【内閣委員会】保育の質確保を/調査の遅れを指摘

 子ども・子育て支援改定案の質疑に立ち、幼児教育・保育「無償化」によって保育の質が損なわれないよう求めました。

 わたしは、安倍首相が2017年9月25日に『無償化』政策を発表する前に、消費税10%増税分を活用することについて政府で検討を行ったのか――と質問。

 内閣府の小野田壮政策統括官は「検討の場は無かった」と答弁し、総理の一言で決まったことを認めました。

 選挙の口実に使う党略的対応だ。法案では、5年の猶予期間中、保育士が一人もいないなど指導監督基準を満たさない認可外保育施設も無償化の対象に含まれます。

 わたしは、立ち入り調査の現在の実施状況をただしました。

 厚生労働省の本多則惠審議官は、立ち入り調査が認可外施設の68%でしか行われていないと答弁。「無償化」で指導監督の対象施設が約5000カ所増えると認めました。

 調査対象は1・7倍になる。指導監督体制の抜本的強化が必要だ――と追及したのに対し、本多審議官は「巡回支援指導員を増やす」と答えました。

 巡回支援指導は予算措置であり、児童福祉法に基づく指導監督に置き換えることはできない。

 厚労省も「代替できる物ではない」と認めました。

 わたしは指導監督体制の強化を求めました。

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「議事録」

<第198通常国会 2018年03月03月20日 内閣委員会 7号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 子ども・子育て支援法について質問をいたします。
 最初に、消費税増税との関連についてお尋ねをいたします。
 幼児教育の無償化と高等教育の無償化は、どちらも人づくり革命として、その安定財源については消費税の一〇%増税分を活用するとしております。高等教育の無償化法案である大学修学支援法案には、附則に、消費税一〇%増税の施行日の属する年の翌年の四月一日までに施行するとしております。しかし、幼児教育の無償化を実施する子ども・子育て支援法改正案には同様の規定がありませんが、この違いは何なんでしょうか。

○宮腰国務大臣 今回、改正法案を審議いただいている子ども・子育て支援法は、社会保障と税の一体改革の関連法でありまして、この法律に基づく給付等は、従来より、制度として確立された少子化対策として、消費税を充当する対象となる経費とされております。
 その上で、今般の幼児教育、保育の無償化の大半は現行の認可保育所等に対する給付であるため、認可外保育施設等を対象とする新たな給付についても子ども・子育て支援法に位置づけ、消費税を充当する対象となる経費といたしました。そのため、本改正法案においては消費税増税に関する規定は置いておりません。
 一方で、大学等における修学の支援に関する法律案、これは新法であります。これに基づく支援は、制度として確立された少子化対策として消費税増収分を充てることとしており、そのことを明示する規定を置いているというふうに承知をいたしております。

○塩川委員 今答弁にありましたように、税と社会保障の一体改革の関連法として成立をしているという経緯があります。そのときには、附則にやはり消費税増税との関連が記載をされていたわけです。従来より消費税を充当する対象としているという整理で、そういう点でいえば、大学修学支援法案と同等に、同じように消費税増税分を手当てするという整理となっている。幼児教育の無償化は消費税増税とセットで行われるということであります。
 そこでお尋ねしますが、消費税増税に基づいて今回の無償化ということですが、そもそも消費税というのはどういう税なのか。大臣にお尋ねしますが、消費税というのはそもそも、所得が低くなればなるほど負担が重くなる、重くのしかかる逆進性を持つ税ではないでしょうか。認識をお伺いします。

○宮腰国務大臣 幼児教育、保育の無償化の財源負担につきましては、未来の世代に回すことなく、安定財源を確保した上で進めるため、消費税率引上げの増収分を活用することにいたしております。
 詳細につきましては、政府参考人から答弁をさせたいと思います。

○小野政府参考人 お答え申し上げます。
 消費税の逆進性についてのお尋ねでございます。
 消費税につきましては、負担というものに着目いたしますと、低所得者ほど収入に占める税負担の割合が高くなるという意味で、いわゆる逆進性を有するものであると考えております。
 ただ、一方で、今回、社会保障と税の一体改革の中で、その増収分は社会保障の充実、安定化に充てることとしておりまして、その受益は低所得者ほど大きくなると考えられることから、所得の再分配にもつながるという面もあるということですので、負担面だけではありませんで、そうした受益の面とあわせて評価すべきものと考えております。
 また、今般の消費税率の引上げに当たっては、増収分を活用して、幼児……(塩川委員「聞いていない」と呼ぶ)はい。

○塩川委員 大臣の認識をお聞きしますけれども、消費税というのは、所得が低くなればなるほど重く負担がのしかかる逆進性を持つ税だという認識についてはお持ちですね。

○宮腰国務大臣 今回の増収分を活用して……(塩川委員「そうじゃなくて、そもそも税のあり方の話を聞いている」と呼ぶ)逆進性を持っているかどうかということであれば、それは持っているということだと思います。

○塩川委員 ですから、低所得者ほど重い負担がのしかかるという逆進性のある税だ、同時に、負担の話だけではなくて、一方で受益の話があるというのが財務省の答弁でしたけれども、この点でも、例えば、住民税非課税の一人親世帯などの場合については保育料は免除されているわけですよね。ですから、そういった世帯、住民税非課税の一人親世帯においては、保育料の軽減策はなくて消費税増税分だけが重くのしかかるということになるんじゃないですか。

