総務大臣は、「必要な予算・人員を確保することは重要」と答弁した。
(4)18歳選挙権保障は当然/改憲への動機を批判(5月28日、倫理選挙特別委員会)
自民、民主など6党が提出した、選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改定案を審議。18歳選挙権に関する日本共産党の立場を表明するとともに、法案提出理由をただした。
選挙権は歴史的に見れば国民が運動を広げて勝ち取ってきたものである。日本共産党は創立直後から18歳選挙権を掲げてきた。選挙権年齢が18歳以上に変わることは、さらに幅広い民意が議会に反映されることにつながり、議会制民主主義の発展になる。18歳以上の国民は、すでにさまざまな分野で社会的権利を持ち、労働や納税などの義務を負っており、選挙権を保障することは当然のこと。
その上で、今回の改定案は改憲手続きを定めた「国民投票法」(2007年)が投票年齢を18歳としたことが発端となっている。改憲の国民投票前の国政選挙で18歳選挙権の選挙を実施したいという、改憲派の意図の下で成立を急いでいるのが実態だ。
自民党の船田元・議員は、改憲と18歳選挙権は別の問題と述べながらも、「きっかけに国民投票法成立があったのは事実」と答えた。
改憲を進めたい安倍政権の思惑にそったものと言わざるをえない。18歳選挙権実現は当然だが、その動機があまりにも悪すぎる。
また、主要政党が入党要件を18歳以上として政治を担う権利があると認めている。被選挙権も18歳以上に引き下げることが求められている。
(5)18歳選挙権法/高校生の政治活動規制通達の撤回を(6月2日、倫理選挙特別委員会)
18歳選挙権法案に関し、旧文部省通達が高校生の政治活動を規制している問題を取り上げた。
文部科学省は「高等学校における政治的教養と政治的活動について」(1969年通達)で、高校生に選挙権がないことを根拠に政治的活動を規制している。18歳選挙権が実現すれば(通達の)根拠が崩れる。高校生の政治活動について質した。
北側一雄氏(公明)は「選挙運動も基本的には自由、政治活動も自由が大原則だ」と言及。船田元氏(自民)は「基本的には自由だが、学校内は適切な対応を求める」との見解を示した。
政治活動の自由は、学校の内と外で分ける問題ではない。この通達の撤回を求めた。
また、選挙制度は議会制民主主義の土台で、全党全会派参加で議論すべきものであるにも関わらず、今回の法案は一部の政党が協議して国会提出した。
逢沢一郎氏(自民党選挙制度調査会長)は、今回は「憲法改正の国民投票がスタートという経緯があった」と釈明しつつ、選挙制度の議論はあらゆる政党会派で議論することが基本姿勢であるとの立場を示した。
わたしが指摘した選挙運動規制の見直しについて、「公選法そのものの在り方も見直しが必要」(自民)、「各党間協議で深めていく必要がある」(民主)、「選挙運動の規制緩和、見直しが必要」(公明)などの意見が述べられた。
(6)政党助成法廃止、企業・団体献金禁止2法案/共産提出法案を質疑/金権政治根絶へ不可欠(6月18日、倫理選挙特別委員会)
●日本共産党提出の企業団体献金全面禁止法案と政党助成法廃止法案の審議。
提出者の穀田恵二議員が、答弁者として他党の質問にも答え、日本共産党の議員として私が質問しました。日本共産党が単独で提出した法案の質疑・答弁が衆院委員会で行われたのは16年ぶり。昨年末の総選挙の躍進が切り開いたものです。
私の質問に穀田議員は「政治資金の拠出は、選挙権と結びついた国民の政治参加の手段であり『国民固有の権利』だ」と述べ、「選挙権を持たない企業が献金することは国民主権と相いれない」「そもそも、企業献金は本質的に賄賂性を持つものだ」と指摘。
その上で、20年前の「政治改革」では「企業団体献金禁止」を口実に政党助成金が導入されたが、「政党支部への献金」「政治資金パーティー」という抜け道が残されたことで、企業・団体献金と政党助成金との“二重取り”が続き、金権腐敗政治と政党の堕落を生みだしていると強調。「企業・団体献金全面禁止と政党助成金廃止を一体に行うことは、金権腐敗政治を根絶するうえで不可欠の道だ」と、答えた。
同日の審議の中で自民党議員は、1970年の八幡製鉄最高裁判決を持ち出し企業献金を容認。
穀田議員は、同判決が企業は「社会的実在である」「政治的行為をなす自由がある」と述べているが、企業による献金の自由を認めることは国民の参政権を侵すことになると強調。「今なお、この判決にしがみつくのは、国民の権利を侵害している実態から目をそらし、立法府が積み重ねた企業・団体献金禁止の議論を無視するものだ」と批判した。
穀田議員はまた、維新の党の議員の質問に対し、「政治資金は国民の浄財で賄われるものだ。政党は何よりも国民の中で活動し、国民の支持を得て、その活動資金をつくることが基本だ」と答えた。
●政党の堕落生む/政党助成制度を告発
