【内閣委員会】企業主導型保育/急激な事業拡大を批判/認可園の増設こそ

 突然の閉園など問題が相次いでいる「企業主導型保育」事業を拡大する国の姿勢をただしました。

 業主導型保育の助成決定に向けた審査で現地確認されたのは2600施設のうちわずか6件。とても慎重な審査が行われているとはいえない。保育士の一斉退職や突然の閉園などの大本には、2018年度分の整備量を3万人分に引き上げるなど2度にわたる急激な整備量の増加がある。前のめりで進めてきた政府の責任は重大だ。

 宮腰光寛少子化担当相は「これまで量の整備が重点で、質の確保が十分でなかった。反省すべきは反省して改善する」と弁明。

 私は、企業主導型の整備予定数を見直すべきだ――と批判し、公立をはじめとした認可保育所の増設こそ行うべきだと強調しました。

 また、保育士の賃金の地域間格差の問題をただしました。

 保育士の賃金を定める「公定価格」は、内閣府が定める地域区分に応じて額が異なる。埼玉県川口市と隣の東京23区では3万円以上の賃金差があるとした国の調査は、生活実態とかけ離れている。地域間格差の見直しを要求しました。

 宮腰担当相は「納得いかないところがあると思う。今後の検討課題としたい」と答えました。

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「議事録」

<第198通常国会 2018年03月27日 内閣委員会 9号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、まず、公定価格の地域区分の問題について質問をいたします。
 埼玉県議会が、三月十五日付で国に意見書を上げております。幼児教育・保育の無償化に向けて質の確保等を求める意見書ということですが、その中に、「子ども・子育て支援新制度において国が定める補助の基準となる公定価格については、国家公務員の地域手当に準じた地域区分が設定されているが、近隣自治体と公定価格の乖離が著しい自治体においては特に、保育士の確保が更に困難となるおそれがある。」としております。
 大臣にお尋ねいたしますが、近隣自治体と公定価格の乖離が著しい自治体においては保育士の確保が困難となる、こういう事態がある、そういう認識はお持ちでしょうか。

○宮腰国務大臣 各自治体の皆様におかれましては、保育士の確保にさまざまな努力をされていること、また、地域区分について、自治体の皆様にさまざまな御意見があることも承知しております。私も先日、埼玉県の熊谷市長さんとも直接お会いをいたしまして、地域区分に関する御要望を伺ったところであります。
 内閣府におきましても、現場の御意見をより詳細にお伺いするため、今年度、公定価格の設定等に関する調査研究の項目の一つとして、埼玉県を含む自治体にヒアリング調査を行っておりまして、速やかに取りまとめてまいりたいというふうに考えております。
 なお、やはり公務員の地域手当の区分を活用しているものについては、例えば介護報酬や診療報酬等においても、子ども・子育て支援新制度の公定価格と同様に、公務員の地域手当を基本として地域区分を設定しているものでありまして、恐らくこれまでずっと、何らかの基準が必要であるということで、一番公平なのは、公務員の地域区分というのを基準にしているものというふうに考えております。

○塩川委員 自治体からさまざまな御意見があるということで、課題の一つということで、調査研究の項目にも挙げているということで伺いました。
 やはり、当然何らかの基準が必要なんですけれども、それが、人事院における地域手当、それを編集している公定価格の地域区分という、その妥当性の問題というのが問われるわけです。
 資料をお配りしました。地図が一枚目にありますけれども、公定価格の算定要素となる地域区分ということで、埼玉県と東京都の比較をくっつけてつくったものです。これは人事院の提出資料と内閣府の提出資料をもとに作成しました。
 人事院にお尋ねしますが、先ほど熊谷市長のお話もありましたけれども、熊谷市というのは黄色で三%なんですよね、支給割合。その周りの深谷市とか行田市とか鴻巣市とか滑川町とかは六%、東松山市は一二%なんです。このように熊谷は低い。これはどういう理由なのか。
 あるいは、その下の方、南の方に狭山市、緑色でありますけれども、狭山市は一二%ですが、周りの川越市、所沢市、入間市、飯能市は六%、日高市は三%ということで、狭山市が高いんですけれども、何でこんな、生活圏は一緒なのに大きな差が出るのか、それを教えてもらえますか。

