【内閣委員会】輸送機にミサイル搭載計画/戦火もたらす大軍拡撤回を

 自衛隊の輸送機にミサイルを搭載する計画が進んでいることを暴露。「憲法上保有できないとしてきた他国に脅威を与える攻撃的な兵器に他ならない」と強く批判しました。

 岸田内閣の進める防衛力整備計画において、スタンドオフミサイルの輸送機搭載システム等を開発・整備することが明記されています。その一端として、防衛装備庁は今年2月に「C-2輸送機用誘導弾等発射システムの開発に係るデータ取得役務」の公募を行いました。C2輸送機からスタンドオフミサイルを発射する容器を空中に投下された際にどのように落下するか等のデータを収集分析することが予定されています。

 私は、米空軍が開発中の「ラピッド・ドラゴン」について提示。

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 防衛省は「そういった諸外国の取組も調査する」と答弁。

 輸送機を改造することなく攻撃機化することができるものであり、極めて重大です。

 また、入間基地の火薬庫新設について質問。

 政府は「既存の火薬庫地区における立て替えであり住民説明を行う予定はない」と答弁。

 私は、実際には現行と異なる場所に作られることを示し、「民家との距離も変更される。地元住民への説明は最低限の責務」と迫りました。

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「議事録」

<第211回通常国会 2023年3月29日 内閣委員会 第9号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 岸田政権は、安保三文書に基づき、敵基地攻撃能力の保有とともに、五年間で四十三兆円の大軍拡を計画をしております。二〇二七年度にはGDP比二%、十一兆円に達する措置を講ずることを明記をしております。福祉や教育、暮らしを圧迫するこのような大軍拡は認められないと申し上げておきます。
 このような大軍拡を推進する防衛力整備計画では、早期、遠方から攻撃できるスタンドオフ防衛能力の保有を掲げ、大量のスタンドオフミサイルを導入しようとしております。
 さらに、防衛力整備計画では、スタンドオフミサイルの発射プラットフォームの更なる多様化のための研究開発を進めるとともに、スタンドオフミサイルの運用能力向上を目的として、輸送機搭載システム等を開発整備するとあります。
 このスタンドオフミサイルに係る輸送機搭載システムというのはどのようなものなのか。防衛装備庁は、C2輸送機用誘導弾等発射システムの開発に係るデータ取得役務の契約希望者の募集を行っている。何を行うんでしょうか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
 スタンドオフ防衛能力の強化におきましては、それを発射しますプラットフォームを更に多様化することによりまして、相手方に一層複雑な対応を強い、我が国への侵攻をより効果的に阻止、排除することが重要でございます。
 こうした観点から、今般策定いたしました防衛力整備計画におきましては、航空自衛隊の輸送機からスタンドオフミサイルを発射することが可能となる輸送機搭載システムを開発整備することとされております。
 このため、令和五年度予算におきましては、当該システムの実現可能性等について調査研究を実施するために、輸送機搭載システムに関します調査研究経費といたしまして約三十六億円を計上させていただいているところでございます。
 お尋ねのC2輸送機用誘導弾等発射システムの開発に係るデータ取得役務と申しますのはその一環でございまして、専門的な知見を有する事業者からデータ収集、分析の技術的な支援を得まして、防衛省といたしまして必要な各種試験データの収集、分析を実施するものでございます。
 具体的に申し上げます。航空自衛隊の主力輸送機でございますC2輸送機から、スタンドオフミサイルを発射する容器のようなものを空中に投下いたします。そうした環境を風洞の中で模型を用いまして模擬いたしまして、その容器が投下された際にどのように落下するか等に係るデータを収集、分析することを予定しているものでございます。
 以上でございます。
○塩川委員 輸送機について、スタンドオフミサイルを搭載、発射するシステムの実現可能性の調査研究を行っていくということです。
 輸送機ということでいえば、航空自衛隊の入間基地、美保基地、また小牧基地にありますが、輸送機のC2とC130が配備されております。
 先ほどC2の例示がありましたけれども、C2とともにC130についてもスタンドオフミサイル発射システムの調査研究を行っていくんでしょうか。
