【内閣委員会】所沢通信基地土砂搬入計画/中止撤回を/日米地位協定見直せ

 米軍横田基地の外周道路工事で発生する土砂(3万7000立法メートル)を埼玉県の所沢通信基地に搬入する計画の即時中止を求めました。 

 所沢市議会などで作る基地対策協議会が2回に渡って「即時中止」を要請している。政府として米軍に計画撤回を求めるべきだ。

 防衛省は「安全等に配慮がなされるよう調整している」と述べるに留まりました。

 所沢通信基地をめぐっては、横田基地の車両用のカーポート建設計画や、CV22オスプレイの訓練飛行、今回の土砂搬入計画など、基地全面返還に逆行する米軍、防衛省に対して市民は怒っているのが分からないのか――と防衛省に迫った。

 私は、搬入される土砂の土壌汚染の懸念があり、工事に埼玉県土砂条例は適用されるのかと質問。

 防衛省は「原則適用されない」と答弁しました。

 私は、米軍の横暴勝手を許している日米地位協定の抜本改定が必要だ――と強調。

 菅義偉官房長官は「日米同盟は重要だ。米軍の円滑な駐留のためには国民の理解と協力を得ることが大事だ」と述べました。

 ドイツ、イタリアでは、米軍にも国内法の適用や米軍基地立ち入り権が明記されている。所沢市議会で「土砂搬入の中止を求める意見書」が月末の本会議で採択される見込みである。土砂搬入中止を米軍に申し入れよ――と求めました。

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「議事録」

<第198通常国会 2018年03月13日 内閣委員会 5号>

○塩川委員 米軍基地の問題について質問をいたします。
 私の地元に米軍所沢通信基地というのがありまして、今回、都内にあります米軍の横田基地の工事で発生する大量の土砂をこの所沢の通信基地に搬入するという計画が、突然、所沢市や横田基地周辺自治体に通告をされて、大問題となっております。
 資料の一枚目に防衛省北関東防衛局の資料をつけました。横田飛行場での工事に伴う発生土の所沢通信基地への搬入についてという図ですけれども、搬入が予定されているのは約三万七千立方メートルの土砂ということで、東京ドームのグラウンド部分に三メートルの土を盛るという、かなりの量の土砂を運び込むという計画になっています。右下に図がありますけれども、横田基地の滑走路左側、これは北側になるわけですが、のところに、外周道路の切りかえ工事を行うということで、盛土部分になっているところを削るということが計画をされています。それを所沢通信基地の北の部分と南の部分に積み上げるという計画になっています。大体、搬入期間が二月二十五日から来年の二月二十四日、実際にはまだ搬入されていないんですけれども、一年間を通じて土砂を運ぶという計画です。
 防衛省の説明では、半年間は、一日にダンプカーなど大型車両六十台が二往復する。つまり、その通行する道路でいえば、一日当たり二百四十回もダンプなどの大型車両が通過をするということになります。
 この北関東防衛局の図にもあるように、左側の所沢通信基地の周辺というのは、基地返還の跡地ということもあって、学校や病院や公共施設、それから住宅団地などが密集しているところにあります。ですから、こういった計画について、住民の皆さんからは、騒音や交通事故、渋滞、排ガス、土ぼこりなどの影響が出るということでの懸念の声が上がっているために、所沢市、市議会、市内の団体でつくる所沢市基地対策協議会は、二月六日に、土砂搬入、堆積に抗議し、即時中止を北関東防衛局に要請を行い、さらに、二月二十七日にも再度中止を要請しました。
 防衛省にお尋ねしますが、こういった地元の中止要請に基づいて、この米軍の土砂搬入計画をやめろとはっきりと言っているんでしょうか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の件でございますが、委員御指摘のとおり、二月四日に北関東防衛局から所沢市へ情報提供を行い、一回目の中止を求めるという要請書が二月七日に提供されました。その後、所沢市に対しては何度か必要な情報の提供を行っておりましたところ、二月二十七日に再度、中止を求める要請書が提出をされているところというように承知をしております。
 防衛省といたしましては、所沢市基地対策協議会の要望内容を米軍に伝えているところでございます。また、土砂の搬入に当たっては、周辺の環境への影響ですとか安全等に十分配慮がなされるよう米軍と調整を行っているところでありまして、引き続き、米軍への要請ですとか関係自治体に対し情報提供を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

