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第193 通常国会 2017/1/20~2017/6/18
日付:2017-01-31
【議会制度協議会】国会審議の充実/国民議論反映・徹底審議を
今日、大島衆院議長が主催する議会制度協議会が開かれ、「国会審議を充実させる方策」について、各党が議論しました。
この協議会には、大島議長、川端副議長、議院運営委員会の委員長や理事会の各党メンバーが出席しました。
昨年の臨時国会で、政府・与党によって、TPP協定、年金カット法案、カジノ解禁推進法案など重要法案の強行採決が相次ぎました。このことから、臨時国会閉会後、大島議長が「今後の充実した審議に向けて」と題した「所感」を示して、各党に審議充実策の検討を促していました。
私の発言要旨は、以下の通りです。
国会審議の充実について(「議長所感」に対する意見)
1.
国会は、国民を代表する唯一の立法機関であり、国権の最高機関である。憲法は、国会に国政調査権を保障し、政府・行政の実態を監視監督する役割を与え、国会の公開原則や議員の発言権の保障を明記し、内閣総理大臣と国務大臣に国会出席・答弁を義務づけている。
このもとで国会審議に求められているのは、政府提出法案等の審議において、本会議と委員会での徹底した審議を通じて、法案によって国民の生活や権利がどうなるのか、その全容と問題点を国民に明らかにし、国民的な議論を反映して審議をつくすことである。また、国政のあらゆる分野で国政調査権を行使し、政府の「不都合な秘密」を国民に開示することを含め、政府・行政の実態を明らかにすることは、国会の最も重要な役割の一つである。法案審議と政府監視の二つの面で、国民が納得できる徹底審議によって政治を進めることこそ、憲法のもとめる議会制民主主義である。
そのためには、少数会派の議員にも十分な質疑時間を保障し、審議内容や資料を公開し、関係者や専門家を参考人招致し、多様な国民の意見を直接聞く公聴会などによって、内容を深めていく努力が不可欠である。政権与党がいくら国会の多数議席を占めていても、それは個々の法案について国民から白紙委任を得たものでは決してない。国会は政府提出法案の追認機関であってはならない。
2.
「国会審議活性化法」(1999年成立)は、国家基本政策委員会(QT)を設置することと引きかえに、内閣総理大臣の国会審議への出席を大幅に減らすことをねらったものである。同法運用のための「申し合わせ」は、「党首討論(QT)を毎週水曜日に行う」とする一方で「本会議・予算委員会への総理出席と重複しない」こととし、憲法63条や国会法の規定をないがしろにして、総理大臣等の国会出席を制限した。そのもとで、従来、通常国会の総予算審議で7日間程度行われていた全閣僚出席の総括質疑は、3日間の基本的質疑に短縮され、法案審議における本会議への総理出席は「重要広範議案」(4件程度)に限定されるなど、著しい国会審議の形骸化をもたらした。しかも、党首討論は、通常国会中に数回行われてきたにすぎない。こうした総理出席を制限する「しばり」は、政府にとって都合の悪いときには出席しない口実とされ、政府提出法案を押し通すときは「しばり」としないという、ご都合主義の運営がされてきた。その破たんは明白である。
いま必要なことは、総理大臣・国務大臣の国会出席義務を制限する取り決めを廃止することである。
3.
昨年の第192回臨時国会をふりかえって重大なことは、政府与党による「強行採決」が相次ぐなど、きわめて強権的な運営が行われたことである。
●TPP協定と関連法案の審議で、安倍総理は最優先課題と位置付けながら、国民の疑問や不安にまともに答えないばかりか、与野党合意のないまま地方公聴会日程を強行し、議院運営委員会において本会議開会の協議を行っている最中にTPP特別委員会を一方的に開会し採決を強行した。この国会法や規則、先例に基づく運営ルールを踏み破る前代未聞の事態に対して、議長及び議院運営委員長が注意を喚起したことはきわめて異例のことである。
●年金法案は、厚労委員会でのわずか19時間の審議で強行採決された。参考人質疑を行ったその日に強行採決をしたことは、国民の声に耳を貸さない姿勢を示すものである。
●「カジノ解禁推進」法案は、延長国会になって審議入りを強行し、内閣委員会で6時間にも満たない審議で採決を強行した。実際には安倍政権の成長戦略として「官邸の肝いり」で進めながら、議員立法の形をとり、政府は責任ある答弁をしなかった。
いずれも国民生活にかかわる重要法案である。世論調査では反対が多数であり、多くの国民が慎重な審議をもとめていたにもかかわらず、徹底した審議を行わず、強行採決を行った政府・与党の責任はきわめて重大である。
また、TPP関連法案は11本の法案を束ねた一括法として提出されたが、この間、政府提出法案において、複数の法案を束ねる一括法の形式を多用していることが、充実した審議を妨げる要因となっている。
こうした点についての政府及び与党の具体的かつ真摯な反省が、今後の国会審議の充実を図るうえで不可欠である。
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