【内閣委員会】拡大する官邸/監視機能強化が必要

 内閣の機能が大きく強化されている実態を示し、拡大する内閣官房・内閣府に対する監視機能強化の必要性についてただしました。

 2001年に行われた中央省庁再編以降、内閣官房では国家安全保障局や内閣人事局などが設置され、人員数も01年度末から18年度末で3倍に増加しています。01年に発足した内閣府では、経済財政諮問会議や、加計学園問題で注目された国家戦略特別区域諮問会議などが設置され、人員数も増加しています。

 内閣の重要政策の企画立案、総合調整機能を持つ内閣官房・内閣府を拡大強化してきた。こうした官邸機能強化のもとで、公文書の改ざん、ねつ造、隠ぺいなどの不祥事がまかり通っている。内閣官房や内閣府の仕事を行政内部で監視する仕組みはあるのか――と質問。

 総務省は「政策評価の対象ではない」と答弁し、仕組みがないことを認めました。

 行政内部の監視機能はどうするのかとの追及に対し、菅義偉官房長官は「これまでも国会の場で説明に努めてきた」と述べるだけで、何ら対策を示しませんでした。

 私は、政策決定の透明化を図る必要があり、情報公開法や公文書管理法の改正を求めるとともに、官邸機能強化に対する国会の行政監視機能を果たすために、これまで行われなかった首相秘書官の国会招致などを要求。内閣委員会の役割について検証すべきだ――と主張しました。

 牧原秀樹内閣委員長は「重く受け止めて検討したい」と述べました。

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「議事録」

<第198通常国会 2018年03月06日 内閣委員会 3号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、最初に、官邸機能強化の問題と、これにかかわって行政監視機能の強化について質問をいたします。
 国会は、立法とともに、政府、行政の統制、財政の統制のための権限を持っております。行政監視機能の発揮は、国民の負託を受けた国会の極めて重要な役割の一つであります。
 そこで、最初に官房長官に、昨年の七月における大島衆院議長の「今国会を振り返っての所感」、談話ですね、それについての受けとめをお伺いしたいんですが、少し紹介したいんですけれども、大島議長は、去年の通常国会を振り返ってということで、
 憲法上、国会は、「国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関」として、「法律による行政」の根拠である法律を制定するとともに、行政執行全般を監視する責務と権限を有しています。これらの権限を適切に行使し、国民の負託に応えるためには、行政から正しい情報が適時適切に提供されることが大前提となっていることは論を俟ちません。これは、議院内閣制下の立法・行政の基本的な信任関係とも言うべき事項であります。
  しかるに、財務省の森友問題をめぐる決裁文書の改ざん問題や、厚生労働省による裁量労働制に関する不適切なデータの提示、防衛省の陸上自衛隊の海外派遣部隊の日報に関するずさんな文書管理などの一連の事件はすべて、法律の制定や行政監視における立法府の判断を誤らせるおそれがあるものであり、立法府・行政府相互の緊張関係の上に成り立っている議院内閣制の基本的な前提を揺るがすものであると考えねばなりません。
  また、行政・立法を含む国政は、「国民の厳粛な信託によるもの」であり、民主主義国家においては、国政全般に対する国民の信頼は不可欠なものであります。
  にもかかわらず、行政執行の公正さを問われた諸々の事案や、行政府の幹部公務員をめぐる様々な不祥事は、国民に大いなる不信感を惹起し、極めて残念な状況となったのではないでしょうか。
  政府においては、このような問題を引き起こした経緯・原因を早急に究明するとともに、それを踏まえた上で、個々の関係者に係る一過性の問題として済ませるのではなく、深刻に受け止めていただきたい。その上で、その再発の防止のための運用改善や制度構築を強く求めるものであります。
このように述べておられることは、大変重く受けとめているところであります。
 官房長官として、この大島議長の所感、談話について、政府としてどのように受けとめておられるのか、お尋ねをいたします。

○菅国務大臣 そうした議長からの申入れというんですか、そうしたことは政府として当然重く受けとめさせていただいて、なすべきことを一つ一つ着実に実行に移させていただいて、信頼を得るようにしたい、このように思います。

○塩川委員 なすべきことをなして、信頼をしっかりと回復していく、そういうお話であります。
 その点で、この間の森友、加計問題や勤労統計問題など、総理官邸にかかわる、いわゆるそんたくの政治ということも取り沙汰をされ、官邸主導の体制についての厳しい意見も寄せられております。
 そこで、その背景にある、この間の官邸機能強化について質問をいたします。
 一九九八年成立の中央省庁等改革基本法及び一九九九年の中央省庁等改革関連法においては、内閣機能の強化を掲げておりました。
 そこで、お尋ねしますが、このような中央省庁の改革において、内閣官房においてはどのような機能強化が行われたんでしょうか。

○大西政府参考人 お答え申し上げます。
 省庁再編の際、内閣機能の強化が図られたが、どのようなことが行われたかというお問いかけでございます。
 中央省庁等改革基本法に盛り込まれた内閣機能の強化の具体化といたしまして、内閣官房につきましては、内閣総理大臣が閣議を主宰する場合におきまして、内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議することができる、このことを明らかにすることが一つでございます。また、内閣官房副長官補、内閣広報官、内閣情報官の創設といった、内閣及び内閣総理大臣を補佐する、支援する体制を整備する、この二つが大きな柱となっておりました。
 以上でございます。

○塩川委員 閣議における内閣総理大臣の発議権の明記をする問題や、内閣官房副長官補の新設など内閣官房の組織の整備、また、総理補佐官の増員等の首相補佐体制の整備等々、行われてきているわけであります。
 同時に、それ以降も随分改革も行われてきているわけですけれども、中央省庁再編以降、内閣官房においてはどのような組織、機能の強化が行われてきたでしょうか。

