【政治倫理審査会】安倍派幹部/全容解明に背/「一切関与ない」逃げの答弁

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、政治倫理審査会で質疑。午前は安倍派事務総長だった西村康稔前経済産業相と松野博一前官房長官が、午後は安倍派の座長を務めた塩谷立・元総務会長と同派事務総長だった高木毅前国対委員長が出席。

 私は、安倍派の裏金づくりについて「組織ぐるみの違法行為だ」と追及し、西村、松野両氏は「一切関与していない」と全容解明に背を向けました。

 西村氏は冒頭の弁明で、「歴代会長と事務局長との間で長年慣行的に扱ってきた」と発言。

西村康稔前経済産業相
松野博一前官房長官

 私は、派閥として森喜朗元会長や事務局長に事実関係を確認すべきだと追及しました。西村氏は拒否しました。

 一方、松野氏は派閥パーティーでの裏金づくりについて、ノルマと「還付」のシステムを初当選時に認知したと説明。

 私は「20年以上にわたって行われていたことになる」として森氏らに確認するよう迫りましたが、松野氏も拒否しました。

 私は森氏か事務局長に国会で説明してもらうことが必要だと主張しました。

 私は、2022年5月の派閥パーティーについて、当時の安倍晋三会長が還付をやめようと話し、幹部の間で還付を行わないと確認したことを取り上げ、還付をやめた理由を質問。

 西村氏は「現金での還付は不透明で疑念が生じかねない」と答えました。

 私は「違法行為という認識はなかったのか」と問いましたが、西村氏は「適法か違法かといった議論も行っていない」と答弁。

 私は「とても信じられない。組織的な違法行為が行われていたのではないかが厳しく問われる」と批判しました。

違法性/認識あったか/追及にしらを切る

 午後は、安倍派座長だった塩谷立元文部科学相と、同事務総長だった高木毅前国対委員長が出席し、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件について弁明を行いました。私は、安倍派幹部がパーティー収入の還付をやめると判断したさいの「違法性」への認識を追及しました。

 私は、2022年の安倍派幹部の会合で還付をやめる方針を決めたさい、同派幹部だった下村博文氏が議員個人のパーティー収入に上乗せする「合法的」な形で出す案が示されていたことに触れ、「不記載という違法性の認識があったからではないか」と質問。

 塩谷氏は「還付の現金をやめようという中で、そういう案が出た。あくまで不記載についてはいっさい話が出ていない」と否定しました。

 一方、還付しない方針を決めたのに、22年に還付を受けた理由を聞くと、「還付を行わないと決めたが、継続することになったと思う。当時、自分が還付を受けたことは知らなかった」としらを切りました。

 一方、私は高木氏に対して、23年5月のパーティーでは還付を行わないとの方針を変更した理由を質問。

 高木氏は「22年は還付しないと決めたが、なんだかよくわからないまま還付された。その流れの中で、23年はそうしようとなったと思う」と答えました。

 私は、高木氏が記者会見で「還付するのはあまりよくないんじゃないかと思った」と語っており、「還付金の不記載について違法性という認識があったのか」と質問。

 高木氏は「その発言をした記憶がない」などと逃げ回りました。

 私は違法性の認識が幹部で共有されていたのではないかと指摘し、全容解明が必要だと強調しました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


安倍派幹部/知らぬ存ぜぬ/裏金問題/政倫審審査

「しんぶん赤旗」3月2日・3面より

 1日に開かれた衆院政治倫理審査会は前日に続いて、自民党派閥の裏金問題への審査が行われました。清和政策研究会(安倍派)の事務総長経験者らが弁明に立ちましたが「会計には一切関与していない」と知らぬ存ぜぬの答弁に終始。日本共産党の塩川鉄也議員は「安倍派の組織ぐるみの違法行為であり、誰がいつからどのような理由で行ってきたのか、この裏金システム全体の全容解明が求められる」と迫りました。

違法性認識?/停止後の復活/「経緯 全く承知せず」

 安倍派では、パーティー券収入のノルマ超過分のキックバック(還付)を巡り、いったん中止を決めたにもかかわらず、還付が継続されてきました。当時から、違法性を認識していたからこそ、慣行だった還付を停止したのではないかとの疑いがあります。

 西村康稔氏は2022年4月上旬、当時会長だった安倍晋三元首相が現金での還付をやめると提案し、幹部で方針を決定したと説明。立憲民主党の枝野幸男議員が方針決定の際に集まった幹部は誰かとただすと、自身のほかに塩谷立、下村博文、世耕弘成各氏と派閥の事務局長がいたと明らかにしました。