○茂木政府参考人 お答えいたします。
 先ほどお尋ねがございましたC2輸送機用誘導弾等発射システムの開発に係るデータ取得役務におきましては、まさにその題名にございますように、C2を対象にいたしまして、模型を用いて各種試験データの収集、分析を実施することといたしております。
 したがいまして、C130輸送機、先ほど御指摘ございましたけれども、この輸送機を対象にいたしましたデータの収集、分析というものは、今のところ予定しているところではございません。
 その上で、付言させていただきますけれども、防衛力整備計画において開発整備することとされております輸送機搭載システムにつきまして調査研究を実施する、今そういう段階でございますので、今後これをどういう機体に搭載するかということにつきましても調査研究の中で具体的に検討されていくものでございます。
 したがいまして、現時点でC130輸送機への搭載の可能性自体を排除するものではないということは付言させていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○塩川委員 C2は対象で、C130も排除されるものではないということであります。
 資料を配付させていただきました。アメリカでは、米空軍とロッキード・マーチン社が、輸送機からスタンドオフミサイルを投下、発射できるシステムであるラピッドドラゴンの開発を進めております。先ほど説明があったように、パレットに載せて、これを投下をして、そこからスタンドオフミサイルがエンジンを吹かせて飛んでいくということになるわけであります。C130やC17輸送機での実用化を図っております。
 調査研究に当たっては、このような米軍のラピッドドラゴンなども参考にするということでしょうか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
 米国のロッキード・マーチン社が米軍の輸送機C130等から長射程のミサイルを発射するためのシステムとされますラピッドドラゴンなるシステムの開発を進めているということは、私どもも承知をしておるところでございます。
 令和五年度から実施いたします輸送機搭載システムに関する調査研究におきましては、模型を用いて各種試験データの収集、分析を実施するほかに、ラピッドドラゴンといった諸外国の取組につきましても調査をいたしまして、今後の検討の資を得るべく努力してまいる予定でございます。
○塩川委員 米軍のラピッドドラゴンについても調査研究を行っていくということであります。
 物資や人員を運ぶことを目的とした輸送機が、改造することなく攻撃機化するということです。攻撃機能を持たない輸送機を攻撃機化するという点で、極めて重大であります。
 米軍の場合では、C130なら十二発、C17は三十六発ものJASSM、スタンドオフミサイルの搭載、運用可能だということも報道ではありましたけれども、このラピッドドラゴンで使用するスタンドオフミサイルは、どういうミサイルを想定しているんでしょうか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
 米国のラピッドドラゴンシステムにつきまして、私どもは開発の担当部局でもございませんので、このシステムがどういうミサイルを対象にしているのかということについて確定的にお答えすることは困難ではございますけれども、公刊情報で聞いている限りにおきましては、JASSMと言われるミサイルを搭載して運用することを目指して開発中だと聞いております。
 他方、私ども防衛省の方で今後調査研究していく輸送機搭載システムでございますけれども、まさに、令和五年度から二年かけまして、実現可能性も含めて調査研究をする段階でございまして、この成果を得られた後、開発への移行の適否などを判断していく、こういう段階でございますので、現段階でどういうミサイルを搭載するのかということにつきまして申し上げる段階にはないということを御理解いただきたいと思います。
○塩川委員 スタンドオフミサイルを搭載、発射をするシステムということですから、この間、一連の爆買いの中に、スタンドオフミサイル、たくさんメニューがそろっているわけです。
 米軍の場合については、JASSM―ERと言われる、射程が千キロと言われる長距離のミサイルを運用するということでの研究開発が行われているわけですけれども、当然、スタンドオフミサイルにはトマホークなども含まれるわけです。
