【倫理選挙特別委員会】国政選挙の管理・執行/不正・ミス排除のため、経費と予算の確保を

 夏の参院選にかかわり、公正な管理・執行が行われるようただしました。

 国政選挙において選挙管理委員会の開票不正が3回(13年参院選、14年総選挙、17年総選挙)おこり、不在者投票の運用誤りなど管理・執行上のミスがほぼ全都道府県であり、この10年余りで約3倍に増加している。

 石田真敏総務大臣は「不正は選挙への信頼を大きく揺るがしかねず、由々しき問題。各選管は、選挙の公正の確保という原点に立ち返り、厳正な管理・執行に万全を期してもらいたい」と述べました。

 私は、現憲法下でなかったことが立て続けに起こっており、危機感が足りないと批判。不正やミスの背景に、開票時間短縮のプレッシャーがあった、と強調した。

 総務省は、執行経費の基準となる開票時間4.5時間以内に開票作業を終了したのは46%(前回参院選)だったことを認め、今回、開票事務に活用する機器の整備費を規定したと答弁。

 ミスが増大し、不正事件まで起こっている反省に立てば、開票時間基準の短縮を見直し、見合った経費基準にすることが必要だ。また、直近で3分の1の投票所で投票時間の繰り上げが行われており、有権者の投票の機会を奪っている。

 総務省は、繰り上げを行った場合は経費を減額する措置を拡大したと答弁しました。

 さらに、私は、18選挙権導入、参院選の合区、小選挙区区割の複雑化など、選管の業務は膨大で役割は大きく、人員確保のため、全選管の実態調査を要望した。

 石田大臣は「必要性があれば検討したい」と答えました。

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「議事録」

<第198通常国会 2018年04月10日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 3号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 執行経費法について質問いたします。
 最初に、大臣に伺います。
 選挙は民主主義の根幹であり、主権者である国民の参政権の問題であります。不正があれば選挙の正当性が失われることになり、選挙無効になりかねないので、ひいては選挙権を行使できなくなる問題です。選挙執行に当たって最も重要なことは公正で間違いがあってはならないということですが、その点を確認したいと思います。

○石田国務大臣 御指摘のように、選挙は民主主義の根幹をなすものであることから、適正な管理、執行により選挙の公正を確保することは極めて重要であると考えております。

○塩川委員 開票所の経費について、まずお尋ねします。
 この間、国政選挙における選管の開票不正が三回も起きております。
 二〇一三年参議院選挙での高松市選管の不正開票事件。これは、開票作業中、投票数が足りないことに気がついて、白票の水増しでつじつま合わせをした。その後、未集計の票を発見するが、再集計はしなかった。後日、白票水増しを告発する通報があったにもかかわらず、隠蔽工作を行った。
 二〇一四年総選挙では、仙台市の選管において、作業ミスを取り繕うため、実際には存在しない白票などを水増しするなどの不正を行っていた。
 二〇一七年総選挙では、甲賀市選管が、投票総数より開票した票数が少なかったため、無効票となる白票を水増ししてつじつまを合わせ、後で見つかった未集計の投票用紙を焼却処分していた。
 現行憲法下でこのようなことはなかったのに、この五年間に開票不正が三回も起きております。
 また、開票不正以外にも、投票用紙の交付ミスや不在者投票の運用の誤りなど、管理、執行上問題となった行為、いわゆる選挙事務ミスもあります。二〇〇五年総選挙では六十四件だったのが、二〇一七年総選挙では百七十五件と、十年近くで約三倍に急増しており、しかもほとんどの都道府県でミスがあるという大変な問題であります。
 二〇一五年五月の当委員会で、私の質問に対し、当時の高市大臣は、選挙事務に携わった職員が不正を行うという事案が発生したことで、選挙への信頼を揺るがしかねない、ゆゆしきことと述べ、選挙の管理、執行の公正性や厳正な手続を損なわれることがないように、しっかりと注意喚起していくと答弁しました。
 石田大臣にお尋ねしますが、この答弁は四年前のことです。その後も甲賀市選管の不祥事が起こりました。なぜ不正や選挙ミスがなくならないのか。どうお考えか、お聞かせください。

