【内閣委員会】原発避難計画は虚構/東海第2の問題点追及

 11月28日に運転開始から40年を迎える日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)についての広域避難計画の問題点を追及しました。

 首都圏に立地する同原発は、原発から30キロ圏内だけでも96万人が居住しています。圏内44市町村のうち34自冶体の議会で再稼働等に反対する意見書が採択され、海野徹那珂市長も反対を表明しています。

 茨城県がバス3270台で15万人の避難を想定していることに対し、「同県バス協会は『放射能が放出された時点で、運転手の安全確保のためにバスは出せないと県に伝えている』と述べている。これは当然のこと。

 運転手を確保できるのかと追及すると、内閣府の荒木真一大臣官房審議官は「バス協会と調整する」と繰り返すのみ。

 また、寝たきりや車いすの人などの福祉車両の確保の問題や、放射線量をチェックするスクリーニングで生じる渋滞などをどう考えても避難計画は成り立たない。

 避難計画の妥当性について、計画作成にかかわる国や自冶体が評価する仕組みでは実効性が担保できない。96万人の避難計画そのものが虚構でしかない。日本原子力発電と東京電力の役員に経産省出身者がいる。危険な原発の再稼働の大本には国と電力会社による官民癒着がある。東海第2原発の廃炉を求めました。

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「議事録」

<第197通常国会 2018年11月14日 内閣委員会 3号>

○塩川委員 続いて、きょうは、今、原発をめぐって大きな批判の声が上がっています、茨城県にあります日本原電の東海第二原発の運転延長問題について質問をいたします。
 茨城県東海村にある日本原電の東海第二原発は、十一月二十七日に運転開始から四十年の期限となります。日本原電は、原子力規制委員会に対して二十年の運転延長の申請を行い、十一月七日、原子力規制委員会は、新規制基準に適合するとして運転期間延長を認可しました。茨城県民を始め、多くの国民が怒りの声を上げております。断固抗議をするものであります。
 東海第二原発は沸騰水型の初の大型原発で、全国一トラブルの多い、危険な老朽原発であります。東日本大震災ではあわやという事態になった被災原発でもあり、その安全性に重大な懸念があります。また、人口四千万人の首都圏に所在をし、原発から三十キロ圏内に九十六万人が居住する、全国で最も人口密集地域にある原発で、事故時の被害は極めて甚大であります。
 ことし三月、東海第二原発周辺の六市村が、再稼働に対して実質的な事前了解権を得る仕組みとする新安全協定を日本原電と結びました。その自治体の一つである水戸市の市議会が再稼働反対の意見書を可決し、海野那珂市長も再稼働に反対と表明をしているわけです。NHKの報道では、茨城県内四十四市町村のうち八割近い三十四の市町村議会が、廃炉を求める、住民同意のない再稼働を認めない、運転延長反対の意見書を可決しております。世論調査でも、多数の県民が反対の声を上げております。東海第二原発の再稼働、二十年運転延長などはとんでもないと言わざるを得ません。
 官房長官、お尋ねしますけれども、このような東海第二原発の再稼働、運転延長反対の市民の声をどう受けとめておられるのか、お答えください。

○菅国務大臣 ただいまの御質問の内容については、所管庁でありまする経済産業省からお答えすべき問題だろうというふうに思っております。
 そうした上に立って、私からせっかくでありますので申し上げさせていただきますけれども、原子力発電所については、高い独立性を有する原子力規制委員会によって、科学的、技術的に審査をし、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められた場合、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進める、これが政府の基本的な考え方であります。
 事業者である日本原子力発電所においては、地元の関係者に丁寧な説明を尽くし、理解の確保に努めていく必要があるというふうに思っています。
 国としても、地元の理解が得られるよう丁寧に取り組んでいきたい、このように思います。

○塩川委員 地元の理解が得られるようにと言いますけれども、地元は、理解できない、廃炉にしてくれというのが圧倒的な声であるわけで、その声にこそ耳を傾けて、東海第二原発の運転延長などは認めない、廃炉、こういう決断こそ必要なときだということであります。
 そこで、きょうは、広域避難計画についてお尋ねをいたします。
 茨城県は、原子力災害に備えた広域避難計画を策定しておりますが、積み残しの課題解決に向けて引き続き検討を行っております。その一つで、避難手段の問題があります。
 政府の方にお尋ねしますけれども、そもそも避難手段はどういうことを考えているのか。自家用車が中心ということを聞きますけれども、それがどうなっていて、あと、それで避難できないような場合にバスの利用などがあるんですが、その点について、まず確認で、お答えいただけますか。