 西村氏は安倍氏の死去(22年7月)後の経過として、「ノルマ以上に売った議員から返してほしいという声があり、(同年の)8月上旬に幹部で集まってどう対応するかを協議したが、その時は結論は出なかった」と説明。その後、還付の慣行は復活します。

 塩川氏は「(報告書への記載もなく)還付をするというやり方が、政治資金規正法の虚偽記載に当たる違法行為という認識はなかったのか」と追及。西村氏は「その時には、還付が適法か違法かといった議論も行っていない」などと答弁しました。また、西村氏は、還付の復活の結論が出たのは、自身が事務総長の職を離れた同年8月の直後だとして「経緯については全く承知していない」と繰り返しました。

 これに対して、日本維新の会の青柳仁士議員が「こんな大きな決断を幹部に相談なく、事務局長だけで決めることは絶対にない」「事務総長がかわった同じ月に結論が出た。客観的に見れば、(安倍派幹部の)4人で話し合って決めたとしか思えない」と指摘しました。

事務総長なのに/「会計 一切関わらず」

松野博一議員に質問する塩川鉄也議員(右)=1日、衆院政倫審

 「事務総長は会計に関与していない」――。西村、松野博一両氏は、裏金づくりの実態について“自分は全く関係ない”と言わんばかりの弁明を繰り返し、自らの責任を放棄する姿勢をあらわにしました。

 西村氏は「政治資金パーティー収入の還付の処理は、歴代会長と清和会の事務局長との間で慣行的に扱われてきたことだ」と説明。事務総長の役割は人事の調整や若手議員への政治活動の支援・協力・指導などであり、「会計に一切関わっていない」との主張を繰り返しました。

 松野氏も「派閥の収入や支出の管理は事務総長の担務ではなく、私は関わっていない」と弁明。政治資金収支報告書の不記載については「監督責任を求められるものではない」と居直る始末です。

 さらに、西村氏は「秘書らに対しては、清和会のパーティーはノルマ通りに売れればいい」と指示していたと弁明。しかし、枝野氏から「ノルマは何枚分であっていくら分がノルマか」とただされると、「ノルマがいくらかということは具体的に意識したことはない」などと述べました。

 事務総長が関与していないとの説明はにわかに信じられませんがその前提に立つならば、真相を知っているのは歴代会長です。塩川氏は「歴代会長に対して派閥として、事実関係を確認したか」とただしました。

 西村氏は「亡くなられた方も多いわけで、今の時点で(確認は)行ってない」などと答弁。つづけて塩川氏が、会長を務めた森喜朗元首相に確認をしないのかと迫りましたが、西村氏は「森元総理が関与をしていたという話は聞いたことがない」と確認を拒否し、事務局長についても「裁判を控えており、口裏合わせと言われかねないので控える」として、ことごとく真相解明に背を向けました。

私的使用も?使途/「秘書に任せていた」

 西村氏と松野氏は、政治資金収支報告書に虚偽記載していたことを「謝罪」する一方、裏金をどのように処理し、何に使っていたのかについて、秘書に責任を押し付け、詳細を何一つ明らかにしませんでした。

 立民の枝野氏は、西村氏が22年までの5年間で100万円の政治資金パーティー収入を収支報告書に記載していなかったと指摘。派閥からのキックバック分を自身の政治資金パーティー収入に上乗せしていたとして、「非合法だと知っていたのではないか」とただしました。しかし、西村氏は「会計責任者である秘書に任せていた」「経験がある秘書で信頼していた」と責任を転嫁しました。

 枝野氏は、下村博文元事務総長が22年8月の幹部協議の中で出席者の一人から「個人のパーティーに(還付分を)上乗せして、収支報告書で『合法的な形』で出すという案もあった」(24年1月31日の記者会見)と証言していることを指摘。「これは西村さんですね」と迫ると、西村氏は「アイデアの一つとして発言した」と自身の発言だと認めました。枝野氏は「あなたがやっていることそのものではないか」と述べ、秘書に責任を押し付ける西村氏の姿勢を批判しました。

 一方、松野氏は弁明で、裏金を会合費などに使い「不正な目的や私的な目的で使用された還付金はない」としました。

 枝野氏は、松野氏が自由に使える金があったとして、その使い道を追及。22年の会合費の処理の仕方について「松風会(松野氏の資金管理団体)から資金を出したものと裏金から支出したものと分かれている」と指摘し、誰がどういう区別で支出したのかただしました。

 松野氏は「支出の判断は秘書によってなされた」と言い逃れるだけ。私的使用の疑惑には答えられませんでした。


「議事録」