○宮腰国務大臣 何度も御答弁で申し上げているわけでありますけれども、もともと、所得の低い方の保育料は既に公費を投じて負担軽減を図ってきておりまして、さらに、これまで、低所得世帯を中心に、先んじて段階的に無償化の範囲を拡大してきております。
 例えば、生活保護世帯と住民税非課税世帯に対し、合わせてこれまでに約四千五百億円の公費を投じて負担軽減を図ってきております。したがいまして、今回の公費負担額のみをもって低所得者に恩恵が少ない、今回の負担額のみをもって低所得者に恩恵が少ないとの指摘は当たらないというふうに考えております。

○塩川委員 私は、今回の増税を機に低所得の世帯にどういう影響が及ぼされるのかという質問をしているんです。
 ですから、住民税非課税の一人親世帯においては、保育料の免除ですから、その面についての負担軽減策はないんですよ。消費税増税分しかのしかからないじゃないですか。こういうのを低所得者世帯の対策として認めるのかという話なんです。

○宮腰国務大臣 今ほども申し上げたように、今回の公費負担額のみをもって低所得者に恩恵が少ないとの指摘は当たらないと考えておりますし、加えて、ゼロ歳から二歳までの子供につきましては、住民税非課税世帯のみを対象として進めるということにいたしております。さらに、低所得世帯の子供を対象とした高等教育も無償化されるため、教育の無償化全体としても低所得世帯に手厚いものというふうに考えております。
 これらを総合的に勘案すれば、政策全体として、所得の低い世帯に手厚く、逆進性に対して十分な緩和策になるものというふうに考えております。

○塩川委員 私は、住民税非課税の一人親世帯についてはどうですかと聞いているんですよ。
 ですから、将来、高等教育の話が出てくるかもしれません。しかし、住民税非課税の一人親世帯において、もう保育料は免除されているわけですから、そういった世帯には消費税の増税分しか重くのしかからないでしょう、こういうのを容認するんですかということを聞いているんです。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 今般の幼児教育無償化につきましては、少子化対策と、そもそもの幼児教育、保育の重要性、この二つの意義から実施するものでございます。
 それに加えまして、住民税非課税世帯につきましては、繰り返しになりますけれども、既に相応の公費を投入させていただくとともに、〇―二歳につきましては、住民税非課税世帯のみを対象として今回無償化を進めさせていただいているところでございます。

○塩川委員 だから、答えられないんですよ。答えていないじゃないですか。そういう点では、住民税非課税の一人親世帯においては負担増しかないんですよ。そういうものを、何かよくやったというような話にならないということを言わざるを得ません。
 住民税非課税世帯というのは、所得税の非課税の方。要するに、生活費に課税することそのものはやはり遠慮しようじゃないか。生計費非課税、こういう立場から、こういう低所得の世帯においては課税をしない。そういった世帯に消費税増税を押しつけること自身が間違いだということを申し上げたい。切実な子育てへの願いを逆手にとった消費税増税を国民に押しつけるのをやめるべきだということをまず最初に申し上げておきます。
 そこで、今回の無償化の話が一体どういう経緯で出てきたのかという点です。
 無償化の話そのものは以前からあったわけですけれども、その財源として消費税の増税分の使い道を変えるという話が一体どこから出てきたのかということで、二〇一七年九月二十五日の記者会見で安倍総理は、幼児教育の無償化を一気に進める、二〇二〇年度までに三から五歳まで、全ての子供たちの幼稚園や保育園の費用を無償化する、〇―二歳児も、所得の低い世帯では全面的に無償化すると述べました。そして、消費税の使い道を見直すという決断について国民の信を問うとして、衆議院を解散したわけであります。
 大臣にお尋ねいたしますが、幼児教育の無償化の財源について、消費税の一〇%増税分を活用するという政府内の検討はいつから始まったんでしょうか。

○宮腰国務大臣 消費税の増収分を活用し、幼児教育、保育の無償化などの施策を実施することにつきましては、委員御指摘の二〇一七年九月二十五日の経済財政諮問会議において総理から発言があったものであり、同時に、無償化を含む新しい政策パッケージを年内に取りまとめるよう関係大臣に指示があったものと承知をいたしております。
 また、同日、総理が記者会見を行い、無償化などの施策を推進するために消費税の増収分を活用する方針を総理の判断として示すとともに、速やかに国民の信を問う必要があるとして、衆議院の解散を表明したと承知をいたしております。
 さらに、総選挙後、第四次安倍内閣の組閣に当たり、改めて総理から関係閣僚に対し新しい政策パッケージの策定の指示があり、政府においては、総理を議長とする人生百年時代構想会議の場などで無償化の進め方等についての議論をしてまいりました。
 その上で、二〇一七年十二月八日に新しい経済政策パッケージが閣議決定され、政府として正式に、消費税の増収分を活用して幼児教育、保育の無償化を実施することが決定されたと承知しております。