○大西政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十三年一月六日の省庁再編以降でございますが、内閣官房におきましては、まず、内閣法の改正によりまして、平成二十五年五月、内閣情報通信政策監、平成二十六年の一月、国家安全保障局、平成二十六年の五月に内閣人事局がそれぞれ新設されたところでございます。
 また、内閣官房組織令、政令でございますが、その改正によりまして、平成十三年四月に内閣衛星情報センター、また、平成二十七年一月に内閣サイバーセキュリティセンター等がそれぞれ新設されているところでございます。

○塩川委員 資料を配付させていただきました。
 一枚目に内閣官房の機構図があります。平成三十年十二月七日現在ですけれども、今答弁がありましたように、この図も、当初からそういう機構ではなくて、この間ずっと強化をされてきているということで、今の答弁にもありますように、左側に張り出している内閣人事局や、真ん中のところの下あたりに内閣情報通信政策監、あるいはその右の国家安全保障局などが設置をされ、その下にある内閣サイバーセキュリティセンターや内閣衛星情報センターなどがこの間、次から次へと内閣の機構としてつけ加わってきているわけであります。
 あわせて、この機構図を見ると、内閣官房副長官補のもとに分室がたくさんあるんですけれども、これは、内閣官房、中央省庁再編を行った直後の時期は幾つぐらいで、今幾つぐらいかというのを、およそわかりますかね。

○大西政府参考人 今、正確に数字をそらんじることはできませんけれども、お手元の資料にも入っておりますが、三十六の室が内閣官房副長官補のもとにぶら下がっておりますというか設置されております。
 そのうち、省庁再編の前からあるものは、一番左端に書いていただいています情報通信技術(IT)総合戦略室。これは再編前からあったと聞いておりますが、それ以外、新型インフルエンザ等対策室から右にプレミアム付商品券施策推進室までの組織につきましては、その後に設置されたものと認識をしております。平成二十一年以降の設置になっていると認識しております。

○塩川委員 今御説明ありましたように、中央省庁再編以前からあるのは一番左側のITの総合戦略室で、基本、スクラップ・アンド・ビルドですから、つくっては、用をなせばなくして、新しいものをつくるということであるので、それをずっと繰り返しているということではありますけれども、でも、トータルの数そのものも大きくふえているというのが実際のところであるわけです。そういう点でも、この内閣官房副長官補のもとでの分室が、企画立案や総合調整の機能を果たすということで、内閣の重要な政策を担うという役割をそれぞれ持っているということが、ここにも見てとれるわけであります。
 それで、このような中央省庁再編以降、法案、閣法について、各省が提出するということであったのを、内閣官房からの法案の提出の権限が明確化をされたと承知をしております。ですから、そういう意味では、内閣官房としてストレートに官邸の方針を反映する、そういう法案提出が可能になったわけであります。郵政民営化法案を念頭に置けば、そういうものだということになるわけですけれども。
 このように、内閣官房から提出された法案について伺いますが、ちなみに、省庁再編以前はほとんどなかったと承知しているんですけれども、例えばこういうものというので例示してもらえれば紹介していただきたいということと、省庁再編以降、実際、各年で見た場合に、内閣官房から出されている法案が幾つあるのか、わかるところで教えてください。

○大西政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、数の方から申し上げたいと思います。
 省庁再編が行われました平成十三年から平成三十一年の現在までで、内閣官房が主として閣議請議を行いまして国会に提出した法律案でございますが、合計百四十九本ございます。また、それに対しまして、省庁再編以前、平成十二年以前でございますけれども、その期間におけます同様の法律案を調べましたところ、十八本が確認できております。
 例示を述べよということでございましたので、例えば、昭和五十七年におきましては、日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案というものが出されております。
 そういうところでございまして、対比して見れば、百四十九対十八ということでございますので、省庁再編後、内閣官房が主として閣議請議を行って提出をさせていただいた法律案はふえている傾向にあるということは申し上げられるかと思います。

○塩川委員 ですから、中央省庁再編以前というのが十八本だ、同時に、中央省庁再編以降については百四十九本ということで、大変多くの法案、だから、平年でならしても七本とか八本とか、そういう数になってきているわけですよね。内閣委員会が忙しくなっているということでもあるわけですけれども。
 こういった法案が内閣官房から閣議請議という形で出されてくるという点でも、内閣官房を含む官邸機能の強化のあらわれとしての法案の提出が見てもらえるのではないでしょうか。
 それから、内閣官房のこのような機能強化とともに、総理大臣秘書官の権限も大きくなるわけであります。この総理大臣秘書官というのは何人いるんでしょうか。また、仕事の内容はどんなもので、その複数の方の分担はどのようにされておられるんでしょうか。

○大西政府参考人 お答え申し上げます。
 内閣総理大臣秘書官につきましては、内閣法の二十三条に関連の規定が設けられております。
 その前に人数でございました。人数は内閣官房組織令に定数が設けられておりまして、第十一条で定数は五人とされておりますが、当分の間、附則の五項におきまして、「同条中「五人」とあるのは、「七人」とする。」すなわち七人まで設置することが可能となっております。現在、六名の秘書官がおります。
 秘書官の業務でございますけれども、内閣法第二十三条におきまして規定されておりますのは、内閣総理大臣の命を受け、「機密に関する事務をつかさどり、又は臨時に命を受け内閣官房その他関係各部局の事務を助ける。」とされているところでございます。端的に、基本的に申し上げますと、内閣総理大臣の秘書的な業務に従事するというものでございます。
 また、それぞれの役割分担についてお問いかけがございましたが、総理秘書官それぞれの役割分担につきましては、内閣総理大臣の命を受けまして、案件案件につきまして秘書官の間で調整をされているものと承知をしております。

