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日付:2016-11-17
部落差別を永久化/衆議院本会議で法案可決/断固廃案を
今日の衆議院本会議で、自民・民進・公明が提出した「部落差別」永久化法案が可決され、参議院に送付された。日本共産党は断固として反対した。
「部落差別解消法案」、すなわち「部落差別」永久化法案は、「部落差別の解消」を目的とする恒久法をつくろうとするもの。しかし、何をもって「部落差別」というのか、法案には定義が書いていない。提案者によると「部落差別」とは「部落の出身者」に対する差別として「明確に定義できる」というもの。この説明は「部落解放同盟綱領」に書かれている定義と同義だ。かつて解同を中心とした特定団体の圧力によって行政が主体性を失い、窓口一本化と不公正・乱脈な同和行政の横行を許した痛苦の歴史を思い起こすべきであり、解同綱領にある「部落差別」の定義を法律で位置づけることは断じて認められない。
しかも第6条で義務付けられる「実態調査」は、結局旧対象地区を掘り起し、対象住民を洗い出すことになる。混住と人口移動が進み、政府も「同和地区」や「関係者」を特定できないと認めている。もはや「部落出身者」なるものを特定できない歴史的段階にあるにもかかわらず、提案者は、地域によって異なる実態を「もう一度調査することが必要だ」と述べた。これはかつて総務庁が行った調査、すなわち当該地区の住民を「同和関係者」と「そうでないもの」とに区分けする作業を行うことになるが、こうした調査自体が重大な人権侵害だと言わざるを得ない。
本法案は、恒久法であり、こうした調査を繰り返し行い、国や地方自治体に教育・啓発など必要な施策を行うことを求め続けるものだ。「部落差別の解消」どころか、「差別の固定化・永久化」につながることは明らかだ。
関係団体や地方自治体等の参考人質疑や公聴会も行わず、根本的に誤った法案をわずか2時間程度の質疑で採決するなど到底許されない。断固廃案をもとめる。