○石田国務大臣 選挙は民主主義の根幹をなすものでございまして、依然として多くの管理、執行上のミスが発生していることはまことに残念なことと考えております。
 こうした管理、執行上問題となった事項につきましては、全国の選挙管理委員会で情報共有を図っておりまして、各選挙管理委員会においては、これら他団体の事例を参考にしながら、適切な管理、執行に努めていただきたいと考えております。
 御指摘ありましたように、平成二十五年には、高松市において、単なるミスを超え、選挙事務に携わった職員が不正を行うという事案が起こったことから、全国の選挙管理委員会に対して、選挙の厳正な管理、執行の確保について通知を発出をいたしました。しかしながら、その後も仙台市や甲賀市において不正事案が発生していることは、選挙への信頼を大きく揺るがしかねず、大変ゆゆしき問題と認識をいたしておりまして、昨年四月にも改めて通知を発出したところでございます。
 各選挙管理委員会におきましては、法令遵守はもとより、改めて選挙の公正の確保という原点に立ち返り、緊張感を持って職務に臨み、選挙の厳正な管理、執行に万全を期していただきたいと考えております。
 総務省といたしましても、今年度新たに、各選挙管理委員会が実施する研修等に投開票事務に精通した選挙管理委員会OB等を派遣する制度を設けるなど、選挙の厳正な管理、執行に努めてまいりたいと考えております。

○塩川委員 通知とか研修とかの啓発のレベルの話じゃない、私はそういう点で危機感が足りないんじゃないのかと率直に言わざるを得ません。
 戦後の現行憲法下の七十年以上の歴史の中で一度もなかったことが、二〇一三年以降立て続けに三回も起きているんですよ。こういった事態、それは、選管が開票不正をやるんですから、これは極めて重大な事態であるわけで、それを本当にもう今後決して行わせないといった対応が求められる、民主主義の根幹である選挙の信頼を大きく揺るがす事態を絶対繰り返させないということを求めていく必要があると思います。
 何度も指摘したことですけれども、こういう事件の背景に、開票時間の短縮を求める、そういうプレッシャーがあったことは明らかではないのか。この点で幾つか基礎的な数字を確認したいのですが、一九九八年と二〇一六年の参院選時の投票所総数、開票所総数を述べていただきたい。

○大泉政府参考人 投票所につきましては、一九九八年、平成十年の参議院議員通常選挙におきましては五万三千四百十七カ所、平成二十八年、二〇一六年の参議院議員通常選挙におきましては四万七千九百二カ所となっております。
 一方、開票所につきましては、平成十年、一九九八年の参議院議員通常選挙におきましては三千四百カ所、平成二十八年、二〇一六年の参議院議員通常選挙におきましては千九百一カ所となっております。

○塩川委員 この二十年ほどで投票所は約五千五百カ所減り、開票所は四割も減少しています。
 この問題というのは、甲賀市の事案では、不正にかかわった選管事務局長兼務の総務部長、総務部次長、総務部の課長級職員の三人は、無効票を水増しした理由を開票おくれを回避するためにやったと説明しているということがあるので問うているわけですけれども、こういった国政選挙経費の基準額、積算の前提となる開票事務に要する時間がどんどん減らされて、現行は準備、撤去の時間を含め四・五時間となっています。
 総務省にお尋ねしますが、一六年の参院選において、基準四・五時間以内に開票終了をしている開票所の累計数、比率を述べていただきたい。

○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十八年、二〇一六年の参議院議員通常選挙において、四・五時間未満で開票が終了した開票所は、全開票所の千九百一カ所のうち八百七十五カ所でございまして、比率は約四六%でございました。

○塩川委員 だから、そういう点でいえば、四六%、開票を終えているというのは半数にもならないわけです。
 本案で開票時間基準が四・五時間のままなんですよ。これはなぜなんですか。

○大泉政府参考人 この点、先ほど申しました、平成二十八年、二〇一六年の参議院議員通常選挙において、全ての開票所の平均開票時間は四時間五十分でありました。平成二十五年、その前の参議院選挙でございますが、これの平均開票時間は四時間四十七分と余り差がなかったところでございました。また、平成二十九年の衆議院選挙の総選挙につきましては、全ての開票所のうち約八割が四・五時間以内におさまったというようなこともございました。
 選挙の公正な執行を期するためには、必要な時間を確保するということは重要でございますが、その経費が国民の負担となることを考慮しますと、事務の効率化を図りまして経費の節減に努めるということも重要でございます。
 このため、今回の改正案につきましては、投票用紙読み取り分類機など、開票事務に活用する選挙用電子機器の整備に係る経費を新たに項目立てして規定し、効果的、効率的な開票事務を行える体制を整えるということで、開票時間の短縮が見込まれることから、現行の基準時間である四・五時間、四時間半ということを維持することとしたものでございます。