○荒木政府参考人 避難の手段についてお答えをさせていただきます。
 避難の手段は、今議員から御指摘ありましたように、その人の容体等に応じて、例えばバスである場合もあれば福祉車両の場合もございます。もちろん自家用車で避難あるいは一時移転をされる方もありますので、それぞれの状況によってそれぞれ選択をしていただく、こういうふうに考えてございます。

○塩川委員 自家用車を基本とした上で、自家用車を持っていない方、使う条件のない方、そういう方などについてバスでの避難という話でありますけれども、バスの必要台数、実際何人の避難に対処するのか、その数字の根拠がどうなっているのか、この点について説明していただけますか。

○荒木政府参考人 必要台数についての御質問にお答えをさせていただきます。
 茨城県が推計をしておりますバスの必要台数でございますけれども、病院や社会福祉施設で約三百八十台、幼稚園や学校で約二百台、自家用車を持たない住民等で約二千六百九十台、合計で約三千二百七十台と承知しており、その推計方法についても把握をしているところでございます。
 なお、UPZは必ずしも一斉に避難又は一時移転をするわけではないことから、推計した、今申し上げたようなバスの必要台数が必ずしも全て同時に必要となるものではございません。
 いずれにしましても、避難等に必要なバスの台数の確保も含めまして、円滑な避難の実施に向けて、引き続き、東海第二地域原子力防災協議会の枠組みのもと、関係自治体等と連携をしながら、しっかりと検討を深めてまいります。

○塩川委員 三千二百七十台という話がありました。これは実際何人の人をこれで避難をさせる台数なのか、全体の避難者の数と、その積算の仕方について教えてもらえますか。

○荒木政府参考人 積算の方法についてお答えを申し上げます。
 茨城県の方からお聞きをしているものでございます。例えば、今申し上げました自家用車を持たないあるいは使用しない住民の方でございますけれども、これは、東海村で、約二年前でございますけれども、調査をした結果をもとに推計をしているところでございます。
 その結果、自家用車で避難ができない人数としては、平日昼間、平日夜間でともに約一四%ぐらいあるというような試算が出ておりまして、それに基づきまして、現在のPAZの人口約八万、それからUPZの人口約八十八万、それに今の一四%を掛けた上でバスが必要な人数を出します。その上で、一台当たり五十人という計算でもって、今申し上げた例えば二千六百九十台のバスの試算をしているところでございます。
 それ以外のところにつきましても、同じように、人口を出していただいた上で、また一台当たり五十人ということでバスの推計をした、このように承知してございます。

○塩川委員 九十六万人に対して、東海村のアンケートで、自家用車を使わない、使えない人の割合が一四%、それを計算すると十五万人、それに対してバス一台五十人、計算すると今言った三千台余りという数字ということになるわけです。
 ただ、これは、だから避難計画というのはいろいろな可能性があるわけで、極めて甚大な被害ということを想定して行うということであれば、やはりそういった最大の深刻な事態を前提とした避難計画を考えた際に、こういう積算根拠でいいのかということは率直に疑問に思わざるを得ません。
 バスの台数について、三千台余りとありましたけれども、一台五十人で計算していると言いますが、先日、我が党の県議団が茨城県のバス協会に伺って話をお聞きしました。協会全体では三千台のバスがあるそうですけれども、乗り合いが千三百台、貸切りが千五百から千六百台。
 ですから、実際に路線バスに入っているような、そういったバスも含めて三千台ですから、数としてあったとしても、実際、その場合に対応できるのかといったことというのは、まだ何ら具体的な話に至っていないわけであります。そもそも、車は三千台あっても、運転手が確保できるのかという問題が当然出てくるわけです。
 こういったように、一つ一つ詰めていって、本当にその計画というのが妥当性があるのか、合理的にできるのか、極めて疑問に思わざるを得ないんですが、こういうのはきちっと詰めているんでしょうか。

○荒木政府参考人 お答え申し上げます。
 原子力災害に係る地域防災計画、避難計画は、内容の具体性や実効性が重要であり、その具体化等を進めるに当たって、さまざまな、御指摘のとおり、課題がございます。
 具体的には、住民の避難先や避難手段の確保、福祉車両の確保や放射線防護施設の整備などの要支援者への対応、避難経路の複数化や交通渋滞対策などの課題を一つ一つ解決をするため、地域の原子力防災協議会の枠組みのもと、地域の実情を熟知しております関係自治体と一体となって、現在、地域防災計画、避難計画の具体化、充実化に向けて検討を重ねているところでございます。