○塩川委員 二〇一七年九月二十五日の記者会見で安倍総理が、無償化については消費税の増税分の使い道を変えるということを表明したわけです。その日の昼間に経済財政諮問会議が行われた。今大臣が答弁されたとおりで、その際に、安倍総理が、人づくり革命の財源についてもしっかりと結論を出していく、この際、二〇一九年十月に引き上げる予定の消費税による財源をしっかりと活用すると述べているわけです。
 私が質問したのは、この経済財政諮問会議はまさに記者会見の日なんですよ。ですから、その場で総理が踏み込んで発言をしたのは初めてなんです。総理の判断として示すということをおっしゃったんですが、政府内で検討はしていなかったのかということなんですよ。政府内のしかるべき審議会とか、関係機関とか、関係の役所とか、この九月二十五日の前に政府の会議で幼児教育の無償化の財源について消費税の一〇%増税分を活用するという検討は行われたんですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 内閣府少子化担当の承知している範囲でございますけれども、幼児教育、保育の無償化は、安倍政権では、二〇一四年度以降、毎年段階的に進めてきたものでございます。
 二〇一七年六月の骨太の方針におきましては、幼児教育、保育の早期無償化や待機児童の解消に向け、財政の効率化、税、新たな社会保険方式の活用を含め、安定的な財源確保の進め方を検討し、年内に結論を得る旨の記載が盛り込まれているものと承知してございます。

○塩川委員 いや、答えていないですよ。
 だから、どこで検討したのかと言っているんですよ。消費税の増税の使い道を変えることで無償化の財源にする、そういう検討を政府内の一体どこでやったのか。ちゃんと答えてください。

○小野田政府参考人 繰り返しになりますけれども、二〇一七年六月の骨太の方針におきまして、安定的な財源の確保の進め方を検討し、年内に結論を得る旨の記載が盛り込まれたと承知してございます。

○塩川委員 二〇一七年六月の骨太を今紹介しましたか。(小野田政府参考人「はい」と呼ぶ)これは、幼児教育について、財源を確保しながら段階的無償化を進めると書いているんですよ。一気に無償化なんて書いていないじゃないですか。これは話が違うんですよ。
 どこなんですか。総理の記者会見、解散すると言ったその記者会見の前、政府内において一体どういう検討が行われたのか。全くないということですね。

○小野田政府参考人 お答えします。
 特にそういう検討の場はなかったというふうに承知してございます。

○塩川委員 検討の場はなかったんですよ。まさに総理の判断として示したということなんですけれども、私は、幼児教育の無償化の財源について、消費税の一〇%分を活用するという使途変更に関する検討は、いわば政府内では一切行われていないということを確認しました。そうなると、解散を宣言した記者会見の場で言い出したものということであります。
 政府として一切検討を行わず、官邸主導で総理大臣の一言で決まるというやり方、これを安倍政権がやっているということですね。

○宮腰国務大臣 無償化の財源について、党内でもいろんな議論があったことは承知しております。例えば教育国債を発行するといったような議論などもありました。
 総理が政治家として、選挙に臨むに当たって公約の一つとして、幼児教育、保育の無償化を消費税増税による増収分の一部をこれに充てるということを公約として掲げて選挙戦を戦ったものというふうに考えております。

○塩川委員 私は、まさにそこが問われていると思うんです。官邸の、総理の意思決定だけで事が進む。つまり、政策の企画立案過程、政策の意思決定過程が全く不透明なんですよ。要するに、政策の意思決定過程が国民に見えてこそ、本当の意味で国民の信頼を得ることになる。そういう過程が全く欠落したままで、こういった形での、解散を表明する場での政策発表というやり方自身がおかしいと言わざるを得ません。
 この官邸主導で何でもやるということが、この間、いろいろな問題、加計学園の問題でも問われましたし、統計不正の問題でも問われましたし、何でもかんでも官邸で決めるというので、メディアの中では何でも官邸団だという批判なんかも出るような今の政府の対応について、やはり不透明だという強い声があるわけです。それをやはりしっかり受けとめる必要がある。
 消費税増税の使い道を変えるということを解散・総選挙の口実に使うという、総理の党略的な対応そのものだと言わざるを得ません。総理の党略的な対応だからこそ、今回の無償化措置は保育の現場に大きなゆがみと混乱を生じさせている、このことを指摘するものであります。
 そこでお尋ねしますが、大臣、今回、無償化の対象として認可外にも広げるわけですけれども、保育士が一人もいないような施設であっても無償化の対象となるのでしょうか。

○宮腰国務大臣 今回の幼児教育、保育の無償化に当たりましては、待機児童問題によりやむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない人についても、負担軽減の観点から無償化の対象といたしました。
 都道府県等に届出が適切に行われたことを前提とし、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たすために、五年間の猶予期間を設けることとしております。
 詳細につきましては、政府参考人から答弁させます。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 五年間、届出が適切に行われたことを前提とした猶予期間を設けてございます。この経過措置期間におきましても子供の安全の確保が重要であると考えており、厚生労働省を中心に鋭意取組を進めてまいります。
 また、待機児童の状況等は地域によって大きく異なることを踏まえまして、市町村が地域の実情に応じて柔軟な運用ができるよう、改正法案では、市町村が保育の需給状況等を勘案し、条例により対象施設の範囲を定めることを可能とする仕組みを盛り込んでいるところでございます。

○塩川委員 条例の話はまさに自治体の判断であって、国の方針としては、こういった保育士が一人もいないような施設であっても無償化の対象とするということであります。
 そこで、子供の安全の確保が重要だということをおっしゃいました。その点についての懸念の声というのは当然あるわけです。子供の安全の確保、質の確保というのはどうするのか、この点は厚労省かな、お答えいただけますか。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 まず、今回、無償化の対象になる認可外保育施設についてでございますが、児童福祉法によって都道府県等への届出が義務づけられております。
 都道府県知事等の指導監督権限としては、児童の福祉のため必要があると認めるときには、認可外保育施設の設置者等に対し、報告を求め、また、立入調査をさせることができる、また、その施設の設備や運営等に対し勧告を行うこと、勧告に従わなかったときはその旨を公表できること、また、都道府県児童福祉審議会の意見を聞いた上で、認可外保育施設の事業の停止又は施設の閉鎖を命ずることができる、こういったことが規定をされております。
 これらの規定に基づいて、認可外保育施設への指導監督として、厚生労働省が示しております指導監督のための指針の中で、都道府県知事等に対し、年一回以上の立入調査を行うことを求めているところでございます。

