【内閣委員会】入間基地の兵站拠点化/施設整備に300億円/日米一体化進む実態示す

 航空自衛隊入間基地(埼玉県入間市・狭山市)での日米の軍事一体化を加速させる拡張強化について質問しました。

 同基地の2014年度~2019年度(19年度は概算要求額)施設整備費の額について質問。

 防衛省は自衛隊病院の建設(94億円)、新型大型輸送機C2の受入れ(52億円)、次期電波情報収集機受入れ(56億円)を中心に総額約307億円だと答え、自衛隊医療、医学関連を柱の一つとして、極めて大きな額で拡張強化が進んでいることが明らかになりました。

 「自衛隊衛生の意義」とは何かと質問。

 防衛省は、自衛隊病院等あり方検討委員会の報告書では「戦闘、特殊武器等により発生した傷病者の治療・後送するとともに、人的戦闘力を維持、増進すること」と答弁。

 医療法では、「医療は生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とする」とある。医療機関と自衛隊衛生・自衛隊病院の違いは明らかだ。

 今年11月の日米共同統合演習(キーンソード)の一環として自衛隊輸送機で米軍患者を岩国基地(山口県)から入間基地まで搬送する衛生訓練が実施された。米軍と一体になって自衛隊が海外の戦場でたたかい、戦闘力を維持増進し、国内の自衛隊病院に負傷者を搬送するための訓練であり、幅広い分野における日米間の安全保障強化を掲げた国家安全保障戦略の具体化だ。

 菅義偉官房長官は「国家安全保障戦略と防衛大綱による衛生に関する指針を踏まえたものだ」と認めました。

 米軍と一体に、海外で戦争する自衛隊にするな。入間基地拡張強化計画の撤回、安保法制廃止を求めました。

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「議事録」

<第197通常国会 2018年12月05日 内閣委員会 9号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、航空自衛隊入間基地における基地機能強化拡張計画について質問いたします。
 内閣官房には、国家安全保障戦略を取りまとめた国家安全保障会議の事務局である国家安全保障局があります。国家安全保障戦略では、「幅広い分野における日米間の安全保障・防衛協力の更なる強化」を掲げております。
 それに基づく防衛計画の大綱では、自衛隊病院の拠点化、高機能化を進めることと、第一線の救護能力の向上や統合機能の充実の観点を踏まえた迅速な後送体制の整備を図るとありますが、入間基地に係るこの間の施設整備や訓練内容は、この国家安全保障戦略、防衛計画の大綱の具体化であります。
 そこで、防衛省にお尋ねをいたします。
 航空自衛隊入間基地の施設整備費についてですけれども、二〇一四年度から二〇一八年度までの各年度の予算額及び来年度の概算要求額は幾らか、この六年間の総額は幾らになるのか、お答えください。

○平井政府参考人 お答えします。
 航空自衛隊入間基地における二〇一四年度から二〇一八年度までの施設整備の予算額でございますが、二〇一四年度は約十八億円、二〇一五年度は約十四億円、二〇一六年度は約五十七億円、二〇一七年度が約二十三億円、二〇一八年度は約八十九億円となっております。また、来年度予算の概算要求額は約百六億円となっております。
 なお、来年度予算についてはあくまで概算要求額であり、確定したものでありませんが、あえて二〇一四年度の予算額から来年度予算の概算要求額までを合計すれば、合計で約三百七億円となります。

○塩川委員 六年間で三百七億円ということで、単一の既存の自衛隊基地、駐屯地における施設整備費としては他に例がないほど大きな額になっております。
 続けて防衛省にお尋ねしますが、この六年間における実際の施設整備費の中身としてお聞きしたいのは、C2の受入れ関連、次期電波情報収集機の受入れ関連、留保地関連のうち、自衛隊病院が幾らか、航空医学実験隊移転関連の施設整備費はそれぞれ幾らになりますか。

○平井政府参考人 お答えします。
 二〇一四年度の予算額から来年度予算の概算要求額までのそれぞれの施設整備費の合計額について、来年度予算の概算要求額が含まれるという前提で申し上げれば、C2受入れ関連は約五十二億円、次期電波情報収集機受入れ関連が約五十六億円、留保地関連は約百四十二億円で、そのうちの自衛隊病院関連は約九十四億円、航空医学実験隊移転関連は約十八億円となっております。

○塩川委員 自衛隊の医療や医学関連が大きな柱の一つになっています。
 続けてお尋ねしますが、二〇〇九年に、防衛省では、自衛隊病院等在り方検討委員会の報告書を取りまとめております。この自衛隊病院等在り方検討委員会の報告書において、自衛隊衛生の意義については何と書いてありますか。

○田原政府参考人 お答えいたします。
 自衛隊病院等在り方検討委員会の報告書、平成二十一年にまとまっておりますけれども、これにおきましては、自衛隊衛生の意義については、自衛隊の任務の遂行のため、戦闘、特殊武器等により発生した傷病者を治療、後送するとともに、平素における隊員の健康を良好に維持して、人的戦闘力を維持、増進することにあるというふうに記載されております。

