【内閣委員会】日本学術会議/政府検討の改正案/会員選考に総理直属組織の有識者関与か

 政府が、提出を検討している日本学術会議法改正案として、会員選考に総理大臣の意を受けた有識者が関与する案を示している問題を追及しました。

 内閣府が4月5日に日本学術会議幹事会に説明した改正案の資料では、会員選考のルールや人選に意見を述べる選考諮問委員会の委員を選ぶ際に「関係機関と協議」が必要としています。

 私は「関係機関とはどこか」と質問。

 内閣府は参考事例として「総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)」をあげました。

 私はCSTIの議長は総理大臣であることを確認し、「総理が指名したCSTIのメンバーが、学術会議の会員候補選考を左右する選考諮問委員会の人事に深く関与することになるのではないか」と質問。

 後藤茂之担当大臣は「総理の関与はないという前提だ。一般論として、(CSTIの有識者が)一人の有識者として自らの経験や識見に基づき判断されることだ」と答弁。

 私は「総理直属の司令塔組織であるCSTIの下に学術会議を置くようなものだ」と批判。

 後藤大臣は「学術会議幹事会でも様々な意見・懸念が出されていることは受け止めたい」としつつ「政府案は透明性を高めるためのものだ」と答弁しました。

 私は会員選考の透明性を言うなら、政府による6人の会員候補の任命拒否こそ不透明そのものだと批判。任命拒否の撤回と法案を提出しないよう求めました。

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「議事録」

<第211回通常国会 2023年4月14日 内閣委員会 第13号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、まず、学術会議法案について質問をいたします。
 政府が今国会に提出を予定している日本学術会議法案については、厳しい批判の声が寄せられております。ノーベル賞受賞者とフィールズ賞受賞者の皆さんが、「日本学術会議法改正につき熟慮を求めます」という声明も出されています。その中では、「今回の法改正が、学術会議の独立性を毀損するおそれのあるものとなっていることに対し、私たちは大きな危惧を抱いております。」「政府は性急な法改正を再考し、日本学術会議との議論の場を重ねることを強く希望します。」、このような声明の内容について、重く受け止めるべきであります。
 そこで、学術会議の選考ルールの制定や会員候補選考に深く関与する権能を持つ選考諮問委員会についてお尋ねをいたします。
 配付資料で、これは内閣府が学術会議の幹事会で説明された資料で、学術会議のホームページにもアップをされているものですが、内閣府の日本学術会議法の見直しの検討状況によると、二枚目の表、横長の方ですが、上の枠囲みのところに、下の方は青い字で書いてありますけれども、選考諮問委員は、科学に関する知見を有する関係機関と協議の上、会長が任命するとあります。
 この関係機関とは何を想定しているのかについて御説明ください。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、政府において進めております見直しは、コオプテーション方式を前提として、会員、連携会員以外の声も聞きながら幅広く、バランスよく選考を進めていく、そういう、学術会議が自ら現在進められている自主的な改革の考え方を踏まえて、国民の信頼確保という観点から、それに制度的な透明性を確保するための枠組みを与えよう、そういうものでございます。
 御指摘の選考諮問委員会については、お示しいただいた紙の中身、これ自体はまず検討中という前提でお渡ししたものでございますけれども、学術会議が国民から理解され、信頼される存在であり続けるためには、会員などの選考が透明なプロセスで行われることが必要だろうというふうに考えております。したがって、会員等以外の有識者から成る選考諮問委員会を学術会議の中に設置して、会員などの選考に関する規則、選考について意見を述べるということによって、コオプテーション方式を前提としながら、選考プロセスの透明化を図ろうとしているものでございます。
 選考諮問委員会の委員、ここも検討中でございますけれども、その紙にございますとおり、科学に関する研究の動向、これを取り巻く内外の社会情勢、あるいは、産業若しくは国民生活における科学に関する研究成果の活用、そういったことについて広い経験、高い識見を有する方の中から、会員選考に必要な知見を有する人を選んでいく。それは、御指摘のとおり、学術会議の会長が科学に関する知見を有する方と協議して任命するということでございますので、まず、政府が何かプロセスに介入するというようなことは考えておりません。特段、独立性に変更を加えるというようなつもりもございません。