○森永政府参考人 お答えいたします。
 国家公務員の地域手当の支給割合は、客観的なデータ、具体的には厚生労働省の賃金構造基本統計調査を用いて算出いたしました賃金指数に基づいて、市町村ごとに支給割合を決定しているものでございます。

○塩川委員 ということで、厚労省の賃金構造基本統計調査による賃金指数に基づいてということで、統計不正の問題はちょっとおいておいて、この数字。この賃金構造基本統計というのはどういう調査なんでしょうか。何でこういう数字、生活実感とかけ離れるような、違いが出るような。そのベースとなるような調査はどんなふうに行っているんですか。

○土田政府参考人 お答え申し上げます。
 厚生労働省で実施しております賃金構造基本統計調査は、労働者の賃金の実態につきまして、労働者の雇用形態、性、年齢、産業を地域別等に明らかにすることを目的としておりまして、毎年六月の各労働者の給与について調査を行っているものでございます。
 なお、地域別につきましては、全国計と都道府県別の調査結果を公表しているところでございます。

○塩川委員 こういう数字の違いが出るのはなぜなんですかというのを教えてほしいんですが。

○土田政府参考人 お答え申し上げます。
 賃金構造基本統計調査におきましては、市町村別の推計は行っておりません。市町村間の賃金水準についての分析は行っていないところでございます。
 その上で、御指摘の市町村の地域ごとに差異が生じている理由ということでございますけれども、一般論としてお答えいたしますと、この統計調査におきまして、労働者の賃金を把握するためには、労働者を雇用している事業所を抽出いたしまして調査対象としているところでございまして、そういった性格上、当該地域に所在する調査対象となった事業所の賃金の高低差などが地域ごとの差異に反映されることになるのではないかというふうに想定されるところでございます。

○塩川委員 ですから、事業所を抽出する、その事業所の賃金の高低差を反映すると。つまり、大手の大規模事業所があると高くなるわけです。それがない、あるいは卸とか小売中心のような産業構成のところは相対的に低く出る。だから、熊谷市などはそういった傾向になって、一方で、狭山市はホンダの埼玉工場がありますので、これは五千人規模の事業所ですから、だから全体が高くなるんですよ。
 ですから、大手の大規模事業所があるところは高く出る、そうでない卸とか小売中心のようなところになると相対的に低く出る。まさに、産業構成、産業構造を反映しているんです。ということですよね。

○土田政府参考人 ただいま委員御指摘の地域の産業構成につきまして、個々には承知しておりませんけれども、当然、抽出されました企業におきます賃金の実態というものが反映されるということが想定されるということでございます。

○塩川委員 二十三区なども高いというのはそういうものの反映となっているわけですけれども、もちろん、人事院の地域手当の仕組みそのものについて我々異論がありますので、その議論はまた別途しようとは思いますけれども。
 要は、これは内閣府に聞きたいんですけれども、市区町村単位にしているのは、これは人事院がやっているわけですけれども、その人事院のを受けて内閣府が市区町村別にこういうふうに、若干、小規模自治体を勘案した数字を出しているわけです。この色別の地図はまさに内閣府の行っている作業を地図に落としたものなんですけれども、市区町村単位で区分すると、大手の大規模事業所のあるなしで賃金が大きく変動する。
 内閣府に伺うんですが、こういう地域の産業構造に伴う賃金の違いは保育士の賃金水準と関係ないんじゃないですか。

○小野田政府参考人 お答えします。
 委員御指摘の地域区分につきましては、国として統一的かつ客観的なルールのもとで設定することが求められること等を踏まえまして、保育士につきましては国家公務員の地域区分等に準拠して設定しているものでございますが、客観的に国家公務員の地域区分に準拠しているだけでございますので、今委員御指摘の中身まで踏み込んでの準拠とは、今の状況ではなってはございません。

○塩川委員 いや、でも、基本はベースになっているわけですから、こういうふうに出るわけです。これはまさに内閣府の公定価格の算定要素となる地域区分ですから、ベースとなるのは賃金構造基本統計であり、それを人事院の方が編集して、市区町村別にしているということなんです。
 それで、地域手当に基づく保育士の地域区分はどのくらいの賃金差を生むのかを確認したいんですが、内閣府にお尋ねしますけれども、幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査報告書の地域区分別賃金、保育士を見ると、東京二十三区などを例に挙げられる二〇%地域の賃金は幾らで、川口市や戸田市などを例に挙げる六%地域の賃金は幾らとなっているでしょうか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 平成二十九年度の幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査によりますと、私立認可保育所における常勤保育士の賞与込みの月収は、百分の二十地域で三十万二百八十四円、百分の六地域で二十六万六千六百六十三円となってございます。

