【内閣委員会】ドローン飛行禁止法案/衆院内閣委で可決/米軍基地の広大な水域も禁止区域可能に

 自衛隊施設と米軍施設・区域の上空でドローン飛行を緊する法案が、与党などの賛成多数で可決しました。

 私は、ドローン飛行禁止区域を指定できる範囲が、自衛隊は陸上の施設だけを対象としているのに対し、米軍は陸上の施設に加え、広大な水域を含むことを明らかにしました。

 沖縄県の米軍基地配置の地図を示し、新基地建設工事が強行されている名護市辺野古沖だけでなく、大浦湾全域を含むキャンプシュワブ水域が、指定されうると指摘。米軍が『ここはぜひ飛行禁止に』と言ってきたら断れるのか――とただすと。

 防衛省の地方協力局次長は「防衛省として主体的に判断する」と答えるだけでした。

 米軍からの要求を認めれば、最大限、この水域が飛行禁止区域に設定される仕組みになっている。

 また、日本新聞協会や日本民間放送連盟が取材の自由や国民の知る権利を侵害する恐れがあると、この法案に反対している。辺野古新基地建設への国民の関心の高まりを抑えるため、ドローンによる取材の規制を求める米軍の要求に応えるものだ。

 さらに、自治体が業務として行う災害調査等のドローン飛行も米軍区域の上空は、米軍の同意が必要となる。法律の目的も変更し、安保体制維持のための米軍区域などのドローン飛行禁止法だと強調し、反対しました。

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「議事録」(質疑)

<第198通常国会 2018年04月12日 内閣委員会 12号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 法案について質問をいたします。
 今回の改正で、自衛隊の施設並びに安保条約第六条に基づく施設及び区域並びに日米地位協定第二条第一項の施設及び区域のうち、防衛大臣が必要と認めるものを、対象防衛関係施設に指定をするとあります。
 防衛省の方にお尋ねしますが、ここで言う自衛隊の施設というのはどういうものでしょうか。

○平井政府参考人 お答えします。
 自衛隊施設の総数については、飛行場や通信施設などその用途に応じて集計した数について申し上げると、約二千四百施設となっております。(塩川委員「自衛隊の施設というのは、そもそもどういうものを定義しているのか」と呼ぶ)
 自衛隊の中で、自衛隊の関連で使う営舎、訓練場、飛行場、通信施設、そういったものを防衛施設、自衛隊の施設と呼んでおります。

○塩川委員 自衛隊が使う施設ということなんですけれども、そうしますと、第六条第一項にある対象防衛関係施設の敷地又は区域というのは、自衛隊の施設の場合に何を指すんですか。

○槌道政府参考人 ちょっとお尋ねの趣旨が必ずしも明確ではないんですけれども、私、理解できていないんですが、自衛隊がまさに使っているその施設でございます。

○塩川委員 いや、そこは先ほど答えてもらったので、それに加えて、防衛大臣が対象防衛関係施設の敷地又は区域について指定するものとするとあるんだけれども、それは、自衛隊施設の場合に何を指すのかと。

○槌道政府参考人 自衛隊が使用する施設のうち、防衛大臣がその法の趣旨を踏まえて指定をするということでございます。

○塩川委員 いや、自衛隊の施設というのは、建物のことを言っているんですか。それだけ。

○槌道政府参考人 もちろん、建物だけではございません。その敷地も含めてでございます。

○塩川委員 そうすると、自衛隊の敷地を指定することができると。
 で、「この場合において、防衛大臣は、併せて当該対象防衛関係施設の敷地又は区域を指定するものとする。」とあるんですよ。こっちの敷地又は区域の指定というのは何を指しているんですか。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど御答弁申し上げたとおり、自衛隊の敷地、いわゆる建物だけではなくて、土地も含めた敷地のうち、必要なものを防衛大臣が第六条に基づきまして指定をするという仕組みになっておるところでございます。

○塩川委員 だから、その場合に、第六条の一項では、そもそも、自衛隊の施設を指定することができるとある。で、「この場合において、防衛大臣は、併せて当該対象防衛関係施設の敷地又は区域を指定するものとする。」とあるんですよ。
 だから、自衛隊の施設と、ここで言っている敷地又は区域というものは違うという前提で受けとめていたんだけれども、そこはどうなんですか。

