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日付:2011-12-09
どうみる国家公務員給与削減/塩川議員に聞く
復興に逆行、憲法違反
「しんぶん赤旗」12月9日付掲載
政府は国家公務員給与を7・8%引き下げる法案を提出し、自民・公明も同じ賃下げ法案を提出しています。この問題点について日本共産党の塩川鉄也議員に聞きました。
職員増こそ必要
被災地の復興支援に国家公務員も全力をあげています。被災地のハローワークでは、職員が被災しながらも、失業手当の給付延長、中小企業などの雇用調整助成金支給、生活再建のための職業紹介などに奔走しています。
定員削減による人員不足のもとでも公務員としての責務を果たそうと奮闘しており、復興のためにはその役割発揮は欠かせません。職員増員も含めて被災地支援の体制を拡充することこそ必要です。賃下げで報いるなど本末転倒ではないでしょうか。
民間にも悪影響
民間も含め広範な労働者に影響を与えることも見過ごせません。
人事院勧告は、地方公務員や私立学校や民間保育園職員など約580万人に影響を与えます。民間企業でも、国家公務員給与を踏まえた賃金決定の仕組みがつくられており、その影響は甚大です。
国家公務員給与はこの十数年間で2割も削減されています。公務員給与の削減が民間賃金の引き下げを招き、それがまた公務員給与の引き下げを招くという悪循環が繰り返されています。地域経済の再生と景気回復への逆行です。
基本権の回復を
そもそも今回の給与削減は、憲法上の大問題をはらんでいます。
国家公務員は憲法28条に保障された労働基本権を長年にわって不当に奪われてきました。そのため、人事院はその代償機関として民間給与の実態調査などをもとに政府と国会に対する勧告が義務付けられています。こうした違憲状態に終止符をうち、労働基本権の全面回復をはかることこそ政府に求められています。
ところが政府は人事院勧告さえ実施せず、人事院勧告によらない賃下げも行おうとしています。これは二重の意味で憲法違反だといわざるをえません。
自公両党は、人勧無視の政府案を「憲法違反」と批判しています。しかし、自公案は、0・23%の給与引き下げの勧告を実施したうえで、さらに給与を引き下げるものです。労働基本権を制約されている国家公務員に、使用者である国が一方的に不利益を強要するという違憲性は何ら変わりありません。
増税押し付ける
民自公3党が公務員給与の引き下げを主張するのは、大企業・大資産家減税などを続けるために、国民に消費税増税を押し付けるのがねらいです。「国も身を削ったから、国民も増税を受け入れてくれ」というわけです。
しかし、復興財源をいうのなら、不要不急の大型公共事業や原発関連予算、米軍「思いやり予算」、大企業・大資産家減税をやめるなどすれば財源は十分あります。
公務員給与削減法案とのたたかいは次の国会に持ち越されました。震災復興にも景気回復にも逆行する公務員の賃下げを許さない国民的な共同を広げていきたいと思います。