日付:2012-10-19 |
「しんぶん赤旗」10月19日付首都圏版より
群馬県上空で毎年1~5月を中心に米海軍厚木基地(神奈川県大和、綾瀬両市)所属の空母艦載機による低空飛行訓練が住民生活を脅かしています。防衛省に寄せられた苦情から、低空飛行は、艦載機だけでなく、横田基地(東京・多摩地域)所属の輸送機も行っていることがわかってきました。
3分の2が群馬
日本共産党の塩川鉄也衆院議員に防衛省が提出した資料によると、同省が全国から受けた米軍機の飛行訓練などに対する住民からの苦情は、2002年度から12年度5月末現在で合計1538件。そのうち3分の2の1020件が群馬県内からの苦情です。原子力空母ジョージ・ワシントンが米海軍横須賀基地に配備(08年9月)された前年の07年から急激に増加しています。
元党群馬県委員長の大川正治さん(69)=前橋市在住=は、情報公開で09年1月以降の米軍機の苦情の受け付け状況をとりよせて驚きました。
群馬県内からの苦情が多いこともさることながら、広範囲に及んでいたからです。
県内からの苦情は前橋、高崎、渋川の各市を中心に、北は中之条、みなかみ両町や片品村、東は沼田、みどり、桐生、太田、伊勢崎の各市、南は藤岡、富岡両市など県内全域に及んでいます。
さらに、長野県諏訪市、軽井沢町、千葉県市川市と他県からの苦情も多くみられました。
大川さんは「朝昼晩と7時間くらい飛んだ日もあることなどもわかり、群馬の空の異常さが改めて浮き彫りになりました。米軍機の飛行訓練とオスプレイ配備・訓練に反対する群馬のたたかいは、全国的な意味を持っているのではないでしょうか」と話します。
そのなかの1件、群馬県地域政策課を通じて北関東防衛局へ寄せられた苦情は桐生市上空でC130輸送機のような軍用機が50~100mの上空を通過したというものでした。桐生上空での低空飛行は、この横田基地所属のC130でした。
関東地域では、在日米軍横田基地に第374空輸航空団のC130輸送機は機が常駐しています。山梨県の八ヶ岳周辺でも低空飛行が確認されています。今年九月に米軍が管理する横田空域の西の緑、長野県小布施町での低空飛行も確認されています。
「防止会議」まで
第374空輸航空団は、10年1月と3月、11年9月、日本の小型機所有者や操縦士の団体との間で「関東平野空中衝突防止会議」を開催しました。
会議は、米軍の空域の境界や飛行ルート、日常の運用などを周知することで、多数の航空機が飛行する関東平野上空での衝突を避けることが目的です。そこで示された横田基地所属機の編隊飛行訓練空域は、西は南アルプスや八ヶ岳、霧ヶ峰、南は伊豆半島、北は群馬県桐生、みどり両市と栃木県足利市の境付近、東は茨城県常陸大宮市あたりまでと関東平野の広い範囲に及んでいます。
さらに米軍は、沖縄・普天間墓地に配備を強行したオスプレイの厚木、横田両基地での運用、群馬県北部の「ブルールート」での低空飛行訓練まで計画しています。
“首都圏の空に安保”
塩川鉄也衆院議員・日本共産党国会議員団オスプレイ配備反対闘争本部事務局長の話: 「米軍機がわが物顔で飛行する首都圏の空に〝安保が見える″状況です。米軍機の爆音や低空飛行への住民の自治体や防衛省に抗議が、米軍の低空飛行を監視し実態を明らかにすることにつながっています。米軍優先の空の使い方をやめさせ、横田空域を返還させ、アメリカいいなりの政治の根本にある安保条約をなくすたたかいを広げていくことが重要です。