【内閣委員会】企業主導型保育/ルール丸投げ/政府の責任を追及

 企業主導型保育事業を推進する政府の責任をただしました。

 政府は、企業主導型保育事業で突然の閉園や基準違反などが相次いでいる問題に対し、内閣府に設置された企業主導型保育事業に関する検討委員会が出した「報告」に沿って対策を行うとしています。 

 私は、「報告」で「企業主導型の一類型である保育事業者設置型(定員20名以上)の保育士配置基準を現行の50%から75%にひきあげるべき」と述べていることについて、対象となる施設がどれほどあるのかと質問。

 内閣府は「2600施設のうち30施設だ」と答弁。

 これでどうして改善になるのか。

 また、企業主導型保育事業の助成決定のための審査ルールや指導監督基準を定めたのは誰か――と質問。

 内閣府は「(政府から審査や指導監督を委託されている)児童育成協会だ」と答えました。

 私が、ルールを児童育成協会に丸投げしてきた政府の責任が問われる――と指摘したのに対し。

 宮腰光寛少子化対策担当相は「スタート時に国の関与について検討しておくべきだった」と答えました。

 企業主導型保育は今年度も2万人分の整備予算が計上されている。新規の開設を止めて、再検討せよ――と求めました。

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「議事録」

<第198通常国会 2019年04月10日 内閣委員会 11号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、企業主導型保育事業について質問をいたします。
 最初に、子ども・子育て支援法案の議論の際、三月の二十二日の当委員会での質疑で、法案にかかわる企業主導型保育事業についての宮腰大臣の答弁に訂正があるということで事務方から話がありました。そのことについて、まず最初に大臣にお聞きしたいと思います。

○宮腰国務大臣 三月二十二日の本委員会におきまして、塩川議員から企業主導型保育事業における保育士の配置基準について御質問いただきましたが、その際、私は事実と異なる答弁をいたしました。
 具体的には、「定員二十名以下の小規模な保育園、保育所、これまで保育士の充足率五〇%でよかったということでありますが、これを七五%に引き上げる」と答弁いたしましたが、正しくは定員二十名以上の保育園、保育所でありました。答弁を訂正するとともに、質疑者の塩川議員及び委員会の先生方におわびを申し上げたいというふうに思います。

○塩川委員 御説明いただきました。
 厚労省の答弁が間違えたあの十二カ所のその後のということでもありまして、これは、内閣府の事務方の方からは議事録の修正ということでのお話があったんですけれども、私は、委員会の質疑というのは基本公開で行われるべきものだと思っておりますし、当然、インターネットでの動画でも流れているわけですから、文字での修正ではなくて、委員会の場で訂正についてはきちっととどめておくということが必要だということで、きょう、こういう形での対応をお願いしたところであります。
 そういう点でも、国会審議を本当に活性化させる上で、本当に委員会の場でちょうちょうはっしの議論を行うということが改めて重要だということで、対応方、今後とも求めていきたいと思っております。
 それで、企業主導型保育事業に関連してですけれども、今の引用の部分というのも、企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会の報告にあるものですけれども、この報告を踏まえて、宮腰大臣は、三月二十九日の記者会見で、今後、本年夏を目途とする新たな実施機関の公募選定に向け、新設に係る審査や指導監査、情報公開などの基本ルールの設定に取り組むと述べております。
 そこでお尋ねしますが、このような、今まで、新設に係る審査については、誰がどのように定めていたのかを確認したいと思います。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 まず、内閣府と厚生労働省が協議の上決定いたします企業主導型保育事業費補助金実施要綱、これにおきまして、単独設置型、保育事業者設置型などの事業類型、職員の配置基準や設備基準などの運営・設置基準などの基本ルールを定めているところでございます。
 また、児童育成協会におきましては、これに従いまして、内閣府子ども・子育て本部統括官及び厚生労働省担当局長と協議の上定めました企業主導型保育事業助成要領におきまして、助成の申込手続などについて定めているところであり、所要額調書や事業者の決算報告書など、必要な書類を添付した申請書に基づき、助成のための審査を行い、助成決定を行ってきているところでございます。