○牧原委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕

○牧原委員長 速記を起こしてください。
 防衛省田中地方協力局次長。

○田中政府参考人 失礼いたしました。
 後段の「併せて当該対象防衛関係施設の敷地又は区域を指定するものとする。」というのは、周辺三百メートルも含めた概念でございます。

○塩川委員 周辺三百メートルは、第二項に書いてあるじゃないですか。第二項に三百メートルの話があるんですよ。第一項のこの文に入っていないんだよ。何でそんなでたらめな答弁するんだ。もう一回。

○牧原委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕

○牧原委員長 速記を起こしてください。
 防衛省田中地方協力局次長。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 大変失礼いたしました。先ほど、私、周辺三百メートルと申し上げましたが、これは撤回させていただきます。申しわけございません。
 それで、対象施設というものは、例えば、建物であれば建物だけ、演習場であればその地べたの土地ということでございます。
 それに対しまして、指定敷地、指定される敷地というものは、建物と、それから、庭といいますか、その外周、外構部分とか、そういったものを含む概念でございます。

○塩川委員 そうすると、何、先ほどの説明は違うわけね。自衛隊の施設というのはそもそも敷地も含むと言っていたんだけれども、そうじゃないということですか。

○槌道政府参考人 先ほどお答えしたのは、全体を含めて私はお答えしてしまいましたので、今、田中が御説明したのが正しい説明でございます。

○塩川委員 こんなことで時間を無駄にしたくない話なんですけれども、そんな基本のことが答えられないのはおかしい。
 だから、そういう意味では、自衛隊の駐屯地があるじゃないですか、駐屯地があった場合に、その自衛隊の施設というのは何を指すんですか。

○槌道政府参考人 自衛隊の施設につきましては、自衛隊が所有し、使用する土地建物でございます。先ほど御説明いたしましたとおり、例えば、今御指摘になった何とか総監部であったりとかが所在する施設というものをまず指定いたします。その上で、その範囲が、どこの施設と敷地であるかということをちゃんと指定しなければならないということが規定されているということでございます。

○塩川委員 そうすると、先ほど、自衛隊の施設二千四百五カ所とか説明していましたよね。二千四百五カ所というのは、駐屯地とか基地とか演習場とか、そういうあれがなっているわけですよ。その二千四百五カ所の自衛隊の施設と言っているのは、駐屯地全体を指しているんじゃないですか。
 今の説明というのは、駐屯地の中の特定の建物を自衛隊の施設と言っているという説明なんですよ。違うじゃないですか。もう一回。

○牧原委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕

○牧原委員長 速記を起こしてください。
 防衛省平井大臣官房施設監。

○平井政府参考人 お答えします。
 先ほど約二千四百と言った施設ですけれども、それについては、例えば営舎施設であれば駐屯地全体を指しますけれども、あとは、演習場施設、射撃場施設、訓練場施設、港湾施設、飛行場施設、そういった用途別なものを全部足し合わせて約二千四百という施設の計上になっております。(塩川委員「いや、そっちの話じゃないの。そう答えたのが自衛隊の施設だと言っているから、じゃ、この定義の、そもそもの条文上の自衛隊の施設というのは何なんだというのをもう一回確認で聞いているんです」と呼ぶ)済みません。

○牧原委員長 塩川先生、もう一回。ちょっと、よく聞いてください、塩川先生から。

○塩川委員 だから、自衛隊の施設が二千四百五カ所と説明していたから、それは違うということははっきり答えてもらって、その前の答弁にあったように、自衛隊の施設というのは、自衛隊が所有し、使用する、そういう施設。だから、そういう意味では、駐屯地全体ではなくて、特定の部署を指しているということでいいのかという確認で。