○塩川委員 地元の要望を伝えるだけじゃなくて、それはだめだと、やはり日本政府としてはっきりアメリカ政府、米軍に物申す話じゃないですか。
 大体、学校や住宅地の目の前に大量の土砂を積み上げる、残土置場にするという計画なわけですよ。こういったことを容認できるわけがないわけで、普通、土砂が出れば、それは土砂の引受業者もあるわけですから、そういう業者に引き取ってもらえばいいんじゃないのか、そういう対応を検討したのかどうかと聞いているんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の横田飛行場からの土砂の搬出につきましては、道路の切りかえに伴って発生します土砂でございますけれども、これは飛行場の安全確保のための道路の切りかえ工事というように承知をしております。
 他方、横田飛行場の中にはそうした土砂を堆積するスペースがないことから、所沢通信施設の方に搬入するという計画を米側は作成したというように承知をしております。
 米側といたしましては、輸送の経路ですとか堆積の方法などについて十分配慮するというように申しておりますし、堆積の方法につきましても、埼玉県の条例にのっとった形を検討するというように申していると承知をしております。

○塩川委員 いやいや、聞いているのは、そもそも横田基地内に置けばいいという話もあるんだけれども、それがスペースがないという話、それ自身の妥当性は評価しようがないんだけれども、そう言うのであれば、民間の業者に引き取ってもらう、そういうことについてきちっと考えたのかと、防衛省、日本政府としてそういうことは米軍に確認しているんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 防衛省といたしましては、本件は米側の発注工事でございます。それに当たりましては、できるだけ住民への安全に配慮をするよう求めているところでございます。
 民間への引取りにつきましては、米側の方で特に考えていないというように承知をしております。

○塩川委員 だから、そうしないのは何か理由があるんじゃないのかということを危惧するわけであります。
 大体、外周道路のつけかえ工事のために発生する土砂の部分というのが盛土になっているわけですけれども、何でそもそも盛土になっているわけですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねの盛土につきましては、防衛省といたしましては、平成二十八年十二月の日米合同委員会におきまして、外周道路の切りかえ工事を行うために米軍に土地を提供することが合意された時点で、既にこの盛土は存在をしていたと承知をしております。
 なお、この土地につきましては、当時、昭和四十年ごろ、一九六〇年ごろになりますけれども、当時の防衛施設庁が買収をした後に、昭和四十七年、一九七二年でございますが、航空機の離着陸安全確保のための区域として米軍が使用してきたものでございます。
 現在のところ、盛土が行われた経緯等について確認できる資料が見つかっておらず、更に調査を行っているところでございます。

○塩川委員 この話はずっと前から聞いているんだけれども、いまだに調査というのはおかしな話で、そもそも、どこかから持ってきた土を盛っているわけですよね。そうすると、土壌汚染の懸念があるんですよ。米軍施設内で幾つも土壌汚染の話というのは、沖縄だけじゃなくて全国で大問題となっているわけです。そういった土についての懸念があるから、民間業者に頼むと金がかかるから、自分の地所と考えている所沢通信基地に積み上げるんじゃないのか、こういう声が市民から上がるのも当然のことであるわけです。
 土壌汚染がないとはっきり言えるんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 米軍からは、当該土砂につきまして、土壌汚染調査の結果、汚染はされていない旨確認できたと説明を受けているところでございます。
 この米軍の行った土壌汚染調査でございますけれども、土壌汚染対策法に基づく日本の指定調査機関、こちらが実施をされたものでございます。その結果につきましても、土壌汚染対策法の特定有害物質が全てにおいて基準値内であることを確認をしておりまして、防衛省といたしましては、こうした有害物質が現在のところ発見されていないというように承知をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、必要があれば関係自治体に更に情報提供を行ってまいりたいと考えております。