○塩川委員 現在六人で、いわば総理の秘書的な仕事というお話ですけれども、その分担なんですけれども、例えば、予算委員会の議論の中で中江元総理秘書官が出席をされて、そのやりとりの中に、私は財務省、金融庁だけでなく厚労省の部分も担当していたという発言があるんですよ。ですから、省庁ごとの担当とか、何らかの分担があると思うんですけれども、そういうことについてはわからないんですか。

○大西政府参考人 塩川先生御指摘のように、二月の二十二日の本院の予算委員会におきまして、中江元哉参考人が、総理秘書官としては、担当する政策の一つ一つにつきまして、私は財務省、金融庁だけではなく厚労省の部分も担当しておりましたと御答弁をされているのは確かでございます。
 また、三十年の五月十日、参議院予算委員会におきまして、柳瀬唯夫参考人が、総理秘書官であった当時は、イノベーション、TPP、規制改革などを担当していたというふうに御答弁されていることも承知はしております。
 そのように、出身省庁との関係でおのずから御知見は深いところもあろうかと思いますので、そういうところも含めてだと思いますが、そういうところを含めて、踏まえて、秘書官の間で調整をされているというふうに認識をしております。

○塩川委員 ですから、どういう調整をしているのかを確認したいだけなんですけれども。それはわからないんですか。聞けないの。

○大西政府参考人 それぞれの役割分担につきましては、総理の命を受けた中で、それぞれの事案に応じて御相談されているということでございます。

○塩川委員 いや、わからないんですけれども。
 今言ったように、分担の話、それぞれ中江さんもそうですし昨年の例なんかも紹介しているんですから。流動的な部分はわかりますよ。だけれども、現時点で切り取って、こういう分担ですというのはわかるんじゃないですか。何でそれが出せないの。

○大西政府参考人 やはり、そこにつきましては、秘書官の中で個別案件に応じて調整をされているものと承知をしておりまして、現在、更に具体的にどのような役割分担を行っているかにつきましては、大変恐縮ですが、それ以上は承知をしてございません。

○塩川委員 いやいや、国会として確認をしたいということで求めて、そういうやりとり、こういう質問ということも事前に伝えてあるわけですし、それは確認できる話でしょう。何で答えられないのかという理由がわからない。

○牧原委員長 内閣官房大西内閣審議官、答えられないならなぜ答えられないのか、あるいは調べれば答えられるのか、ちょっと明確にお答えください。

○大西政府参考人 恐れ入ります。
 やはり、具体的にどのような役割分担が行われているかにつきましては、大変恐縮ながら、承知をしてございません。少しお時間をいただきたいと思います。

○塩川委員 いや、承知をしていないじゃなくて、一応、私はそういうことを聞きますよと言っていたのに、何で出せないのかというところがわからないわけ。もう一回。

○大西政府参考人 恐れ入ります。
 そのことも含めまして、やはり、それぞれの個別案件に応じまして、調整をされているということでございます。申しわけございません。

○塩川委員 ですから、何も答えていないわけですよ、承知していないという話ですから。
 これは、しっかりと説明責任を果たしてもらわないと、要するに、では何をやっているのかが不透明だというところが、ある意味、信頼を欠くようなことにもなりかねないわけで、そういう点でも、これをきちっと明らかにするというのは当然の責務だと思うんですけれども、これは出してもらえますか、ちゃんと。

○牧原委員長 大西審議官、ちゃんと出せるかどうか、答弁をしてください。

○大西政府参考人 出身省庁のお話が先ほどございました。そういうのも含めて、いろいろ、個別案件、個別状況に応じて整理をされているというふうに認識をしておりまして、それ以上のことは、ちょっと私も今承知しておりません。

○牧原委員長 なので、済みません、確認できるかどうか。

○大西政府参考人 確認できるかどうかも含めまして、持ち帰らせていただきたいと思います。
 恐れ入ります。

○塩川委員 いや、持ち帰る話じゃないんですよ、そもそも、きょう質問するということで話をしているわけだから。
 これはそもそも、だから、不透明というところが疑念にもなりかねないわけで、これは出せる話なので、初歩的な話ですから、しっかり出してもらうという話ですので、もう一回ちゃんと出すと言ってもらえますか。

○大西政府参考人 出せるかどうかというよりも、どのようなことが整理として申し上げられるかも含めまして、持ち帰りまして検討いたします。相談をいたします。

○塩川委員 まあ、相談するという話で、出すとは言っていないので。これはやはり、最低限の話ですからね。
 それをきちっとやってもらうということですから、委員長にもその点はぜひお願いしたいと思いますので。

○牧原委員長 後刻、理事会で協議をいたしますが、大西審議官にも、確認するようにお願い申し上げます。

○塩川委員 よろしくお願いします。
 それで、内閣官房の機能強化の話を聞いてきたわけですが、あわせて、内閣府の機能強化の問題です。
 内閣府は、中央省庁再編時に設置をされたわけですけれども、この内閣府設置の理由は何だったのか、中央省庁再編時の内閣府の機能はどのようなものだったのかについて、説明をお願いをいたします。

○井野政府参考人 お答え申し上げます。
 内閣府は、先生御指摘のとおり、平成十三年の中央省庁の再編において創設されたわけでありますけれども、その際に、内閣府が担うこととされた機能といたしましては、一つには、経済財政政策、科学技術政策、防災などの、内閣の重要政策に関する企画立案、総合調整を行うこと、さらに、もう一つには、栄典行政などの内閣総理大臣が担当することがふさわしい事務等を担当することがございました。
 こうした機能を果たすべき組織として、内閣府がつくられたところでございます。

