日付:2016-04-14 |
新たな国立公文書館をめぐって衆院議院運営委員会に設置されている小委員会で、内閣府の有識者会議がまとめた「機能・施設の在り方に関する基本構想」と「新たな国立公文書館の建設用地検討に係る調査」の報告を受けた。
同調査は、小委員会の「中間とりまとめ」(昨年8月)に基づいて実施されたもの。「中間とりまとめ」は、閲覧・展示・学習機能を拡充する「ナショナルモニュメントたりうる施設」としての新たな国立公文書館の建設を求め、その建設候補地として、衆院用地である(1)憲政記念館敷地(2)国会参観者バス駐車場敷地の2カ所を中心に調査・検討する――としていました。
この「中間とりまとめ」では、本来、国立公文書館に求められる機能や規模の検討を制約するものとなる。撤回と協議の続行を求めてきた。
この日も、既存の施設である本館などの活用が検討されていないことを指摘し、公文書館に用地が必要であれば政府が確保すべきで、「新施設建設ありき」の用地提供は容認できないと批判した。
また、秘密保護法の下で公文書が国民から隠され、勝手に破棄される懸念がある。行政機関による恣意(しい)的な公文書管理の防止、国民の知る権利の保障、体制と権限強化こそ必要だ。
衆院が行うべき議論は、政府に対するチェック機能を果たす立場からの公文書管理の強化だ。
新たな国立公文書館に関する小委員会における発言の概要は、以下の通り
昨年8月の衆議院議院運営委員会「新たな国立公文書館に関する小委員会」による「中間とりまとめ」は、「新たな国立公文書館像」について、公文書の閲覧・展示、学習の機能を拡充した「国の公文書の重要性を象徴するようなナショナルモニュメントたりうる施設とする必要がある」などとして、国立公文書館に求められる機能の一部のみを強調する内容となっていた。
また建設候補地について
①憲政記念館敷地(憲政記念館と新たな国立公文書館の共用)、
②国会参観者バス駐車場敷地(国立国会図書館と新たな国立公文書館の共用)の衆議院用地2か所を中心に調査・検討することとした。
―――わが党は、このような「中間とりまとめ」は、本来求められる国立公文書館の機能や規模の検討を制約するものとなると指摘し、「中間取りまとめ」は撤回し、引き続き協議を行うことを求めた。
今回、この「中間とりまとめ」を受けて「新たな国立公文書館の建設用地検討に係る調査」報告(内閣府委託調査)が提出された。この機会に、国立公文書館及び公文書管理の在り方について、一言申し上げたい。
1、衆議院用地を前提として国立公文書館の建設を検討することは撤回すべきである。独立行政法人国立公文書館の在り方の検討は、政府の責任で行うものであり、用地が必要であれば、政府が確保すべきものである。既存の施設である本館(北の丸)の活用方法については何ら検討されていない。敷地面積に余裕のあるつくば分館の活用方法も同様である。
ましてや共用・合築の対象としている国立国会図書館や憲政記念館の位置づけ、将来像の検討もないまま、「建設ありき」の用地提供は容認できない。衆議院用地は国会のために活用すべきである。
2、国立公文書館及び公文書管理について議論する場合、公文書の適切な作成、整理・保存、重要公文書の公文書館への移管・利用という公文書管理の全体について議論することが必要である。
この間、公文書の作成・管理の問題点が指摘されてきた。例えば、内閣法制局が2014年の集団的自衛権行使容認の閣議決定の内部検討過程の文書を残していないことが明らかとなった。
また原子力規制委員会は2012年の発足から3年間、作成が義務付けられている行政ファイル管理簿をつくっていなかった。秘密保護法の下で、公文書が国民から隠され、勝手に廃棄されることが懸念される。このような行政機関による恣意的な公文書管理を防止する必要がある。
国民の知る権利の保障、公文書管理のための体制と権限の強化こそ、求められている。このような見地に立って、国立公文書館及び公文書管理の在り方を検討すべきである。
衆議院が行うべき議論は、政府に対するチェック機能を果たす立場からの公文書管理の強化である。展示・学習機能を拡充した「ナショナルモニュメントたりうる施設」といった国立公文書館の一部の機能のみを強調する「中間とりまとめ」は、国会が担うべき役割としてふさわしくない。あらためて「中間とりまとめ」は撤回し、以上述べた見地で議論を行うことを求めたい。
3、衆議院として議論すべきは、立法府の公文書管理の在り方である。議員立法制定過程や法案修正過程の文書や衆議院事務局・法制局の公文書の作成・管理・公開などのルールを検討すべきである。
東京電力福島原発事故調査委員会(国会事故調)の調査資料の管理、開示に関する法整備については、ただちに行うことを求めたい。
このような議論を行うにあたって、参議院との協議、意見交換は欠かせない。