【内閣委員会】秘密保護法拡大法案/政府の判断で秘密範囲拡大/危険性追及

 「秘密の範囲」を秘密保護法の「防衛・外交・スパイ活動・テロ活動」の4分野から経済分野に拡大する秘密保護法拡大法案(重要経済安保情報法案)の質疑に立ち、「秘密の範囲」が政府の恣意的判断で拡大する危険性を追求しました。

秘密保護法の運用見直し

 岸田文雄首相は「新制度が我が国の既存の情報保全制度とシームレスに運用されるよう、特定秘密保護法の運用基準の見直しの検討を含め、必要な措置を講じること」を指示しています。

 私は「秘密保護法の範囲を改正せずに、運用見直しで拡大するものだ」と批判。10年前の秘密保護法の審議の際に、特定秘密の4分野に「経済安保が含まれる」との政府の答弁はあったのかと質問。

 内閣官房は「政府としては行っていない」と答えました。

 私は、内閣官房作成の秘密保護法の逐条解説では、「本法の別表は、その裁量の幅を狭めるために、類型的に秘匿の必要性が高いと認められる事項を限定列挙したものである」と説明していると指摘。さらに、当時の森まさこ秘密保護法担当大臣が「特定秘密に指定される範囲は必要最小限に限定されなければならないことは当然のこと」と述べていることも挙げ、「運用基準の見直しで経済安保分野を特定秘密に指定するのは、法律によらず罰則の対象を広げるものになるのではないか」と追及しました。

 高市早苗経済安保担当大臣は、「秘密保護法の改正は行わないので、特定秘密の範囲は広がらない」と強弁。

 私は「実際に運用の見直しを行うと言っているではないか。まさに何が秘密かも秘密という秘密保護法の危険性をはっきりと示すものだ」と強調しました。

秘密の範囲拡大

 同法案では、重要インフラと重要な物資のサプライチェーン(重要経済基盤)の保護に関わって、漏洩すれば日本の安全保障に「支障」を与える恐れがあるため、特に必要なものを「重要経済安保情報」に指定します。さらに、秘密を扱う人に対し「セキュリティークリアランス(適性評価)制度として身辺調査を行い、政治的思想や病歴、借金などの個人情報を調べます。

 私は重要経済基盤は、2022年に成立した経済安保推進法の基幹インフラ(電気、ガス、水道、運送、通信など14分野)より広い概念であることを確認。基幹インフラの事業者などから事業に関する情報を国に提出させる仕組みがあると指摘し、「こうした情報も秘密指定の対象となりうるのか」と質問。

 内閣官房は「多数の民間事業者から提出された情報を政府側で集約、分析するなどして作成した重要経済安保情報として指定することは考えられる」と答弁。

 私は、秘密指定された情報について、民間事業者は「適合事業者」(適性評価を受けた事業者)にならないと情報が受け取れないと指摘。「民間事業者に適合事業者となることを迫るスキームだと言わざるを得ない」「民間事業者の営業の自由や従業者のプライバシーの侵害などが強く危惧される」と批判しました。

 さらに私は、政府が重要経済安保情報について「政府が保有する情報に限る」と説明しているが、条文には規定がないと指摘。米国の大統領令第13526号では、民間事業者が指定を要する秘密を知ったときに関係職員に通報することが規定されていると紹介し、「同様のことを日本でも行うのではないか」と追及しました。

 内閣官房は「ご指摘のようなことは法定されていない」と答弁。

 私は「『政府保有の情報に限り』と条文上規定しないのは、民間保有の情報も指定し得る余地を残すためではないかという懸念もある。非常に曖昧なまま秘密の範囲を広げるのは許されないと批判しました。

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「議事録」