【倫理選挙特別委員会】候補者情報充実を/「選挙公報」活用を要請

 来春の統一地方選挙で各選挙管理委員会発行の「選挙公報」を活用するよう求めました。

 明るい選挙推進協会の2015年「統一地方選挙全国意識調査」によれば、半数以上の有権者が「候補者情報が不足している」と回答。選挙期間で触れたもののうち「役に立った」のは「選挙公報」との回答が一番でした。

 都道府県議選・市区町村長選・市区町村議選の選挙公報発行には各自治体で条例を制定する必要があります。

 わたしの質問に対し総務省は、都道府県議選・指定都市長選・指定都市議選(北九州市除く)で条例が制定され、制定自治体が増加していることを明らかにしました。

 地方選における候補者情報の不足は大きな問題となっている。選挙公報の活用が必要だとただすと――。

 石田真敏総務相は「条例制定が増えていることは結構なこと。積極的に考えてもらえれば」と述べました。

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「議事録」

<第197通常国会 2018年11月21日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 4号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 法案について質問いたします。
 日本国憲法は、国民主権、議会制民主主義の基本理念のもと、主権者たる国民が政治に参加する手段として選挙制度を位置づけております。また、住民の福祉の増進を図ることを基本とした地方自治体においては、選挙によって住民の意思が示されることで、住民の意思に基づき、自治体みずからの意思と責任を持ってその役割を果たしていくことを明記しております。憲法上の権利行使にとっても、住民の意思を議会、首長に反映した地方自治を行うためにも選挙が重要であることは言うまでもありません。
 前回の質問で、期日前投票が増加をし、候補者情報が入らないままに投票が行われている実情について取り上げました。大臣に伺いますが、選挙が正当に行われるためにも、有権者に、誰が立候補し、どういう公約を出しているのか、候補者情報がきちんと渡ることが必要であると考えますが、お考えをお聞かせください。

○石田国務大臣 先ほど来申し上げましたけれども、投票は、やはり国民主権のもとで最も重要な権利の一つでありまして、選挙権の行使に当たっては、やはり有権者が、今御指摘のように、候補者や政党の政策等の情報を十分に得られることは大変重要なことと認識いたしております。

○塩川委員 ということであります。
 明るい選挙推進協会が選挙のたびに意識調査を行っております。二〇一五年の統一地方選挙全国意識調査の結果について紹介していただきたいんですが、候補者に関する情報が不足しているかどうかについて、地方選挙で候補者の人物や政見がよくわからないために、誰に投票したらよいか決めるのに困るという声があります。最近の地方選挙であなたはそう感じたことがありますかとの質問に、感じたことがあると答えた人の割合はどうなっているか、その割合が過去と比べてどうなっているのかについて説明をお願いします。

○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十七年、二〇一五年の統一地方選挙後に明るい選挙推進協会が全国三千人の有権者を対象に実施した意識調査によりますと、候補者情報の不足を感じたことがあると答えた割合は、平成二十七年には五三・四%であったと承知しております。かつて、昭和五十四年のデータがございますが、これが三一・六%であったと承知しております。

○塩川委員 以前にも増して不足と感じたことがある人の割合が高まっている。前回でいえば、五三・四%と過半になっているという現状があります。しかも、情報不足を感じている人の六割が、都道府県議選や市区町村議選が情報不足だと言っているわけで、大変重大な事態ではないかと言わざるを得ません。
 質問しますが、同じ調査で、特定の候補者に投票するのを決めたのはいつごろであったのかとの質問に対して、選挙期間中、投票日の前日までと投票日当日に決めた人の割合というのはどうなっていますか。前回調査との比較はどうでしょうか。

○大泉政府参考人 お答えを申し上げます。
 選挙期間中に、投票日前日までに決めた割合につきましては、それぞれ選挙ごとに申し上げますと、知事選につきましては、選挙期間中までは二四・三%、投票日当日には八・七%となっております。都道府県議選挙については、同じように、三〇・八%と一〇・六%、市区町村選につきましては二二・四%と八・七%、市区町村議選につきましては二七・四%と九・八%とそれぞれなっておるところでございます。
 それから、ちょっと、かつての比較は手元にございませんので、失礼いたします。

○塩川委員 今、足し合わせれば、前日、当日決めたという人が三割、四割ぐらいというので、大変大きいわけであります。
 前回質問した際にも、選挙運動期間がどんどんどんどん短くなっているということもありますので、三割以上の人が、この短い選挙期間の中で誰に投票しようか真剣に考えているということが示されていると思います。
 重ねてお聞きしますが、同じ調査で、政党や候補者による情報提供について、選挙期間中に見たり聞いたりしたものと、役立ったものとの質問に対し、選挙期間中に見聞きしたトップファイブは何か、それらが役立ったと回答が一番多かったものは何かについてお答えください。

○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
 選挙運動において、どのような媒体と接触したかにつきましては、候補者のポスターが四九・四%、街頭演説が三六・五%、連呼が三〇・二%、選挙公報が二五・八%、候補者のはがきが二一・六%がベストファイブでございます。
 また、その有効度についての調査でございますが、選挙公報が一七・三%、街頭演説が一一・八%、候補者のポスターが九・九%、テレビの政見放送、これも経歴放送も含むということでございます、これが八・八%、候補者の新聞広告が七・四%の順ということとなっております。