 済みません、長くなりました。
 その上で、御指摘の選考諮問委員会の任命に当たっての協議先でございます。この点についてもまさに現在検討中でございまして、現時点で申し上げることはできませんけれども、御存じのとおり、平成十六年に学術会議法を改正したとき、このときは、選考プロセスを変えましたので、初回の会員選考を行うために日本学術会議会員候補者選考委員会というものを設置いたしました。それで、その委員会の委員の人選は、客観性、公平性を確保するために、そのときも、科学に関する知見を有する総合科学技術会議の有識者議員、それから日本学士院の院長、そのお二人に学術会議会長が協議して任命したというふうに承知しております。そういった例も参考にしながら、今、検討しているところでございます。
 直接申し上げられなくて申し訳ございません。よろしくお願いします。
○塩川委員 配付資料の一番後ろですよね。今、最後に説明された、日本学術会議法の附則の第四条のところに、コオプテーションにする、その前段階のときに会員を選ぶ際に、初回の会員選考に当たってこういったスキームを設けたということですけれども、その際に、日本学士院の院長もありますけれども、総合科学技術会議の議員のうちから総合科学技術会議の議長が指名するものということになっておりました。
 こういうのが一応は念頭にあるという説明を学術会議の方にはされたということですかね。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおり、こういった例も参考にしながら検討している、そういうふうに御説明いたしました。
○塩川委員 参考にしながらということですから、これが念頭の一つにあるということであります。
 会長が協議を行う関係機関とは、総合科学技術会議の議員のうちから総合科学技術会議の議長が指名するものを想定しているということで、これは、現在の総合科学技術・イノベーション会議、CSTIのメンバーを想定しています。
 CSTIの議長というのはどなたになるんでしょうか。
○奈須野政府参考人 お答え申し上げます。
 総合科学技術・イノベーション会議の議長は内閣総理大臣となっております。
○塩川委員 大臣にお尋ねします。
 総理大臣が議長であるCSTIのメンバーが、学術会議の会員候補選考を左右する選考諮問委員会の人選に深く関与する、こういうことを政府としては想定しているということでよろしいでしょうか。
○後藤国務大臣 今、政府参考人から答弁したとおり、選考諮問委員の任命に当たっての協議先については、平成十六年の例も参考にしながら現在検討しているところでありますから、現時点でお答えできないことについては御理解をいただきたいと思います。
 また、選考諮問委員会の委員については、繰り返しになりますけれども、科学に関する研究の動向及びこれを取り巻く内外の社会経済情勢、産業若しくは国民生活における科学に関する研究成果の活用の状況、科学の振興及び技術の発達に関する政策に関し広い経験と高い識見を有する者の中から、会員選考に必要な知見を有する人を、学術会議会長が科学に関する知見を有する者と協議の上任命することとしておりますけれども、現在検討中のプロセスにおいて、内閣総理大臣が委員の選考に関与するという考えはありません。
○塩川委員 この選考諮問委員会というものの権能として、選考に係る規則の制定、学術会議側の規則ですよね、並びに会員候補者の選考及び連携会員の任命の際に、あらかじめ同委員会に諮問するとなっています。
 つまり、会員選びのルールを作る点、あるいは実際の会員候補者の選考に当たって、あらかじめ選考諮問委員会に諮問するということですから、そういう点でも深く会員候補選考に関与するというのが政府のこの選考諮問委員会の中身であって、その選考諮問委員会、五人と想定しているメンバーを選ぶ際に、会長が任命するとは言いますけれども、ここにあるように、CSTIのメンバーの意見、これをしっかり把握する、こういった、協議の上となっているわけであります。そこのところが非常に大きな重みとなって、学術会議側に関わってくるということになります。
 ですから、参考にと言いますけれども、具体の例示としてはCSTIになっているわけですから、内閣府のホームページを見ますと、CSTIは、内閣総理大臣のリーダーシップの下、科学技術・イノベーション政策の推進のための司令塔として、我が国全体の科学技術を俯瞰し、総合的かつ基本的な政策の企画立案及び総合調整を行っているとあります。