○塩川委員 報告を求めたり立入調査を行い、また、施設や運営についての勧告、従わない場合などについての公表といった規定があるということですけれども、この立入調査のところで、指導監督における原則年一回以上の立入りというのは行われているんでしょうか。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 まず、認可外保育施設は、届け出られている施設の数でございますけれども、二十九年三月三十一日時点で七千九百十六カ所ございます。都道府県等に年一回以上の立入調査をベビーシッターについては義務づけておりません。ですので、これを除きますと七千十三カ所になります。この七千十三カ所のうち、平成二十八年度に立入調査を実施した施設は約六八%でございます。
 施設別に申し上げますと、立入調査を実施した割合は、ベビーホテルが約七三%、その他の認可外保育施設が約七一%、事業所内保育施設が約四五%となっております。

○塩川委員 年一回以上の立入調査ということですが、全ての施設に立入調査が行われていないということであります。
 今後ベビーシッターについても対象となる、そういった際に、ベビーシッターへの立入調査というのはどうなっているんでしょうか。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 認可外保育施設につきましては、原則年一回以上、立入調査を義務づけておりますが、現在、ベビーシッターについてはそれを義務づけていないところでございます。ベビーシッターについては、現在は、通知において、都道府県等が必要と判断する場合に指導を行うこととしております。
 今後、ベビーシッターの新たな基準の検討をいたします。また、それとあわせて、指導監督の方法についても検討することといたしております。

○塩川委員 ベビーシッターについては立入調査の対象となっていなかった、今後必要な指針等々をつくるということです。
 今回の無償化によって指導監督する対象施設が増加をすると思います。どのような施設が増加をするのか、そもそも全体で現状が幾つで、この無償化措置を経て幾つぐらいにふえるのか、それについて教えてもらえますか。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 まず、認可外保育施設で、現在、届出の対象施設数は七千九百十六カ所でございます。これは二十九年三月三十一日時点の数字でございます。
 これからのことでございますけれども、幼児教育、保育無償化を契機といたしまして、都道府県等による指導監督を通じた質の確保、向上を図るという観点から、これまで都道府県等への届出義務の対象外とされていた事業所内保育施設、こちらを新たに届出義務の対象に追加することとしているところでございます。(塩川委員「何カ所ですか」と呼ぶ)新たに届出対象となる事業所内保育施設については、約三千八百程度でございます。
 また、ベビーシッターにつきましても、現在、新たな基準の策定と指導監督の方法についても検討しているところでございますが、ベビーシッターについては約九百程度あるものと把握しております。

○塩川委員 ちょっと答弁がまだ欠けているんですけれども、原則年一回以上の立入調査を行う施設というのは現状は何カ所で、この無償化に伴って何カ所にふえるんでしょうか。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 現在、立入調査の対象になる数は、先ほど申し上げました七千九百十六カ所からベビーシッターを除いた七千十三カ所になります。
 それに対して、今回新しく対象になりますのが、事業所内保育施設で約三千八百、ベビーシッターについて約九百程度というふうに把握をしております。

○塩川委員 そうすると、現行、立入調査の対象となる施設がおよそ七千カ所、事業所内保育施設プラスベビーシッターで、大体約一万二千ぐらいということでいいですかね。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 約七千カ所と四千七百ですので、一万千七百カ所程度かと把握しております。

○塩川委員 ですから、七千カ所が一万一千七百カ所にふえる。そうすると、指導監督する認可外の施設、立入調査の対象になる施設というのは一・七倍にふえるんですよ。一・七倍にふえる。こういうふうに指導監督の対象の認可外施設が大幅にふえることになる。そういったときに、先ほど立入調査が全体でも六八%といった状況で、本当に大丈夫なのかということになる。
 厚労省にお尋ねしますが、こういった認可外施設への指導監督体制の抜本的強化が必要じゃないですか。

○本多政府参考人 御指摘のとおり、指導監督体制の強化は必要だというふうに考えております。
 このため、指導監督の手法やルールの明確化等によって、児童福祉法に基づく都道府県等による指導監督の徹底を図ってまいります。また、これとともに、指導監督基準の内容についての説明や事故防止に向けた助言などを行います巡回支援指導員、こちらの配置の拡充によって、巡回支援と連携した効率的、効果的な監査の実施などの取組を進めてまいります。
 また、無償化の給付主体である市町村の役割も極めて重要であると考えております。
 このため、改正法案におきましては、市町村長に対して、対象となる施設を特定する確認、必要に応じた施設からの報告徴収、勧告、命令、確認の取消し、さらに、都道府県知事に対する必要な協力要請などの権限を与えるための規定を設けるとしておるところでございます。