○塩川委員 選挙公報が一番役に立ったという回答があるというのは非常に重要だと思います。
 十八歳選挙権が施行されて、総務省と文部科学省がつくった高校生向け副教材の中でも、「候補者や政党の情報はこう集める!」として、選挙公報が挙げられております。選挙公報は、有権者にとって接触しやすく、役立つ情報源となっております。
 昨年の法改正で、町村議選を除いて、他の選挙は候補者個人の選挙運動用ビラの頒布が可能となりましたが、候補者ビラは枚数制限があり、一枚ずつ証紙を張って、頒布方法も新聞折り込みとか、選挙事務所内とか、演説会場内とか、街頭演説の場所と限られ、多くの有権者に候補者情報が届くとは言いがたいものであります。
 その点でも、各選挙管理委員会が発行する選挙公報は重要です。
 選挙公報は、国政選挙と都道府県知事選挙では義務づけられておりますが、都道府県議選、市区町村議選においては、それぞれの自治体が条例を制定することによって行われております。
 この選挙公報の発行に係る条例の制定について確認をしたいのですが、都道府県議選、指定都市での市長選、市議選で条例の制定状況はどうなっているか、つまり制定していない団体はどこかということと、一般市区の市区長選、市区議選、町村長選、町村議選でそれぞれ条例を制定していない団体数、比率はどうなっているのかについてお答えください。

○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
 選挙公報の発行に係る条例の制定状況につきまして、平成二十九年十二月三十一日現在の状況を申し上げますと、都道府県議会議員選挙については、四十四団体で制定しております。ただし、その時点で未制定でございました新潟県、山梨県、岐阜県の三団体が平成三十年の三月に条例を制定しております関係で、全ての団体で条例が制定されました。
 指定都市の市長選挙につきましては、全ての団体で条例が制定されております。
 指定都市の市議会議員選挙につきましてですが、十八団体で制定されております。ただし、その時点では未制定であった広島市が平成三十年七月に条例を制定されますので、未制定の団体は北九州市となっております。
 政令指定都市以外の市区町村選挙及び市区町村議会議員選挙について、条例を制定していない団体は、ああ、市区。済みません、町村じゃありませんでした、市区議会議員選挙について、条例を制定していない団体は、それぞれ七十五団体、七十六団体となっておりまして、全団体に占める割合は、それぞれ九・四%、九・六%でございます。
 町村長選挙及び町村議会議員選挙において、条例を制定していない団体は、それぞれ五百五団体、五百八団体でございまして、全団体に占める割合は、それぞれ五四・五%、五四・八%でございます。

○塩川委員 町村長選や町村議選ではまだ五割以上が選挙公報を発行していないという点で、極端に少ないわけですが、指定都市でも北九州市議選はまだ条例ができておりません。都道府県によってもかなりばらつきがあるわけで、富山県、福井県、鳥取県、佐賀県では、全ての市町村で首長も議員も選挙公報を発行できる条例を制定しております。一方、和歌山県では、県議選と、和歌山市と橋本市が、首長と議員の選挙公報を発行できる条例が制定されているだけということでもあります。
 ようやく全ての都道府県で選挙公報が発行できる条例ができました。先ほどの意識調査で、一番候補者情報が不足している選挙となっていたのが都道府県議選であります。昨年六月に我が党の穀田議員が質問したときよりも条例を制定した自治体がふえているのは確かであります。
 こういう状況について、総務省としてはどのように評価しておられますか。

○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
 条例につきましては、当該条例につきまして、各団体の議会において議論を経て成立したものと承知しておりまして、総務省としては、その議論を評価するという立場ではございませんが、一般論として申し上げますと、選挙公報の発行により、選挙人にとって、候補者等の政見等を入手する手段がふえたということにはなると考えております。

○塩川委員 候補者の情報が不足だと感じている有権者が多いわけで、誰に投票していいかわからないという声があるときに、選挙運動期間が短い地方選における候補者情報の不足が大きな問題であります。遠隔地で不在者投票を行う場合も、候補者情報を得るには選挙公報のみとなる場合も多いわけです。
 大臣に伺いますが、我が党は、東日本大震災の際に、居住地から遠く離れて避難を余儀なくされた方々に候補者情報を届ける、そのために選挙公報を郵送する、公報を選管ホームページに掲載するということを提案をしました。実際に福島県内では選挙公報発行を始めた自治体もありますし、選管ホームページに選挙公報を掲載することが二〇一二年総選挙から全ての選管で行われるようになりました。
 この選挙公報の活用が非常に重要、必要だと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

○石田国務大臣 選挙人が、議員御指摘がありましたように、候補者等の政見を入手する手段として非常に評価できると考えておりまして、条例を制定している団体がふえているということは結構なことだと考えております。
 ただ、御指摘ありましたように、選挙運動期間の短い選挙においては、やはりその発行等が困難な場合も考えられるわけでありますけれども、可能な範囲で積極的に考えていただければありがたいと思っております。

○塩川委員 ぜひ、選挙公報の発行に努めるという点での取組を促していきたいと思っております。
 我が党は、統一率が高ければいいという立場はとりません。やはり議員の選挙期間、また議員の任期というのは重い、選挙における有権者の権利をしっかりと保障するということが重要で、そういう点でも、選挙、政治、国民にわかりやすくする上で、複雑な現行の公職選挙法の抜本的な改正、国民の基本的権利である選挙運動の自由を保障するということを求めて、質問を終わります。