○牧原委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕

○牧原委員長 速記を起こしてください。
 防衛省槌道防衛政策局長。

○槌道政府参考人 お答えします。
 まず、対象施設につきましては、危険を防止するべき対象をあらわすものでございます。主要な建物がある場合には当該建物であり、それがない場合には境界内の区域全体でございます。その上で、飛行を禁止すべき範囲をあらわすために、敷地又は区域というものを指定するわけでございます。
 先ほど申しましたのは、個々の施設、二千四百云々というのは個々の施設ではございませんので、例えば駐屯地ですとか基地ですとか演習場とか、そういった範囲を指してございます。

○塩川委員 私が言ったのを確認してもらって。
 その上で聞きますけれども、そうしますと、この対象防衛関係施設の敷地又は区域というのは、自衛隊が訓練で使用する制限水域とかというのは入るんですか。北海道でいえば、静内の対空射場水域とか天塩訓練海面とか浜大樹訓練海面とかあるんですけれども、自衛隊が訓練で使用する制限水域は入るのか入らないのか。

○槌道政府参考人 自衛隊の施設につきましては、今御指摘のありましたような制限水域等は含まれておりません。

○塩川委員 自衛隊の施設には入らないという話なんですが、自衛隊の施設とあわせて、対象施設としてあわせて敷地又は区域を指定する、その敷地又は区域には入らないのかということです。

○槌道政府参考人 先ほど御説明しましたように、まず対象施設として、危険を防止すべき対象を指定いたします。それを含めまして飛行を禁止すべき区域を決めますので、今申し上げましたように、制限水域というのは、そもそもその対象施設にございませんので、あわせて指定すべきその施設又は区域にも含まれないということになります。

○塩川委員 わかりました。
 それで、そうはいっても、二千四百五の自衛隊の施設があるということで、その対象、指定がどうなるかというのは、それはまさに防衛大臣の判断がある。ドローンの飛行禁止場所が大きく広がる懸念があるということを一つ述べておきたい。
 次に、米軍施設について聞きます。
 米軍施設の対象防衛関係施設への指定はどのような手続で行われるのか。日米合同委員会の協議事項となるのか。米軍が要請すれば指定されるということですか。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 個別具体的に、どの在日米軍施設・区域を対象防衛関係施設に指定するかという点につきましては、米側と協議をしつつ、あくまでも防衛省として主体的に、かつ、ドローンの普及や機能向上に伴い利活用が進展している状況にも配慮しながら、その指定の必要性を精査し、真に必要な範囲を指定するということになります。

○塩川委員 いや、米軍が、ここはぜひやってくれと言ったら、断れるんですか。

○田中政府参考人 日ごろから米側とは、日本政府としまして各種協議あるいは話合い等を行っているところでございますが、いずれにいたしましても、対象防衛関係施設にどの在日米軍施設・区域を指定するかという点につきましては、防衛省として主体的にその必要性を精査いたして、真に必要な範囲を指定するということになります。

○塩川委員 だから、米軍から要求されても断れるということでいいですね。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、個別具体的にどの在日米軍施設・区域を対象防衛関係施設に指定するかという点につきましては、防衛省として主体的にその必要性を精査して、真に必要な範囲を指定するということでございます。

○塩川委員 米軍をそんたくして主体的に決めるということが実態だろうと思います。米軍の言いなりということは否定できないということです。
 それで、日米地位協定第二条第一項の施設及び区域は幾つあるんでしょうか。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 平成三十一年一月一日現在、陸上区域におきまして在日米軍の使用に供している施設・区域の数は、米軍専用施設とそれから共同使用施設を合わせまして、全国で百三十一ございます。

○塩川委員 百三十一と言いましたけれども、陸上区域においてという前提がありましたよね。陸上区域でないところもあるということですか。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 米軍の施設・区域といった場合には、区域というものの中には水域も含まれるということでございます。

○塩川委員 水域も含まれるということであります。
 そうすると、参考までに、空域はどうなんですか。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 恐縮でございます。空域も含まれます。

○塩川委員 配付資料を見ていただきたいと思います。沖縄における米軍施設の配置図になります。
 沖縄の米軍基地の地図が色で示されていますが、陸地部分のオレンジ色が海兵隊、緑色が陸軍、紫色が海軍、青色が空軍になります。沖縄本島を始め、陸地部分を覆い尽くすように米軍基地が占拠しています。
 さらに、海上部分に水色の水域が大きく広がっています。この水域も日米地位協定第二条第一項の施設及び区域に入るということで、さっき答弁があったところであります。
 改めて確認しますが、それでよろしいですね。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 水域と空域、含まれると考えております。