○塩川委員 こういった新設に係る審査については、内閣府と協議するというのはありますけれども、これは児童育成協会が定めているものであります。
 続けて、企業主導型保育事業の指導監査基準については、誰がどのように定めているのか、この点を確認します。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 指導監査基準でございますけれども、平成二十九年度、平成三十年度におきまして、児童育成協会が、内閣府、厚生労働省に協議した上で、指導監査基準実施要領及び指導監査基準を定めているところでございます。

○塩川委員 指導監査基準実施要領、指導監査基準を児童育成協会が定めているということであります。
 大臣にお尋ねしますが、企業主導型保育事業の助成決定のための審査ルールも、指導監査基準も、実際には児童育成協会が定めていると。そういう点で、国が児童育成協会に丸投げしている、こういう形でやってきたということ自身に問題がありはしないのかと考えるんですが、大臣、いかがですか。

○宮腰国務大臣 企業主導型保育事業につきましては、実務を担う実施機関の体制を含め、実施体制の強化が急務となっていると考えております。
 三月十八日に公表されました企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会報告におきまして、「事業規模が拡大する中で、実施機関による指導監査、各種相談の実施体制が、十分に整っていないのではないか。」との課題が指摘され、平成三十一年度以降の実施体制については、国と実施機関が適切に役割分担する体制を整備し、国は、審査や審査基準を始め基本的なルールを策定をし、実施機関は、国の指導のもとで効率的かつ効果的な審査、指導監督等を担当することとされております。
 その上で、実施機関については、審査基準や運営基準、指導監査、相談支援、情報公開、自治体との連携に係る改善策について実施が可能となるよう中立、専門的な体制とすること、高い中立性、専門性のほか、継続的に担うことが求められるため、毎年度、国は、外部評価等を行い、透明性の高い事業運営が行われるようにすべきであること、それを前提に、実施機関において複数年の事業実施が可能となるようすべきであることとされておりまして、報告に沿った見直しが必要と考えております。
 委員御指摘のとおり、検討委員会報告を踏まえ、国は、基本的なルールを策定する。国と実施機関との役割分担を明確にしつつ、実施機関に求められる役割とその要件を整理をすることとし、その上で、一定の周知及び準備期間を考慮し、本年夏を目途に改めて実施機関を公募により適切に選定してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 企業主導型保育の急速な拡大で、実際には審査ですとか指導監査が十分整っていないという問題が露呈をした。だからこそ、検討委員会の報告で対策になっているわけです。
 その際に、今後の話として、国が基本的なルールを策定する、役割分担という話をされましたけれども、国が基本的ルールをこれまで定めていなかった、そこが問題ではないのかということを問うておるんですが、その点はいかがですか。

○宮腰国務大臣 やはり、スタートのときにもう少し、質の確保を担保するための国の関与のあり方についてしっかりと検討しておくべきではなかったか、私もそう考えております。

○塩川委員 ですから、いろいろな混乱が生まれた、さまざまな問題も起こったということであるときに、夏まで一応猶予期間を設けて、新しい実施機関の対応等々、基本ルールをつくることも含めながら行っていくわけですけれども、であれば、そもそも、この間、大きくふえている現状の企業主導型保育施設について、もうちょっと立ちどまって、これ以上ふやしていいのか、ということを見直す必要があるんじゃないのか、これ以上の企業主導型の拡大は、そういった対応方も含めて、一旦立ちどまる、凍結をするということの対応が必要じゃないかと思うんですが、そこはどうでしょうか。

