【内閣委員会】航空自衛隊基地内に米軍への提供施設/目的を追及/進む米軍と自衛隊の一体化

 航空自衛隊入間基地や那覇基地で進む日米軍事一体化について質問しました。

 埼玉県にある空自入間基地内に、日米地位協定に基づき米軍に提供されている「FAC3013横田飛行場」と「FAC3050入間飛行場」という二つの施設及び区域がある。

 「FAC3013横田飛行場」のうち、日米地位協定2条1項a(米軍が専用で使用する施設及び区域)に基づいて米軍に提供されている7平方メートルについて、その使用目的と置かれている場所を質問。

 防衛省は「日米間において情報共有を図る目的で、米軍の通信機器を設置するため。置かれている場所は防空指令所(DC)」と答えました。

 さらに、設置された米軍の通信機器は、JADGEシステム(空自の自動警戒管制システム。防空及び弾道ミサイル対処における一元的な指揮統制を行う中核的なシステム)の運用開始と関連があるのか、と質問。

 防衛省は「その通りだ」と答えました。

 また、入間基地以外で防空指令所(DC)がある三沢、春日、那覇基地では、米側に通信機器の設置場所を提供しているのか、と質問。

 防衛省は「通信機器を設置する目的で提供しているものはないが、那覇基地において、2-1-aに基づいて事務室として60平方メートルを提供している」と答えました。

 60平方メートルの利用目的について質問すると。

 防衛省が「細部については承知していない」と答えなかった。

 2-1-aというのは常時使用だ。自衛隊基地内で米軍との一体的な運用がなされているのに、明らかにしない。日米地位協定の在り方そのものが問われている。

 JADGEシステムは、弾道ミサイル対処のためイージスアショアとも連接される。イージスアショアの配備が予定されている秋田県と山口県では、地元から配備反対の声が挙がっている。米太平洋軍のハリス司令官が「イージスアショアは米海軍や太平洋艦隊の負荷の一部を軽減する」と述べている。

 アメリカの軍事戦略に日本が組み込まれる形で、米軍と自衛隊が一体化をしている点でも、一連の動きは看過できない。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

<第198通常国会 2018年04月24日 内閣委員会 14号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは行政のデジタル化の集中ということで、最初に、この前の質問のときに、平井大臣に政府CIOポータルの改善ということをお願いしまして、早速直しが入っていたということで、少しは見やすくなったなと思っておりますので、ありがとうございました。
 それで、きょうはまず最初に、行政のデジタル化ということですので、防衛省・自衛隊のデジタル化ということに関連して、自衛隊の自動警戒管制システム、いわゆるジャッジシステムについてお尋ねをいたします。
 航空自衛隊入間基地における日米地位協定に基づく米軍提供施設についてまずお聞きします。
 入間基地内には、FAC三〇一三横田飛行場とFAC三〇五〇入間飛行場と二つの提供施設が置かれています。米軍の同じ提供施設なのに、同じ入間基地内に二つに分けて設置されている、提供されている。この使い分けをしている理由は何なのかについてまず教えてください。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 一般に、日米地位協定に基づきまして米軍に施設・区域を提供する際には、既に提供されている施設・区域内に新たな建物などを追加して提供する場合には、この施設・区域の一部として追加提供しているところでございます。また、米軍が自衛隊などの施設の一部を使用する場合に、それが機能的にほかの米軍施設・区域の付随施設と位置づけられる場合には、その本体となっている米軍施設・区域の一部として追加提供しているところでございます。委員御指摘の入間基地の中にございます横田飛行場がそれに該当してくるということになろうかと思います。
 このような考え方を踏まえまして、航空自衛隊入間基地におきましては、横田飛行場の付随施設と位置づけられる施設について、横田飛行場の一部として追加提供を行っているところでございます。
    〔委員長退席、松本(剛)委員長代理着席〕

○塩川委員 そうしますと、航空自衛隊入間基地なんだけれども、横田飛行場という名称がついている。その横田飛行場となっている施設・区域の提供については、横田基地に付随する施設、横田基地の機能の一部として提供しているという説明であったわけです。
 それ以外に、入間飛行場という名称のついている提供施設・区域もあるわけですが、こっちの方は訓練想定とかそういうことになるんでしょうか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 入間基地においてFAC三〇五〇入間飛行場として提供しているものは、土地ですとか工作物ということで、訓練などに使用しているというところでございます。

○塩川委員 入間飛行場という名称で米軍に提供している施設・区域については、飛行場の災害復旧訓練施設として提供しているというふうに承知しているんですが、それでよろしいですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおりで相違ございません。