○塩川委員 指導監督の徹底と、巡回支援指導員の話と、市町村の役割も重要だということで、今お話しされたのは確認指導監査のことでしょうかね、そういう話があります。それぞれ重要だと思います。
 ただ、これで本当に対応できるのかという点で、この巡回支援指導員についてお尋ねしたいんですが、この巡回支援指導員の予算上の配置人数と実績を年度別にまず教えてください。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 巡回支援指導員につきましては、平成二十九年度から都道府県等への配置を支援しているところでございます。
 この巡回支援指導員の予算上の人数でございますが、平成二十九年度は六百九十人、平成三十年度は七百六人、平成三十一年度の予算案上は一千二百二十一人となっております。
 実際の配置状況につきましては、二十九年度は二十一自治体で九十七名でございます。また、平成三十年度の配置状況については、現在集計をしているところでございます。

○塩川委員 この巡回支援指導員というのは法令上の規定になるんですか。

○本多政府参考人 この巡回支援指導員につきましては、法令上の根拠ではなく、予算上の事業ということになります。

○塩川委員 法令上の根拠がない予算事業、予算に伴って左右されるという話になります。
 巡回支援指導員に相当する仕事を行っているのが東京都の巡回指導だと承知をしております。厚労省がまとめている平成二十八年度認可外保育施設の現況取りまとめでは、東京都における立入調査は千五百七十七施設に対して百七十三施設にすぎないわけです。
 東京都は、巡回指導で全施設を回っており、問題があれば都の監査部門に連絡するとしておりますが、今確認したように、巡回指導というのは法令上の権限はないんですけれども、そういう対応で大丈夫なんでしょうか。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 巡回指導で把握いたしました問題点などを監査の部門と共有するなど、自治体によっていろいろな工夫をしているというふうに承知しております。
 今後、そういった好事例なども横展開をして、巡回指導と監査の効率的な連携を進めて、効率的な質の確保を図ってまいりたいと思います。

○塩川委員 ですから、都としての立入調査というのは、千五百七十七に対して百七十三と、一割程度しかないんですよね。それは巡回指導ということで対応しておられるんですが、基本は指導助言ですよね。
 実際に、立入調査と巡回指導と指導助言項目というのはそれぞれ幾つぐらいになっているかというのはわかりますか。

○本多政府参考人 済みません、今、ちょっと手元には数がございません。

○塩川委員 私もにわか勉強でありますけれども、企業主導型についての検討委員会の中で東京都の方が説明をされておられて、その中で、指導助言項目について、立入調査の場合は百六十項目だ、巡回指導は三十項目という説明がありました。
 ですから、巡回支援指導員で指導監督に置きかえることはできないと思うんですが、いかがですか。

○本多政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの答弁とも重なりますけれども、巡回支援指導員がチェックをする項目と監査の項目で共通する部分もございますので、もちろん代替できるものではございませんが、効果的な情報共有などによって効率的に進めていくことは可能かというふうに考えております。

○塩川委員 代替できるものではないということで、やはり都の指導監督の体制そのものをしっかりと強化をするということが求められていますし、もちろん、東京都に限らず、全国的に指導監督そのものの抜本的な体制強化が必要だということを強調しておくものです。
 例えば、予告なしの立入調査なんかしっかりやってもらいたいと思うんですが、そういう点についてはいかがですか。

○本多政府参考人 現在、自治体の指導監督の方法などについても調査をしているところでございまして、その中でより効率的、効果的な方法を把握いたしまして都道府県に促していきたいというふうに考えております。

○塩川委員 この巡回支援指導員だけではなくて、指導監督の体制そのものを強化する、こういうことで国としてやるべきことがあるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 巡回支援指導員の配置を拡充することとあわせまして、自治体の指導監督体制の強化につきましては地方財政措置を講じることとしているところでございます。

○塩川委員 地方財政措置、地方交付税措置というのは溶け込んでいてなかなかよくわからないということが言われるところでもありますし、これだけ一・七倍にもふえるんですよ。施設の大小はもちろんあるでしょうけれども、行くのは同じですから、そういう点でも、しっかりとした体制がないと、やはり重大な見逃しとかになりかねないんじゃないのか。
 こういうことについて、やはり国は責任を持って行う。今回の措置にあわせて、では、地方財政措置を拡充するとか、そういうふうになっているんですか。

○本多政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の無償化の実施も踏まえまして、新たに指導監督体制の強化について地方財政措置をお願いしているところでございます。

○塩川委員 お願いしているだけで実現はしていないという話であるわけで、こういう点でしっかりとやらないことには、そもそも無償化の前提そのものの安全の確保ということが問われる大問題ですから、このことを指摘しておくものです。
 次に、企業主導型保育事業についてお尋ねをいたします。
 資料を一枚お配りさせていただきました。内閣府からいただいた資料ですが、いっぱい項目があるんですけれども、見ていただきたいのは、保育所と、下から二つのところですが、認可外保育施設と企業主導型保育事業、この三つについて指導監査の違いをお尋ねしたいんです。
 欄の左から二つ目のところに施設監査とある。これが、児童福祉法に基づく認可外保育施設に対する指導監督と、それから、右側の赤い線で囲まれているのが、子ども・子育て支援新制度、子ども・子育て支援法に基づく認可外保育施設に対する指導監査のところです。
 それとは別に、一番下の企業主導型の保育事業については、子ども・子育て支援法に基づく措置は入っておらず、児童育成協会が実施をするということで、内閣府と児童育成協会が作成した指導監査基準に基づいて企業主導型保育施設に対する指導監査が行われているということなんです。
 つまり、児童福祉法に基づく指導監査と、子ども・子育て支援法に基づく指導監査と、企業主導型に対する内閣府と協会がつくっている指導監査、この三つの違いについてわかりやすく説明していただきたいと思います。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 まず、保育所、幼保連携型認定こども園、地域型保育事業等といった保育施設に対する指導監査でございますけれども、まず一つは、委員先ほどもお触れになられました、児童福祉法等に基づき、各施設等の人員配置や設備、面積等に関する認可基準の遵守の観点から、都道府県が行う施設監査がございます。この施設監査につきましては、一方、認可外保育施設につきましても、同じく児童福祉法に基づき、指導監督基準への適合性の観点から、都道府県等が指導監督を行ってございます。
 また、一方で、施設等に対する給付の観点から、これは子ども・子育て支援法に基づくものでございますけれども、運営基準の遵守や給付の適正化の観点から市町村が行う確認監査、これに加えまして、法令遵守の体制整備の観点から国、都道府県又は市町村が法人に対して行う業務管理体制検査がございます。
 また、企業主導型保育事業に対してでございますけれども、この保育事業、保育施設、位置づけは認可外保育施設でございますので、先ほど申し上げました児童福祉法に基づきます指導監督基準への適合性の観点から都道府県が指導監査を行いますとともに、企業主導型保育事業の実施機関が、実施要綱等に定める基準の遵守や助成金の適正な執行の観点から立入調査を行っている状況でございます。