○塩川委員 入るということです。
 ちょっと空域の議論はまた違う機会にしようと思うんですけれども、地位協定上で定める部分もありますし、実質米軍が管轄するような航空管制空域の話なんか別途あると思うんですけれども、その辺はまた、きょうの直接の主題ではないので、脇に置いておきます。
 そうしますと、先ほど聞いたように、自衛隊の場合には、自衛隊施設には制限水域とか入っていないんですよ。それなのに、米軍の場合においては、施設及び区域ということで、まさに陸域だけじゃなくて水域や空域も入っているという点で見ていただくと、この地図の中央部、本島の中央部の南側にあるのがキャンプ・シュワブ水域なんです。水色であります。
 だから、このキャンプ・シュワブを想定したら、キャンプ・シュワブの米軍施設とその周辺の三百メートルというイメージは間違いなんですよ。このキャンプ・シュワブ水域そのものがこのまさに区域に入っているわけですから、ここがドローンの飛行の禁止区域になるんです。ですから、広大な面積がドローン飛行禁止に当たるんです。このキャンプ・シュワブ水域の外側に三百メートル更にくっつくというイメージになってくるわけです。
 そういう点でも、仮に米軍基地のキャンプ・シュワブが対象防衛関係施設に指定されれば、キャンプ・シュワブ全域でドローンの飛行が禁止されることになる、そういうことですよね。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど来申し上げているとおり、個別具体的にどの在日米軍施設・区域を対象防衛関係施設に指定するかという点につきましては、法案成立後、防衛大臣が指定することとなりますが、ただ、一点だけ申し上げさせていただきたいのは、仮に水域も含めて指定するというときに、現在の水域をそのまま全て指定するかどうかというのは、まさにその必要性を鑑みまして判断することになるというふうに考えております。

○塩川委員 だから、米軍が必要ということで要求があって、それを認めれば、こういったもの最大限、飛行禁止区域が設定されるという仕組みになっているということです。
 辺野古周辺でドローンの飛行が禁止されるという程度の話ではなくて、広大なキャンプ・シュワブ水域全域でドローンの飛行が禁止、できなくなる、そういう可能性もあるといった法案の中身になっているということであります。
 実際に、この対象施設となった場合に、対象の米軍施設周辺でドローンを飛行させる場合には、誰の同意を得る必要があるんでしょうか。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 指定を受けた対象関係防衛施設の範囲でございますけれども、制限されるのは、その施設及び区域の上空及びその周辺三百メートルということになります。

○牧原委員長 いやいや、違いますよ、誰の許可を。

○田中政府参考人 失礼しました。
 同意を与える者は施設管理者ということになりますので、この場合、在日米軍施設であれば、米軍の施設管理者ということになります。

○塩川委員 ですから、米軍の基地司令官が同意を与えるということなんですけれども、今、こういう状況で、米軍の基地司令官が飛行の同意に応じると思えないんですが。どうですか。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 防衛省といたしましては、米側に対しまして、この法律の趣旨を踏まえて適切に同意の可否の判断を行うよう要請しております。米側からは、日本側の要請の趣旨を理解したという回答を得ているところでございます。
 特に、米側は、日本側の要請に対しまして、まず、同意の可否の判断を行うに当たっては、在日米軍施設・区域の安全確保と、報道機関等、日本国民、一般の方々ですけれども、こういった方々が有する権利というもののバランスというものを図る必要がある、それから二番目に、在日米軍施設・区域の周囲おおむね三百メートルの上空における小型無人機等の飛行に係る同意の申請がなされた場合には、当該在日米軍施設・区域外における地域住民等一般国民の権利にも配意した上で同意の可否の判断を行うこと、それから最後に、在日米軍司令部から各在日米軍施設・区域の管理者に対しまして、小型無人機等の飛行に係る同意の申請について必要な指示を行う、こういった点につきまして理解を示しているというところでございます。
 防衛省といたしましては、今後とも、必要に応じ米側と協議するなど、法律の適切な運用というものを図っていきたいと考えております。