○塩川委員 それも数本のボーリングを打っただけの話であって、所沢市は、この土壌汚染について、米軍の調査は脇に置いて、国による土壌汚染調査を要請しているんですよ。所沢市としては、国がちゃんと調査してくれと言っているのはなぜかといえば、この米軍の調査そのものが一年半前の昔の調査なんですよね、土壌分析そのものが。それが本当に当てになるのかという心配があるということと、もともと米軍所沢通信基地は、現在、東西連絡道路の建設が進んでいて、市民的にも要望がある。しかし、そこの調査のときに、建設工事のときに大量の鉛が出たんですよ、特定有害物質である鉛。ですから、汚染されているんじゃないのかというのは市民の共通の感覚なんですよ。
 そういったことについて、国にきちんと土壌汚染調査をやってくれ、こういうことというのはちゃんと承知しているんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、所沢市から、三月六日付の文書によりまして、搬入される土砂の安全性をより担保するために、改めて防衛省において土壌汚染調査の実施を要請するといったことが行われていることは承知をしております。
 我々といたしましては、所沢市ないし付近の住民の方々がそういった汚染に関して非常に懸念を有しておられるということについて、重く受けとめなければいけないというように考えております。
 一方で、本件、横田飛行場から所沢通信施設への土砂の搬入に関しまして、米軍の行った土壌調査につきましては、先ほども申し上げたところでございますけれども、日本の指定調査機関が行っているということ、さらに、土壌汚染対策法の特定有害物質が全てにおいて基準値内であったということを確認しておりますので、我々として、改めて調査を行う必要性があるとは考えておりません。

○塩川委員 それは、少なくとも最低限の地元の要求さえ対応しないという点で極めて重大であります。
 大体、埼玉県は土砂条例というのがあります。この埼玉県土砂条例では、土砂の堆積について、三千平方メートル以上は県の許可が必要だとなっている。基準を超える有害物質を含む土壌の堆積は禁止をしています。
 こういった埼玉県の土砂条例は米軍の工事には適用されるんですか。

○中村政府参考人 お答えを申し上げます。
 在日米軍が在日米軍の施設・区域内でみずから工事を行うに当たっては、原則といたしまして我が国の法令の適用を受けませんが、日米地位協定第十六条に規定されているとおり、我が国の法令を遵守する義務を負っているものと承知をしております。
 今回の土砂の搬入の実施に当たりましては、公共の安全に妥当な配慮が行われることは当然確保されるべきであると考えておりまして、防衛省といたしましては、土砂の搬入に伴い、周辺の環境への影響ですとか安全等に十分配慮がなされるよう、米側と調整を行っているところでございます。

○塩川委員 尊重義務はあるけれども適用を受けないという点で、こういった点でも米軍の特別扱いというのが問われているわけであります。
 この間、横田基地では基地機能の強化が図られてきました。航空自衛隊の総隊司令部が横田に移転をし、CV22オスプレイ配備に伴う施設整備が行われてきました。今後、オスプレイ配備に伴う施設整備の二期工事が行われる予定であります。
 資料の二枚目にありますように、米軍は、CV22オスプレイに係る施設整備に伴うゲート設置を計画をしています。地図を見ていただくと、左側の方に工事車両用ゲート設置位置というのがありますが、公道に接続する部分に新しいゲートをつくるわけなんですよね。
 そうしますと、左手の方のゲートの設置位置というのは、この外周道路の建設のところと同じ場所なんです。ですから、外周道路の土砂の搬出もここからも可能となることが予測されますし、そもそも、オスプレイの施設整備に伴うさまざまな土砂が一体に所沢に運び込まれる、オスプレイの施設整備の工事と外周道路建設の工事が一体で行われることになるんじゃないのかという強い危惧を覚えるんですが、その点はいかがですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 横田飛行場内の外周道路の切りかえ工事につきましては、米側からは、車両と航空機の通行を分離し、より安全性を高める必要があることなどから、既存の外周道路を滑走路の延長部分の外側に切りかえる工事を行う旨の説明を受けております。CV22の施設整備に関連して必要となった工事ではないというように承知をしております。
 なお、先生の御指摘の資料でございますけれども、CV22オスプレイに係る施設整備に係るゲート設置につきまして、この資料でありますと三十一年の春ごろからというようなことになってございますけれども、こちらの方につきましては大幅に延期をされているというところでございまして、こちらの所沢の土砂の搬入とは時期的には全く一致をしていないというところでございます。