 総理をトップとする司令塔の役割を果たす政府機関のメンバーが学術会議の会員候補の選考にいわば深く関与、介入するものであり、そのことが学術会議の独立性を侵害するものとなるのではありませんか。
○後藤国務大臣 内容については先ほど申し上げたとおりで、あくまで、平成十六年のときにはこういう方たちに協議をしながら扱ったことがあるということを一つの参考としながら、しかし我々は内閣総理大臣が委員の選考に関与するという考えはないということを前提に、今、制度を検討しているところであります。ですから、こういう内容がそのまま決まりそうだという前提に立ってのお話についてはお答えをすることはできないと申し上げております。
 一般論として申し上げるとすると、例えば、政府が任命する審議会の委員等が選考諮問委員の人選に当たって協議を受けることになる場合であっても、一人の有識者として自らの経験や識見に基づいて判断されることとなると考えております。
 学術会議の会員についても、総理が任命するものではありますけれども、政府から独立して職務をしっかりと行っていただいているのではないかというふうにも思っております。
○塩川委員 学術会議は、我が国の科学者の内外に対する代表機関であり、独立して職務を行うとあります。いわば、政府の審議会のように政府が求める特定の任務、目的に基づいて議論する会議体とは根本的に違います。その違いの大本にあるのが会員の選考方法、コオプテーション、これに対して、外から介入する仕組みとなりかねないというのが今回の出されている法案で政府が説明している中身だということが極めて重大だということであります。
 CSTIで学術会議の在り方の議論をしたときに、CSTIのメンバーの皆さんは、当然、学術会議の梶田会長もメンバーで途中から入っているわけですけれども、梶田会長を除けば、政府の学術会議法改正案について誰も反対をする立場に立っていない、政府案に同調する立場だったという点も看過することができません。やはり総理直属の司令塔組織であるCSTIの下に学術会議を置くようなもので、学術会議を政府の下請機関にしようとするものと言わざるを得ません。法案への批判が広がるのは当然であります。
 学術会議の理解も得られていない、こういった法案はそもそも出すべきではないのではありませんか。
○後藤国務大臣 学術会議あるいは五日の学術会議の幹事会においても様々な御意見や御懸念が示されていることはしっかりと受け止めておりますし、そうしたことも踏まえて検討しなければならないというふうに思っております。
 学術会議の見直しについては、ただし、学術会議においてもそれぞれ、学術会議自身で、様々な関係者との議論を通じて、令和三年四月の、より良い役割発揮に向けてを取りまとめて、これに基づいて自主的な改革を進めているところであると承知をいたしております。
 政府において検討を進めている見直し法案は、学術会議が現在自主的に進めておられる考え方を踏まえた上で、国民の信頼確保という観点から、それに制度的に透明性を確保するための枠組みを与えようとするものだというふうに考えております。
 選考プロセスについて申し上げれば、選考諮問委員会の委員も会長が任命し、意見尊重義務はありますけれども、最終的に会員候補者を推薦するのは学術会議であるということであります。
 また、諸外国のアカデミーが独立した民間団体でありながら国を代表する地位を認められ、国から財政的支援を受けることを含めて、国民に説明できるよう運営されているのと異なりまして、日本の学術会議は、主要先進国では唯一、国費で賄われる国の機関として独立して職務を行っている、そういうことでありますから、国民の信頼に応えるような、そういう透明なプロセスで行われる会員の選考等の改革は必要なことなのではないか、そのように考えております。
 いずれにしても、今国会に提出をしたいということで考えておりますけれども、一層丁寧に学術会議に御説明し、十分に意見を聞きながら、検討を進めていきたいと考えております。
    〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕
○塩川委員 会員選考プロセスの透明性の向上ということを理由としているわけですけれども、透明性の向上というんだったら、政府が行った、政府による六人の会員候補の任命拒否こそ、不透明そのものなんですよ。そのことについて何らの説明もしないでこういう法案を出すこと自身がけしからぬと言わざるを得ません。ですから、政府がやるべきことは、このような法案を出さない、そして、そもそも任命を拒否したこの六人について直ちに任命する、このことを強く求めるものであります。