○塩川委員 よく知恵の場と言われるような内閣府の役割として、重要政策に関する会議を置くということで、経済財政諮問会議の例などもありました。
 あと、栄典などの分担管理事務ですかね、内閣府として行うべき、他の省と同等の分担管理事務についても受け持つ部分があるという点でいうと、そもそも、内閣補助事務として、その企画立案、総合調整機能というのは内閣府が持つし、あわせて分担管理事務も持っている、それが内閣府だという御説明ですけれども、この内閣府については、内閣府設置法として置かれていて、国家行政組織法の対象外となっているわけです。
 そうすることで、内閣府は、内閣の重要課題に弾力的に対応する必要があることから、国家行政組織法の適用外とされたと承知しておりますけれども、それはなぜでしょうか。

○井野政府参考人 お答えいたします。
 内閣府におきましては、内閣の重要政策に関して企画立案、総合調整を行うということですので、その時々の重要政策に応じて柔軟に組織を運営していく必要がございます。そのために、局長級の政策統括官八人を置いているところでございます。
 その際、政策統括官の間の事務分担は、政令ではなく訓令によって柔軟に変更可能な仕組みとすることにより、その時々の政策課題ごとの事務量の変化に的確に対応できる体制としているところでございます。

○塩川委員 つまり、分担管理事務ではなくて、内閣府が持っている内閣の重要政策に係る企画立案、総合調整機能、この内閣補助事務にかかわって柔軟に組織を運用していく必要があると。ですから、当初は七人で、今八人の政策統括官についても、その事務分掌などは柔軟に対応できる、政令事項ではなくてその下に落としているということで弾力的に対応すると。
 これは、内閣府設置法の第五条に、内閣府の組織は、「内閣の重要な課題に弾力的に対応できるものとしなければならない。」とあるわけです。ですから、そういう意味では、柔軟に、あるいは弾力的にという趣旨でいえば、なぜそうするのかということについてきちっと説明する責任もあるわけなんです。法令事項で訓令に落とすような話であれば、なおのこと透明性の確保ということが求められているということを指摘したいと思います。
 次に、内閣府が発足以降もいろいろな組織、機能の強化が行われてきているわけですが、どのような組織、機能の強化が行われてきたかについて説明してください。

○井野政府参考人 お答えいたします。
 内閣の重要政策に関する企画立案、総合調整を行う観点から、内閣府には、その発足後も、その時々の情勢を踏まえまして新しい機能がつけ加えられてきたところでございます。
 具体的に申し上げますと、少子化対策、子ども・子育て支援ですとか、地方創生、宇宙政策など、行政各部の施策の統一を図ることが必要なさまざまな重要政策に関する事務等が追加されてきているところでございます。

○塩川委員 資料の二枚目と三枚目をごらんください。
 二枚目の方が、省庁再編時の、発足したときの内閣府の機構図になっています。三枚目、三ページの方が、平成三十年十月四日現在ということでの内閣府の機構図になっています。
 今の話でいえば、この三枚目の資料でいいますと、いっぱい箱が並んでいますけれども、右から二つ目の列のところにあるように、例えば、ちょっと説明はなかったですけれども、重要政策に関する会議という中に、当初は四つだったものを、この間、国家戦略特区の諮問会議を加えてきているということがあります。その下、一つ飛ばして、特別の機関というところで、今御説明のあった地方創生ですとか、宇宙開発とか、子ども・子育てとか少子化とかが入ってきていると。そういう点でも、さまざまな機構、組織の強化が図られているのが内閣府の実情であります。
 こういった内閣府における機能強化を見たときに、人員もふえてきているわけですよね。内閣官房とそれから内閣府の人員数、定員数というのはどのように推移しているのか、中央省庁の再編時と直近の数字で紹介をしてください。

○大西政府参考人 お答え申し上げます。
 内閣官房の定員についてでございますけれども、省庁再編が行われました平成十三年の三月末時点の数字でございますが、三百七十七人。平成三十年度末におきまして、これが千百四十一人となっているところでございます。

○井野政府参考人 内閣府の定員でございますけれども、中央省庁再編時の平成十二年度末、すなわち平成十三年三月末の定員でございますが、二千二百四十五人。現在と申しますか三十年度末の定員が二千三百六十四人ということになっております。

○塩川委員 内閣官房は三百七十七人が千百四十一人ですから、三倍になっているわけです。
 内閣府の方は、十三年三月は二千二百四十五人なんですけれども、その後、公文書館の独法化があって切り出されたものですから、翌年度には二千二百十人に減って、そこから今のように二千三百六十四人に増員をしているという経緯があります。
 それで、ついでにお聞きしたいんですが、平成三十一年度の定員審査結果による平成三十一年度末の定員は、内閣府において、前年度比大幅増になっているんですけれども、これはどういう理由なんでしょうか。

○井野政府参考人 申しわけありません。
 三十一年度、来年度末の定員につきましては、今手元にございません。

○塩川委員 直近ということもあったので、平成三十一年度末の数字というのは出ているわけですから、それを確認したかったんですが、要はふえているわけですよね。
 何がふえているかというと、カジノ管理委員会なわけですよね。これで百人近くふえているとかというのもあって、内閣府の強化、人員増というのは、こういうところにもあらわれているわけであります。
 そこで、官房長官にお尋ねをいたします。
 今ずっと確認をしてきたように、内閣の重要政策に関する企画立案や総合調整機能を持つ内閣官房、内閣府を拡大強化してまいりました。加えて、内閣人事局の発足によって、各省の幹部人事についても官邸が関与するようになったわけであります。
 こういった官邸機能強化というのが、大島議長の談話にもありましたように、森友学園や加計学園問題など官邸にかかわる問題について、公文書の改ざんとか捏造、隠蔽、虚偽答弁がまかり通る。要するに、官邸機能強化がこういった不祥事がまかり通る背景にあるんじゃないのか、この点についてお考えをお聞かせください。