○塩川委員 ですから、六%、百分の六地域の、これは丸めた数字ですけれども、川口市や戸田市に相当するようなところは二十六万六千円なんですよ。それが、荒川を渡って二十三区に入ると三十万円になるんです。荒川を渡るだけで、三万四千円、三万三千円違うんですよね。これは大きな差がつくと思いますし、実際に、更に東京都などが独自の上乗せ措置もやっているので、なおのこと大きな差が出てくるということで、川口駅で乗ったら隣はもう赤羽駅ですから、そういうところでも大きな影響が出る。
 改めて大臣に伺いますけれども、こういった公定価格の地域間格差というのは、これは抜本的に是正が必要なんじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。

○宮腰国務大臣 大変難しい話であります。
 先ほども統括官からも御説明申し上げましたけれども、公定価格の地域区分については、国として統一的かつ客観的なルールのもとで設定することが求められていること、それからまた、ほかの社会保障分野の制度との整合性を考慮する必要があることなどを踏まえて、地域ごとの民間給与の水準を反映させている国家公務員の地域手当の区分に準拠しているということであります。
 地域ごとの民間給与の水準というのが、大企業が、大きな工場があればぱっと上がって、そうではなくて、中小企業や卸、小売主体だというところが余り上がらないという実態もあると思います。ましてや、隣の町とランクが違うというのがやはりなかなか納得いかない部分もあると思いますが、基本はやはり、国家公務員の地域手当の区分に準拠という仕組みは、これはなかなか無視ができないのではないか。全く全国統一的な仕組みが別にあるのであれば、これは別ですけれども。
 なかなか難しい問題でありますが、今後、この公定価格の検討に当たって、これは重要な問題でありますから、検討課題の一つとして、しっかり検討してまいりたいと思っております。

○塩川委員 きょうの参考人質疑でも、桑原参考人は、公定価格の見直しを、市町村単位には不満が多いという意見も述べておられました。
 今、議論とすれば、業種別、職種別の全国最低賃金を設けるとか、全体の底上げをどう図るかという議論も当然あるわけです。そういったときに、地域のこういった、客観的という話をされたけれども、客観的と言えない数字になっているということを含めて、国の政策による保育士賃金の地域格差は見直すべきでありますし、公定価格の地域間格差の見直しが必要だと。
 全体とすれば、そもそも待機児童解消のためには、保育士確保に大きな資源を投入する、抜本的に全体を底上げするということで、保育士確保を図る必要がある、労働条件の改善を図る必要があるということを申し上げておくものです。
 次に、子育て安心プランの関連でお尋ねをいたします。
 子育て安心プランは、二〇二〇年度末までに三十二万人分の受皿整備を行うとしております。この子育て安心プランにおける保育の受皿拡大量の内訳と、その根拠を示してください。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 子育て安心プランに基づいて、二〇二〇年度末までに三十二万人分の整備をすることとしておりますが、この根拠ということでございますが、二十五歳から四十四歳までの……(塩川委員「違う、違う」と呼ぶ)済みません。内訳と根拠ですよね。(塩川委員「内訳。ですから、市区町村と企業主導型との内訳」と呼ぶ)
 内訳についてお答えをいたします。
 受皿拡大量の見込みは、昨年九月の公表時点で、各市区町村による整備分の約二十三万三千人と、これに、企業主導型保育の整備見込み量六万人、この合計が二十九万三千人ということでございます。
 今後、毎年度、計画を見直す中で、潜在的ニーズが具体化し、整備量が増加するものと考えておりまして、二〇二〇年度末までには三十二万人の保育の受皿を整備するということとしております。

○塩川委員 資料の二枚目の方に、厚労省の、待機児童の解消に向けた取組状況という資料を載せておきました。
 上から二段目の右側に、子育て安心プランについて、市区町村の拡大量について約二十六万人、企業主導型保育拡大量について約六万人で、合計で三十二万人となっているんですが、この二十六万人と六万人と分けている、その数字の根拠は何かをもう一回言ってもらえますか。