○塩川委員 経費の話を、ここで持ち出すっておかしいと思うんです。
 そもそも、だって、民主主義の土台である選挙、その公正性を担保する上でも必要な経費をかけるって当然のことなんですよ。よく皆さんは民主主義のコストなんて言うけれども、まさにそう言うのであれば、選挙に必要な経費をかけるというのは当たり前のことなんです。そういった点でも、こういう対応というのはおかしいと言わざるを得ません。
 もともと、二〇〇四年の基準は参議院選挙は六・五時間、衆院選は六時間だったのが、〇七年基準は五時間、一三年基準は四時間に減らされて、前回、一六年基準で、三十分戻して四・五時間になったという経緯なわけなんですよね。
 二〇一六年の参院選において、もとの基準の六・五時間以内に開票終了している開票所は累計で八七%で、この四・五時間というのは全く実態に見合っていないということを言わざるを得ません。
 大臣にお尋ねしますが、本案では、開票所経費の増額となっていますが、これが執行上のミスの減少につながるとお考えでしょうか。

○石田国務大臣 本改正案は、執行経費基準法について、選挙執行の実態等を踏まえ、改正を行うものであり、開票所経費につきましては、先ほど選挙部長から答弁をさせていただいたとおり、投票用紙の読み取り分類機など、開票事務に活用する選挙用電子機器の整備に係る経費を新たに規定することとしたところでございました。
 各選挙管理委員会においては、これにより効果的、効率的な開票事務を行える体制を整えていただくとともに、思い込みや単純な事務連絡ミスにより選挙の管理、執行の公正性や厳正な手続が損なわれることがないよう、万全を期していただきたいと考えております。

○塩川委員 機器の整備なんかは当然あることでしょうけれども、開票作業というのは何より正確さが第一であるわけで、それなくしては、民主主義の根幹である選挙の公正性、信頼性を損ないかねない問題です。
 しかも、選挙事務ミスが増大をし、開票不正事件まで起きているわけですから、その反省に立てば、開票所経費も実態に見合った基準にすることが必要だ。そういう点でも、開票時間についての経費についての増額を、単に効率云々ということでとどめるのではなく、必要な経費を手当てするということを改めて求めておくものです。
 次に、投票時間の繰上げについてお尋ねしたいんですが、先ほど投票所が激減していることを確認をしました。投票時間の繰上げの問題について、国民の基本的な権利である投票権の行使を制約することにつながるのではないのか、こういう見地で私もたびたび取り上げてきたわけです。
 確認しますが、九八年参院選と直近の二〇一六年参院選における閉鎖時間を繰り上げている投票所が全投票所数に占める割合を述べてください。

○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十年、一九九八年、これは、投票時間が二時間延長されて、午後八時まで延長されて初めての国政選挙でございましたけれども、参議院議員通常選挙におきましては、閉鎖時刻を繰り上げた投票所の数は二千九百六十六カ所でございまして、投票所総数の五万三千四百十七カ所に占める割合は五・六%でございました。
 平成二十八年、二〇一六年の参議院議員通常選挙につきましては、閉鎖時刻を繰り上げた投票所数は一万六千五百八十九カ所でございまして、投票所総数の四万七千九百二カ所に占める割合は三四・六%でございました。

○塩川委員 五・六%だったのが三四・六%というので、今では三分の一の投票所で閉鎖時間の繰上げが行われています。
 二〇一五年の五月の当委員会で、私の質問に対し、当時の高市大臣は、都市部で、投票所の閉鎖時刻をむやみに繰り上げてしまうと、投票人の投票の機会を奪うことになると答弁しています。
 その際に、群馬県の例も取り上げたんですが、前橋市とか高崎市って中心部でも午後七時とか、繰上げなんですよ。そうしたら、やはり若い人が投票に行くというときに、ああ、もう閉まっていたということもあり得るわけで、こういったことはおかしいんじゃないのか、投票人の投票の機会を確保せよということについて、先ほどの高市大臣の答弁があったわけです。
 二〇一六年基準の審議の際には、十八歳選挙権が施行されるときに、若い人の投票行動を見ても、閉鎖時間の繰上げが逆行していると、うちの穀田なども指摘をしました。これに対して高市大臣は、投票の権利は民主主義の最も基礎的な部分、投票機会を広く確保することは極めて重要、引き続きしっかりと要請していくとの答弁がありました。
 しかしながら、二〇一七年の総選挙では、繰り上げているところが三五・〇八%ということで、改善するに至っておりません。
 投票時間の繰上げを減らすために、どのような対策をとっているのか。

