【内閣委員会】国交省の天下り問題/ナンバー2の国土交通審議官に確認すらせず

 国土交通省の元事務次官である本田勝氏らが、同省と利害関係のある民間企業「空港施設」の人事に介入した問題をただしました。同省は事務方ナンバー2の国土交通審議官に聞き取りすらしていないなどずさんな調査が浮き彫りとなりました。

 同省は4日、国土交通委員会理事会に、現職職員による再就職のあっせんと、OBから同省への働きかけ、いずれも「確認できなかった」との報告書を提出しています。

 私は、聞き取りは国土交通審議官からも行ったのかと質問。

 国交省は「確認は行っていない」と認めました。

 私は、2011年にも、当時国土交通審議官だった宿利正史氏が天下り人事の差配をし、13年に違法性が認定されていることを指摘し、その国交審議官に確認すらしないで「まともな調査と言えるのか」とさらなる調査を要求。

 国交省は「調査の対象は適切だ」と調査を拒否しました。

民間企業への再就職状況に関する回答状況↑ クリックで拡大

 私は、本田氏が2011年当時、官房長として、実際には違法だった天下りを「シロ」だとする報告書に関与した人物であることは重大だと指摘するとともに、国交省は日本共産党が要求してきた天下りに関する資料に2019年以降未回答を続けているとして「国交省は天下りを是正するつもりがない」と批判。

 OBの人事に口を挟めば違法となるため表立って動けない現役幹部に代わって「OBを介して天下りのあっせんを行っていることが当然想定される」と強調し「徹底調査を行え」と追及しました。

