日付:2013-07-08 |
東日本大震災は、茨城・千葉など首都圏を中心に、甚大な液状化被害をもたらした。私は、発災直後から液状化被害の実態を調査し、被災者の要望を国政に届けてきた。国会では液状化問題について11回の質問を行った。その中で、被災者の運動と力を合わせて前進させた取り組みは、以下のとおり。
(1)災害被害基準に住家液状化被害を追加させる
被害認定基準は、災害救助法、被災者生活再建支援法など一連の被災者支援制度適用の基準になるもの。これまでの基準は、住家の損壊状況に着目して認定するものだった。しかし液状化被害は、住家が傾き実際には居住が困難であるにもかかわらず、住家そのものは損壊していないため、既存の基準では対象とならなかった。
私は、家の傾きによって健康被害が生じて居住が困難という実態に着目して被害認定基準を見直すことを求めた(2011年4月28日総務委員会など)。その結果内閣府は、液状化による住家の傾きが健康被害をもたらすということで、被害認定基準の適用拡大を行った(2011年5月2日)。
この被害認定基準見直しは暫定措置だったため、東日本大震災に限定されない恒久措置として「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」に盛り込むように求めていた(2012年6月14日災害対策特別委員会)。今年6月24日、内閣府は「運用指針」を改定し、現行の、地震による被害、水害による被害、風害による被害に、地盤の液状化等による被害を追加した。
(2)菅首相に宅地液状化対策の制度創設を約束させる
2011年7月20日の予算委員会で液状化問題を追及。わたしは、液状化被害は1960年代の新潟地震から広く認識され対策の必要性が叫ばれてきたにもかかわらず、宅地に対する対策が遅れをとっていたことについて「国の対策の遅れが重大な被害につながったのではないか」と指摘。大畠国交大臣は「宅地への(液状化の)情報提供など対策が遅れたことは率直に認めたい」と、政府の対応に問題があったことを認めた。
わたしは「国として直接的な公的支援を」と要求、菅首相は「今回のような大きな液状化被害は初めて。法律的な仕組みも含めてしっかり対応できるように関係省庁に指示している」「液状化の予防的な措置も重要。公的インフラ(社会基盤)と合わせた復旧支援が素早く対応できる対策だが、新たな制度を含めて検討が必要になっている」と答弁。これを踏まえ、復興交付金の基幹事業の一つとして、「液状化対策推進事業」が創設された。
(3)液状化対策推進事業の被災者負担軽減の道開く
「液状化対策推進事業」は創設されたものの、実施に当たっては数百万円もかかる費用負担が大きな課題となっている。事業を進めるには、計画区域内の所有者や地権者の3分の2以上の同意が必要。でも金銭的負担まで求められると同意できない世帯が生じる。そこでわたしは、この同意は金銭的負担を認めることが要件なのかと質問(2012年3月1日総務委員会)。
国土交通省は「金銭的負担が明示されているものではない」と答えた。つまり、事業は被災者に対し地権者としての「同意」を求めているが、金銭的な負担の「同意」まで求めていないということを明らかにした。
すでに液状化対策を実施した世帯や金銭的負担が困難な世帯に対して、減免制度を設けることは制度上可能となっている。
日本共産党は「個人の資産形成になる」などといって個人住宅の復旧を国が支援しないことが復興の最大の障害になっていると追及してきた。今後も、宅地への液状化対策を怠った国の責任として、被災者の金銭的負担軽減のための支援策強化を求めていきたい。
被災自治体に対する「震災復興特別交付税」や「取り崩し型復興基金」の増額、復興交付金に伴って交付される「効果促進事業」の摘要など、地方財政措置の拡充を働きかけていく。なによりも「被災者生活再建支援金」の500万円への増額を実現していきたい。