○大泉政府参考人 投票所の閉鎖時刻の繰上げにつきましては、公職選挙法において、市町村の選挙管理委員会の判断で、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合ということに限って認められているわけでございます。
 総務省といたしましても、投票機会を広く確保する観点から、国政選挙や統一地方選挙のたびに、各選挙管理委員会に対して、投票所閉鎖時刻の繰上げにつきましては、厳正に対処するよう要請をしているところでございます。
 また、選挙の執行経費の基準法上のことでございます。これは、投票時間を短縮している投票所が少なくない実態を踏まえまして、平成十九年改正におきまして、投票所の閉鎖時刻の繰上げを行った場合は、投票所事務従事者の超過勤務手当について、繰り上げた時間相当分を減額するということとしております。
 今回の改正につきましても、投票管理者や投票立会人に係る報酬について、従事する時間に応じて報酬を減額する団体もあることを踏まえまして、事務従事者同様に繰り上げた時間に対しては、減額するというふうな措置を講じることとしております。

○塩川委員 この投票機会を奪うような繰上げについては、これはやはり厳正に対処せよという立場での対応というのはぜひしっかりとやっていただきたいということと、あと、投票所の減少を食いとめることも必要なんですが、それはどういう対策を考えるのか。

○大泉政府参考人 投票所数につきましては、過疎化による選挙人数の減少や、市町村合併などを契機とした投票区の見直しなどで減少してきているというところでございます。
 私どもは、選挙管理委員会が地域の実情を踏まえて決定すべきものではございますけれども、投票所あるいはそれにかわる期日前投票所を設置すること、かつて投票所があった地域での期日前投票所の設置や移動期日前投票所の取組、共通投票所の設置、移動困難者に対する支援など、選挙人の投票機会の確保に努めているところでございます。
 投票所の設置につきましては、国政選挙、統一地方選挙の都度に積極的な措置を各選挙管理委員会に対して要請してきてもおります。
 また、本日御審議いただいている公職選挙法の改正部分につきまして、投票管理者あるいは投票立会人の選任要件を緩和する内容を盛り込んでおりまして、これにより、投票立会人等の確保を容易にすることによりまして、投票所の維持確保の一助となるものではないかと考えているところでございます。

○塩川委員 投票管理者、投票立会人の要件緩和の話は今回盛り込まれているということであります。
 でも、期日前の話というのは、そもそも日本の選挙においては、投票日当日投票主義ですから、その原則が崩れるような複数投票日制をとっていないわけで、そういった点でも投票日にしっかりと投票ができるという環境をどう整備するかということが重要だと申し上げておきます。
 選管の人員の問題も深刻です。この数年の間、十八歳選挙権が始まって、参院選で初めて合区が行われ、小選挙区の区割りはどんどん複雑化をし、選挙執行業務は膨大で、選管の役割はますます大きくなっています。しかし、市町村選管の方もぎりぎりのところで頑張っておられて、苦労もしているわけです。
 実態調査がないと承知をしているわけですが、大臣、最後にお尋ねします。
 昨年、私の質問に、当時の野田大臣は、選挙の管理、執行については、全般にわたって遺漏のないよう万全を期すために、必要な予算、選挙事務に従事する人員を確保することは重要と答弁をしています。経費も人員配置も実態に見合うよう確保するためにも、全ての選管の職員の実態調査を行うべきではないかと考えますが、いかがですか。

○石田国務大臣 執行経費基準法は、諸物価の変動等を踏まえ、投票所経費等の基準額を定例的に改定するほか、各地方公共団体における選挙執行の状況や選挙制度の変更等を踏まえ、適切に国政選挙に要する経費を措置できるよう、規定の新設等の必要な見直しを行ってきております。
 今回の改正に当たっても、二十八年の参議院選挙について、全市町村を対象に、投票所や開票所の事務従事者の配置状況などについて十分な調査を行っており、選挙執行に当たっては万全な執行体制を整えているところであります。
 選挙執行時以外の選管職員の人員配置の実態についても、その調査の必要性があれば検討してまいりたいと考えております。

○塩川委員 ぜひ実施をしていただきたい。人口五万人未満になると平均選管職員数三人ほどで、多くは兼任、兼務ですので、そういった実態をしっかりと受けとめていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。