日付:2015-06-26 |
日本共産党国会議員団が衆参両院議長に対し、7月5日に実施予定の「衆・参警務部及び警視庁のテロ対策合同訓練」の中止を申し入れた。
同訓練は、銃と爆発物を持つテロリストが衆院本館に侵入して立てこもる想定。衆参両院の警務部と警察で400人以上が参加する大規模なもので、警察が国会の外周を包囲し、銃器部隊が被疑者制圧などを行う計画。
穀田恵二国対委員長とともに、大島理森衆院議長に面会。たとえ訓練であっても、想定にあるような一般警察権の行使を前提として警察部隊が国会構内に立ち入ったことは過去一度もない。国会内の『秩序維持』は議院の自律権にかかわる問題で、一般警察権との関係は慎重に検討すべきだ。大規模訓練を必要とする蓋然(がいぜん)性は全く示されず、事件の想定や訓練規模、事件の対処方策など、警察主導の訓練計画というのが実態だ。訓練中止を求めた。
また大幅会期延長のもとで毎週末に「戦争法案反対」の集会などが行われている時期に、警察官が国会を包囲する大規模な訓練を行うのは、国民の請願権を事実上制約するものだ。
これに対し大島議長は「議院の自律権は心していかなければいけない」と述べましたが、「想定できないような事態に備えて、訓練は実施させていただきたい」と話した。
参院の山崎正昭議長には、井上哲士参院幹事長と仁比聡平議員が面会。山崎議長は「備えあれば憂いなしなので了としたが、申し入れの趣旨は一理あります。慎重に検討したい」と述べた。
日本共産党国会議員団が、大島理森衆院議長、山崎正昭参院議長に対し提出した 「衆・参警務部及び警視庁のテロ対策合同訓練」の中止を求める申し入れ書は以下の通り。
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テ口対策合同訓練中止を求める申し入れ <日本共産党国会議員団>
衆参両院の議院運営委員会理事会は、過日、「衆・参警務部及び警視庁のテロ対策合同訓練」を7月5日に実施することを決めました。わが党は、以下の理由から、今回の訓練に反対しましたが、今国会の会期が大幅に延長されたもとで、あらためて「合同訓練」の中止を求めるものです。
1、今回の「合同訓練」は、銃器及び爆発物を所持するテロリスト3名が、衆議院本館に侵入して銃を発砲のうえ立てこもる事態を想定し、衆・参警務部と警察が連携して警察部隊がテロリストを銃器で制圧するというもので、衆院警務部220名、参院警務部50名、警視庁140名など400名以上が参加する大規模なものです。
その訓練内容は、①警察官の部隊が警察車両十数台を伴って外周を包囲し、出入り口を封鎖し、ヘリによる上空からの監視を行う②銃器部隊30名程度が、空砲とはいえガス銃などを発砲し、被疑者を制圧し、爆発物処理班が爆発物を処理する③その間、侵入した被疑者は警察部隊に銃を発砲する④その下で警務部は、緊急通報、警察部隊との連携、在館者の避難誘導などを行う|などと説明されています。
2、今回の「合同訓練」には、きわめて重大な問題があります。
そもそも、たとえ訓練であっても、想定にあるような一般警察権の行使を前提として警察部隊が国会構内に立ち入ったことは、過去一度もありません。国会内の「秩序維持」は議院の自律権にかかわる問題であり、一般警察権との関係は慎重に検討すべきものです。
ところが、今回、想定されている大規模な訓練を必要とする蓋然(がいぜん)性はまったく示されていませ
ん。また、両院の事務局が「計画は警視庁につくってもらったもの」と認めているように、事件の想定や訓練規模、事件対処の方策など、警察主導の訓練計画というのが実態です。
国民から見れば、国会外周を警察官が包囲することになり、国会が国民の要請・抗議活動を拒否しているようにしかみえず、国民の請願権を事実上制約することとなります。
訓練実施日は、「戦争法案」の成立を図るために会期の大幅延長が強行された直後であり、国会会期中です。この間、「戦争法案」に対して国民多数が反対し、抗議の声を上げ、毎週末、「戦争法案反対」の集会、行動が国会周辺で行われてきました。このような時期に、警察官が国会包囲するような大規模訓練を行うことは、かつて60年安保改定の際に、議長警察権の名のもとに警官部隊が国会に導入され、議会制民主主義が踏みにじられた歴史を想起させるものです。断じて容認できません。
以上の理由により、日本共産党国会議員団は、この前代未聞の「合同訓練」の中止を申し入れるものです。