○宮腰国務大臣 企業主導型保育事業の平成三十一年度予算におきまして、子育て安心プランに基づき、新たに二万人分の保育の受皿を確保する費用を計上しておりますが、平成三十一年度以降の実施体制や募集のあり方につきましては、検討委員会報告につきまして今ほど申し上げたわけでありますが、まずは、国と実施機関との役割を明確にしつつ、実施機関に求められる役割とその要件を整理をし、その上で、本年夏を目途に改めて実施機関を公募し、選定することが適当であること、また、新規の実施施設の募集については、選定された実施機関のもとで実施されることとなるとされておりまして、この方向性に沿って実施体制を見直し、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
 今ほど、一度立ちどまってというのは、現在、一度立ちどまって考えている、検討させていただいている、検討委員会の御意見も踏まえた上で実施体制をしっかりと強化をしていく必要があるということで、これから、先ほどの答弁で申し上げた、国と実施機関の役割分担、これを明確にした上で、その上で、本年夏を目途に改めて実施機関を公募し、選定をしてまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 待機児童対策で受皿の拡大を図ってくる、でも、その受皿拡大を前倒しもするといった際に、その中心となっているのは企業主導型保育事業なんですよ。政府の施策で受皿整備で前倒しで、それが企業主導型でやっているということがこういう問題につながっているわけですから、この急拡大そのものについて見直す必要があるんじゃないのか。そういう点でも、今年度は二万人ふやすというのはそれでいいのかということを含めて、見直す必要がある。昨年度の三万についても同様に、拡大をすることについてやはり立ちどまって見直すべきだということを改めて申し上げておくものです。
 それで、検討委員会の報告では企業主導型の質の確保が問題となっています。企業主導型保育事業の課題として、「待機児童対策へ貢献すべく量的拡充に重きを置く一方、実施機関が行う事前の審査、開設後の指導監査等において、保育の質の視点が不足しているのではないか。」という指摘になっているんですが、これはどういう意味を持つものでしょうか。

○宮腰国務大臣 企業主導型保育事業につきましては、これまで内閣府が事業を進めてきた中で、量の整備に重点が置かれ過ぎ、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかったのではないか、ここは一度立ちどまり、これまでの取組を検証し、反省すべきは反省し、しっかりと改善を図っていくべきではないのか、私としては、そうした厳しい認識のもとに、昨年十二月に、実施体制を強化するための検討委員会を立ち上げたところであります。
 この報告におきましては、保育の質の視点が不足しているとの観点から、新設申請の審査における、必要に応じた現地調査やヒアリングの実施や、財務面及び事業計画案の審査の適正化の必要性、指導監査における財務面、労務面の監査強化の必要性や、改善に向けた相談支援の充実などが指摘されているものと考えております。
 これらを踏まえ、当面、早急に改善すべき方向性といたしまして、「子供の安全第一の観点から、保育の質の確保・向上を重視し、審査、指導監査の在り方を検証し、見直す。」と示されております。
 検討結果を踏まえまして、内閣府としてしっかりと改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 保育の質の視点が不足しているのではないのか、ですから今後こういうふうにやるというお話なんですけれども、そもそもこれまでが、何が問題だったのか。この保育の質の視点というのが不足しているというのは、質の点で何が問題だったかということをどう認識しているかをお聞きしているわけです。

○宮腰国務大臣 企業主導型保育事業における指導監査の状況について、これは平成二十九年度の実施機関が行った立入調査結果でありますけれども、保育内容等に関する指摘事項のうち一番多かったのは、保育計画等を適切に整備をすることという指摘事項、これが一番多くて二百七十六件。それから、乳幼児の利用開始時に健康診断結果を確認すること、さらには、開所時間の全てにおいて必要な保育従事者数を配置すること、乳幼児の健康診断を適切に実施すること、嘱託医との契約を締結すること、職員の健康診断を適切に実施すること、児童相談所等の専門的機関の一覧表を整備すること、苦情処理規程を整備し職員へ周知すること等々が指摘をされております。
 これらの指摘をされた内容について、しっかりとやはり改善を図っていくということが必要なのではないかということで、特に、指導監査において、立入調査において指摘された事項についてしっかりと改善を図っていく必要があるというふうに考えております。

