【予算委員会】自民党派閥の裏金問題を追及/自民党の責任で全容解明せよ

 自民党派閥の裏金問題をめぐっての予算委員会集中審議で、国民の怒りと不振が広がる中、まず必要なのは徹底的な真相解明だと強調し、自民党の責任で全容を明らかにするよう迫りました。

 私は、岸田総理が岸田派の約3000万円不記載事件を「流用とか裏金となったとかではない」と言い訳したことに対し、「収支報告書に記載していなければ裏金そのもの、違法行為だ」と批判。

 「政治資金の収支を国民の監視・批判の下に置くことが政治資金規正法の根本であり、民主主義の根幹を脅かすような(国民への)背信行為は許されない」と主張しました。

 また、私は、自民党の安倍派や二階派でほとんどの議員が疑惑について説明していないと指摘。自民党として「全議員を対象に調査を行うのか」とただしました。

 岸田総理が「まずは関係者から」などと述べたのに対し、私は「関係者とはどの範囲か」「収支報告書を修正した議員しか対象にしないかのように聞こえる」と重ねて追及。

 岸田総理は「範囲を限定することなく、必要な聞き取りを行う」と答えざるをえませんでした。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る

←予算委後の塩川議員コメント


論戦ハイライト/衆院予算委/塩川議員が裏金事件の全容解明迫る

「しんぶん赤旗」1月30日・3面より

 自民党派閥の政治資金パーティーによる裏金事件を受け、29日に行われた衆参予算委員会の集中審議。日本共産党の塩川鉄也衆院議員が質問に立ち、裏金事件の全容解明とともに、パーティー券を含む企業・団体献金の全面禁止を迫りました。

首相「関与指摘された議員から聞き取り
塩川「全議員調査すべきだ」

 裏金事件の真相解明をめぐっては、岸田文雄首相をはじめ自民党議員からまともな説明がなされていません。塩川氏は、「自民党の責任で全議員・全派閥を調査し、明らかにすべきだ」と主張しました。

 岸田首相は裏金事件をめぐり、安倍派で30人以上、二階派では7人が政治資金収支報告書の訂正を明らかにしたと説明。塩川氏は、「安倍派のまだ3分の2、二階派の大半は明らかにしていない」と指摘し、徹底的解明を求めました。

 塩川 実態解明について、自民党全議員を対象に調査を行うのか。

 首相 まずは関係者から実態解明に努めていきたい。

 塩川 関係者とはどの範囲か。

 首相 政治資金収支報告書修正において関与が指摘されている議員を中心に

 塩川 問題となっているのは安倍派、二階派だけに限られない。やるべきは自民党所属議員全員の調査だ。

 首相 範囲を限定することなく必要な聞き取りを行っていく。

 岸田派も裏金疑惑を抱えています。岸田派の会計責任者だった佐々木和男元事務局長は2020年までの3年間で合わせて3059万円のパーティー券収入などを派閥の政治資金収支報告書に記載していなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪に問われています。

 塩川氏が、「3059万円はどこにあったのか」とただすと、岸田首相は「銀行口座に存置されている」「元会計責任者がパーティー券について、どの議員の紹介か不明な部分を別にしていた」などと答弁。塩川氏は、「収支報告書に記載がなければ、それは裏金そのものだ」と指摘しました。

 その上で塩川氏は、残高と収支報告書の繰越額が3000万円も食い違っていたことを見逃し続けてきたことについて、「21年以降、会計責任者もかわったのに3年間誰も気づかないというのは信じられない」と批判。岸田首相は「指摘を受けるまで明らかにならなかった」「(前の会計責任者との)引き継ぎが行われていなかった」などと言い訳に終始しました。

 つづけて塩川氏が、年ごとの不記載額の内訳をただすと、岸田首相は、18年1322万円、19年841万円、20年896万円だと明らかにしました。

 塩川 2020年の収支報告書の訂正では、パーティー券収入額が896万円増加しているのにパーティー券の購入者数は変わっていない。おかしいではないか。

 首相 金額は修正したが、人数については精査を続けている。

 塩川氏は、18年より前にも不記載・虚偽記載があったのではないかとして調査を求めましたが、岸田首相は「資料も残っていないので確認は困難だ」と拒否。塩川氏は、「政治資金の収支を国民の監視・批判のもとに置くというのが規正法の根本だ。民主主義の根幹を脅かすような背信行為は許されない」と厳しく批判しました。