 松野官房長官は「一般論として法規制の対象に当たらないOBについて、国交省として調査する立場にない」と答えました。

 私は、国交審議官への聞き取りを含めた徹底調査を求めるとともに、天下りそのものを禁止せよと主張しました。

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「議事録」

<第211回通常国会 2023年4月7日 内閣委員会 第11号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、国交省の幹部OBが国交省と利害関係のある民間企業、空港施設の人事に介入した問題について質問をいたします。
 国交省にお尋ねしますが、国交省作成の、国土交通委員会の理事会に提出した説明ペーパーの中に、国土交通省幹部職員への確認とありますけれども、どの幹部に確認したのか。この確認したという幹部職員が誰かをまず教えてもらえますか。
○加藤政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、三月二十九日、これは新聞報道が出る前ですけれども、三月二十九日に朝日新聞からの取材がございました。これを受けて……(塩川委員「幹部職員が誰かだけ答えて」と呼ぶ)はい。
 実は、三回、確認行為を行ってございます。
 今申し上げた取材を踏まえまして、航空局内で関与の有無を確認するとともに、翌日の三十日の新聞報道を踏まえ、国土交通大臣から事務次官へ、そして事務次官から官房長や航空局長へ、さらに大臣官房人事課長からその他の関係幹部へ、関与の有無を確認しております。
 さらに、四月二日に新聞報道が出たことを踏まえまして、大臣官房人事課長より、報道に名前が出てきました山口氏が空港施設株式会社の代表取締役に就任した時点の航空局長など関係幹部、さらに、空港施設株式会社に入社して以降の東京航空局長経験者、これらの方々へ関与の有無を確認しているところでございます。
○塩川委員 国土交通審議官、省名審議官とかには確認されたんですか。
○加藤政府参考人 お答え申し上げます。
 審議官についてお尋ねがありましたけれども、三月三十日におきましては、先ほど大臣から次官、次官から官房長と申し上げましたけれども、そのほか、大臣官房人事課長から航空局の本省部長級、審議官級の三名、さらに、本省課長級の六名に対して、関与の有無を確認しているところでございます。
 さらに、四月二日の新聞報道を踏まえまして、改めて、先ほど申し上げた山口氏が空港施設株式会社の代表取締役に就任した令和三年五月時点での航空局長、航空局の本省部長、審議官級の三名、さらに、本省課長級の六名、加えて、山口氏が同社に入社した令和元年十二月以降の東京航空局長経験者、この方々に対して関与の有無を確認したところでございます。
○塩川委員 省名審議官に確認したのかということを、もう一回、ちゃんと答えてよ。
○宮路委員長代理 加藤総括審議官、端的にお答えいただけますか。
○加藤政府参考人 国土交通審議官に対しましては確認は行っておりません。
○塩川委員 私、国交省の天下り問題は、二〇一一年のときにこの内閣委員会で何度か取り上げたことがあります。国交省が組織的に天下り人事を行っているということを告発しました。その後、二〇一三年に再就職等監視委員会が違法認定をいたしました。
 どういった案件だったのか、説明をいただけますか。
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の事案につきましては、二〇一一年当時、国土交通審議官であった職員が、ある二つの団体の理事長に対し、当該団体の役員ポストが空くかどうかの情報提供を依頼し、また、うち一つの団体には、国交省の元職員が無職であろうとの情報を提供したことなどが認められたものでございます。
 こういった行為が、元職員を再就職させる目的で、営利企業等の地位に関する情報提供を依頼したり、当該者に関する情報を提供することなどを禁ずる国公法第百六条の二第一項の規定に違反する行為に該当すると認定されたものでございます。
 以上でございます。
○塩川委員 再就職規制、国公法違反が認定される二件、そういったことを明らかにしたということですけれども、そのときに、では、誰がやったかというと、省名審議官だったわけですよ、国土交通審議官。つまり、そのときの旧運輸省のトップが実際に旧運輸省系の天下り人事を差配をしていたといったことが違法に問われたわけであります。国土交通省の事務次官を務めた宿利正史氏が国土交通審議官のときに、元幹部職員の天下りで口利きを行ったとして、政府の再就職等監視委員会が国公法違反と認定した案件であります。
 私は、玉突き人事ですとか、こういった人事について調査と、天下りそのものの禁止を求めてきたところですけれども、そこで、国交省OBの副社長を社長にするよう求めたという本田勝元事務次官ですけれども、旧運輸省出身で、二〇一一年の私の質問当時は官房長だったと思いますが、それでよろしいですか。
○加藤政府参考人 お答え申し上げます。
 大変申し訳ありません、事前に御通告いただいておりましたので、本田の経歴の詳細については、今、手元に用意してございません。
○塩川委員 二〇一一年のこの不祥事を私が質問したときに、国交省として報告書を取りまとめているわけですよ。そのときに、二〇一一年の九月から官房長だったのがこの本田勝氏ですから、その関わりについては承知していないんですか。
 この報告書がどういう中身かということは、事前にも要請しているわけですけれども、それについて答えてもらえますか。
○加藤政府参考人 お答えいたします。
 平成二十三年二月そして三月にかけてなされました、委員御指摘の、当時在職中であった国土交通審議官による言動が国家公務員法で禁止された再就職のあっせんに該当するのではないかという点、これにつきまして、平成二十三年八月から十一月にかけまして、国土交通省において国土交通副大臣を委員長とする調査委員会を設置いたしまして、当事者からヒアリング等を通じた調査を行ったところでございます。
○塩川委員 副大臣をトップにした調査委員会、その際に取りまとめた報告書、これは当然、官房長だった本田勝氏が関与していますよね。
○加藤政府参考人 平成二十三年八月から十一月にかけて行われました調査、その結果につきまして、省内の幹部で共有されているものと考えております。