○本多政府参考人 お答え申し上げます。
 三十二万人分というのはマクロの推計値をもとにしておりまして、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が二〇二二年度末までに八割まで上昇するということを想定して推計をいたしております。
 企業主導型保育の整備見込み量六万人につきましては、これは予算との関連で決まってくるものでございますので、予算を見込んで仮置きをしている数値ということでございます。

○塩川委員 これはいつの時点の数字なんですかね。予算上に六万人というのは、いつの時点でそういう数字が出ているんですか。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 昨年九月の時点でございます。

○塩川委員 でも、今説明いただいたのは、平成二十九年六月の公表の安心プランの数字で聞いているんですけれども。
 この平成二十九年六月時点で六万人という数字はあったんですか。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 六万人というのは、事業主の拠出金率が上限に達したときに実現される数値としております。

○塩川委員 いや、そうじゃなくて、この平成二十九年六月に子育て安心プランをつくったときに、そもそも企業主導型で六万人という数字を、確保する数字として挙げていたのかというのを聞いているんです。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 企業主導型保育の六万人でございますけれども、最終的なその決定の経緯でございますけれども、平成二十九年十二月の新しい経済政策パッケージにおきまして、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな方向性の中で、経済界に費用を負担していただき、待機児童解消に向けた子育て安心プランに基づく三十二万人分の保育の受皿増分に対応するため、一般事業主から徴収する事業主拠出金を活用し、企業主導型保育事業の拡充と、新たにゼロ歳から二歳児相当分の保育の運営費に〇・三兆円充当することが決定されたところでございまして、具体的に六万人といいますのは、この決定を受けまして、平成三十年度予算編成過程の中で、経済団体との協議の場を通じまして、企業主導型保育事業六万人分に充てる方針となったところでございます。

○塩川委員 ですから、二十九年六月時点に六万人という数字はないわけですよ。そもそも、十二月のパッケージで拠出金の拡充をして六万人にするという話ですから、拠出金の拡充もない段階で六万人の話なんかないんですよ。
 そうすると、二十九年六月時点の子育て安心プランの三十二万人に企業主導型は入っていないということなんでしょう。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 三十二万人という数字は、先ほども申し上げましたとおり、女性の就業率を想定をしたマクロの推計値でございます。

○牧原委員長 要するに、企業主導型がそれに入っているのかという質問です。

○本多政府参考人 それは、内訳を積み上げたものではなく、マクロで決めたものでございます。

○塩川委員 いや、この表に書いてあるから。
 それは多分、パッケージの時点、予算編成の時点の数字なんですよ、二十六万と六万というのは。つまり、二十九年の十二月のときの数字なんです。二十九年六月の時点で六万人という数字はないでしょう、三十二万人のうち企業主導型の枠というのはそもそもあったんですかというのを聞いているんです。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 二十九年六月の時点ではございませんでした。

○塩川委員 ですから、後から持ち込んでいるわけですよ。
 私は、三十二万人というのはそういうマクロの数字ですから、それは実際のニーズとイコールかどうかは別ですけれども、しかし、ニーズに応え得る数字として三十二万人というのを出しているというのはそのとおりだと思うので、そもそも、そういった保育ニーズに応えるような保育の整備量を賄うのであれば、これはやはり、子育て安心プラン実施計画という市区町村が立てる計画があるわけですよね、そこで保育ニーズを踏まえた数字を挙げるわけですよ。だとしたら、この市区町村の子育て安心プランの実施計画で三十二万人を目指すというのが本来なんじゃないですかということを確認したいんですけれども。

○本多政府参考人 お答えいたします。
 保育の受皿につきましては、市区町村が認可保育所等を中心とした整備を進めることが重要であると考えております。
 一方、企業主導型保育事業につきましては、二十八年の子ども・子育て支援法改正によって待機児童対策への貢献を目的として制度化されたものでございまして、職員配置などが認可の小規模保育事業に準じた基準となっており、内閣府において認可保育所並みの整備費、運営費を補助していることや、また、事業主拠出金を財源として、企業の従業員の多様な働き方に対応できる保育施設であることから、重要な保育の受皿の一つと考えております。