○塩川委員 具体的な立入調査を踏まえた指摘事項の中身を御説明いただきました。
 報告では、では実際にどういう施設で問題があるのかといったときに、保育事業者設置型の問題点というのを指摘しているわけですね。報告で、「単独設置型や共同設置型と違い、保育事業者設置型は、施設の設置企業と利用者の間に雇用関係が無い。また、認可保育所の代替としての側面が強く、入所児童は空きが生じた付近の認可保育所へ移る傾向も見られること等から、実績の少ない事業者について、保育の質や事業継続性の面で課題がある」としています。
 保育事業者設置型は保育の質や事業継続性の面で課題があると指摘をしているのは、これはどういう根拠を踏まえて述べているものか教えてもらえますか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 保育事業者設置型につきましては、単独設置型や共同設置型と違いまして、施設の設置企業と利用者の間に雇用関係がない等の指摘がされているところでございます。
 実際、検討委員会におけるヒアリングでも、例えば自治体からのヒアリングにおきましては、保育事業者が設置し複数の企業と契約する類型について、保育事業者の保育運営に対して各企業に当事者意識が希薄で、責任の所在は不明確となりやすい傾向がある、申込方法も、申込者が厚生年金に加入していれば企業枠、加入していなければ地域枠といった契約を締結しているなど、企業主導型の本来目指していた姿とは乖離している事例を聞いたというような指摘がございました。
 あるいは、保育園を考える親の会からのヒアリングにおきましても、企業主導型のうちで保育事業者設置型の場合は、「事業主は法人契約を結ぶだけで何ら責任を負わず、責任の所在が曖昧になっている。」との指摘もいただいているところでございます。

○塩川委員 ですから、保育事業者設置型の問題点というのをそういう形で指摘をしているわけなんですよね。
 それで、では実際に保育事業者設置型というのが企業主導型保育施設のうちどのぐらいの割合を占めるのか、それを教えてほしいんですけれども、保育事業者設置型の施設数とその定員数、合計ですね、それぞれの企業主導型全体に占める割合はどうなっているのか、あと、従業員枠と地域枠の定員数というのはどうなっているのかを教えてもらえますか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 協会に確認いたしましたところ、平成二十九年度助成決定を受けた二千五百九十七施設のうち、助成決定時点での保育事業者設置型の施設数は三百八十八施設、全体に占める割合は一五%でございます。それから、同じく二千五百九十七施設の定員五万九千七百三人のうち、保育事業者設置型の定員総数は一万四百六十五人となってございまして、その割合は一七・五%でございます。
 保育事業者設置型の従業員枠と地域枠の定員の割合を集計したものは現時点でございませんけれども、保育事業者設置型の施設、三百八十八施設のうち、地域枠を設定しているものが三百六十七施設、九四・六%となっておるところでございます。

○塩川委員 従業員枠と地域枠の定員数の内訳については承知していないということです。ちょっと、実態をどう把握しているのかという点で懸念があるわけですけれども。
 先ほど大臣が紹介されました平成二十九年度の立入調査の対象施設、八百施設のうち、保育内容等に関する指摘事項があったのが六百六施設なんですが、そのうち保育事業者設置型は何施設になるか、わかりますか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 平成二十九年度の立入調査八百施設のうち、保育事業者設置型の施設は百二十一施設、割合としては一五・一%でございます。また、指摘事項がありました六百六施設のうち、保育事業者設置型で指摘のあった施設は九十一施設、割合としては一五・〇%でございます。