 学術会議については以上でありますので、大臣は退席いただいて結構であります。
 次に、環境省にお尋ねをいたします。
 環境省が行っている原発事故由来の除染土再生利用実証事業についてお尋ねをいたします。
 所沢では、近隣の地元町会も反対の決議を上げました。所沢の市議会も反対の決議を上げました。市長も、地域住民の理解がなければ分かったとは言わないと述べております。地域の理解は全く得られておりません。撤回すべきではないでしょうか。(小林副大臣「委員長」と呼ぶ)
○藤井委員長代理 ちょっと待ってください。(塩川委員「委員長、ちょっと止めてくださいよ、だったら、時間。止めてよ」と呼ぶ)
 速記を止めてください。
    〔速記中止〕
○藤井委員長代理 速記を起こしてください。
 内閣府笹川室長。(塩川委員「求めていませんよ。答弁を求めていないんだよ」と呼ぶ)先ほどちょっと手を挙げておられたので、済みません。
○笹川政府参考人 ファクトに関する、事実関係に関する御説明がございますので、一言申し上げます。
 先ほど、塩川先生から、CSTIの政策討議についての言及がございました。
 その中で、CSTIは、梶田会長を除いて、政府案に賛成であったというたしか御指摘がございましたので、一言だけ申し上げさせていただきます。
 このときのCSTIの議論は、政府が何か政府案を提出して審議をお願いしたわけではなく、幅広い視点から自由に御議論いただくということで、一年近く議論をしてきたものでございます。
 したがって、梶田会長以外賛成だったというのは若干不正確、不正確と言っては失礼ですが、補足した方がいいかなと思って、済みません、手を挙げた次第でございます。
 以上です。
○塩川委員 反対の意見を述べていないということを言ったんですよ。考え方についての議論をやっていたんだから、それについて、政府と立場が異なるような発言がその中に出てこないということを議事録を見て言っているわけですから、そんなことについて、聞いてもいないのにしゃしゃり出てくること自身がおかしいと、この場で強く抗議いたします。
○小林副大臣 塩川委員にお答えをいたします。
 環境調査研究所で計画をしている実証事業に関して、周辺自治会において実証事業に反対する旨の決議がなされたこと、また、所沢市議会において、住民合意のない実証事業は認めない旨の決議がなされたことは承知をいたしております。
 環境省としては、これまでにいただいた様々な御質問や御意見について、引き続き、丁寧にお答えをしていく姿勢に変わりはございません。
 以上です。
○塩川委員 環境省が福島県内で実証事業を計画した二本松市の原セ地区では、事業が中止となっております。原セ地区の事業について、福島地方環境事務所が出した地区住民へのお知らせ文書には、事業着手ができない理由について、説明会において風評被害への懸念など多数の御意見をいただいたため、現時点で事業着手できておらず、計画どおりの工程を進めることが困難となりました、地元の御理解をいただくことが重要であることから、受注者との契約についても解除に向けて調整と述べております。
 このように二本松市で事業が取りやめとなったのは、近隣住民の方から反対の声が上がったからということではありませんか。
○小林副大臣 お答えいたします。
 環境省では、二本松市内に仮置きをされていた除去土壌を二本松市道の整備に再生利用する実証事業ができないか、二〇一六年から検討しておりました。お述べのとおり、周辺住民に対して複数回の説明会を実施いたしましたが、風評被害への懸念など多数の御質問などをいただきましたが、当時はまだ再生利用の実証事業の前例がなく、御理解いただける具体的なデータをお示しできなかったということであります。
 一方、同時期に飯舘村長泥地区でも実証事業を検討しており、そちらの受入れ環境が整ったことから、まずは長泥の案件を優先して実施をし、二本松の案件については見送ることとして、その旨を地元の方々にお知らせをしたということであります。
○塩川委員 風評被害への懸念など多数の意見が出て、地元の御理解をいただくことが重要という立場だから、結果としてやらなかったんですよ。であれば、環境省が実証事業を計画している所沢も、新宿御苑も、またつくばにおいても、みんな住民から反対の声が上がっているわけで、住民の理解が得られない計画は撤回をすべきだということを強く求めて、委員長の裁きは納得のいくものじゃありません、そういったことを改めて抗議をしまして、質問を終わります。