○塩川委員 自衛隊衛生というのは、戦闘、特殊武器等により発生した傷病者の治療、後送とともに、人的戦闘力を維持、増進することにあるということで、この位置づけに基づき自衛隊入間病院は設置をされます。医療法では、医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とするとあります。ですから、通常の医療機関と自衛隊衛生、自衛隊病院の違いは明らかであります。
 新ガイドラインには、平時から戦争に至るあらゆる段階で、補給、整備、輸送、施設及び衛生などの後方支援を相互に行うとあります。後方支援、兵たん活動は武力行使と一体不可分のものであり、その一環として衛生も位置づけられているわけです。
 この間、入間基地がかかわった訓練において、この衛生、いわゆる軍事医療関連の訓練が行われておりますが、二〇一七年度の自衛隊統合演習での入間基地における衛生に係る訓練内容及び二〇一八年度の日米共同統合演習での入間基地における衛生に係る後方統合補給訓練の訓練内容について示してください。

○森田政府参考人 お答え申し上げます。
 二〇一七年度、平成二十九年度の自衛隊統合演習、実動演習でございますが、これと二〇一八年度、平成三十年度の日米共同統合実動演習におきましては、航空自衛隊入間基地を使用した統合後方補給訓練の衛生関連の訓練項目がございました。
 具体的には、平成二十九年度の自衛隊統合演習におきましては、航空自衛隊C130によりまして那覇基地から入間基地へ自衛隊の患者を搬送する訓練、また、航空自衛隊CH47及び陸上自衛隊の救急車により入間基地から自衛隊中央病院へ患者を搬送する訓練を行いました。
 また、平成三十年の日米共同統合実動演習におきましては、航空自衛隊C130によりまして、海上自衛隊岩国基地から入間基地へ米軍の患者を搬送する訓練を実施しております。

○塩川委員 補足すれば、昨年の訓練では、航空機動衛生隊が、機動衛生ユニット、空飛ぶ集中治療室と言われるそういうユニットを運用し、患者を後送する要員の中には、第一線救護衛生員という形で、いわば戦場下における救命措置を行える、そういう隊員を配置しているということです。
 こういう訓練の実態を見れば、この訓練先の沖縄や岩国を海外の戦場に置きかえれば、その意図するところが明確になります。海外での活動を想定したC2輸送機が入間基地に配備をされ、隣接をして自衛隊病院が建設されることを見ても、米軍と一体になって自衛隊が海外の戦場で戦い、戦闘力を維持、増進するために国内の自衛隊病院に負傷者を搬送するための訓練となっている。これが実態ではありませんか。

○鈴木(貴)大臣政務官 防衛省といたしましては、国民の生命及び財産を守るために、防衛計画の大綱に基づき、衛生に関する施策を含め、引き続き防衛力の整備に取り組んでまいります。

○塩川委員 ですから、この自衛隊の衛生というのが、まさに米軍と一体となって進められている。今回の訓練においても、米軍患者を搬送する訓練というのも含まれて行われているわけですよね。そういう中に、今の、まさに日米ガイドラインに基づくロジスティクス、後方支援において、衛生も含めて行われるわけですから、兵たんの一環としての衛生として日米軍事一体化が行われているというのが今の入間基地における訓練の中身にもなっているんじゃないのか、そういう問いについてはどういうふうにお考えですか。

○森田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどお答えいたしましたとおり、二〇一八年度の日米共同統合演習につきましては、米軍の患者を岩国基地から入間基地に搬送する訓練を実施したところでございます。
 日米共同訓練におきましては、このような訓練も含めて、これまでも実施してきているところでございます。

○塩川委員 最後に、官房長官に伺います。
 国家安全保障局を始めとして内閣官房の事務を統括するのが官房長官でありますが、今お話ししましたように、この自衛隊衛生というのは、まさに、米軍と一体に海外で戦争する自衛隊づくりの一環となっている。入間基地の拡張強化計画の撤回、安保法制の廃止を求めますが、こういった自衛隊衛生について、官房長官としての認識を伺います。

○菅国務大臣 御指摘をいただいています入間基地における病院等の施設整備や自衛隊統合演習などにおける衛生についての訓練は、国家安全保障戦略、これを踏まえて作成された防衛大綱による衛生に関する指針を踏まえたものである、このように認識をいたしております。
 先ほど政務官が答弁されましたように、政府としては、国民の生命及び財産を守るために、防衛大綱に基づいて防衛力の整備に取り組んでいく、このことが大事だと思っています。

○塩川委員 国家安全保障戦略、防衛計画の大綱というのは、日米ガイドラインとまさに、その具体化でもあるわけで、そういう意味でも、日米軍事一体化が進むという意味での入間基地の拡張強化計画は反対だと申し上げて、質問を終わります。