周産期、小児医療体制の充実のために

1)周産期医療の拡充のために 国立西埼玉中央病院と懇談
2)防衛医大病院の産科、小児科やめるな 防衛省に申し入れ
3)公立病院への財政措置の拡充を求める/国会で質問
4)24時間安心の小児救急医療体制の整備に全力



周産期医療の拡充のために 国立西埼玉中央病院と懇談

 2008年10月27日、柳下玲子県議と党市議団といっしょに、国立病院機構西埼玉中央病院(所沢市若狭)を訪ね、産前産後の診療を行う周産期医療や小児救急医寮の現状について竿代丈夫院長と懇談した。<リンク

 竿代院長は、都内で救急搬送を断られ続けた妊婦が死亡した問題にふれ、「医療機関のネットワークがしっかりしていたはずの東京都でも問題は起きた。埼玉県はその東京よりもはるかに遅れている」と語った。

 埼玉県には新生児集中治療室(NICU)などを備え、ハイリスク分娩(ぶんべん)に対応できる総合周産期母子医療センターが川越市の埼玉医大総合医療センターの1カ所(東京は9カ所)しかなく、比較的高度な医療を行える地域周産期母子医療センターは、東京の12カ所に比べ、酉埼玉中央病院を含めて5カ所にとどまっている。

 竿代院長は、埼玉県の周産期医寮が東京に頼っている現状や、医療機関の連携充実など課題を指摘。同病院としてNICUを増床する計画をあげ「地域の要望に応え、将来的には総合周産期母子医療センターにしたい」とのべた。

 病院の努力に応えられるよう全力をあげたい。





防衛医大病院の産科、小児科やめるな 防衛省に申し入れ

 2008年11月4日、防衛医科大学校病院(埼玉県所沢市)の産婦人科等の廃止・縮小が検討されていると報じられた問題で、柳下県議らとともに防衛省に対し廃止・縮小を行わないよう申し入れた。<リンク

 報道は、防衛省が2010年4月に防衛医大病院の独立行政法人化を進めていることに伴い、不採算部門の産婦人科や小児科、救命救急センターなどを廃止・縮小するというもの。

 防衛省担当者は報道を否定した浜田靖一防衛大臣の記者会見発言を示して「廃止も縮小も考えていない。むしろ拡大したいと考えている」と回答した。私は「防衛医大病院には、地域から二次救急医療(平日夜間及び休日の入院を必要とする救急)や周産期医療を担ってほしいという要望も寄せられている」と廃止・縮小ではなく充実をあらためて求めた。





公立病院への財政措置の拡充を求める/国会で質問

 2008年11月13日、衆院総務委員会で、公立病院の周産期、小児、救急医療の地方交付税措置の増額の問題をとりあげた。<リンク

 周産期医療、小児医療、救急医療の一般会計から病院会計への繰出額に対する(特別)交付税措置額の割合は、周産期医療43・7%、小児医療40・8%、救急医療28・7%ときわめて低い。総務省に設置された「公立病院に関する財政措置のあり方検討会」で「交付税の増額を政府に求めることで合意」との報道があるが、増額する方向かとただした。

 これに対して鳩山邦夫総務大臣は「充実する方向で議論が続いていると聞いている。交付税を増加する方向で努力していくことになるかなと思っている」と答弁。

 また、現在、総務省は病床利用率の低い公立病院に対し、交付税を削減する仕組みの導入を検討している。病床利用率が低い原因に医師不足などもある。必要なところに交付税措置額を増やすのは当然だが、その財源を病床利用率の導入などで浮かした交付税額で手当てするやり方は認められない。地方自治体の一般財政から必要なだけの繰り出しができるように、5・1兆円削減された地方交付税の復元、総額を増やすべきだ。

 鳩山総務相は「『三位一体改革』で減らされた地方交付税の復元にがんばりたい」と表明した。

 これまで、自治体が国立病院に対して負担金や寄付金を支出することは原則的に禁止されてきた。2008年3月に地方財政再建促進特措法施行令が改正され、支出の可能性が開かれた。同日の総務委員会で、この改正をとりあげ、具体的に、
1)二次救急の輪番体制に週一回参加している国立病院が、自治体の要請にこたえ、輪番を週2回に増やす場合
2)地域周産期母子医療センターを設置している国立病院が、地方公共団体の要請にこたえ総合周産期母子医療センターを設置しようとするとき
――などの事例について、国立病院は自治体からの寄付を受け取れるのか質問。鳩山総務大臣はいずれの場合も「受け取りは可能」とこたえた。たとえば国立西埼玉中央病院などへの自治体の補助金支出も可能となる。

 国立病院の拡充に国が責任をもつことは当然だ。一方、国立病院に補助を出して、地域医療を拡充させたいという自治体の工夫などは尊重されるべきだ。地方自治体から総務大臣に協議があった場合、速やかに同意するよう求めた。





24時間安心の小児救急医療体制の整備に全力

 2010年3月に都立清瀬小児病院の閉鎖が予定されている。県内近隣市のうち所沢市は、清瀬小児病院の利用者が最も多く、埼玉県における深夜間の診療体制が早急に求められている。

 所沢市民医療センターでは、すでに準夜間診療体制は確保しているが、2008年12月から深夜医療(22時以降)について、これまでの水曜日に加え、金曜日も実施することになり、24時間体制の小児救急が週2日に改善される。

 また、現在休日のみとなっている入間市と狭山市の小児初期救急診療が、来年度から平日夜間にも実施される見込みとなった。関係者のご努力に敬意を表したい。

 所沢市と狭山市と入間市でつくる医療圏の小児二次救急医療体制は、当番病院が週7日のうち3日間しか決まっていない。これは、本来初期救急の対象者である軽症患者が、二次救急医療機関に押し寄せていることも要因となっている。

 2008年9月、所沢市議会は、埼玉県に対し小児初期救急医療体制の整備に必要な役割を果たすことを求める意見書を採択した。この間、所沢保健所と所沢・入間・狭山の三市での「検討会」立ち上げなど、市民と議会の取り組みが小児救急医療体制の前進の契機となってきた。

 医師不足の解消、医療への財政措置の強化など国政上の課題が何よりも問われている。周産期、小児、救急医療体制の整備のために関係者と力を合わせてがんばりたい。