○塩川委員 当然、官房長ですから、人事について統括しているわけで、こういった調査委員会をやっていた人なんですよ。
 本田勝さん自身が、その後、省名審議官、国土交通審議官にもなり、事務次官にもなっているんです。二〇一一年の案件で、二〇一三年に再就職監視委員会で違法が認定された際、その二件に関わっていた宿利氏に次いで、旧運輸省畑で、その後、事務次官に上がったというのが本田勝氏なんですよ。旧運輸省関係の人事をいわば統括をする、こういう立場でやってきた方であって、そういった人が今回名前が出ているというところについて、やはり深く関与があるんじゃないかということを考える必要があると思うんです。
 二〇一一年の事件のときには、旧運輸省のトップの省名審議官が実際に差配をしていた。今回の案件について、現役はどういうふうに関与していたかということがきちっとまず確認されなければいけないのに、現役職員の国交審議官、旧運輸省畑の人を含めて調査もしていないんですから、これでまともな調査と言えるのかということがあるわけであります。
 ですから、そもそも二〇一一年当時の調査そのものが極めて問題があった。つまり、二〇一一年当時、二回質問をして、それぞれ国交省が調査を行って報告を出したんですが、その二回とも、当然のことながら、国交省としては白という結論だったわけです。それなのに、二年後に、少なくとも再就職監視委員会はそのうちの二件について違法を認定するということだったわけですから、こういった調査報告、黒だったものを白と認定したような調査報告を取りまとめた中心にいたのが本田勝氏だったということも、リアルに見ておく必要があると思います。
 国交省のこの白という結論は再就職監視委員会の調査結果で覆されたわけでありまして、本田氏を始め、国交省がまともな調査をするつもりがなかったということが、ここに示されているということが言えると思います。
 その上で、資料をお配りいたしました、各省の再就職、天下りなど、人事に関する予算委員会要求資料、日本共産党として毎年要求しておりますけれども、見ていただきましたように、この再就職、天下り状況に関する資料について、未回答の役所というのが幾つか残されているわけであります。
 それを見ると、国土交通省については、二〇一九年以来ずっと未回答のままを続けているわけであります。これは国会の行政監視の発揮に当たって極めてゆゆしき問題だと思っておりますが、何でこんなふうに未回答なんですか。
○加藤政府参考人 お答え申し上げます。
 本件につきましては、資料要求の対象期間が過去十年となっておりました。一方で、国土交通省における職員の退職後の民間企業等への再就職の届出に関する資料の保存期間、これは一定期間、三年に限られているというところでございます。こうしたことを踏まえますと、要求への対応が困難でございますので、提出を行っていなかったと承知しております。
 一方で、保存期間内のものについては、提出は可能でございます。このため、今後、同旨の資料要求がなされた場合には、要求者の御了解をいただけるということを前提に、しかるべき対応を図ってまいりたいと考えております。
○塩川委員 そんな説明を一言もしないで、未回答のままなんですよ。これは誠実な対応だと言えるんですか。ほかの役所は出しているんだから。なぜ出せないのかといったことについて、こうすれば工夫ができますとか、この点があるのでお答えがなかなか困難ですとか、そういうことも何にもなしに、未回答のままでずっとやっている。このこと自身が、まともに、こういった天下りについて明らかにするつもりがない、要するに隠したいと思っているんじゃないのかということを言わざるを得ません。
 それで、官房長官にお尋ねしますけれども、私、今回の事件を考えたときに、要は、これまで、現役の方が、トップの幹部が実際に天下りを差配をしていた、それをこういった形で違法性が問われたものですから、直接現役が表立って動けないということをもってOBを介して行っているんじゃないのか、こういうことが当然のことながら想定をされるわけであります。
 現役幹部がOBの人事に口を挟めば違法となる。そのため、現役幹部の代わりに幹部OBが天下りに関与しているのではないのか。こういったことについて、この資料を出すことを含めて徹底調査すべきだと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
○松野国務大臣 塩川先生にお答えをさせていただきます。
 空港施設株式会社の件につきましては、一般論として、法規制の対象に当たらないOBの行動について、国土交通省としては調査する立場になく、またその権限も有しないところでありますが、国土交通省が関与しているという誤解を招きかねないものであることから、国土交通大臣の指示の下、本田元国土交通事務次官及び山口元東京航空局長の両名に対し具体的かつ詳細な聞き取りが行われ、その結果、現役職員の関与が疑われる事実は確認できなかったものと承知をしています。
 さらに、関係する部門の幹部職員に対して確認を行った結果、現職職員による空港施設株式会社への再就職のあっせん、OBから国土交通省に対する働きかけのいずれについても確認できなかったと聞いています。
 いずれにせよ、引き続き、国土交通省において適切に対応していくことが重要であると考えております。
○塩川委員 国土交通審議官がOBに働きかけしたかどうか、確認していないんですよ。それぐらい、確認しろという指示、出せませんか。
○宮路委員長代理 既に持ち時間が経過しておりますので、最後、加藤総括審議官。
○加藤政府参考人 お答えします。
 今般の調査の対象につきましては、空港施設株式会社の役員人事に係るあっせんを行い得る者、あるいは、空港施設株式会社、当時の代表取締役である山口氏から不当な働きかけを受け得る者として、一般的に想定し得る者を調査対象としたところでございます。今回の報道を踏まえた調査の対象としては適切であると考えております。
○塩川委員 かつては国交審議官が天下りに関与していたということが違法だと問われたわけですから、そういった対象の人をしっかり調べるのは大前提でありますし、そういう調査を求めるとともに、天下りあっせん禁止ではやはり駄目なんですよ。天下りそのものを禁止することが求められていると思いますし、少なくともOBを介した再就職あっせんは禁止をすべきだということを求めて、質問を終わります。