【内閣委員会】警察官と出版社癒着の解明を

 警察庁と17都道府県の警察官が昇任試験の対策問題集を出版する民間企業の依頼を受けて、問題や回答を執筆して現金を受け取っていた問題を取り上げ、真相究明を求めました。

 警察の昇任試験の対策問題集を出版する企業「EDU-COM」が、過去7年間で467人の警察官に総額1億円を超える執筆料を支払っていたことを、1月以降、一部マスメディアが報じています。

 私は、警察への信頼性の問題にもなってくる、しっかりと全面的に明らかにするべきだ――とただしました。

 山本順三国家公安委員長は「現在、事実を確認中。早期に確認したうえで、適切な対処がされるよう、警察を指導していきたい」と答えました。

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「議事録」

<第198通常国会 2018年03月08日 内閣委員会 4号>

 そこで、質問をします。
 警察庁と十七都道府県警の警察官が、昇任試験の対策問題集を出版する民間企業の依頼を受けて、問題や解答を執筆して現金を受け取っていた問題についてであります。
 警察の昇任試験は、巡査部長、警部補、警部の三段階で毎年実施をされています。試験問題は、各県警、各警察が作成をしています。キャリアの人は昇任試験はないわけですけれども。こういった昇任試験にかかわって、EDU―COMという出版企業は、昇任試験の対策問題集「KOSUZO」というのを毎月発行しております。
 こういう、「KOSUZO」というのはローマ字なんですけれども、何か、ほかの大手を追い越すぞという意味がもともと何かあるらしいんですが、それはちょっと余計な話なんですけれども、目次を見ても、ショートアンサー問題ですとか法学論文とか実務論文とか、こういうことが書かれていて、試験対策の問題集になっています。二〇一八年の七月号の巻頭には、警察庁警備局警備企画課長が論文も書いているわけですけれども、こういった「KOSUZO」という問題集を毎月発行しております。全国版と県版があるということですが。
 この企業が作成をした内部資料によると、過去七年間で四百六十七人に一億円を超える執筆料が支払われていたということです。ほとんどが警部以上の幹部だった。ここに出版企業からの支払いリストがあります。個人別に集計しているリストですけれども、この受け取っている金額を多い人で見ると、四百九十九万円とか、あるいは七百十六万円とか、最も多い者は一千五百十七万円という金額を受け取っている。一千五百万を受け取っているというのは、大阪府警の現職の警視正への支払いということだそうであります。
 これは、一月以降、西日本新聞などが報道してきた問題ですけれども、山本国家公安委員長、この件について大臣はどのように対応してこられたんでしょうか。

○山本国務大臣 お尋ねの件につきましては、現在、関係警察において事実関係の確認を行っているというふうに認識をいたしております。
 その上で申し上げますならば、公務員が、出版社から依頼を受けて、執務時間外に原稿の執筆を行い、その原稿料を受領することは、これは間々あることでございまして、必要な税務申告が行われるとともに公務員関係法令に抵触するものでない限りにおいては、特段の問題は生じないものと認識をいたしております。
 事実確認はいまだ全体としては継続中でございますけれども、一部の県警察においては既に事実確認を終了し、何らかの措置を要しないものであるなど、かなりのものはこうした問題のないケースに当たると考えているところである、このように承知をいたしております。
 更に確認を要すると認められる点などもございますので、引き続き、関係警察において事実関係の確認に努めていくものというふうに認識をいたしております。

○塩川委員 事実関係の確認を行っているということですけれども、こういった問題については、警察への信頼性の問題にもなってくるわけです。ですから、無許可の副業の問題がどうなのか、内部文書を外に出しているという点での事務取扱との関係、そういった手続の問題もありますし、そういったことについてしっかりと全面的に明らかにすることが必要だ。
 この件については、国家公安委員会で議論になっているんでしょうか。

○山本国務大臣 これは、今、先ほど申し上げたとおり、事実関係の確認を今しているところでございまして、その結果が出た段階での議論になろうかというふうに思っております。

○塩川委員 まだ国家公安委員会で議論していないということなんです。
 これだけ報道されているんですから、委員の皆さんも関心を持っていると思うんですけれども、そういう話題が委員の皆さんからも出ていないということなんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 この件につきましては、報道がありましたときに、国家公安委員の先生方には個別に、こういう報道がございましたということと、あわせまして、必要な事実確認をこれから関係警察で行ってまいりますという御報告をさせていただいているところでございます。

○塩川委員 委員に個別に話はしているけれども、委員会の議題にはしていないということですね。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 事実確認をした上で、問題があるのであれば報告は必要かと存じますけれども、今はまだそういう確定的な状況ではございませんので、何ともお答えしがたいところでございます。