○塩川委員 ですから、本来は、自治体の保育に係る実施計画の中でニーズに見合った整備を行いましょうということが大前提なわけですよ。そういう中には、もともと企業主導型は入っていなかったわけです。もちろん、地域枠を設けて、それをカウントもできますよというのは後で出てくる話なんだけれども。
 要は、三十二万人、三十二万人と言うんだけれども、実際には、当初はなかった企業主導型で六万人を入れましょうと、ぼんと二十九年の末に入ってくる。だから、その数字に合わせるようにどんどんどんどん企業主導型をふやそうというのが、この間の企業主導型をめぐる問題点の背景にあるんじゃないのかということを問いたいわけです。
 ですから、企業主導型は、二〇一六年にスタートをして、二〇一七年は八月の時点で二万人分の前倒しをし、九月に安心プランの二〇二二年度末達成を二〇二〇年度末への前倒しを行いました。二〇一八年は、九月に募集枠の二万人分を三万人分に引き上げた。つまり、企業主導型の申請数が多いと毎年毎年その都度最大限受け入れる、こういう対応を行ってきたというのが経緯じゃないですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 子育て安心プランに沿いまして計画的に進めてきている中で、予算も見ながら、どの程度ふやしていくかというのを判断していっているところでございます。

○塩川委員 いや、前倒し、前倒しで、要するに募集枠を超えるような数があったら、これは、じゃ、もう入れちゃおうと、申請に合わせてどんどんどんどんつぎ込んでいるんですよ。だから、前倒し、前倒しとできるという話なんだけれども、それが結果として今の混乱になっているんじゃないのか。
 きのう、児童育成協会にも行って、現場の皆さんは大変御苦労されておられるわけですけれども、お話を聞いても、例えば審査、監査の問題でも、助成決定に当たって施設の現地確認を行ったのは二千六百施設に対して六件だというわけですよ。
 それとか、あるいは、助成決定を行った審査会を五人で構成しているんだけれども、じゃ、五人のこの審査会がそういった審査を何回の会議でやっているかといったら、三回の審査会で二千六百施設の審査を行っているというんですよ。とても信じられないような事態があるわけで、立入調査も、八百施設入った場合でも、問題ありが七五・八%というのもあったわけです。
 私は、数々の問題を起こしている企業主導型の急激な整備というのがこういう混乱の大もとにあるという点で、二度にわたって前倒しをして、企業主導型を前のめりに推進してきた政府の責任は極めて重大だと言わざるを得ません。
 大臣にお尋ねしますが、結局、市区町村による受皿整備が不十分な場合に企業主導型で穴埋めしようと考えていたんじゃないのか、保育の受皿整備を、企業主導型を帳尻合わせに使うということを計画した政府の責任が厳しく問われる事態なのではないのか。この点についてお答えください。

○宮腰国務大臣 企業主導型保育事業は、待機児童問題が大きく取り扱われる中で、まずは、やはり待機児童解消に向けた取組の一つとして、そして、それに加えまして、多様な働き方に応じた保育サービスが提供できる事業としてスタートいたしました。その二つが大事だというふうに考えております。
 しかし、子供の健やかな育ちを図るためには、保育の質の確保は非常に重要であると認識をいたしております。これまで内閣府が事業を進めた中で、量の整備に重点が置かれ過ぎ、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかったのではないか、ここは一度立ちどまり、これまでの取組を検証し、反省すべきは反省し、しっかりと改善を図っていくべきではないのか。私としては、そうした厳しい認識のもとに、昨年十二月に実施体制を強化するための検討委員会を立ち上げました。
 今月十八日に公表されました、当面早急に改善すべき事項についての検討委員会報告におきまして、「子供の安全第一の観点から、保育の質の確保・向上を重視し、審査、指導監査の在り方を検証し、見直す。」といった改善方策が示されておりまして、今後、検討結果を踏まえ、内閣府としてしっかりと改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 一度立ちどまるという話であれば、今年度の三万人分の受皿についても、これは見直す必要がありますよ。来年度二万人という数についても、それでいいのかという、その検証がそもそも必要だと思うんです。
 実施機関のあり方の話だけじゃなくて、そもそも、審査、監査を行っている現行の施設についての対応がこれでいいのかが問われているわけですので、問題を起こしている企業主導型をふやすということは保育の質の確保や保育の安心、安全の観点から認められないということを申し上げ、公立を中心とした認可保育所でしっかりと保育所の整備を行うということを求めて、質問を終わります。