○菅国務大臣 中央省庁等の改革においては、内外の情勢変化や危機に機動的、弾力的に対応するために、国政運営に当たる最高の責任を持つ内閣の機能を高めるとともに、内閣及び内閣総理大臣を補佐し支援する体制、これを整備したものであります。
 また、内閣人事局の設置により導入された幹部人事の一元管理制度は、縦割り行政の弊害を排除して内閣の重要政策に応じることのできる戦略的な人事配置を実現する、こうしたことを目標に導入したものであり、公正中立に能力・実績主義に基づく適切な人事配置を行っております。
 このように、内閣機能の強化は行政全体の戦略性、総合性を確保し、機動的で迅速な意思決定を可能とするために行っております。
 安倍内閣としては、何をなすべきか明確に座標軸を示して、政治主導で改革に取り組み、目に見える形で実現をしております。
 今後とも、国民の皆さんの声に耳を傾け、真摯に一つ一つ課題に取り組んでいきたいと思います。
 官邸へのそんたくといった御指摘は当たらないんだろうというふうに思います。
 例えば、内閣人事局、これが発足することによって、戦略的な人事配置ができています。採用年次、職種などにとらわれない人事の運用ですよね。
 例えば、海上保安庁長官に初めて、海上保安庁採用出身者、いわゆる生え抜きの人材を登用した。
 あるいは女性職員の登用。これについても、審議官で十六名から三十二名に現在なっております。また、経済産業省で次官級ポスト、特許庁長官に初めて女性を登用するとか、農水省で本省局長に初めて女性を登用するとか。
 あるいは府省間の人事交流の推進。これは、農林水産省と経済産業省で局長クラスがこの交換人事を行う。
 こうしたことをしっかり行ってきておりますし、また、地方公共団体、民間企業への出向など、こうしたことも多数実現をし、まさに戦略的な人事配置を行って、国民の皆さんの期待にお応えすることができるような、こうしたことを一つ一つ実行に移しております。

○塩川委員 いろいろ幹部人事のお話がありましたけれども、一方で、佐川さんが国税庁長官に栄転するという話なんかもあるわけですから、その点では、やはり厳しく見なければいけない。
 要するに、このように、内閣官房、内閣府の機能強化が行われているときに、そこにやはり透明性の確保というのがなければいけない。つまり、国民への説明責任というのは最低限の条件であって、そういったときに、やはり公文書の改ざん、捏造、隠蔽というのは極めて重いわけです。ですから、公文書管理のあり方をどうするのかということが問われなければいけません。
 ですから、官房長官に、こういった透明性を図る必要性についてお尋ねしたいんですが、やはり情報公開法や公文書管理法をしかるべく改正するということが必要なんじゃないのか。例えば公文書管理については、メモについても公文書に位置づけるとか、一年未満の公文書の廃棄をなくすとか、公文書の定義について組織で共有を外すということを含めて、公文書をしっかりと作成し、保管をし、それが、しかるべく説明責任を果たすような形で公開もされていく、そういうことが求められているわけであります。
 こういった公文書管理法の抜本改正など、行政の透明性を図る、こういうところでしかるべき措置を行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○菅国務大臣 一連の公文書をめぐる問題を踏まえて、文書管理の実務を根底から立て直すべく、昨年七月の閣僚会議において、公文書管理の適正化に向けた総合的な施策を決定いたしました。現在、決定した施策を一つ一つ着実に実行に移し、政府を挙げて、公文書管理の適正化に取り組んでいるところであります。
 平成二十九年末に改正した行政文書の管理に関するガイドラインの徹底も含め、引き続き、適正な公文書管理の徹底に万全を期していきたいと思います。

○塩川委員 いや、抜本的にやはり公文書のあり方を見直すことが必要だ。その点でも、我が党も提出者に加わっている野党の公文書管理法案をしっかり国会でも議論していただきたい。そういう点で今の問題点も改めて浮き彫りにしていく、このことを求めていきたいと思います。
 あわせて、行政監視機能については、行政内部における監視機能の問題も問われてくるわけであります。
 そこで、総務省にお聞きしますけれども、政策評価の問題があります。この政策評価については、実施主体は、行政事務を分担管理する行政事務、つまり、分担管理事務をやる各府省とされており、内閣官房や内閣府が行っている、内閣の重要な政策に係る企画立案や総合調整という内閣補助事務は政策評価の対象とされていないということなんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。

○讃岐政府参考人 お答えいたします。
 今御指摘にございました、政策評価法に基づく政策評価制度でございますけれども、御指摘のあったとおり、内閣の統括のもとにおける各行政機関が、その分担管理する事務について、適切に行われているか、みずから評価するという仕組みであります。
 一方、内閣の意思形成や内閣の行為を補助すること自体を内容とする、内閣官房や内閣府の内閣補助事務は、今申し上げたいわゆる分担管理事務とは性格、位置づけが異なるものであることから、政策評価法に基づく政策評価の対象とは位置づけられていないということでございます。

