【内閣委員会】菅氏91%、加藤氏95%、松野氏96%/機密費/年々闇ガネ化と指摘

 官房機密費(報償費)について質問し、機密費が年々、闇ガネの度を深めていることを指摘しました。

 私は、機密費の支出が「機動的に使用する経費であり、官房長官という政治家による優れて政治的な判断のもとで決定されるもの」と国が説明してきたと指摘。

 林芳正官房長官も「そういうものと承知している」と認めました。

 私は「(2012年度以降)毎年、ほぼ全額使い切っている。『機動的に、その都度の判断で使用する』といいながら、きれいに使い切っているのは全く納得がいかない」とのべ、「(年度末の)最後はつかみ金として引き出したとしか思えない」と指摘しました。

 林氏は「官房長官の判断と責任のもとに厳正で効果的な執行を行っている」と繰り返しました。

 松野博一前官房長官が昨年12月の更迭直前に持ち出した4660万円は、機密費のうち「政策推進費」と呼ばれるもの。

 これについて林氏は「官房長官としての高度な政策的判断により機動的に使用することが必要な経費であり、長官が直接相手方に支払うもの」と答弁しました。

 「政策推進費」が機密費に占める割合について林氏は、過去3人の官房長官で菅義偉氏が91%、加藤勝信氏が95%、松野氏が96%と明らかにしました。

 私は「闇ガネとも言える政策推進費の割合が高くなり、一層不透明なお金の使い方が問われる」とのべ、機密費の使途開示と、私的・党略的な流用の禁止を求めました。

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「議事録」

213回通常国会 令和6年2月16日(金曜日) 内閣委員会 第2号

 

○塩川委員 それで、最後に、官房機密費について林長官にお尋ねをいたします。

 内閣官房報償費、この官房機密費の定義についてなんですけれども、私が承知しているところでは、国の事務又は事業を円滑かつ効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じ、その都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費であり、具体的な使途が特定されない段階で国の会計からの支出が完了し、その後は基本的な目的を逸脱しない限り、取扱責任者である内閣官房長官の判断で支払いが行われるとともに、その使用は、内閣官房長官という政治家によるすぐれて政治的な判断の下で決定されるものということで承知をしておりますが、こういうことでよろしいでしょうか。

○林国務大臣 今委員から御指摘をいただいた定義は、この内閣官房報償費に関する開示請求訴訟の大阪地方裁判所判決における国主張の定義である、こういうふうに認識しておりまして、まさに、少し短く言えば、言うものがあるのでございますが、そういうものということで承知をしております。

○塩川委員 ここに、機動的に使用するとあるんですけれども、この機動的に使用するということの意味するところはどういうところなんでしょうか。

○林国務大臣 内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するために、当面の任務と状況に応じて、内閣官房長官のその都度の判断で使用する、そういった趣旨でございます。

○塩川委員 その都度の判断で使用するという話です。

 それで、官房機密費には三つの類型があります。政策推進費、調査情報対策費、活動関係費という三つであります。そのうちの政策推進費については、内閣官房長官が政策を円滑かつ効果的に推進するために機動的に使用するものであり、官房長官が自ら出納管理を行い、直接相手方に渡す経費ということでよろしいでしょうか。

○林国務大臣 今御指摘のありました政策推進費でございますが、施策の円滑かつ効果的な推進のため、内閣官房長官としての高度な政策的判断により、機動的に使用することが必要な経費であり、内閣官房長官が直接相手方に支払うものとして取り扱われております。

○塩川委員 機動的にという話をお聞きしましたけれども、官房機密費については、年度末には多額の支出が行われて、ほぼ使い切っているんですね。十二億三千万の官房機密費ですけれども、使い残しの、いわゆる返納額というのが、二〇二〇年度で見ると、残った金額というのが十三万六千三百七十一円、二一年度が十九万九千百七十四円、二二年度が十七万四千四百六十二円というので、ほぼ全額使い切っているわけです。機動的にという、官房長官がその都度の判断で使用するというのを考えたときに、こんなにきれいに使い切るというのは全く納得がいかないんですが、これはどういうことなんでしょうか。

○林国務大臣 先ほどの答弁の繰り返しになるかもしれませんが、取扱責任者である内閣官房長官の判断と責任の下に、厳正で効果的な執行を行っているところでございます。

 国民の不信を招くことがないように、適切な執行に努めてまいりたいと思っております。

○塩川委員 毎年度毎年度ほとんど残額が出ないで使い切るというのは、もう最後はつかみ金として引き出したとしか思えないような、これについてのまともな説明がされないような状況で来ているのが官房機密費の実態だということを申し上げなければなりません。

 そこで、内閣官房報償費のうち、その支出に占める政策推進費の割合、三つの類型のうち、政策推進費の全体に占める割合が幾らになるのかを、菅義偉官房長官、加藤勝信官房長官、松野博一官房長官の、それぞれが官房長官に就いていた時期ごとに示していただけますか。

○林国務大臣 内閣官房報償費に占める政策推進費の割合について、過去五年分で申し上げますと、菅官房長官の期間は九一%、加藤官房長官の期間は九五%、松野官房長官の期間は九六%でございます。

○塩川委員 ですから、政策推進費というのは、まさに官房長官の判断で行われる支出であって、自ら出納管理を行い、直接相手方に渡す経費というお金であります。そういう割合というのが全体の九割以上を占めているというのが官房機密費だ。その官房機密費の支出においても、菅さんのときが九一%、加藤さんが九五%、松野さんが九六%と、どんどんどんどん高くなっている。

 こういう不透明なお金が、どんどん比重が増しているということが、これはおかしいんじゃないかと思うんですが、官房長官、いかがですか。

○林国務大臣 内閣官房報償費の性格については先ほど申し上げたとおりでございますが、政策推進費の割合、また、過去の官房長官の比較について述べるということは差し控えたいと思います。

 いずれにいたしましても、内閣官房報償費は、取扱責任者である内閣官房長官の判断と責任の下に、厳正で効果的な執行を行っているところでございます。

○塩川委員 闇金とも言える、こういった政策推進費の割合が高くなり、一層不透明なお金の使い方が問われるというところであります。

 会計検査院にお尋ねします。

 会計検査院は、官房機密費についてどのような検査を行っているのか。実地検査は年二回やっているとかということなんですけれども、簡単に、官房機密費についての検査の内容についてお示しください。

○佐々木会計検査院当局者 お答えいたします。

 内閣官房報償費の検査は、内閣官房の会計経理についての検査の一環として実施しております。

 検査に当たりましては、計算証明書類として提出される支出決定決議書や、取扱責任者の領収証書、支払い明細書等について検査したり、役務提供者等の領収証書等の関係書類の提示を受けたり、関係者の説明等を受けたりするなどして検査を実施しております。

 以上です。

○塩川委員 時間が来たので終わりますけれども、政策推進費について官房長官に直接ただすようなことがあるのかといった点についても明らかになっていないわけであります。

 この間、実際に官房機密費が何に使われたのか。政治家に渡していた、評論家に渡していた、マスコミ関係者に渡していた、こういう格好での、政策買収や世論誘導が疑われるようなお金の使い方はきっぱりやめるべきであります。

 官房機密費の使用の実態を国民と国会の前に明らかにする、機密費の党略的、私的な流用はやめよということを申し上げて、今日は終わります。