民主、維新がそれぞれ提出した政治資金規正法改正案の審議。
政治資金の拠出は国民の政治参加の権利そのもの。支持しない政党にも強制的に寄付させられる政党助成制度は思想信条の自由を侵すものだ。
法案提出者として答弁した日本共産党の穀田恵二議員は「税金頼みの政党をつくり出す政党助成制度と虚構の多数をつくりだす小選挙区制が相まって政党の劣化・堕落を生み出している」と批判。
民主党は2011年に企業・団体献金全面的禁止にむけた法案化を進めるとしていたが、今回は「国からの補助金受給企業による献金禁止」にとどめている。同法案提出者の黒岩宇洋議員は、閣僚への献金が相次ぎ問題となったために取り急ぎ法案を提出したもので「企業・団体献金禁止の方向性は何ら変更していない」と説明。
個人献金が増えない原因として、国民の政治不信は無視できない。国民の不信を解消するためにも、企業・団体献金全面禁止と政党助成法廃止が必要だ。
維新案は、企業・団体献金を禁止するとしていますが、企業による政治資金パーティー券の購入は温存している。
パーティー券の大半は企業が購入しており、形を変えた企業献金だ。
(7)参議院選挙制度/「2合区、10増10減案」の緊急上程に反対(7月28日、議院運営委員会)
倫理選挙特別委員会で採決された参院選挙制度改革法案を、本会議に緊急上程することについて反対する意見表明をしました。以下、全文を紹介します。
参議院選挙制度に関する自民・維新等5会派提出のいわゆる「2合区、10増10減案」の緊急上程に反対する意見を述べます。
そもそも選挙制度の改革は、国民の基本的権利の問題であり、議会制民主主義の根幹にかかわる問題であって、主権者国民に開かれた議論が不可欠です。これは会派間協議で代替できるものではなく、国会における多数で合意すればよしとするものでは決してありません。国会における十分な質疑を行ってこそ、選挙制度の内容を国民が知ることができ、国民の納得と合意がすすむことになります。
過去、参議院の選挙制度改革について、全国区廃止、比例代表制導入の法案では、本会議で趣旨説明質疑を行い、委員会では公聴会、地方公聴会の開催を含め35時間の質疑を行いました。非拘束比例代表制導入の法案では、参考人質疑を含む10時間近い審議を行っています。
今回の法案については、発議者自身が「参議院始まって以来」の「大改革」だと述べていました。そうであれば、それにふさわしい審議を行うことは当然だったはずです。
一方で今回の法案の内容を見れば、一票の価値の平等が求められていたにもかかわらず、当面の一票の較差を3倍に収めようというものにすぎず、抜本改革を先送りするものでしかありません。都道府県単位の選挙区を基本的に維持しながら、人口の少ない県を隣接する県と合区する手法は、その場しのぎであり、一部の県のみが単独の選挙区でなくなることによる「格差」と不公平を新たに生じさせ、さらには人口変動によって合区の府県の見直しが必要となるなどの根本的な問題があります。都道府県単位の選挙区を維持する限り、改選定数1の小選挙区が増加し、多様な民意を反映しない制度にならざるを得ません。これら法案の問題点について、慎重で十分な議論こそ必要です。
しかるに、このような重大な法案について、わが党が要求した本会議質疑も行わず、委員会でも参考人質疑や地方公聴会もなく、わずか1時間の質疑で打ち切ってしまったことは断じて容認できません。一部の政党で決めた選挙制度について、まともな議論を国会で行わずに押し通そうというやり方は、国民の理解が得られないばかりか、民主主義の土台作りである選挙制度の改革の在り方として許されるものではありません。
日本共産党は、多様な民意が正確に議席に反映する選挙制度への抜本改革実現のために奮闘する決意を述べ、意見表明を終わります。
(8)参議院選挙制度/多様な民意を正確に議席に反映させるべき(7月28日、倫理選挙特別委員会)
来年夏の参院選から「鳥取・島根」「徳島・高知」をそれぞれ合区し、選挙区全体で「10増10減」する改正公職選挙法が、衆院本会議で自民、維新、次世代の党の賛成多数で可決・成立。日本共産党、民主党、公明党などは反対しました。
私は政治倫理・選挙特別委員会で質疑。自民・維新などの提案者が、参院政治倫理・選挙特別委員会での審議を拒んだ。一部の政党で決めて、まともな議論を行わずに押し通そうというやり方は、国民の理解が得られない。民主主義の土台作りである選挙制度の改革の在り方として許されない。
09年に最高裁が、投票価値の平等の観点から「現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と指摘したことを契機として、10年秋より各党協議が行われてきた。日本共産党は、選挙制度は、多様な民意を正確に議席に反映させるべきとの基本的見地にたち、当時、西岡議長が当初提示した総定数維持・ブロック毎の比例代表制をたたき台として議論すべき