○塩川委員 要するに、内閣機能の強化という中で、内閣官房が強化をされ、内閣府が設置をされる。そのポイントというのは、内閣補助事務にあるわけですよね。つまり、内閣の重要な政策に係る企画立案機能、総合調整機能、これは、今の政策評価法でいえば評価の対象とならないということであります。
 ですから、分担管理事務の部分はやるけれども、内閣補助事務のところは対象外ということでいうと、内閣官房とか内閣府が果たしているこの仕事についての、しっかりとした行政内部における監視が働いていないということにもなるわけです。ここは曖昧にできない問題じゃないのか。
 官房長官にお尋ねしますけれども、行政監視機能の強化、特に、内閣の重要政策に関する企画立案や総合調整機能である内閣補助事務について、少なくとも行政内部での監視機能、行うということは考えないんでしょうか。

○菅国務大臣 情報公開制度は、政府が国民に対し説明責任を果たす重要な制度であり、政府としては、引き続き適切に運用していきたいというふうに考えています。
 いずれにしろ、これまでも国会の場でさまざまな機会を通じて、必要な説明に努めてきております。今後とも、政府の考え方や政策について国民の理解を得るために、全力で尽くしてまいりたいと思います。

○塩川委員 質問に答えていただきたいんですが。情報公開は、これはこれとしてあり方は問われるわけですけれども。
 行政内部における行政監視機能については、政策評価法では分担管理事務しか対象にしていません。一方で、内閣補助事務を担う内閣官房、内閣府の事務については対象外ということであれば、これはふさわしいチェックが働かないんじゃないのかと思うんですけれども、この内閣補助事務についても、少なくとも行政内部で少しきちっと手当てするとか、評価をするとか、そういうことは考えないのかということなんですが。

○讃岐政府参考人 お答えいたします。
 内閣官房及び内閣補助機関たる内閣府が企画立案する政策的方針は、内閣の重要方針を形成するものであり、これらは、内閣の統括のもとに政策評価を行う各府省の政策の評価尺度となるものであります。
 こうした内閣の重要政策については、それ自体を評価する尺度があるわけでなく、その時々の内閣による高度に政治的な判断などにより決定されるものであることから、その妥当性については、基本的に国会等の場においても議論されてきているところであるというふうに考えています。

○塩川委員 高度な政治的な判断を伴うような、それにかかわる内閣補助事務については評価法の対象にはしないんだということなんですけれども、それ自身も、そのあり方をもう少し考える必要があるんじゃないかということと、あわせて、だからこそ国会の行政監視機能の役割が重要だということを指摘しなければなりません。
 きょう、ずっと確認してきたように、内閣官房、内閣府の機能がずっと強化をされているんですよ。それに見合う国会の行政監視機能はどうか。内閣委員会の役割は極めて重い、委員長、そう思いませんか。

○牧原委員長 そのように思いますが。

○塩川委員 ですから、こういった国会による行政監視機能の発揮が求められているときに、この内閣委員会の果たす役割は極めて大きいということで、内閣官房や内閣府の機能の拡大強化に対応して、国会による行政監視機能を果たす場である内閣委員会の役割が現状でいいのかということも検証する必要があるんじゃないのか。
 つまり、中央省庁等再編に合わせて国会も委員会を再編しました。内閣委員会もできました。当初は三十人だったのを四十人にふやした。現状はそこにとどまっているわけなんですよ。一方の内閣官房は三倍にふえて、内閣府も割増しになって、さまざまな機構がここにぶら下がるようになってくる。となると、内閣委員会が果たすべき役割が極めて大きくなっているんですよ。それに見合うような行政監視機能を果たすということが改めて重要なんじゃないのかなと。こういうことについてしっかりと国会で議論するということが必要だと思うんですけれども、その点、受けていただけないでしょうか。

○牧原委員長 委員長として、しっかり重く受けとめて、検討したいと思います。

○塩川委員 そうしますと、内閣の重要政策に関する企画立案や総合調整機能である内閣補助事務については、行政内部での政策評価はやらないと言っているわけですから、国会の監視機能の発揮が求められているわけです。
 そうしますと、しかるべき人に国会に出てきてもらうというのは必要なんですよ。ですから、総理秘書官ですとか内閣官房副長官補とか、こういった方々に出てきてもらって、しっかりと、内閣においてどういうことが行われているのかということをきちっと国会において答弁してもらう必要があると思うので、こういった方々の政府参考人としての出頭要求、これはやはり具体化すべき話だと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

○牧原委員長 内閣委員会のあり方については、議運等、国会全体で考えることでございますし、今の話は、理事会でも、後刻、検討をさせていただきます。

○塩川委員 ということで、行政内部における行政監視機能の話と同時に、国会の行政監視機能をどう果たしていくのかという点での内閣委員会の重さというのは極めて重要で、その点でも、行政監視という点で一般質疑の機会は極めて重要なわけですから、十分な時間の確保ということを改めて求めていくものであります。
 以上で官邸機能強化にかかわる部分は終わりにして、次に、統計問題について何点かお尋ねをいたします。
 国と地方の統計職員の配置の問題です。
 公的統計とは、「国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報」と、統計法の第一条でうたわれています。その統計が損なわれることは、国民にとって政府の施策を判断する材料が損なわれることであり、国の進路を危うくするものであります。徹底的に究明することが必要です。
 その際に検証が求められることの一つが、統計業務に従事する職員のリストラの問題です。職員が不正を行うことはもちろん許されないのは当然のことであります。同時に、不正を生じさせない環境整備が必要です。このような統計業務を担う国と地方の職員数がどうなっているのかを確認したいと思います。
 資料の四に、国の統計職員の推移が書かれています。二〇〇九年と二〇一九年度を比較して、減っていることがここにも見てとれるわけです。
 確認しますが、このような統計職員の削減というのは、統計業務にしわ寄せをされ、結果として不正を生じさせることにつながったのではないのか。この点についてお尋ねをいたします。