○塩川委員 さまざまじゃなくて、私はバスの話を聞いているので。バスについて、どういう具体的に合理的な避難のプランになっているのか、どんな検討をしているんだというのを聞いているんです。

○荒木政府参考人 お答え申し上げます。
 いわゆる避難手段としてのバスの確保でございます。これにつきましても、先行して今全国の地域で進められているようなものを事例として進めているところでございます。
 具体的には、今お話がございましたように、県内のバス協会との協定をしっかりと結んでいく、また、それで足りなければ周辺の自治体ともそういった協定を結んでいく、こういう作業を今進めているところでございます。
 もちろん、まだ現実には結ばれてございませんけれども、そういうものを進めていって、しっかりと必要台数の確保に努めていきたいというふうに考えてございます。

○塩川委員 だから、まだ進めている段階で、協定には至っていない。協定というのも、ほかの事例なんかもいろいろあって、バスを出しますといった協定もあるんですけれども、しかし、ここの場合には九十六万人が前提ですから、全国で一番三十キロ圏内に人口が多い、まさに首都圏の一角にある原発という、極めて甚大な影響を与えかねない、こういった原発における避難計画の問題だから、きちんとした方向を示さなければ納得を得られないのは当然のことであるわけです。
 そういったときに、こういったバスの問題についても、まともに今示せるような状況にないということです。
 バス協会は、放射能が放出された時点ではバスは出せないと県にははっきり伝えていると述べているわけなんです。
 それは、あの福島第一の、東電の原発事故のときにも、津波被害もあった東日本大震災対応で、実際に茨城のバス協会の皆さんが現地に行かれたんですよ。現地に行かれて、こういった避難も支援をしておられるんですね。
 そういうときに、原発事故で放射能が降ってくるような状況の中でもこういう作業をさせられるのかと、苦渋の選択で、あの困難な仕事に、大変な仕事に当たられたということが実態であるわけですから、こういった問題についてはっきり示されないままに、バスを出してくれという話にならないんですよね。
 これは、どう考えても納得のいくような話にならないと思うんですが、バスの問題について、もう一回、いかがですか。

○荒木政府参考人 お答え申し上げます。
 これは繰り返しになりますけれども、今申し上げましたように、今、茨城県の東海第二につきましては、県内あるいは県外の関係するバスの協会とも調整をさせていただいております。
 また、そういった不安等がございますので、既に私どもの方から、例えば、管理の目標として一ミリシーベルトを超えないように運用していこう。そのためにはどうしたらいいのか。例えば、線量計をつけていただく、あるいはそのための必要な資機材をお持ちいただく。こういった場合には被曝するかもしれない、このタイミングではまだ放出がないので大丈夫だ、そういったことをしっかりと研修を通じて御理解いただけるように、それを進めているところでございます。

○塩川委員 一ミリシーベルトだって深刻なやはり被害をもたらす懸念があるわけで、それを超えたような場合はどうするのか、そういったことを含めて、これはきちんとした避難計画になるのかというのは、率直に疑問に思わざるを得ません。
 同じようなことはスクリーニングの話にもあるわけですよね。避難退域時の検査ということで、避難する際にはスクリーニングポイントというのを設けて、そこで放射線量のチェックをするわけなんです。その場合に、車でどんどん流していくんだという話なんですけれども、ゲート、通称関所と言うわけですけれども、こういった避難時にスクリーニングポイントをチェックするといった場合に、これはどうなるのか。このスクリーニングポイントの設置というのは何カ所ぐらいを想定しておられるんですか。

○荒木政府参考人 御質問にお答えをさせていただきます。
 現在、茨城県の方と調整をさせていただいております。その結果として、まだ、明確にこれだけの数が必要だ、あるいはこの数で確定するところまでいっておりませんけれども、必要な台数について今算定を進めながら調整をさせていただいております。
 ただ、ちなみに、このスクリーニング、いわゆる避難退域時検査でございますけれども、これは、全面緊急事態になった場合に、UPZの方々はまず屋内退避をしていただきます。更に事態が悪化をし、放射性物質が放出されて、かつ放射線量が高くなった地区があれば、その地区を特定し、特定をされた地区の住民が一時移転等を行う際に行うものでございます。そういったものでございますので、必ずしもUPZ内の全住民が一斉に避難するわけではないということでございます。
 そういったことを踏まえつつ、規制庁がつくったマニュアル、この避難退域時検査に係るマニュアルを踏まえつつ、現在、避難退域時検査の場所の選定、資機材の整備、検査体制の確保、動線等につきまして、検討を進めているところでございます。