○塩川委員 民主的統制の議論をしてきているわけですから、国家公安委員会としてそういうしかるべき役割を果たしてもらいたいということを申し上げます。
 事実確認を行っているということなので、どういった事実確認を行っているのかについて教えてほしいんですが、調査対象範囲ですとか調査内容について紹介してもらえますか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、関係警察におきまして、取材や報道のございました、先ほど数字を挙げられましたけれども、四百数十名につきまして、事実確認の対象といたしております。
 関係職員からの聞き取り、あるいは関係事業者への協力を求めるなどいたしておるところでございますが、いずれにしても、客観的な事実を確定させた上での判断ということになってまいりますので、どうしても関係業者の方の御協力も必要になるということでございます。そういった形で事実確認は行わせていただいているところでございます。

○塩川委員 関係警察において四百数十名への聞き取り、あるいは事業者側への協力も求めているという話ですけれども、これは、関係警察というんですけれども、当事者には警察庁の幹部も含まれているんですよ。
 警察庁の幹部についても調べているんですか。

○中村政府参考人 報道されたものには警察庁の職員として記載されている者もおりますので、当然、警察庁としても調べております。

○塩川委員 実際に報道などでかかわった方々への取材を行ったのを見ると、実際には、警察庁の中でのやりとりでも、こういった問題集に執筆をするというのが代々引き継がれるような話があって、それが警察庁の慣習だったとか、警察庁に出向していたときに上司から割り振られたとか、理事官からの発注だったとか、組織的に行っていたんじゃないのかと、こういった指摘も上がっているところなんですけれども、そういうことについて、きちんと調べているんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 報道で、疑惑として報道されている点につきましては、当然、私ども事実確認の対象といいますか内容かと存じます。
 ただ、現時点、まだ事実関係の確認中ではございますけれども、現時点で、職場の上司からいわば職務命令という形で、組織的に原稿の執筆の依頼やあっせんが行われたという事実は把握はいたしておりません。どちらかといいますと、職員が個人的な関係で他の職員に執筆を依頼したというようなケースが多々あったというふうに承知しております。

○塩川委員 その辺、本当に事実関係はどうなのかということは、しっかり明らかにしていただきたいということと、実際に執筆料を受け取っているわけです。そういう場合に、いわゆる反復継続的であったり、あるいは金額が常識の範囲を超えるような報酬と判断されれば、副業に該当するわけで、これは任命権者の許可が必要なのではないのかと思うんですが、その辺についてはどうしているんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 例えば国家公務員でございますと、国家公務員法第百四条に「事業に従事し、若しくは事務を行う」ということで、副業の規制がかかっておりますけれども、この内容につきましては、職員が職務以外の事業又は事務に継続的又は定期的に従事する場合をいうものとされているものと承知をいたしております。
 兼業に該当するか否かにつきましては、事実関係、今確認中でございますけれども、そこで判明した、確認された事実に基づいて、個別具体的な事実関係に即して判断をされるべきものであろうと考えておりますので、一概にこういうことであれば副業に当たるとかいうことを申し上げることは困難でございます。

○塩川委員 いや、千五百万円がこれに当たるのかどうかという、そういう話なんですけれども、それは調べているんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 報道されたものは、表に載っている者たちに対してその金額が支払われているというリストでございますけれども、果たしてその金額がその人物に、そのリストのとおり金額が払われているのかどうかということも含めて、事実関係を確認しないと何とも判断がつかないわけでございまして、そうしたことは客観的な事実に基づいて判断されるべきものだと考えております。

○塩川委員 数十項目にわたってこういう振り込みのリストになっているわけで、一件一件は、ですから金額的には六千円とか二万円とかそういう金額ですけれども、そういうのがずっと積み重なっているわけですよ。(発言する者あり)ですから、それこそ毎日やっているのかという話も出るぐらいのこういう話であるので、こういった点について無許可の副業に当たるのではないのかといったことについても、しっかりと明らかにしていただきたい。
 関連して、北海道新聞の報道では、北海道警において、北海道公務員倫理条例に基づく贈与等報告書の提出義務のある五千円以上の計百十一件のうち、九割近くが未提出だった、条例に基づく報告が未提出だったということが指摘をされているんですけれども、こういった問題についても調べているんでしょうか。

○中村政府参考人 お答えを申し上げます。
 御指摘のような報道があったことは当然承知をいたしております。
 ただ、北海道警察、これは事実確認を実際行っている主体でございますけれども、そこによりますと、北海道職員倫理規則におきましては、職員が行うものであることを明らかにして行うものの報酬のみが報告の対象とされているということでございまして、これに照らしますと、大半の職員は贈与等報告書の提出を要しないと考えられるとのことでございました。
 いずれにしましても、そのような点も含めて、更に事実関係の確認を行っているところでございます。