○横山政府参考人 お答えします。
 委員御指摘のように、国の統計職員につきましては、この十年余りにおいて減少をしております。しかし、これは業務のICT化や外部委託、それから出先機関の組織再編などに伴うものと承知しております。もっとも、平成三十年度は統計改革を推進するため増員し、来年度も増員していただける見込みとなっております。
 いずれにしましても、毎月勤労統計については、厚生労働省の特別監察委員会において追加報告書が取りまとめられたところであります。また、賃金構造基本統計については、総務省行政評価局が調査を行っているところであります。
 統計委員会におきましても、今般の統計をめぐる問題を受けて設置された点検検証部会において、先月から審議を進めていただいているところであります。基幹統計及び一般統計について、こうした再発防止や統計の品質向上といった観点から、この部会で徹底した検証を行うこととしております。
 こうした結果を踏まえつつ、今後の統計全体を考えていく中で、総合的な対策を講じてまいりたいと考えております。

○塩川委員 この統計不正そのものは決して許されないのは当然であります。同時に、そういったことが生じ得るその背景として、こういう職員の配置状況がどうかということについて、きちっとした検証が必要だ。点検検証部会での検証という話が出ましたけれども、そういう観点でどこまでやるのかということも問われるところであります。
 例えば、賃金構造基本統計では、調査員による調査が必要なのに、実際には、配付、回収ともにほぼ全ての事業所について郵送調査が行われていたとか、バー、キャバレー、ナイトクラブについて、夜間の調査になるからと調査対象から外していたとか、調査計画どおり行うべきところを手抜きをしていた。こういった問題は、個々にはその問題をきちっと指摘をすると同時に、その背景としての人員の状況についてもしっかりと検証することが必要だ。
 それで、実際に人員を見ても、総務省は、統計委員会が内閣府から移管もされているということもあって、少しふえているところですけれども、統計不正の相次いでいる厚労省とか経産省などは、減り続けているわけです。
 厚労省にお尋ねしますが、厚労省は減らし続けて、これでいいんですか。

○上野大臣政務官 まず、統計に関する職員が減少してきたということであります。
 厚生労働省においては、国の行政機関の機構・定員管理に関する方針等に基づき、全省庁的に定員の適正配置が求められる中で、統計職員についても定員の合理化を図ってきたところであります。
 これは、定員の合理化のための取組として、ICT化、例えばオンライン報告の利用率の向上でありますとか、又は既存の行政データの活用などでありますけれども、ICT化や外部委託等といった業務の効率化を行ったことに伴うものであります。

○塩川委員 同じ答えなんですけれども、でも、厚労省は、ほかのところが昨年度以降ふやしているというところを厚労省としては減らしているんですよ。この問題については問題意識はないのかということなんです。

○上野大臣政務官 今お答えをしたとおり、厚労省の統計職員、この十年程度で見ると減少傾向にありますけれども、これはICT化や外部委託といった業務の効率化等に伴うものであります。
 その上で、今般の事案について報告書が出されました。追加報告書においては、今般の事案の背景として、公的統計の意義やその重要性に対する意識が低かったこと、それから、幹部職員の公的統計に対する無関心、それに加えて、組織としてのガバナンスの欠如といった点が指摘をされております。
 こうした御指摘を真摯に受けとめ、厚生労働省として、統計に対する姿勢を抜本から正し、再発防止を徹底するとともに、厚生労働行政の重みに対応した、しっかりとした組織のガバナンスを確立をしていきたいというふうに思っているところであります。

○塩川委員 毎勤統計の検討会の追加報告自身も全く納得ができない話であって、そういった点で、厚労省自身の検証が本当に大丈夫なのかということは厳しく言わざるを得ません。
 統計改革推進をして、昨年度以降少しふやしているという話なんですけれども、ここで指摘をしたいのが、骨太方針の二〇一七では、統計改革の推進として、効率化の徹底により官民の統計コストを三年間で二割削減すると、より一層のコストダウンを要求をしています。これは大丈夫なんですか。

○横山政府参考人 お答えします。
 委員御指摘のとおり、統計改革の一環として、官民の統計コストを三年で二割削減することが求められています。これは、統計改革の確実な実施に必要となる統計リソースを確保するとともに、そのためにも、オンライン調査の推進、必要性の低下した調査の廃止や調査項目の縮減、データ利活用環境の改善等を行うものでございます。
 これらを通じまして、統計作成者だけではなくて、報告者、ユーザーを含めた官民統計に係る作業等に要する時間コストを削減しようというものであります。
 したがいまして、この取組は、いわば統計リソースの確保といった一体的な取組を指すものでありまして、単なる人員の削減を行うものではありません。

○塩川委員 官民の作業時間のコスト、時間換算で絞り込むという話なんですけれども、でも、統計リソースの確保といっても、人減らしが更に進むんじゃないのかという懸念が拭えないんですけれども、そこはどうなんですか。

○横山政府参考人 あくまでもこれは時間コストに係るものでありまして、例えば利用者側からしますと、統計を利用するダウンロードにどのぐらい時間を節約することができるか、又はどのように統計を見やすくするか。さらに、報告者側から見ますと、どれだけわかりやすく調査票を書くことができるか。そういう利便性を含めた時間コストの削減というものもございます。

○塩川委員 ですから、民間側が報告するのに手間取るようなことを減らしましょう、あるいは利活用が進むようにさまざまな工夫をしましょう、それはわかる話なんだけれども、官の方についての時間コストの削減というのが人減らしにならないのかというのは懸念が残るわけです。
 地方の問題も極めて重大です。地方の統計職員も、この間減ってきているわけですけれども、国庫負担で人件費を出している都道府県の統計専任職員の定数というのは、この間でどれだけ減っているのかを示してください。