○塩川委員 実際、だから、屋内退避なんて言われても、そうなるのかという話なんですよ。率直に、一人一人に、実情を考えたらやはりここで避難しようという判断だってあるわけですから。そういったのを机上の空論というんじゃないですか。こういったことを前提に計画を立てているということ自身がおかしいと言わざるを得ません。
 実際、渋滞になるかもしれない、渋滞がどれだけになるのか、こういったことを含めて、何ら具体的な検証なり対策なりが今の段階でもできないということをやはり重く受けとめるべきであります。
 関連して、避難計画でお尋ねしたいのが、病院や社会福祉施設の入所者の避難計画の問題についてです。
 三十キロ圏内には避難に援助が必要な入院患者や入所者を抱える病院、福祉施設は幾つあるのか、その入所者の数はどのぐらいになるのか、このことについてまず確認をしたいと思います。

○荒木政府参考人 お答え申し上げます。
 原子力災害対策重点区域内における病院は、本年四月一日現在、百二十三施設、定員の合計は約一万二千名と承知しております。また、社会福祉施設につきましても、本年四月一日現在、百九十一施設、定員の合計は約一万二千名と承知しております。

○塩川委員 ですから、二万四千名の方が入院、入所しておられます。そういった方々の中には、寝たきりの方もいらっしゃいますし、車椅子で移動されるような方もいらっしゃる。そういった方々が避難をする際の福祉車両というのは、これは確保は可能なんですか。

○荒木政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘ございましたように、要支援者、いわゆる避難に時間がかかり、特別の移動手段や避難先が必要となるなど、避難に際して配慮を要する方につきましては、きめ細やかな対策を行うこととしているところでございます。
 例えば、PAZ内の要配慮者につきましては、一般の住民よりも早い段階で避難を開始するということとしております。ただし、福島事故の教訓を踏まえまして、避難により健康リスクが高まる方につきましては、安全な搬送の準備が整うまで、放射線防護施設等で屋内退避を実施することとしております。
 一方で、UPZ内の要配慮者につきましては、まずは屋内退避を行い、その後、一時移転等の指示があった場合には、その容体に応じまして、バスであったり、御指摘の福祉車両により、あらかじめ定められた病院や介護施設など体制の整った施設に移転するということでございます。
 もちろん、この場合も、PAZ内での対応と同様に、一時移転等により健康リスクが高まる方につきましては、安全な搬送準備が整うまで、引き続き屋内退避をしていただくということでございます。
 そういったことを踏まえまして、現在、どれだけの福祉車両が要るかどうかについて、鋭意検討を進めているところでございます。

○塩川委員 ですから、福祉車両の台数の話なんか、何ら説明がありませんでした。
 そもそも、危ないときには、そういう福祉車両とかを手当てできないと安全に避難できないような場合については、そこにとどまってくれと。放射線が出ているようなそういう環境下でも、その場に退避してくださいというのを迫るという仕組み自身がおかしいんじゃないですか、こんな二万四千人もの方々の避難のための手だてを尽くすということができないんですから。こういったことを一つとっても、この広域避難計画はそもそも成り立つのかという根本的な疑問が出てくるわけですよ。
 福祉車両の確保ができない、避難手段が確保できないときは屋内退避を求める、そんなことがそもそも可能なのか、安全に避難できる見込みがないわけですから。これではどうやっても避難計画そのものが立てられないんじゃないかと思うんですが、そう思いませんか。

○荒木政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しの部分もございますが、全面緊急事態になった場合でも、必ずしもUPZ内の方々が一斉に一時移転や避難をするわけではないところでございます。
 また、原子力規制委員会が示している原子力災害時の防護措置の考え方として、PAZ内の住民は放射性物質が放出する前から予防的に避難をすることが基本であるが、避難行動に伴う健康影響を勘案し、特に高齢者や傷病者等については、近傍の遮蔽効果や気密性の高いコンクリート建屋の中で屋内退避を行うことも有効である、このようにされているところでございます。
 内閣府としては、東海第二地域につきましても、こうした考え方のもと、屋内退避ができる放射線防護施設の整備なども含めまして、要支援者への適切な防護措置が実施できるよう、関係自治体等と一体となってしっかりと検討を進めてまいります。

○塩川委員 目の前で原発事故が起こっているのに、その場にいてくださいという話なんですよ。こんなことを何で容認できるのかということを言わざるを得ません。
 内閣府の原子力防災は、国が前面に立って避難計画の策定の支援をしていく、国と自治体が一体となって計画を策定すると強調していますけれども、この策定される広域避難計画の妥当性というのは、一体誰がチェック、評価するんですか。