「議事録」

第213回通常国会 令和6年1月29日(月曜日)予算委員会 第1号

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 しんぶん赤旗報道を発端に明らかになった自民党派閥裏金問題であります。

 派閥の政治資金パーティーを利用して裏金づくりをシステム化をしていた、派閥による議員への還流、キックバック、議員による中抜き、派閥によるため込みが行われてきた問題であります。

 裏金全体の徹底解明が国民の要求であります。政治資金規正法違反で起訴された安倍派、二階派において、先ほど総理の答弁で、収支報告書の修正を行った者が清和会、安倍派で三十人以上、志帥会、二階派で七名とありますけれども、これは、安倍派の三分の二、二階派の大半はまだ明らかにしていないということであります。

 総理にお尋ねします。こういった実態について、実態解明を全議員を対象に調査を行うのか、この点、お答えください。

岸田内閣総理大臣 先ほど来議論しておりますように、実態解明、これは重要である、私もそのとおりだと思います。

 そして、実態解明に当たって、まずは検察による法的な捜査が行われて、そして処分が明らかになりました。そして、それに伴って、政治資金収支報告書の修正が今行われています。そして、それを踏まえて関係者が説明責任を果たしていかなければなりませんが、党としても実態把握に、聞き取り調査を行うなど行ってまいります。

 そして、まずは関係者からということになるのでありましょうが、必要に応じてその範囲を拡大して、実態解明に努めていきたいと考えています。

塩川委員 総理が言う関係者というのは、どの辺の範囲なんですか。

岸田内閣総理大臣 まずは、政治資金収支報告書の修正等において関わりがあると判断し、そして、説明責任を自ら果たさなければなりませんが、そういった形で関与が指摘されている議員を中心にヒアリング、聞き取りを行っていきたいと考えます。

塩川委員 話を聞いていると、収支報告書を修正したような議員ぐらいしか対象にしないと聞こえるわけですけれども、そういうことですか。

岸田内閣総理大臣 その範囲も、今後どこまで拡大するか、確認しなければなりません。

 そして、問題は実態把握でありますので、ヒアリングの範囲について、実態把握を進めながら考えていくと申し上げております。

塩川委員 問題となっているのは、個々の議員について、安倍派、二階派だけに限られないわけであります。例えば、この間で安倍派から抜けたような人もいるじゃないですか。そういった人についてはどうなっているのか。こういうことを明らかにしないということなのか。

 あるいは、我が党のしんぶん赤旗においても、例えば、麻生派においても二〇一七年にこういった裏金づくりが疑われるような事例なども取り上げているわけであります。

 過去に遡ってどうなっているのか、こういったことも含めて、やるべきなのは自民党所属議員全員の調査じゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 範囲を限定することなく、必要な聞き取りを行ってまいります。

塩川委員 全議員の調査こそ行うべきだということを重ねて申し上げておきます。

 その上で、派閥によるため込みの問題、こういった問題についても、当然調査の対象ということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 目的は実態把握であります。

 そして、法的責任は検察の捜査等でしっかり行われていくものであると思いますが、やはり説明責任、そして政治責任について党としてどう考えるのか、これを判断していかなければなりません。そういった党としての責任を果たすために、聞き取り調査等を進めてまいります。

塩川委員 当然、岸田派も対象ということですね。

岸田内閣総理大臣 関係者、必要な範囲の議員、聞き取りの対象となります。

塩川委員 安倍派、二階派を始めとして、収支報告書への不記載、虚偽記入といった違法行為について誰が指示したのか、個々の議員の還流や中抜きを誰が指示したのか、自民党の責任で、全議員、全派閥を調査し、明らかにすることを強く求めるものであります。

 そこで、岸田派についてでありますけれども、派閥パーティーで巨額の金を集め、所属議員に配っていた、その点では、宏池会、岸田派においても同様であります。総理・総裁派閥であり、責任はより一層重いと言わざるを得ません。

 岸田派の収支報告書不記載問題について質問します。

 検察当局は、佐々木和男元事務局長を政治資金規正法違反で略式起訴を行いました。佐々木元局長は、二〇一八年から二〇年の三年間で三千五十九万円のパーティー収入を収支報告書に記載しなかったということでありますけれども、この三千五十九万円というのはどこにあったんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 宏池会において、全てのパーティー関連収入は銀行口座に入金されておりました。そして、御指摘の元会計責任者が、パーティー券について、どの議員の紹介によるパーティー券か不明な分についてこれを別にしていた、これが積もることによって、さらには、転記ミス等の様々な事務的なミスによって、結果として不記載が生じてしまった、こういったことであると承知しております。