○塩川委員 児童福祉法に基づく指導監督基準を踏まえて認可外施設に対する指導監査を行うという部分と、子ども・子育て支援法に基づいて、給付の観点、運営上について法令遵守の問題を含めてしっかりと指導監査を行っていくということと、これとは別に、企業主導型については別途措置をしているということなんですけれども、今度、対象が広がります。そういった際に、この表の中で今回の法改正で変更というのは出てくるんでしょうか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 恐縮でございますが、委員の表で申し上げますと、認可外保育施設のところにつきまして、今回、新たに無償化措置によりまして、認可外保育施設等に対しまして給付が始まりますので、この赤枠の新制度、確認指導監査のバーの部分、認可外保育施設のこのバーの部分に確認指導監査というのが新しく位置づけられることになります。

○塩川委員 認可外保育施設について、この新制度、子ども・子育ての確認指導監査というのが入ってくるということで、では、その右の業務管理体制検査というのは入らないんですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 業務管理体制検査でございますけれども、保育所に対する運営費は、施設が受領する従来の子ども・子育て支援法に基づく給付ということでございますけれども、給付による公費が大宗を占めてございまして、法人単位での不正受給等が生じないよう、法人に対して法令遵守に係る業務管理体制検査を行うという仕組みに今なってございます。
 他方、今回の認可外保育施設等に関する新たな施設等利用給付でございますけれども、これは、施設等に保護者が支払った費用の一部につきまして、その保護者に償還払いをするということが基本でございますので、今回は業務管理体制検査そのものの規定は設けていないところでございます。

○塩川委員 新制度に基づく確認指導監査は施設に対して行うというものですけれども、法人に対して業務管理体制検査を行うわけですよね。だったら、法人に対してという角度はあってしかるべきじゃないかと思うんですが、どうですか。

○小野田政府参考人 恐縮でございます。繰り返しになりますけれども、現在の業務管理体制検査は、法人単位での不正受給が生じないよう、現行の施設は子ども・子育て支援法に基づく給付が大宗でございますので、そういった観点からあえて業務管理体制検査を入れているところでございますが、今般の認可外保育施設につきましては、運営費そのものを給付として入れるという位置づけではございませんで、あくまでも施設等に保護者が支払った費用の一部を保護者に対して支払っていくということが基本でございますので、法人を対象とした業務管理体制検査の規定は設けていないところでございます。

○塩川委員 いや、やはり施設に対して見るというのと同時に、法人に対してもきちっと見るというのがあってしかるべきで、認可外の施設についての安全性の確保という観点というのは、そこをあけるというのが納得のいくものではありません。
 企業主導型について尋ねますけれども、今回の法改正で給付対象となる認可外保育施設については支援法の確認指導監査の対象となります。しかし、企業主導型保育施設は給付対象となる認可外施設なのに、支援法の確認指導監査の対象とならないというのは、これはどういうことなんでしょうか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 今般の企業主導型保育でございますけれども、子ども・子育て支援法に基づく給付というものではございませんで、あくまでも事業主から徴収する拠出金を財源とする補助事業として今般実施させていただくことにしてございますので、事業の実施機関が引き続き立入調査を行うという位置づけにさせていただいております。

○塩川委員 要するに、拠出金から充てているから消費税を充てていないという整理ということですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 今般の企業主導型保育事業の無償化につきましては、いわゆる消費税を充てるのではございませんで、これまで同様、事業主から徴収する拠出金を財源とさせていただくということでございます。

○塩川委員 いや、ですから、消費税を充てると市区町村の確認指導監査をするんだけれども、拠出金を充てるとこの確認指導監査をやらないという理屈がよくわからないんです。

○小野田政府参考人 済みません、舌足らずで申しわけございません。
 消費税を充てる、充てないではございませんで、まず、子ども・子育て支援法への位置づけを、企業主導型保育事業、立入調査等は明確に位置づけてございませんで、あくまでも補助事業という位置づけでございますので、補助金適化法に基づきまして、必要であれば国が立入調査もできることになっておりますし、最初に委員もお話しになられましたとおり、実施機関が、補助金を給付するという観点から立入調査をこれまでもやっておりますし、今後も、無償化になろうが、引き続きやっていくという位置づけでございます。