○塩川委員 米軍に提供している施設・区域、日米地位協定に基づき提供している施設・区域については、入間基地内においては、入間基地内の施設を飛行場における災害復旧訓練施設として提供しているんだけれども、横田飛行場の方は、横田基地の一部として、付随施設として機能するものを提供しているということになるわけです。
 提供施設の中でも区分があって、米軍による一時使用の扱いとなる二4(b)と、米軍が専用で使用する二1(a)が存在をします。この中で、横田飛行場の二1(a)で提供している施設・区域に七平米と言われる部分があるんですけれども、ここの使用目的というのは何になるんでしょうか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の施設につきましては、日米間において情報共有を図る目的で、米軍の通信機器を設置するために、地位協定第二条第一項(a)の規定に基づき米軍に提供しているものでございます。

○塩川委員 日米間において情報共有を図る目的で米側の通信機器を設置する、そのスペースとして提供しているということなんですけれども、この通信機器が設置をされている場所というのは、現状、自衛隊が何のために使用している場所になるんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の施設でございますけれども、入間基地の西側に所在をします庁舎の一部を提供しているものでございます。航空自衛隊は、この庁舎を主に、中部航空方面隊司令部ですとか中部防空管制群、こういった部隊が事務室などとして使用しているものでございます。

○塩川委員 その中には防空指令所、ディレクションセンターとかがあるんですけれども、その防空指令所の中に置かれているのではありませんか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の庁舎の一部の事務室につきましては、防空指揮所としての機能を有しているものでございます。

○塩川委員 防空指揮所。ディレクションセンターということでいいのかな。(中村政府参考人「さようでございます」と呼ぶ)はい。ディレクションセンター、防空指令所として使用している部分だということですけれども、そうしますと、入間基地の中に警戒管制のスペースがあって、そこに防空指令所という形で、弾道ミサイル防衛ですとか航空機対処ということでの情報を収集して、それに対しての対処を行うという場所になっているわけですけれども、そういった自衛隊の施設内に、七平米、米軍側に提供している、通信機器を設置をしている。その場所には米軍の要員というのは配置をされているんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 米側は、米軍の軍人軍属が常駐しているか否かを含めまして、個別の基地に所属する軍人軍属に関する情報を明らかにはしておりません。したがいまして、御質問に対しまして防衛省として回答することは差し控えさせていただきます。

○塩川委員 米軍基地内の話だったらまだしも、航空自衛隊の基地内なんですよ。航空自衛隊の基地の中に米軍のスタッフがいる、いないか、すぐ確認できるんじゃないですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども御答弁したところで恐縮でございますけれども、米軍は、米軍の軍人軍属が常駐しているか否かを含めまして、個別の基地に所属する軍人軍属に関する情報を明らかにしてございませんので、防衛省としてそういった御質問に対して回答することは差し控えさせていただきます。

○塩川委員 米軍のやることは何でもかんでも運用にかかわることだからお答えを差し控えたい、そういう話では、何をやっているか実態がわからないわけですよ。
 実際、自衛隊の基地の中で米軍が活動しているわけですから、そういった日米の軍事面での一体化というのはどういうふうになっているのかというのはやはりきちっと我々としてもただしていかなくちゃいけないわけで、そういったことについて、自衛隊基地内の話なのにわからないというのは答弁としては本当に納得できないところであるわけです。
 そうすると、そういった通信機器設置のために七平米が提供されているというところなんですが、提供した時期というのが二〇〇九年六月十二日です。日米合同委員会が追加提供を承認しているんですが、これはちょうど自動警戒管制システム、ジャッジが運用を開始される時期にも当たるわけですけれども、米軍に提供している通信機器を設置しているスペースというのはジャッジシステムと連携、連接をしている、そういう場所ということでよろしいでしょうか。

○小波政府参考人 お答えいたします。
 ただいま、入間基地内において日米地位協定第二条第一項(a)に基づき米側へ提供された施設には、日米間において情報共有を図る目的で米軍の通信機器を設置しています。この通信機器は防空に関する情報を日米間で交換するために空自の防空システムであるジャッジシステムと連接しているところでございまして、委員御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 ジャッジシステムと連接しているということですけれども、この自動警戒管制システム、ジャッジというのはどういうものなのかについて簡単に説明していただけますか。

○小波政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のジャッジ、いわゆる自動警戒管制システムは、我が国の防空及び弾道ミサイル対処における一元的な指揮統制を行うに当たり中核となるシステムでございます。ネットワークを介しまして日本全国各地のレーダーサイト及び各自衛隊が有する各種システムと連接しており、その主要な機能といたしましては、警戒管制レーダー、早期警戒管制機等が捕捉した目標情報を集約し、航跡情報を作成し、追尾、探知した目標の敵味方を識別、データリンク等を介して兵器割当て、要撃管制に関する指示の伝達などを行うことが可能なものでございます。

○塩川委員 全国各地のレーダーが捉えた航空機などの情報を一元的に処理をして対領空侵犯措置や防空戦闘に必要な指示を戦闘機などに提供するほか、弾道ミサイル対処においてペトリオットやレーダーなどを統制し、指揮統制、通信機能の中核となるシステムだということで承知をしております。
 先ほど言った入間基地内で提供している七平米については、防空に関する情報についてジャッジでの連接の話だったんですが、そうすると、弾道ミサイル対処の方は入っていないという整理なんでしょうかね。