○塩川委員 同意の可否の判断基準が、何か三行述べていましたけれども、それすら非常に曖昧な話であって、それをも、理解を示しているということで、その判断基準にするとも言っていないわけですから、そういう点でも、まさに米軍の都合で判断可能だということにならざるを得ません。報道の自由ですとかそういったものと、だって、整合的に説明する中身が、判断基準が示されない以上は、米軍の都合で決めるということにならざるを得ないということであります。
 米軍は、沖縄の辺野古新基地建設現場の撮影で報道各社が飛ばすドローンの飛行については、日本側に規制を求めてきているんじゃありませんか。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 日米間では平素より必要な意見交換等を行っておりまして、これまで米側からは、在日米軍の施設・区域上空において小型無人機の飛行が確認された事例についても情報提供を受けているところでございます。
 なお、これ以上の詳細につきましては、米側との関係もあり、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

○塩川委員 差し控えたいと言いますけれども、意見交換の中で、米軍施設の上空で小型無人飛行機、ドローンの飛行を確認したという情報提供を受けているということですから、まさに米軍からは、ドローンを飛ばさないでくれという要請が実態としてあるということを示しているものであります。
 私、このドローン飛行禁止法案、四年前につくったときにも質問しておりまして、四年前の審議のときに、辺野古の新基地建設問題にも触れました。二〇一五年の四月の二十三日に、沖縄県名護市の辺野古沖でのアルジャジーラのドローン撮影を海上保安庁が制限したという話を紹介しました。
 アルジャジーラの取材班は、海上保安官の求めに応じて、ドローン飛行については中止したものの、基地の外側でのドローンの使用を禁ずる法的根拠について疑問を呈し、撮影記録の消去は拒否したということでした。海上保安官は、米軍が撮影記録の消去を求めていることを繰り返し伝え、法的措置もほのめかしたが、アルジャジーラ取材班は、今後、放送局の上層部が禁止の法的根拠について米軍に照会するとして、最終的にはその場での消去に応じなかったということであります。
 ここにあるように、海上保安官は米軍が撮影記録の消去を求めているということを繰り返し伝えた、法的措置もほのめかした云々とあるように、米軍は以前からドローンによる取材活動の規制を要望してきたんじゃないですか。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、米側と日本政府との間では、日々意見交換等を行っているところでございます。

○塩川委員 少なくとも四年も前から、米軍はドローンの規制を要請してきたわけであります。
 辺野古新基地建設は、幾つもの問題点を抱えながら、政府が強行しています。しかし、沖縄県民は辺野古新基地建設反対を訴え、県知事選挙では、辺野古新基地建設反対を掲げた玉城デニー氏が勝利をいたしました。だからこそ、国民的な関心も高い。メディアも積極的に取材に取り組んでおります。
 その際に、ドローンによる辺野古新基地建設現場の上空写真が大きな役割を果たしてきたわけです。辺野古新基地建設に対する国民の関心の高まりを抑えるために、ドローンによる取材の規制を求める米軍の要求に応えるものだということを言わざるを得ません。
 大臣にお尋ねいたします。
 日本新聞協会では、今回のドローン飛行禁止措置は、報道機関による自衛隊及び米軍等への取材活動を大きく制限し、国民の知る権利を著しく侵害するものであり、当協会としては立法化に強く反対します、国内法が適用されない米軍への取材活動は大きく制約され、当局の発表に対する真偽の検証もできなくなるおそれが強く、国民の知る権利が大きく損なわれることになりますと強調しています。
 民放連の意見では、自衛隊の施設を職務上警護する自衛官に付与される排除措置の権限は、施設領域外に及ぼされるべきではありませんと述べています。
 このドローン飛行禁止法案は、辺野古新基地建設など、米軍基地に対する取材の自由、国民の知る権利を侵害するものではありませんか。