○塩川委員 やはり地元の自治体の関与というのは非常に重要だという点で、この新制度に基づく確認指導監査というのがあるわけですけれども、企業主導型については、自治体、市区町村による指導監査というのは考えないということですか。

○小野田政府参考人 企業主導型保育事業につきましての監査でございますけれども、事業の実施機関が、認可外保育施設の指導監査を行う都道府県と、それぞれ実施することとしている立入調査の結果を共有するなどの連携を図るよう、都道府県に対しては協力を求めているところでございます。
 さらに、先般、企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会報告が出されましたけれども、この報告におきましても、更に都道府県との連携を図るほか、指導監査の研修の合同実施、連携の好事例の横展開などが示されております。
 こうした方向に沿って、さらなる都道府県、自治体との指導監査に当たっての連携を徹底してまいりたいと考えてございます。

○塩川委員 都道府県の指導監督、児童福祉法に基づく連携というのはわかるんだけれども、効率という言い方をされると、にわかには納得しがたい表現にも聞こえる。実態がどうなるかということが問われてくると思うんです。
 市区町村の関与というのが重要なんじゃないのかといった点でも、新制度での確認指導監査で市区町村が関与するということは企業主導型では考えないのかということなんです。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 市町村との連携も非常に重要だと思っておりまして、今回の先ほど申し上げました報告の中でも、一層の市町村との連携、例えば、地域枠を設定する場合に、あらかじめしっかりと保育の状況について市町村と相談をするとかいうことを、今以上に連携を入れておりますし、指導監査の面でも何らかの連携ができないかは引き続き検討してまいりたいと思います。

○塩川委員 先ほど答弁がありましたように、認可外保育施設については確認指導監査として新たに対象とする権限をきちっと今回規定するというふうにしているんだけれども、企業主導型保育事業についてはそれはやらないということですから、同じ認可外保育施設で、一方でやりながら企業主導型はやらないと。
 連携とか、それはわかるんだけれども、法令上の根拠を持った権限でやれるかどうかというのが問われているんじゃないですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 まずは、実施機関におきまして計画的に立入調査を、これは原則、年に一度は立入調査をするということになってございますので、しっかりと立入調査をしていただくとともに、補助金適化法上、国におきましても、実施機関あるいは間接補助事業者ということで、個々の施設でございますけれども、これらに対して報告をさせ、当該職員にその事務所等への立入りをさせることができるというような規定がございますので、こちらの必要に応じまして、補助金適化法に基づきました立入調査等を実施していく予定でございます。

○塩川委員 児童福祉法に基づく指導監督をしっかりやるというのは重要で、しかし、現状も立入りは六八%で、一・七倍にふえるんですから、それ自身も非常に心配なわけですけれども、そういう点でも、市区町村の権限として子ども・子育て支援法上にあるんだから、そういうのをきちっと当てはめるということをやっていいんじゃないの。市区町村の体制支援というのはもちろん必要なわけですけれども、こういったことが抜けているという点でも、制度設計上、そもそも問題がありと言わざるを得ません。市区町村の関与をなるべく外したいと考えているんじゃないのかということを言わざるを得ない。
 実際、この委員会でも議論されているように、児童育成協会による指導監査というのはいろいろ問題が出ているわけじゃないですか。パソナとパソナフォスターの関係なんかも含めても、実際の指導監査についていろいろな疑念のあるところで、企業主導型への指導監査を可能な限り緩和しようとしているのではないのか、こういう疑念が拭えないということを申し上げておくものであります。
 そこで、この無償化の対象となる施設については、政府は、指導監督基準をクリアし、認可基準をクリアするということは二段階でやってくださいと求めているわけですけれども、企業主導型保育施設は無償化の対象となるわけですけれども、それでは、この企業主導型保育施設は認可化を目指すんでしょうか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 企業主導型保育事業は、事業主拠出金を財源といたしまして、企業が主体的に、従業員のニーズに応じた柔軟な保育を提供することができるという特色を持った事業でございます。
 具体的には、早朝、夜間、休日といった企業の従業員の多様な働き方への対応、従業員枠の設定など、本事業は、拠出金を財源として、認可保育所等にはない特色を有していると考えてございます。
 ただ、一方、例えば保育事業者設置型につきましてはさまざまな課題が指摘されてございまして、先般公表されました委員会報告におきましても、例えば、新規参入する場合には五年以上の事業実績のある者に限るべき、定員二十名以上の施設は保育士割合を七五%以上に引き上げるべきといったような内容が示されてございます。
 こうした検討結果や企業主導型保育事業の特色を踏まえまして、しっかりと改善を図ってまいりたいと考えてございます。

○塩川委員 ちょっと答えになっていないんですけれども、大臣、伺います。
 企業主導型保育施設は認可化を目指すのかという話なんですけれども、その点は。

○宮腰国務大臣 今、政府参考人から申し上げましたように、企業主導型保育は、従業員のニーズに応じた柔軟な保育を提供ができる、働き方に応じた柔軟な対応ができるという特色を持っているわけであります。
 認可化については、まずは、認可化ではなくて、企業主導型保育事業の特色を生かしながらしっかりと改善を行っていくということをやっていきたいというふうに考えております。