○塩川委員 そういった実態について、報告では、「保育事業者設置型については、保育事業を専門に行う事業者であることも踏まえ、定員二十名以上の施設は、保育士割合を七五%以上(現五〇%以上)に引上げるべきである。なお、本事業の既存施設には、三年程度の経過措置を設けることが適当である。」としています。
 この保育士割合、先ほど大臣が御答弁いただいた点ですけれども、これは、保育士割合を七五%以上とする理由というのは何なんでしょうか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 まず、平成二十九年度の助成決定を受けた二千五百九十七施設の定員二十名以上の保育事業者設置型の施設、百六十七施設ございますが、それの保育士割合でございますけれども、保育士割合一〇〇%の施設が百十四施設、全体で六八・三%でございます。一方、保育士割合五〇%の施設が三十施設、全体の一八・〇%となってございます。
 一方で、この二千五百九十七施設全体の保育士割合を見ますと、保育士割合一〇〇%の施設が七六・七%、それと、保育士割合五〇%の施設が一三・九%ということで、結果として、保育事業者設置型の保育士割合が低くなっておりますし、先ほど申し上げました、雇用主との雇用関係が希薄だという点からの質の確保というようなことを鑑みまして、今回、七五%に上げさせていただくこととしているところでございます。

○塩川委員 そうしますと、今言ったように、全体において、一〇〇%のところが七六・七で五〇%以上のところが一三・九。それに対して保育事業者設置型が、それぞれ、一〇〇%が六八・三%、五〇%以上が一八・〇%と、保育事業者設置型の方が保育士の割合が低いということをもって七五%以上ということなんですが、そうはいっても、あれっ、六八・三と一八、足すと一〇〇にならないのは。

○小野田政府参考人 一つ省きまして、真ん中に七五%の施設がございまして、恐縮です、それを申し上げますと、定員二十名以上の保育事業者設置型は二十三施設、一三・七%、全体の方が九・四%ということでございます。

○塩川委員 そうしますと、現状でも七五%以上というのが八二%あるわけでしょう。ですから、五〇を引き上げるのはわかるんだけれども、全体としての施設の改善を図るのであれば、基本は一〇〇にするというのが本来なんじゃないですか。
 実際には、認可保育所などでは、加配も含めて、いわば一〇〇%以上で置いているわけです。それを、企業主導型の場合については小規模B相当という格好で五〇%以上、まあそれについても今回七五というのを入れるんだけれども、本来は、認可並みの保育士割合を設置をするという点で、五〇を七五じゃなくて、実態とすればそのほとんどがもう七五以上なんですよ、それを、何で一〇〇にしないで七五%にとどめているのか。問題があるというんだったら改善すべきなのに、何で、ほとんどのところが七五以上なのに、わざわざ七五という基準を、あたかも改善かのように言うんですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 先ほども申し上げましたとおり、助成決定時点での数字ではございますけれども、保育事業者設置型、二十名以上の施設、百六十七施設のうち、保育士割合五〇%の施設が三十施設、一八%ございます。保育の質の確保のために保育士比率の全体の底上げが必要と認識しているところでございます。
 また、保育士比率一〇〇%は、委員御指摘の認可保育所と同等であるということでございますが、企業が主体的に従業員の多様な働き方に応じた柔軟な保育を提供することができるという本事業の特色を生かす中で、保育事業者設置型につきましては、保育事業を専門に行う事業者であるという点も踏まえ、保育所の定員二十名以上の施設につきまして、今回は七五%に引き上げるべきという報告をいただいたものと承知してございます。

○塩川委員 ですから、企業主導型保育事業そのものが多様な雇用形態にかみ合った形での保育、そういう意味では、子供たちにすれば、長時間だったり深夜だったり、逆に言えば短時間で、なかなかなじみにくい、そういった保育環境だからこそ保育士の専門性というのが必要で、保育士割合というのを、いわばより高める必要があるんじゃないのか。多様な雇用形態に対応するという保育と言う以上は、保育士の専門性をより高めるということが必要なのに、実際にはそれを低くしたままというのがこの企業主導型保育の一番の問題点だということで指摘をしてきているわけです。
 保育事業者設置型ももちろん改善すべきですけれども、それも含めて、改めて、五〇以上なんて言わずに、もう全体を引き上げて、少なくとも一〇〇にするといったことを、大臣、これは本当に、教訓を酌み取るのであれば、やるべき話じゃありませんか。