○塩川委員 いや、一年間、土砂搬入計画ではかぶるんです。そこははっきりしているわけです。
 この間、昨年十月に米空軍特殊作戦機CV22が横田に配備をされる。米軍は、横田基地の強化とあわせて、所沢通信基地にも新たな役割を負わせて機能強化を狙っております。
 この間、所沢通信基地をめぐっては、横田基地の車両用のカーポートを建設する計画ですとか、CV22オスプレイが突然訓練飛行にやってくるとか、今回のような土砂搬入計画も持ち上がる。次から次へと基地全面返還に逆行する米軍、防衛省の対応に市民は怒っているということをわからないのかと率直に言いたい。
 官房長官にお尋ねします。
 沖縄の基地負担軽減担当ということでの官房長官のお仕事の関係でも、沖縄県民も首都圏の市民も、全国どこでも米軍の横暴勝手に怒っています。この米軍の横暴勝手を容認しているのが、米軍には国内法を適用しないという日米地位協定の存在であります。
 昨年七月、全国知事会が日米地位協定の抜本改定を求める提言を国に提出しました。米軍にも航空法や環境法令などの国内法を適用することを求めたものであります。この日米地位協定を抜本的に改定すべき、こういった要請についてどう受けとめておられますか。

○菅国務大臣 今御指摘をいただいた点については、全国知事会のお考え方である、そのように受けとめさせていただいています。
 我が国を取り巻く安全保障環境が極めて厳しい中にあって、日米同盟の抑止力は重要であると考えます。米軍の円滑な駐留のためには、地元を含む国民の皆さんの御理解と御協力を得ること、このことがやはり大事だと思っています。安倍政権において重視しているこうした考え方に基づいて、米側に対して、求めることはしっかりと求めているところであります。
 例えば、平成二十七年に米国との間で締結した環境補足協定では、米軍施設・区域において、日米両国又は国際的な環境基準のうち、より厳しいものを採用する旨、米側と確認をしております。
 また、日米地位協定第十六条においては、在日米軍による我が国法令の遵守義務が規定されており、在日米軍はこのような義務に従ってきているものと認識しています。
 政府としては、手当てすべき事項の性格に応じて、効果的で機敏に対応できる最も適切な取組を通じ、一つ一つの具体的な問題に対応していきたいと思っています。
 今後とも、そうした取組を積み上げることによって、日米地位協定のあるべき姿というものを追求していきたい、こういうふうに思います。

○塩川委員 そういう中で、こういう深刻なさまざまな被害が生まれているということを前提に、どうするのかを考えなければならない。全国知事会でも、ドイツ、イタリアの例の調査も紹介しているわけです。ドイツ、イタリアは同じように、日本と同様、米軍が駐留している。そういう国であっても、国内法を適用させるということとか、地元自治体が米軍基地への立入り権を認めるとか、こういうことをやっているわけですから、何で最低そういうことまでできないのか、こういうことが問われているわけで、改めて地位協定の抜本改定を求めるものであります。
 所沢市議会は、米軍所沢通信基地への土砂などの搬入の中止を求める意見書について議会運営委員会で採択をし、月末の本会議において全会一致で採択される見込みであります。基地全面返還を遠のかせるものとなる土砂搬入はきっぱり中止、これは所沢の全ての市民の要求だ、このことをしっかりと米軍に政府は申し入れるべきだ、このことを申し上げておきます。