 日本における研究開発においては、JASSMとかトマホークとか、選択肢としてはどれを選ぶか、特定のものを排除しているわけではないということでしょうか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど御説明いたしましたとおり、輸送機搭載システムから発射する具体的なスタンドオフミサイルにつきましては、今後の調査研究の中で具体的に検討されるものでございますので、現時点でお答えすることは困難でございますが、トマホークに関して申し上げれば、このミサイルはイージス艦に搭載することを計画しているものでございますので、このC2等、輸送機搭載システムに搭載することは今のところ念頭にあるわけではございません。
○塩川委員 この五年間、防衛力整備計画上の話ですので、その先というのはまたその先の検討でしょうから、そこでトマホークが排除されているわけではないということがあると思います。
 JASSMなどの長距離ミサイルを輸送機に搭載、発射するとなれば、広範囲が射程に入ります。政府が憲法上保有できないとしてきた、他国に脅威を与える攻撃的な兵器にほかなりません。過去、トマホークは、イラクやアフガニスタンなどでの対テロ先制攻撃戦争で米国が繰り返し使用してきた兵器であります。スタンドオフ防衛能力は、先制攻撃につながる敵基地攻撃能力の保有そのものだという点で、撤回を強く求めるものです。
 もう一つ指摘をしたいのが、火薬庫の新設の話であります。
 防衛省は、大量に導入するスタンドオフミサイル等の保管を想定した弾薬庫を、今後十年間で百三十棟建設する計画であります。防衛省は、火薬庫新設について、これまで地元説明を行ってまいりましたが、来年度の防衛省予算には入間基地の火薬庫新設も盛り込まれております。この入間基地の地元である狭山市や入間市、地元住民に説明はするんでしょうか。
○杉山政府参考人 お答えいたします。
 令和五年度予算においては、入間基地内において、既存の火薬庫の建て替えに係る経費を計上しておりまして、昨年十二月、関係する自治体、埼玉県入間市、狭山市でございますが、関係する自治体に対しまして、入間基地における令和五年度予算案の主要事業の内容として説明させていただいたところでございます。
 また、今回の火薬庫の整備につきましては、新たな用地取得を伴うものではなく、既存の火薬庫地区における建て替えであることから、現時点においては住民説明を行う予定はありませんが、引き続き、関係する自治体を通じ、様々な形で情報提供をさせていただく考えでございます。
○塩川委員 火薬類取締法では、火薬庫設置に当たっては、民家から離して設置するための保安距離が定められております。
 入間基地の火薬庫新設について、建て替えと言い換えているわけですけれども、建て替える場所というのは、現行の場所とは異なる場所に建て替えるわけですよね。それはそれでよろしいですか。
○杉山政府参考人 現在のもの、既存のものがありまして、代替として別な火薬庫地区に建てまして、既存のものを解体といいますか、撤去するということになります。
○塩川委員 ですから、ほかの場所に造るんですよ。そうしますと、民家からの保安距離が変わってくるわけなんです。そうなれば、こういった保安距離の要件との関係でも、地元住民の皆さんに説明するというのは行うべき最低限の責務ではないでしょうか。
 敵基地攻撃能力保有と一体に、スタンドオフ防衛能力の強化とかミサイルの大量保有のための火薬庫の新増設などが行われております。そういう点でも地元説明というのは不可欠であります。
 官房長官にお尋ねしますけれども、スタンドオフ防衛能力の開発や配備が進められ、また、そのための火薬庫の新設などが大量に見込まれております。政府は、このような敵基地攻撃能力の保有について、相手国の報復攻撃で日本に大規模な被害が生じる可能性も完全に否定できないと予算委員会でも述べております。日本に戦禍をもたらすことになるようなスタンドオフ防衛能力推進、大軍拡は撤回をすべきではありませんか。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
 今般、政府としては、スタンドオフ防衛能力等の自衛隊の能力を活用して反撃能力を保有することとしました。
 反撃能力保有の目的は、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力であり、これにより、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると考えています。
 このように、反撃能力は国民の命や暮らしを守り抜くためのものであり、御指摘のように、日本に戦禍をもたらすものではないと考えております。
○塩川委員 他国に脅威を与えるような攻撃的な兵器にほかならない、専守防衛の原則を投げ捨てるような軍拡はやめるべきだと申し上げて、質問を終わります。