【本会議】保険証人質にマイナカード強要許されない/プライバシー侵害の危険性高める

 健康保険証を廃止してマイナンバーカードに置き換えようとするマイナンバー法等改正案が審議入りしました。

 私は「保険証を“人質”に、窓口負担を増やしてまで、マイナカードの取得・利用を強要することは許されない」と批判しました。

 法案では、保険証を廃止し、マイナカードで保険資格を確認することができない人には「資格確認書」を発行するとしています。

 私は、資格を有することを示す保険証を被保険者に届けることは国・保険者の責務だと指摘。申請交付のマイナ保険証と資格確認書に置き換えるのは「責任放棄であり、国民皆保険制度を揺るがすものだ」と迫りました。

 加藤厚生労働大臣は「マイナ保険証には多くのメリットがある」としか答弁しませんでした。

 私は、法案がマイナンバー利用を「すべての行政分野において推進する」としており、社会保守・税・災害対策の3分野に限定している現行制度の仕組みを大きく変えるものだと指摘。プライバシー侵害の危険性を一層高めるものだと批判しました。

 また、私は、年金受給口座を手始めに、本人が「不同意」としなければ自動的にマイナンバーと紐づける特例が盛り込まれたことは、本人「同意」の原則から180度の転換であり、制度への国民不振が一層高まると強調しました。

 河野デジタル大臣は「本制度の周知徹底をはかることを予定している」などと答弁するだけでした。

 さらに、私は、デジタル化推進のために戸籍などに「氏名の振り仮名」を追加する問題も取り上げ、人格を象徴する氏名・読み方は尊重されるべきだと主張。

 改めて、マイナンバー制度の廃止を強く求めました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


質問の要旨は以下の通りです

 日本共産党を代表してマイナンバー法等改正案について質問します。

 まず、健康保険証廃止の問題です。

 国民の大きな反対の声があるにもかかわらず、本案は、保険証を廃止し、マイナンバーカードに置き換えようとするものです。

 資格を有することを示す保険証を、被保険者に届けることは、国・保険者の責務です。マイナ保険証も本案で創設される「資格確認書」も、本人からの申請に応じた交付です。保険証を廃止して申請交付とすることは、国・保険者の責任放棄であり、国民皆保険制度をゆるがすものです。

 本案は、マイナ保険証も資格確認書も持たない人に、不利益をもたらすことになるのではありませんか。

 そもそも、マイナカードの取得は、義務ではなく、希望者のみではありませんか。保険証を“人質”に、窓口負担を増やしてまで、マイナカードの取得・利用を強要することは、許されません。

 医療関係者は、オンライン資格確認システムについて「医療機関の経済的負担やデータ漏えいリスク負担」の危惧を訴えています。高齢者・障害者施設からは「マイナ保険証と暗証番号の管理や資格確認書の申請管理が困難」との声が上がっています。これらの声をどう受け止めているのですか。

 マイナ保険証利用の押し付け、保険証の廃止は撤回すべきです。答弁を求めます。

 次に、マイナンバー制度拡大の問題です。

 マイナンバー制度は、政府が住民一人ひとりに生涯変わらない番号をつけ、多分野の個人情報を紐づけるものです。プライバシー侵害のリスクが避けられません。

 それ故、現行制度は、社会保障・税・災害対策の3分野に限定し、利用する事務・情報連携も法律で規定し、マイナンバーを含む個人情報の収集・保管は本人同意があっても禁止しています。こうした厳格な縛りは、国民総背番号制導入やプライバシー侵害に対して国民の批判があったからではありませんか。

 にもかかわらず、本案は、基本理念の中で、マイナンバー利用を、3分野に限定せず、全ての行政分野において推進するとしています。マイナンバー利用の対象に理美容師・教員・調理師等の国家資格の事務等を追加し、さらに法定事務に「準ずる事務」や、条例で措置した自治体事務は法定することなく、マイナンバーを利用できるとしています。

 マイナンバーの情報連携は、法定から外して「法改正なし」とし、国会審議もなしに拡大できるようにしています。

 これは、マイナンバー制度の仕組みを大きく変えるものであり、プライバシー侵害の危険性を一層高めるものではありませんか。答弁を求めます。

 マイナカードの「本人確認」も問題です。

 政府は「交付の際に市町村で厳格な本人確認を行う」「利用には暗証番号か顔認証が必要である」と安全性を強調してきました。ところが、本案では、マイナカードの「直接交付」の規定を緩め、2回目以降の「暗証番号入力」なしを認めるとしています。

 マイナカード普及のために、安全確保策を後退させるものではありませんか。

 また、公金受取口座登録の特例も問題です。

 本案は、年金受給口座を手始めに、本人から「不同意」との回答がなければ、自動的にマイナンバーと紐づける特例を盛り込んでいます。これまでの本人同意「あり」の原則から180度の転換ではありませんか。

 このようなやり方では、制度に対する国民の不信は一層高まるものです。

 最後に、デジタル化の推進のために盛り込んだ、戸籍等の「氏名の振り仮名」の問題です。

 本案は、氏名の振り仮名は「一般に認められている」読み方に限るとしています。これでは、行政が「一般的な読み方」の審査を行うことになります。命名に介入することは許されません。

 また、現在戸籍に記載されている人の「振り仮名」は、本籍地市町村長が記載するとしています。本人が知らない間に、現に使っているものとは違う「振り仮名」となる可能性があるのではありませんか。

 氏名は個人の人格を象徴するものであり、その読み方は尊重されなければなりません。

 マイナンバー制度は廃止すべきだと申し述べ、質問を終わります。