【新聞「新埼玉」掲載】岸田政権の悪法強行許さない/市民と野党の共闘今こそ

新聞「新埼玉」6月号より

 通常国会が後半に入り、岸田自公政権は国民生活に大きな影響をもたらす重要法案を次々と強行。衆議院の解散・総選挙も取リざたされるようになり、緊迫した政治情勢を迎えています。国会内でのたたかいの実像や、国民を苦しめる悪法とのたたかいの展望について、日本共産党国会対策委員長代理の塩川鉄也衆院議員に原稿を寄せていただきました。

日本共産党国会対策委員長代理 衆議院議員 塩川鉄也

G7サミット時代遅れの岸田政権

 G7広島サミットは、核兵器廃絶への展望を示す機会だったにもかかわらず、核兵器の非人道性の告発もなく、核抑止力論を肯定し、核兵器に固執する宣言を被爆地から発したことは許しがたいものです。

 G7諸国の中で、LGBT差別解消法がないのは日本だけ。石炭火力発電の廃止目標年を示していないのも日本だけ。時代遅れの岸田自公政権の姿が際立っています。

悪法審議が相次ぐ国会

 国会では悪法審議が相次いでいます。健康保険証を廃止して国民皆保険制度を掘り崩すマイナンバー法案が大問題になっています。保険証を人質にカード取得を強制したことで、マイナンバーカードに別人の医療情報がひも付けされたり。コンビニエンスストアで別人の住民票や戸籍の証明書が発行されたりする事例が多発。さらに、他人の公金受取口座が登録される事態も発生しました。政府・民間企業による個人情報の利活用推進が問題の根本にあります。

 入管法改悪案も重大です。世界でも異常に低い難民認定率や原則収容主義といった非人道的な入管・難民行政を改めず、難民認定申請中の外国人の本国への送還を可能にするなど、人権侵害をいっそう深刻にするものとなっています。日本の入管行政の異常な体質は、戦前の植民地支配の下での外国人取り締まりに根を持っており、特高警察譲りのもの。戦前からのゆがみをただすことが求められています。

米国・財界いいなり政治国民との矛盾を拡大

 このような国民との矛盾の拡大の大本にあるのが、米国と財界の要求に応えた政治です。

 敵基地攻撃能力の保有と米国製兵器の爆買いを進める軍拡財源法案は、米国の注文に応えたもの。敵基地攻撃能力保有は「相手国に脅威を与えるような攻撃的な兵器は保有できない」という専守防衛の政府見解を覆すもの。憲法違反は明白です。敵基地攻撃能力とミサイル防衛など「防空」を一体化したシステムである米軍の統合防空ミサイル防衛(IAMD)は、自衛隊が米軍の指揮下で一体になって先制攻撃を行うことになり、相手国から報復攻撃を受け、日本に戦火を呼び込むものになります。浜田靖一防衛大臣も「(相手国の報復攻撃で)日本に大規模な被害が生じる可能性も否定できない」と認めています。

 埼玉県内の入間・朝霞・大宮・熊谷の自衛隊基地では、核兵器や化学兵器、生物兵器の攻撃に備え、滑走路の強化や施設の防護性能を高めるための空調設備などの改修が進んでいます。国民には何の説明もなく、戦争準備が進んでいることは重大です。

 武器輸出への支援や不採算の軍需部門を国営化する軍需産業支援法案は、財界要求に答えたもの。原発事故の反省を投げ捨て、原発推進を図る原発産業救済法案は、国民との矛盾を拡大するだけです。

「悪政4党連合」政党配置分かりやすく

 国民の批判を受けて、岸田首相が困ると、きまって手を貸すのが日本維新の会と国民民主党です。入管法を巡り、維新の梅村みずほ参院議員は、名古屋入管で死亡したウィシュマ・サンダマリさんについて「彼女はハンガーストライキでなくなったかもしれない」「支援者の一言が、病気になれば仮釈放してもらえるという淡い期待を抱かせた」と、全く事実と異なることを述べて、被害者と支援者を非難。入管当局を擁護する言動に国民から厳しい批判の声があがりました。

 国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、安保3文書に関連して「鉄道は国防にとって重要なインフラ。しかし、約50トンある戦車を乗せる貨車やクレーンがない。トンネルが戦車の幅より狭く通過できない、鉄橋が重量に耐えられない。国防の観点から鉄道インフラに、国が責任を持つべきだ」と、公共インフラの軍事動員をあおっています。

 自民・公明の悪政に維新・国民が手を貸す「悪政4党連合」。悪政推進の政党配置が分かりやすくなりました。

市民の運動大きく広がる

 入管法改悪案に対し、参議院では野党対案が審議入りし、政府案の問題点が浮き彫りに。週2回の野党国対ヒアリングや街頭集会、週末には大規模パレードの開催、全国各地でのアピール行動など、多様な市民運動が広かっています。力を合わせて廃案に追い込みたい。

 日本学術会議への人事介入をたくらむ日本学術会議法案は、世論と運動の力で、今国会への法案提出を断念させました。この力をさらに大きく広げましょう。

共闘の前進へ日本共産党を大きく

 「野党共闘は失敗だった」という批判がありますが、2021年の総選挙では、共闘勢力が一本化した59選挙区で勝利したように「共闘効果」が発揮されました。「悪政4党連合」によって、大軍拡・改憲の動きが進められ、翼賛体制の危険性が高まっている時だから
こそ、野党がスクラムを組んで悪政に対決することが今ほど求められているときはありません。

 そして、野党共闘のかなめとなる日本共産党の前進こそ、国政革新の一番の力。皆さんのお力をお貸しください。

(5月24日記)