 いずれにせよ、パーティー収入については基本的に全て銀行口座に入金しており、口座に存置されております。これが流用されたとか、ほかで裏金となったとかいうことではないと認識をしております。

塩川委員 規正法において、収支報告書に記載がなければ、それは裏金そのものじゃないですか、違法行為そのものですから。それを前提に、きちっと答えてもらいたい。

 実際の派閥の残高と収支報告書の繰越額が三千万円も食い違っていた、これがずっと続いていたというのは、納得いく説明というのをしっかりしてもらわないと、国民の皆さんの納得が得られないのは当然のことであります。

 口座残高や手持ちの現金を見ればそういったことは分かるはずで、二〇二一年以降、会計責任者も替わったのに、三年間も誰も気づかないというのは信じられない。何で見逃してきたのか。この点についてお答えください。

岸田内閣総理大臣 過去の収支については、そのときの会計責任者が処理をしております。

 それぞれの処理についてでありますが、今回指摘を受けるまで明らかにならなかった、こういったことであります。この点については監督責任が問われるところであると認識をしております。

塩川委員 会計責任者も替わったわけですから、そういった引継ぎも含めて、何でこの点を是正してこなかったのか。その点についてきちんと調べたんですか。

岸田内閣総理大臣 引継ぎ等は行われたわけでありますが、過去の分については過去の時点での処理が行われた。その点について、今申し上げたように、パーティー券について、どの議員の紹介か不明な分についてこれを別にしておいた、これが積み重なった等、こういった不手際が積み重なったということであります。その点についてまで引継ぎが行われていなかったということであると考えます。

塩川委員 それはいわば口実であって、実際には裏金として、別な目的として使う、そういう意図でため込んでいたのではないのか。こういう疑念についてしっかり答えなければいけないわけです。

 そういう点でも、二〇一八年、一九年、二〇年で三千五十九万円ですが、これは各年においてそれぞれ幾らだったのか。また、そもそも、この三千五十九万円についての詳細について明らかにしていただけますか。

岸田内閣総理大臣 二〇一八年千三百二十二万円、二〇一九年八百四十一万円、二〇二〇年八百九十六万円であります。

 そして、これについて別に使うつもりであったのではないかという御指摘でありますが、先ほど申し上げたように、全て銀行口座に残っておりますし、だからこそ、宏池会の訂正についても、繰越金を上乗せする形で修正ができたということであります。残高、ほかに流用していたというのであるならば、これはできなかったわけでありますので、こうした点からして、裏金という指摘については当たらないということを申し上げた次第であります。

塩川委員 二〇二〇年の収支報告書の訂正では、派閥パーティー収入額が八百九十六万円増加をしている、今の答弁でもお答えがありました。これは、収入が八百九十六万円増えているのに、このパーティー券の購入者数、対価の支払いをした者の数は二千二百十八人のままで変わっていないんですよ。おかしいんじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 金額については修正をいたしました。そして、御指摘の人数については、これは精査を続けているものであると報告を受けております。

塩川委員 そういう点でも徹底解明がまだ行われていないという点でも、この問題について納得がいくような説明が求められているわけであります。

 二〇一八年から二〇二〇年ですけれども、二〇一八年より前も、このようなパーティー収入額等の不記載、虚偽記入があったのではないのか、この点については明らかにされますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の年以前につきましては、これは確認もいたしましたが、資料も残っていない中で、これは確認は困難であるという報告を受けております。

塩川委員 二千二百十八人のこの購入者数について精査ということですけれども、当然、突合すれば、二十万円を超えるような、そういったパーティー券購入者の話なんかも出てくるわけであります。そういったことも含めて全容を明らかにしていく。

 そういう点では、実際のパーティー券の購入者がどうなっていたのか、そういったことを岸田派についてまずはしっかりと示していく、これを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

小野寺委員長 時間が来ております。簡潔に答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 人数については精査を続けてまいります。いずれにせよ、説明責任はしっかり果たしてまいります。

塩川委員 国民の監視、批判の下に置くというのが規正法の根本だという点でも、民主主義の根幹を脅かすような背信行為は許されないということを申し上げて、徹底解明を強く求めて、質問を終わります。