○塩川委員 企業主導型も認可化を目指すということでいいんですね。

○宮腰国務大臣 特色を生かしながらということでありますから、必ずしも認可化を目指しているわけではありません。

○塩川委員 いや、だから、言われているように、企業主導型の場合については、企業からの受入れ枠がありますから、もし認可になれば自治体の関与があるということでは、そういう枠に基づかないという点では、企業主導型は認可を目指さないわけですよ、仕組み上は。

○宮腰国務大臣 自治体の関与、あるいは自治体との連携というのは、必ずしも認可でなければ関与ができないというわけではありません。
 特に、地域枠というものを持っているわけでありますから、そういう面では、自治体の関与、これから具体的にどうやっていくかということは課題でありますけれども、その関係についてはしっかりやっていきたいと考えております。

○塩川委員 答えになっていません。
 企業主導型保育施設は、整備費の助成単価は認可保育所の整備費の単価と同一水準としています。運営費の保育単価は、子ども・子育て支援新制度の小規模保育事業等の公定価格をベースに設定をしています。認可保育施設と同等な支援が行われていますが、認可施設にはならない。認可になると、入所は全て自治体が審査するので、企業枠がなくなるから。
 私は、企業主導型保育施設について、認可保育施設と同等の運営費、整備費を出すんだから、少なくとも保育の質も認可と同等にすべきじゃないのかと言いたいんですが、いかがですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 企業主導型保育事業の例えば職員配置とか設備、面積等の基準でございますけれども、基本的には、認可施設でございます事業所内保育事業あるいは小規模保育事業と同様の基準を設定させていただいているところでございます。
 さらには、先ほど申し上げましたけれども、更に質の確保を上げていく観点から、例えば、保育事業者設置型につきましては、新規参入の場合に五年以上の実績が必要である、定員二十名以上は保育士割合を七五%以上に引き上げるといった報告書の内容を踏まえまして、一層の質の向上に努めてまいるという位置づけでございます。

○塩川委員 小規模と同等といっても、小規模は二十人より少ないわけですから、実際に二十人より多いところが多いわけで、そういった点でも低く合わせるようなやり方はおかしいですよ。
 今回、五〇%を七五%に引き上げるという検討委員会の報告書なんですけれども、実際にこの企業主導型保育施設に入所している児童の数、推計でいいんですけれども、聞きたいんです。〇―二歳と三―五歳、これはおおよそ何人ぐらいなんでしょうか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 企業主導型保育事業施設を実際に利用している児童数を集計したものはございませんが、平成二十九年度企業主導型保育施設の定員に対する利用者数の状況について調査してございます。
 この調査は、平成二十九年度中に運営を行っていた全施設につきまして、各月時点における延べ利用者数を、定員に開所日数を乗じた数で除し、一カ月当たりの定員充足率を算出したものでございまして、実際に利用していた人数を正確に算定することは困難ではございますが、その上で、先ほど申し上げました定員充足率の調査に基づきまして単純に推計させていただきますと、〇―二歳児が約一万六千三百人程度、三歳以上が約一千五百人程度となるところでございます。

○塩川委員 ですから、〇―二歳が圧倒的なわけです。それは当然そうだと思うんですよね。九割以上が〇―二歳ということになると、なおのこと安全対策が極めて重要だということを言わざるを得ない。保育士の配置基準、五割でいいとか七五%でいいとか、これは納得できる話じゃないと言わざるを得ません。
 最後に大臣に伺いますけれども、企業主導型というのは、答弁にもありましたように、働き方に応じた柔軟な保育ができる。今、長時間労働があるとか深夜労働とかある中で、その柔軟に応えるということは、保育そのものが長期になり、あるいは逆に短時間だったり、深夜に及んだり、あるいは集団ではなくて個別の対応にならざるを得ないという点でも、夜間とか休日勤務、短時間勤務、一時預かりなど、柔軟に対応できるというのは、ニーズに応えるという場合には、子供にとっては非常に大きなストレスをためるものになる。そのため、保育者には通常の保育以上に専門性の発揮が要求されているんじゃないでしょうか。
 夜間や短時間などは特殊な保育であるために、安全性が一層求められています。このような条件に対応した保育を行うためには、保育士の割合は七五%などと言わずに、認可と同様に一〇〇%にするのは当然じゃないでしょうか。大臣、お答えください。

○宮腰国務大臣 委員御指摘のとおり、子供の健やかな育ちを図るためには、保育の質の確保は非常に重要であると認識しております。
 しかしながら、これまで内閣府が事業を進めてきた中で、まずは量の整備に重点が置かれ過ぎ、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかったのではないか。ここは一度立ちどまり、これまでの取組を検証し、反省すべきは反省し、しっかりと改善を図っていくべきではないのか。私としては、そうした厳しい認識のもとに、昨年十二月に、実施体制を強化するための検討委員会を立ち上げました。
 一昨日十八日に公表されました当面早急に改善すべき事項についての検討委員会報告において、子供の安全第一の観点から、保育の質の確保、向上を重視し、審査、指導監査のあり方を検証し、見直すといった改善方策が示されております。
 今後、検討結果を踏まえ、内閣府としてしっかりと改善を図ってまいりたいと考えております。

○塩川委員 全く不十分だと言わざるを得ません。柔軟な働き方というより、柔軟な働かせ方そのものを変えるべきなんじゃないでしょうか。それに合わせたような保育に対応すること自身が、子供の安全性にとって大きな懸念を生じるものになる。
 この企業主導型そのものについても強い懸念がある、待機児童対策というのは、認可保育所を、しっかりと保育を行っていく、このことが保護者の強い要求だということを申し上げて、質問を終わります。