○宮腰国務大臣 保育士の人材不足というようなことも、現状、現実問題としてあるわけであります。同時に、多様な働き方に対応した保育事業という点からすると、多様な働き方に対応するということは、今、委員御指摘の、例えば夜間の保育でありますとか交代制に対応した保育でありますとか、保育士さんもそれに対応するということになると、それなりのやはり人材確保の困難性も伴うということにもなってくるのではないかなというふうに考えております。
 今、事務方から御答弁申し上げましたけれども、この企業主導型保育については、企業が主体的に従業員の多様な働き方に応じた柔軟な保育を提供することができるという本事業の特色を生かす中で、とりわけ保育事業者設置型については、これまで少し緩い面があったということでありますが、定員二十名以上の施設について、今回、七五%に引き上げるべきであるという報告を踏まえて、着実に、この引上げ実施をしていきたいというふうに考えております。

○塩川委員 柔軟な保育というのは、子供たちにとれば大きなストレスを抱えることになる。だからこそ、専門性が求められる保育士の配置というのが一番の根幹だ。そこを緩和した対応というのは、私は納得できるものではありません。そういう点でも、新規の開設をとめて、立ちどまって再検討すべきだということを改めて申し上げたい。
 それと、報告書の関係でもう一点確認したいんですが、指導監査の効率化を図るため、国、実施機関と、児童福祉法に基づき指導監督の責任を持つ自治体の間の指導監査基準の整合性の確保を図るとしています。でも、この児童福祉法に基づく指導監査基準と企業主導型に関する指導監査基準は違うんです。そもそもその違いは何なのか、整合性を図るとはどういう意味なのか、教えてもらえますか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 第四回検討委員会におきまして、委員から、認可外保育所における指導監督については、その基準について各自治体で考え方が異なるため、企業主導型保育施設に対し、国、実施機関と自治体が合同で指導監督を行う場合は、その前段階として、どういった事項をどういう評価基準で見ていくか、企業主導型保育事業の指導監査基準を明らかにすべきとの御意見をいただいたところでございます。
 例えば、基準でございますけれども、保育士の割合をとってみましても、企業主導型保育事業は、現行五〇%以上、今後、保育事業者設置型七五%以上ということで取り組まさせていただきますけれども、これであるのに対しまして、認可保育施設は三分の一以上となっているといったような、基準の差が出てきているところでございます。
 こうしたことから、三月十八日の検討委員会報告におきましては、指導監査の効率化を図るため、国、実施機関と、児童福祉法に基づき指導監督の責任を持つ自治体の間の指導監査基準の整合性を確保することとされているところでございます。
 したがいまして、具体的には、この検討委員会報告における指摘は、例えば指導監査の合同実施に当たって、まずは、指導監査の評価項目や評価基準など、指導監査の方針について、国、実施機関と自治体の間であらかじめすり合わせをし、企業主導型保育事業の基準と差異があるような場合には、基準に適合しているかどうかという点で効果的に監査ができるようにしていく必要があるという趣旨の御報告と承ってございまして、そういう方向で取組を進めていきたいと考えております。