○山本国務大臣 今回の法改正でございますけれども、近年におけるドローンの脅威の高まりを受けて、我が国を防衛するための基盤である防衛関係施設に対する危険を未然に防止する、それから、ラグビーのワールドカップ及び東京オリパラ競技大会の安全かつ円滑な実施を確保するためのものでございます。
 今ほどの、取材活動等について日本新聞協会、日本民間放送連盟から御意見が提出されていることは十分存じ上げているところでございまして、今般の法改正に、報道機関の取材活動を制限するという意図はございません。
 その上で、対象防衛関係施設につきましては、先ほど防衛省から答弁がございましたとおり、防衛省において、取材活動や国民の知る権利に配慮した適切な運用が確保されるものというふうに私どもは認識をいたしております。

○塩川委員 実態は規制になってくるわけですから、過去、それもずっと、米軍の要請に応じてそういう規制をかけてきたという経緯を考えても、極めて重大だと言わざるを得ません。民意に反して政府が強行する米軍新基地建設に対する市民やメディアの監視活動をも妨害するものであります。
 そもそも法律が、ドローン飛行禁止法案ではなくて、米軍、自衛隊施設のドローン飛行禁止法になる。法律の性格そのものが変わる。安保体制維持のための米軍、自衛隊施設維持法だ。そもそも、この立法の「目的」のところに「我が国を防衛するための基盤の維持」と追加されているところに、そのことがはっきりとあらわれております。
 次に、対象防衛関係施設に係る飛行禁止の例外規定についてお尋ねをいたします。
 今回の改正において、対象防衛関係施設に係る飛行禁止の例外規定はどのような変更が行われることになるんでしょうか。

○槌道政府参考人 現行法におきましては、土地所有者等又はその同意を得た者が当該土地の上空において飛行させる場合や、国、地方公共団体の業務を実施するために飛行させる場合には、対象施設の周辺地域上空において小型無人機等を飛行させることが可能でございます。
 他方、防衛関係施設におきましては、ヘリ等、その上空も利用して、その時々によってさまざまな部隊活動が行われており、かつ、その内容や日時等を逐一明らかにすることはその性質上困難でございますので、土地所有者等や国、地方公共団体が自衛隊、在日米軍の部隊の活動内容を知らずに小型無人機等の飛行を行い、衝突などの危険が生じる場合も想定し得るところでございます。
 このため、このたびの改正におきましては、土地所有者等や国、地方公共団体等であっても、対象防衛関係施設の敷地等の上空において小型無人機等を飛行させる場合には、当該対象防衛関係施設の管理者の同意を得ることを必要としているところでございます。

○塩川委員 ですから、今までと違って、今回の対象防衛施設との関係でいえば、土地所有者とか国や自治体も敷地内は禁止となるということであります。
 基地内に民有地があってもその所有者のドローン飛行は禁止されるということですけれども、これは、自治体のドローン飛行も禁止なんですよ。そうなると、例えば災害が起こった、大規模災害があって、その災害の被害を把握するために自治体がドローンを飛行させるという場合だって想定されるわけですよね。そういったときに、自治体がドローンを飛ばそうと思っても、米軍基地に阻まれて自然災害の被害の調査を行うことができないということにもなりかねないんじゃないですか。

○槌道政府参考人 先ほど申し上げたような趣旨から、国や地方公共団体が行う飛行でございましても、一律に施設管理者の同意を不要とすることは困難だと判断しております。
 一方で、実任務に支障がないような場合、対象防衛関係施設の管理者は、災害など緊急時におきまして、国、地方公共団体が捜索救助のために行う小型無人機等の飛行の妨げとならないよう適切に同意を行うべきことは当然でございます。
 防衛省・自衛隊といたしましては、そのような小型無人機等の飛行に係る同意について柔軟、迅速に対応できるよう、関係機関との間で必要な連携を図ってまいる考えでございます。

○塩川委員 いや、米軍の場合はどうなんですか。沖縄で台風の被害が大きくあるといったときに、ドローンを飛ばして実態を把握しようと。
 例えば、この地図でも左上の方にあります伊江島の伊江村は、その面積の半分が米軍施設なわけですよ。だから、被害実態をつかむというときに、米軍施設のところに当然入らざるを得ないんですよね。米軍はそういうときに本当にオーケーと言うのかどうか。
 現行ではそんな了解はなくても飛ぶことができた仕組みだったのに、それをわざわざ外すということは、こういう自治体の必要な被害調査についても排除するという仕組みになっているということは極めて重大じゃないですか。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。
 防衛省といたしましては、米側に対しましても、緊急性が求められる事態における小型無人機等の飛行につきまして、自衛隊と同様の考え方に基づきまして適切に対応を行うよう米側に対しまして強く要請いたしておりまして、米側からは一定の理解を得ているところでございます。