○荒木政府参考人 お答え申し上げます。
 原子力災害に係る地域防災計画、避難計画は、内容の具体性や実効性が重要であり、内閣府としては、地域原子力防災協議会を設置し、政府を挙げて、関係自治体と一体となって、地域防災計画、避難計画の具体化、充実化に取り組んでいます。
 その上で、地域全体の避難計画を含む緊急時対応につきましては、原子力規制委員会が策定をする原子力災害対策指針に基づき、具体的、合理的であることを地域原子力防災協議会において確認するとともに、総理を議長とする原子力防災会議で了承することとしているところでございます。
 もちろん、原子力防災に終わりや完璧はございません。一旦策定をしたこれら避難計画につきましても、支援を継続して行い、訓練等の結果も踏まえまして、継続して充実強化し、その実効性のさらなる向上に努めてまいる、そういう所存でございます。

○塩川委員 結局、つくった主体の自治体が検証するとか、あるいは、地域原子力防災協議会と言いましたけれども、これは内閣府の機関ですよ。総理トップの原子力防災会議が了承すると言うけれども、要は、みずから立てた計画をみずから確認するだけなんですよ。これでどうして妥当な計画をつくることができるのかと言わざるを得ません。
 日本には深層防護についての基準がないという重大な欠陥があるわけですから、そういった点でも、このような九十六万人の避難計画そのものが虚構でしかないということを言わざるを得ません。東海第二の運転延長、再稼働を認めるべきではない、廃炉にということを強く求めるものであります。
 何で、こんなふうに原発を動かすことに終始をするのか。私は、率直に官民癒着があると言わざるを得ません。
 経産省にお尋ねしますが、東海第二原発を運営する日本原電の役員に経産省出身者がいるんじゃありませんか。

○糟谷政府参考人 日本原電の役員でございますが、電気新聞社発行の電力役員録にも掲載されておりますが、ことし八月末現在、元経済産業省職員一名が同社の副社長に選任をされていると承知をしております。

○塩川委員 副社長が経産省出身であるわけです。
 今、東海第二原発の再稼働に向けて、安全対策の経費が千七百四十億円かかる。この経費を自分で出せないものだから、東電に支援してもらう、こういう約束もしているわけですよ。その東電は、実質、今は国策企業、国有企業で、経産省の役員も入っているんですよね。
 そうすると、経産省の役員が入っている東電と日本原電の間でお金の融通をするような、延命策を図るようなことを行っているわけなんです。こういうことが官民癒着ということで問われているんじゃないのか。
 もともと、原発事故が起こった当時、当時の枝野官房長官は、私の質問に対して、原発、原子力の安全という問題については、指導監督する側と受ける側にいささかの癒着もあってはならないと述べておりました。その後、経産省は、「電力会社への再就職の自粛について」という通達、天下り自粛の通達を出したという経緯があります。
 この通達は今も生きているんですか。

○糟谷政府参考人 委員御指摘のとおり、東京電力福島第一原発の事故を受けまして、平成二十三年四月、国民の疑念を招かぬよう、経済産業省幹部職員が電力会社の役員等に再就職することについて、自粛を促す措置を講じたところでございます。
 現在においても、この措置の有効性は損なわれていないというふうに理解をしております。

○塩川委員 官房長官、お尋ねします。
 東電の原発事故当時、枝野官房長官は、先ほど紹介したように、私の質問に対して、原発、原子力の安全という問題については、指導監督する側と受ける側にいささかの癒着もあってはならないと述べていたわけです。
 こういった官民癒着が疑われるような天下りの実態があるわけですから、これをしっかりと是正する必要があるんじゃありませんか。

○菅国務大臣 国家公務員の再就職については、国民からの疑念を抱かれないよう、国家公務員法に基づいて規制されており、御指摘の者の日本原電への再就職についても、この再就職規制に沿って適切に行われている、こういうふうに報告を受けています。

○牧原委員長 塩川鉄也君、持ち時間が来ております。

○塩川委員 天下り、この原発事故の前から行っていたらそれは適用除外だという話で、しかし、それが癒着になっているわけですから、ここをやはりきっぱりと断ち切ることが必要だ。
 原発にしがみつく原子力事業者と、原発推進政策に固執する国、経産省による官民癒着が危険な原発再稼働の大もとにあります。原発利益共同体による原発推進政策を断ち切って、原発ゼロ、省エネと再生可能エネルギーの急速な普及によるエネルギー政策の抜本的な転換を図る、そして野党提出の原発ゼロ基本法案をしっかりと審議しろ、このことを強く求めて、質問を終わります。