○塩川委員 指導監査といっても、児童福祉法に基づく自治体の指導監査と児童育成協会が行う指導監査は違うわけですから、それが何か、効率的ということも含めて言われた際に、指導監査を、二つをそれぞれやるべきものを、何らか省略するかのような、そういう話ではないということで、それぞれしっかりやると。もちろん、施設側の負担軽減の措置は当然あるんだと思いますけれども、しっかりとした指導監査がそれぞれの観点で行われるものということで求めておくものです。
 それで、あと、宮腰大臣の三月二十九日の記者会見で、実施機関が選定されるまでの間、児童育成協会に対し、適切に指導監督を行い、継続事務の円滑な執行を図ってまいりたいと述べています。
 児童育成協会から内閣府に提出された「平成三十一年夏を目処に実施機関が公募されるまでの間、内閣府の指示の下で実施される継続事務に係る適正化策」について質問します。
 ここで、指導監査業務について、「包括的な外部委託は行わず、また、営利企業への委託は行わない。」とありますけれども、これはどういう意味でしょうか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 その前に、まことに失礼しました。先ほどの整合性の確保のところで、保育士の割合、認可外保育施設三分の一以上と言うところを、済みません、ちょっと外を飛ばしてしまいまして、恐縮でございます。失礼いたしました。
 「包括的な外部委託は行わず、また、営利企業への委託は行わない。」の意味でございますが、三月十八日の検討委員会報告におきましては、指導監査業務の一部を外部に委託する場合は、中立性、専門性の確保が必要である、また、指導監査を行う者が一定の関係性を有する場合は、利益相反が生じないよう必要な措置を講ずるべきであるなどとされたところでございます。
 三月二十八日に児童育成協会から報告のあった適正化策におきましては、指導監査業務につきまして、包括的な外部委託は行わない、営利企業への委託は行わないとされてございます。
 例えば、保育面の監査に関しましては、前年度の指導監査で改善が見られないような施設を中心に原則として協会みずから対応する、財務面、労務面等監査業務を特定し、中立性、専門性を勘案して業務委託を行う、あるいは地域を限定して業務委託を行うという意味で、包括的な外部委託は行わないという趣旨であると承知してございます。

○塩川委員 保育面の監査については原則協会が行う、財務面、労務面については部分的、地域的な外部委託も行う可能性があるということですか。

○小野田政府参考人 済みません、ちょっと舌足らずでございました。
 保育面の監査で、特に前年度の指導監査で改善が見られていないような施設は、これらを中心に原則として協会が行う、それ以外の施設は、先ほど申し上げました、例えば地域を限定して保育面でも業務を委託を行っていくとか、そういう検討も加えていただきたいというふうに考えてございます。

○塩川委員 パソナは委託先にはならないということですね。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 適正化策におきましては、指導監査業務につきまして、営利企業への委託は行わないこととしてございまして、継続事務においては、株式会社パソナを始め、営利企業への委託は行わないものと承知してございます。

○塩川委員 最後に聞きますけれども、この指導監査の対象となる企業主導型保育事業の施設数というのは、結局全部で幾つになるんですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 企業主導型保育施設における適正な保育内容及び保育環境の確保のため、原則として年一回、運営開始をしている施設に対して立入調査を実施しているところでございます。
 したがいまして、平成三十年度までに助成決定された施設につきましては、整備が完了していない施設や運営開始間もないような施設も含まれているため、現時点で正確な数をお答えするのは困難でございますが、その上で申し上げますと、平成二十九年度に助成決定された施設は二千五百九十七施設ございますし、平成三十年度の内示数は一千五百三十九施設でございます。
 これらの施設から、運営開始後一定の期間経過しているような施設に対して監査を実施していくことになりますので、相応の施設規模になると認識してございます。

○塩川委員 ですから、四千を超える施設が対象になる、指導監査の対象というぐらいで。保育について、やはり児童育成協会がみずから行うといった場合でも、もちろん、前年度の改善が見られない施設とかということですけれども、対象そのものが大きく拡大するわけですから、そういったことがそもそも可能なのかということも問われますし、やはり対象施設をふやすということ自身を見直すべきじゃないのかということを申し上げ、この問題についていろいろな議論も広がってきているところです。ぜひ、この企業主導型保育事業について、児童育成協会からの参考人の出席も求めた、必要な当委員会での質疑、集中質疑などを実現をいただきたい。
 そのことを申し上げて、質問を終わります。