○塩川委員 一定の理解だということで、とても納得のいく仕組みになっていないということであります。
 こういった点でも極めて重大な法案ですが、もう一つ、自衛官の警察権が自衛隊施設外に拡大する問題で、自衛隊施設を職務上警護する自衛官というのは、具体的にはどのような部隊なんでしょうか。

○槌道政府参考人 自衛隊の施設におきましては、通常、施設の警護を行う自衛官が配置されておりまして、自衛隊の施設を職務上警護する自衛官というのは、当該施設の警護を職務として命ぜられて行っている自衛官のことをいいます。
 例えば、駐屯地におきましては、駐屯地司令が警備に関する職務を行っており、当該駐屯地司令の指揮監督のもと、駐屯地に所在する部隊等の自衛官が施設の警護を行っているところでございます。

○塩川委員 いや、具体的に聞いているんですけれども、陸自の場合には駐屯地警衛隊、海自の場合には陸警隊、空自の場合には基地警備隊といった警衛部隊がありますけれども、そういうのを指しているのか。それ以外にも、例えば、警務隊ですとか情報保全隊とかいうのは入らないと言えるんですか。

○槌道政府参考人 具体的にどのような部隊に属する自衛官が職務上警護する自衛官に当たるかにつきましては、自衛隊施設の警備要領にかかわることでございますので、お答えは差し控えさせていただきます。

○塩川委員 自衛隊の中での警察権を果たすような警務官などもいるわけですけれども。
 それで、自衛隊施設を職務上警護する自衛官の自衛隊施設外での活動については、地域的な限定はあるんでしょうか。

○槌道政府参考人 まず、施設外におきます権限行使については、警察官等による措置がまずは第一義的であるということを申し上げておきたいと思います。
 その上で、この措置につきましては、警察官等がその場にいない例外的な場合のみ行い得るということでございます。地理的な範囲が明示されてございませんけれども、自衛隊施設の敷地等又は周囲およそ三百メートルの上空において小型無人機等の飛行を行う者に対してのみ行い得る措置でございますので、地理的範囲はおのずと限られるというふうに考えてございます。

○塩川委員 だから、基地の上を飛ばしました、あるいは周辺三百メートルのところを飛ばしました、でも、その操縦者が離れている場合もあるわけで、それが特定できればどこまでも追いかけていけるという仕組みではあるんですね。

○槌道政府参考人 個々の具体的な状況に応じてということになります。
 地理的な範囲につきましては、条文上限定されているわけではございませんけれども、当該措置は、警察官等がその場にいない例外的な場合にのみ行い得るということ、そして、その敷地又は周囲およそ三百メートルの上空において飛行を行う者に対してのみ、安全確保のために行う措置でございますので、その範囲はおのずと限られるというふうに考えております。

○塩川委員 警察官がいない自衛隊施設があるからという理由になっているじゃないですか。だから、警察官がいないことが前提で動いているということであっても、自衛隊施設外にまさに自衛官の警察権が及ぶ。
 これまで、自衛官が施設外で自衛隊関係者以外に対する警察活動を行うというのは、職務上あったんでしょうか。

○槌道政府参考人 自衛隊の施設を職務上警護する自衛官が施設の外部において活動した例ということでございますけれども、具体的には、個別具体的な例については事柄の性質上お答えを差し控えさせていただきますけれども、防衛省設置法第四条第一項第十二号に規定する施設管理権に基づき施設の警備を行っているところでございまして、施設の外部におきましても、実力行使に当たらない範囲内で必要な警備を行うことは現行法でも可能だと考えております。