○横山政府参考人 お答えします。
 二〇〇四年では六千二百四十一人で、二〇一八年には千九百四十人となっております。
 ただ、これにつきましては、例えば農林水産省において、統計専任職員であった方が食品の安全を兼務することによって統計専任職員として外れたということが極めて大きい影響を与えております。
 その一方で、統計環境をめぐる状況は厳しくなっておりまして、プライバシー意識の高まりとか、又は統計調査員の高齢化という問題もあります。
 こうした地方公共団体の中で、新たに取り組もうとするところにつきましては、平成三十年度から、こうした調査環境の改善や統計調査員の確保のための取組を行う都道府県に、試行的に職員を追加的に増員を始めているというところでございます。

○塩川委員 そもそも、どんどんどんどん減らしているというのは、国家公務員の削減計画に準じての措置なんですよ。ですから、今でいえば、定員合理化計画が行われています。五カ年で一〇%という合理化を図るということですから、直近でいえば、地方統計職員、統計専任職員についても、百八十一人の合理化を図るという目標を持ってやっているから減っているんですよ。ですから、国の定員合理化計画に準じて地方の統計専任職員も減り続けるということになっているわけです。
 宮腰大臣にお尋ねしますけれども、このような、二〇一五年度から二〇一九年度までの定員合理化計画がかかっていて減り続ける、極めて不十分だけれども国の職員はちょこっとふえているのかもしれないけれども、このままだと地方の統計専任職員は減り続けることになるんじゃないですか。これはこのままでいいのか。定員合理化計画の枠をはめるのをやめるという措置だって考えるべきだと思うんですが、いかがですか。

○宮腰国務大臣 国家公務員の定員につきましては、国の行政機関の機構・定員管理に関する方針に基づきまして、行政機関全体で計画的に合理化に取り組んでいるところであります。
 この定員合理化の取組は、既存業務の見直しを進めることによって生まれた原資を活用し、新たな行政課題に対して必要な増員を行うためのものでありまして、政府の重要課題に機動的かつ柔軟に対処できる体制の構築を図るために、今後も維持する必要がある仕組みであるというふうに考えております。
 今ほど事務方の方からも答弁の中でありましたけれども、一方で、平成三十年度においては、調査環境の改善や統計調査員の確保のための先行的な取組を行う県に対しまして、試行的に加配が行われたと承知をいたしております。
 この定員合理化計画そのものについて、今後も維持する必要がある仕組みであるというふうに考えております。

○塩川委員 私は、だから、定員合理化計画そのものを撤回しろと言っているわけですけれども。
 少なくとも今の宮腰大臣の話でいえば、役所の中で必要なところに再配置をするという趣旨で言っているんだけれども、国がお金を出している地方の統計専任職員については、どこかに人が回る話じゃないんですよ。減るばかりなんですよ。これが定員合理化計画に準じて行われているからなんです。これをそのまま容認していたら、減り続けるだけなんじゃないですか。
 今の計画でも、定員合理化計画、五年が二〇一九年度で終わりますけれども、その以降の五年間も、引き続き定員合理化計画をやりますと決めているわけですよね。ですから、ずっと減り続けるという話になるんじゃないですか、それでいいのかというのを、定員合理化計画も所管する宮腰大臣にもう一度お尋ねしたい。

○宮腰国務大臣 県によっては、兼任職員という形で、統計の仕事とそれ以外の仕事を兼任しながらやっているということもあります。
 農林水産省の統計事務所が、廃止になって、農政事務所というふうになったときに、それまで統計の事務に当たっておいでになった方々が、例えば消費、安全の事務に当たるということになって、あるいは一部兼任というようなことにもなっておりまして、いろいろな方策は考えられるのではないかなというふうに考えております。

○塩川委員 それは、事実と違うんじゃないでしょうか。統計専任職員は専任なんですよ。兼任じゃないんですよ。市町村はいろいろ現場の担当があるんだけれども、都道府県に配置をされている統計専任職員は専任なんですよ。だから、減り続けるしかないんですよ。ちょっと今の間違いを直してもらった上で、これに即した答弁をもう一回お願いします。

○横山政府参考人 済みません。
 統計専任職員につきましては国の定員ではありませんで、あくまでも予算措置を講じて行っているという類いのものでありまして、総務省と財務省は、何人にするかということを決めるものでございます。
 それで、済みません、先生に対して、事前通告がなかった問いで、ちょっと慌てて答えてしまったんですけれども、都道府県の専任職員につきましては、二〇〇四年は二千二百四十二人で、二〇一八年は千六百七十一人という形で、確かに減っています。ただ、減っていますが、この二年間は、財務省との関係で増員も認められている、こういう状況にあります。

○塩川委員 説明になっていないんだけれども。
 増員といっても五人程度で、減る中で、減っているのは変わらないんですよ、減っているのは変わらない。だから、そういう意味でも説明になっていないし、統計専任職員の予算措置、承知していますよ。非常勤の人もいる、事務補助なんかもあると。だけれども、ほかのまでできるという話はないでしょう。そんなことを認めているんですか。それは違うんじゃないですか。それだけでも正しておいた方がいいんじゃない。

○牧原委員長 申合せの時間が経過をしております。答弁は簡潔にお願いします。

○横山政府参考人 お答えします。
 統計専任職員は、専任という名前のとおり、ほかの職の兼務は認めていないということを申し上げさせていただきたいと思います。

○塩川委員 そういうことを踏まえて、減らし続けるようなことはやめるべきだ、このような統計コストの削減方針の撤回をするということを求めて、質問を終わります。