○塩川委員 それは、倫理条例、その下部規則との関係であるんでしょうけれども、そもそも、だって、上司に隠れてやっているような話なのか、上司のそもそも指示のもとでやっていることなのか、そういったことについても、恒常的に行われている問題についてしっかりと明らかにするというのはもう大前提だということを言わなければなりません。
 それから、実際に執筆をする際に、出版社の方からは、その出典となるような内部文書を出してほしいという話も出ているということで、取扱注意文書などが出版社に流出をしています。
 こういった件については、守秘義務違反との関係も問われるんじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。

○中村政府参考人 お答えを申し上げます。
 再三にわたり恐縮でございますけれども、現在、事実関係は確認中でございます。
 ただ、いかなる文書が民間事業者側に提供されていたかということにつきまして、私ども、網羅的に把握しているわけではございません。
 といいますのは、取材を受ける過程で承知した文書を確認するしかすべがないわけでございますけれども、その確認した限りにおきましては、公務員法上の守秘義務違反に当たるような秘密が含まれる文書はなかったというふうに承知をしております。

○塩川委員 かなりの内部文書が実際には執筆の際の添付の資料として出版社側に渡っているわけですから、そういった全体像についてしっかりと明らかにしていただきたい。
 この点では、河北新報の報道で、業者への提供文書について情報公開請求をした、つまり、業者に提供した文書を特定されるわけですから、それを情報公開請求を行ったら、墨塗りで出てきたと。ですから、民間の出版の事業者にはそのまま渡されているんだけれども、情報公開請求をすると墨塗りで出てくる。
 こういった文書の扱いということについて、非公開部分のある文書をそのまま業者に提供していたことになるという指摘なんですが、こういったことについてはどうですか。

○中村政府参考人 お答えを申し上げます。
 そのような報道がなされていることも承知はいたしております。
 もちろん、御指摘のようなことが事実であると確認され、かつ職員からその文書が出たということの事実の確認ができたとすれば、文書管理規程等に抵触するおそれはございます。
 そのような点も含めて、関係警察において必要な事実確認を行っていると承知しております。

○塩川委員 文書管理規程に反するのかどうか、守秘義務違反に当たるのではないのか、こういったことについてしっかりと確認をしてもらいたい。
 あわせて、私が言いたいのは、警察がそもそもまともに文書を出さないというところが問題だと思うんですよ。ですから、本来、ほかの役所であれば出してもいいような内規ですとか取扱文書というのはあるのに、警察はそこも含めてきちっと出してこない。こういうことこそ改めて問われるわけで、警察としての情報公開のあり方をこの際にしっかりと見直す、このことも求めておきたいと思います。
 こういう業者との関係でも、接待などを受けていたという報道もあるんですが、そういったこともちゃんと調べているんでしょうか。

○中村政府参考人 お答えを申し上げます。
 御指摘のような報道がなされていることは承知いたしております。
 まだ現時点、先ほどから申し上げていますとおり、必要な事実確認を行っている最中でございますけれども、現時点におきまして、関係警察においてそうした事実は確認されていない。
 いずれにしましても、関係業者、その当時、民間事業者の方の御協力も必要なことでございますので、その点ももちろん事実確認の対象ではございます。
 ただ、しっかりとやっていきたいと思っておりますけれども、今の段階では、それについて、事実としては確認されたものはないということでございます。

○塩川委員 多額の執筆料をもらっているといった際に、きちんとした所得の申告がされているのかということも問われるので、そういった、脱税にもかかわるような、そういう話にもなりかねない。そういったこともちゃんと調べているんですよね。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど北海道の規則の話がございましたけれども、国家公務員につきましては、贈与等報告書が義務づけられております、一定金額以上でございますけれども、一定の職員についてですね。あわせて、確定申告も、二十万超の雑所得がある場合には確定申告がなされなければならない。そういった諸手続について、きちっと履践されているものかどうかにつきましても、もちろん事実確認の対象とさせていただいております。

○塩川委員 こういったことについて、既に報道で明らかになったのは二カ月前なんですよ。ですから、しっかり調べるのはいいんですけれども、いつまでにこれを明らかにするのか、そこをはっきりさせてもらえないですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど大臣から御答弁ありましたとおり、既に事実確認が終了している県もございます。また、間もなく終了する見込みの県もございます。その一方で、対象者が多数に上り、また、民間事業者の御協力を得なければ事実関係の確認ができないものもございまして、現時点で、調査といいますか、事実確認の終了の確たる時期を申し上げることは不可能でございます。

○塩川委員 最後に大臣に伺います。
 今、ずっと、るる確認をしてまいりましたけれども、地方公務員法や国家公務員法で禁じられている無許可副業や公文書流出の懸念、また、脱税ですとか業者との癒着も問われている。こういう問題について、しっかりと真相究明を明らかにする、この点を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山本国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、関係警察で事実確認を行っている最中でございます。早期にこの事実確認を行った上で、必要に応じて適切な対処がなされるよう警察を指導してまいりたい、このように思っております。

○塩川委員 終わります。