○塩川委員 それは施設管理権ですよね。自衛隊施設の外周で何かいたずらがあったといった場合に、それはやめようということは、当然、施設管理権としてあると思うんですけれども、そんなことではなくて、まさに自衛隊関係者以外で、自衛隊の施設の外でこういった警察権を果たすという例はないということですね。

○牧原委員長 申合せの時間が来ておりますので、答弁、簡潔にお願いします。

○槌道政府参考人 済みません、もう一度お願いいたします。

○牧原委員長 過去の例です。(塩川委員「いや、だから、今はあくまでも施設管理権でしょう。そうではなく、それ以外であるのか」と呼ぶ)

○槌道政府参考人 もちろん自衛隊法に規定されている行動の権限の中には警察権の行使を認められているものはございますけれども、それ以外、平時の、要するに命令を受けないで行うものというものについては、警務官以外についてはないというふうに考えております。

○塩川委員 だから、ないものをやるというのが今回の法案になっているわけです。
 自衛官の警察権が自衛隊施設外に及ぶということは認められないということを申し上げて、質問を終わります。


「議事録」(反対討論)

<第198通常国会 2018年04月12日 内閣委員会 12号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、いわゆるドローン飛行禁止法改正案に反対の討論を行います。
 本案は、ドローン飛行禁止の範囲を拡大し、いわゆるレッドゾーンに対象防衛関係施設として自衛隊の施設と在日米軍の施設・区域を加えます。自衛隊施設二千四百五カ所、約十一億平方メートル、米軍施設・区域百三十一カ所、陸域のみでも約十億平方メートルが対象となり、その周囲三百メートルをイエローゾーンとして指定するものであります。現行とは比べ物にならない広大な範囲が飛行禁止区域として指定可能となるのです。
 しかも、本案は、目的に防衛の基盤の維持を追加し、法律の名称も変更します。防衛の基盤維持、すなわち安保体制維持のため、米軍・自衛隊施設区域ドローン飛行禁止法に変えようとするものであり、断じて認められません。
 米軍施設・区域を対象としたことは重大です。
 先ほどの質疑で、自衛隊は陸上の施設を対象とするのに対して、米軍は水域、空域とも対象となると答弁しました。まさに米軍特別法であります。
 全国の米軍基地の七割が集中する沖縄では、広大な基地や水域、空域が飛行禁止区域となります。新基地建設工事が行われている辺野古沖では、埋立区域だけでなく、大浦湾全域を含むキャンプ・シュワブ水域が対象となり、伊江島はその半分が対象区域となるのであります。
 現行法では、飛行禁止区域であっても、地方自治体が業務として実施する場合は、その同意も要りません。ところが、自衛隊と米軍の施設・区域においては、施設管理者の同意がなければ禁止となります。例えば、沖縄県が海岸線沿いを災害の被害状況確認のためにドローンを飛ばそうと思っても、米軍の同意がなければ行えなくなるのです。
 報道各社も、辺野古新基地建設現場をドローン撮影するには、米軍基地の司令官の同意を得られなければ、できなくなります。
 だから、日本新聞協会は、国内法が適用されない米軍への取材活動は大きく制約され、当局の発表に対する真偽の検証もできなくなるおそれが強く、国民の知る権利は大きく損なわれることになりますと立法化に強く反対しています。日本民間放送連盟も、実質的な報道規制につながると憂慮を表明しています。
 今回、米軍の施設・区域を加えたのは米軍の要求に基づくものだということがきょうの質疑で明らかになりました。米軍の要求につき従って、反対意見を封じ込めるための立法を行う。一体誰のための法案なのか、問わなければなりません。
 報道の自由、国民の知る権利を規制することは、断じて許されません。
 そもそも、空港周辺のドローン飛行については改正航空法によって禁止されています。安全面からは新たな立法は必要ありません。危険なのは、日本の航空法の適用を除外され、勝手放題に飛び回っている米軍機であって、見直すべきは地位協定です。
 さらに、本案で自衛隊施設を飛行禁止区域に追加したことに伴い、自衛隊施設を職務上警護する自衛官にも退去命令や排除の権限を与えることも問題です。自衛官の警察権が自衛隊施設外に及ぶことは看過できません。
 以上指摘し、反対討論を終わります。