【倫理選挙特別委員会】ネット上もリアル社会でも選挙運動の自由化を

 選挙運動等についての自由討議が行われ、塩川鉄也議員が意見表明を行いました。

 2013年参院選からインターネット利用の選挙運動が可能となりましたが、有権者個人はメールでの選挙運動はできません。

 私は、当時、日本共産党が有権者個人もメール利用可能とする修正案を提出したことに触れ、「いま、自民党からも第三者メールの見直しが提起されている」ことを歓迎しました。

 また、ネット上の「なりすまし」「偽情報」問題について、候補者のサイトやアカウントの公式アドレス等を示す手段が必要と主張。

 前週にツイッターが議員等の公式認証マークを外した問題について、もともとネット選挙運動の自由化の際、各党協議の場で各社に要請し、ツイッター社がなりすまし防止策として公式認証マークを付けた経緯を紹介。改めて、全党で要請を行うことを提案しました。

 さらに私は「ビラ・ポスター」「戸別訪問」「公開討論会」「事前運動」等、細かく複雑な規制を指摘。「国民・有権者が主体的に選挙・政治にかかわりやすくするためにも、複雑な現行法を抜本的に変える必要がある」と主張しました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

<第211回通常国会 2023年4月26日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第2号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 発言の機会をいただき、ありがとうございます。
 選挙運動用文書図画規制の在り方について述べます。
 先ほども申し上げましたが、二〇一三年の参議院選挙から、ネット上であれば、枚数や種類の制限もなく、候補者や政党等に限らず政策や応援を訴えることができるようになりました。しかし、選挙政策をパソコンなどのディスプレー上で表示することは自由でも、それを印刷して配ったり貼り出したりすることはできず、国民、有権者が手作りでチラシやポスターを作り、配布、掲示することは禁じられたままです。同じ文書図画でも、ネット上とリアル上での落差が大きくなっています。
 現行では、候補者名が入ったビラの頒布やマニフェストの頒布場所もかなり限定され、選挙運動用ビラは証紙を貼り、寸法、枚数、頒布場所などが細かく規定されています。さらに、選挙期間中の政党、政治団体の政治活動においても、ビラの頒布に規制が設けられています。ポスターも同様に規制が多く、選挙までにポスターを何度も貼り替えなければなりません。多くの有権者に候補者の政策を知ってもらおうとしても、選挙期間に入ると、候補者氏名が入ったビラ、ポスターは極端に減るというのが日本の選挙です。これでは、有権者が十分に政策を比較できるとは言い難いものです。
 二〇一四年の通常国会時に、平常時におけるのぼりの解禁、選挙運動用自動車に関する規制の緩和及び簡素化等、選挙運動用ポスターの規格の統一といった、全党が一致した選挙運動関係の公選法改正案が準備をされておりました。まずはこの改正を行うべきではないでしょうか。
 また、この間、二〇〇三年に国政選挙のマニフェスト頒布の法定化、二〇〇七年にマニフェストの頒布場所の増加や都道府県知事選、市区町村長選の候補者ビラの解禁、一七年に都道府県議選、市議選の候補者ビラの解禁、二〇年に町村議選の選挙運動用ビラの解禁を行ってきました。この流れを振り返ってみても、枚数制限などについても抜本的に見直し、自由化することも検討すべきです。
 そもそも、現行の公選法は、選挙運動を包括的に禁止して、例外的に許容するという体系になっています。そのため、選挙の主体が候補者、政党となり、選挙運動を行うための手段、方法が厳しく制限され、複雑で、プロでなければ選挙運動ができない仕組みになっています。国民、有権者が主体的に選挙、政治に関わりやすくするためにも、複雑な現行法を抜本的に変える必要があります。
 選挙運動は原則自由にし、禁止事項を列挙した、いわゆるネガティブリストに改めることを提案をします。これによって、候補者、政党だけでなく、有権者個人が、文書図画や言論を使って選挙運動を自由に行えるようになります。有権者と戸口で質疑や討論できる戸別訪問や、ネット上の公開討論会のような、国民、有権者が主催して、複数の候補者による討論会の開催が可能となります。
 また、前回も申し上げましたが、選挙運動期間の見直しも必要です。本来、選挙運動は政治活動の一部です。事前運動の規制は撤廃し、日常的に、候補者、政党だけでなく、国民、有権者も含め、政治的議論、選挙運動を行うことができるようにすることが必要です。これらは、有権者が政党、候補者の政策を知る機会を拡大し、国民、有権者が主体的に選挙、政治に関わる機会を増やすことにもなります。
 国民、有権者の自由な選挙活動を妨げている規制をなくし、国民が主権者として自らの代表を選び、政治に積極的に参加していくため、選挙に気軽に多面的に参加できるようにすることで、民主主義の発展につながります。
 最後、事前運動と期日前投票の制度改革についても触れました。
 以上で終わります。