○小波政府参考人 お答えいたします。
 ただいまお答えいたしましたことの繰り返しになるんですけれども、いわゆるジャッジは、我が国の防空及び弾道ミサイル対処における一元的な指揮統制を行うに当たり中核となるシステムでございますので、特に区別をしているわけではございません。
    〔松本(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

○塩川委員 先ほど七平米の説明のときに防空に関する情報という言い方をしたからBMDが入っていないのかなと思ったんだけれども、そういうことじゃないということですね。

○小波政府参考人 ただいま委員御指摘のとおりでございまして、特に区別はしておりません。

○塩川委員 一元的に航空機対処と同時にBMD対処も行うという仕組みに米軍の通信機器のシステムが連接しているということです。
 もともと米軍横田基地の中に、今、航空自衛隊の航空総隊司令部があって、こういったジャッジについてはそこで全国一本でやっているものですから、そのレベルでも横田で米軍との連携には当然なっているわけですけれども、それ以外に、外に出て、航空自衛隊の入間基地まで米軍の区域が置かれているという理由というのが、今までの説明でも納得のいく話というのは出ていないわけであります。
 それで、このジャッジについてなんですが、我が国の航空作戦や弾道ミサイル防衛の中核となる全国規模の指揮統制システムになっているわけですけれども、航空作戦管制所及び四カ所の防空指令所、ディレクションセンターで二十四時間運用しているということです。
 入間基地以外で防空指令所のある三沢、春日、那覇においては米側に通信機器の設置場所を提供しているんでしょうか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員お尋ねの米軍の通信機器というものが自衛隊のジャッジと連接をしている機器ということであれば、航空自衛隊三沢基地、春日基地及び那覇基地にはそのような機器はございません。

○塩川委員 それで、少し事前にお話を伺ったときには、今言ったように、ジャッジに連接をしている通信機器の設置ということを目的としての提供はないということは今お答えいただいたことなんですが、それとは別に、那覇基地において事務室として六十平米を提供しているというふうに聞いているんですけれども、そのとおりでよいか。提供しているということであれば、その理由は何かについて確認をしたいと思います。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、航空自衛隊那覇基地におきましては、地位協定第二条一項(a)に基づくものとしまして、事務所、事務室として使用する目的で、建物一棟、六十平米を提供しているところでございます。

○塩川委員 その事務室は何に使っているんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 使用目的としましては一般の事務所ということでございまして、それ以上の細部については承知をしておりません。

○塩川委員 二1(a)というのは常時使用ですから、一時借り上げとかそういう話じゃないので訓練とかではないわけです。そういった形で実際に自衛隊の基地の中でも米軍との軍事的な一体的な運用というのは行われているわけなんだけれども、そういうことについて明らかにしないといったところでも日米地位協定のあり方そのものが問われていると思っております。
 それで、ジャッジについてなんですけれども、航空機対処とともに弾道ミサイル対処を行うということですから、当然イージス・アショアと連接をするということになりますね。

○小波政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、ジャッジは、防空のみならず、弾道ミサイル対処においても一元的な指揮統制を行うに当たり中核となるシステムであり、弾道ミサイル対処に当たるPAC3やイージス艦ともネットワークを介して連接することが可能でございます。
 今後導入されますイージス・アショアに関しましても、弾道ミサイル対処の一元的な指揮統制を行う観点から、ジャッジと連接することを考えているところでございます。

○塩川委員 防衛省がイージス・アショア配備を予定している秋田県と山口県では、地元から配備反対の声が広がっています。
 二月二十七日付の秋田魁新報は、日本が巨大イージス艦にという見出しの記事を書いています。アメリカのシンクタンク、戦略国際問題研究所は、昨年の五月に、日本の地上イージス導入に関するリポートを発表しているということで、表題は「太平洋の盾 巨大なイージス艦としての日本」。昔、不沈空母発言というのがありましたけれども、巨大なイージス艦としての日本という表題のリポートでは、米国本土を脅かすミサイルに対し、前方に配備されたレーダーの役割を果たし得る、太平洋の西端にある日本に地上イージスが配備されれば、米国主導の安全保障体制にとっての盾になるという意味合いだということです。
 結局、このイージス・アショアというのはアメリカのためのものになるんじゃありませんか。

○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国の弾道ミサイル防衛システムの性能、能力、配置等につきましては、あくまでも我が国領域を防護する観点から決定されているものでございます。
 イージス・アショアの配備候補地につきましても、防護範囲を分析した結果、秋田県付近と山口県付近に配備した場合、最もバランスよく我が国全域を防護できると考えているところでございます。
 このような分析を踏まえつつ、更に、遮蔽物の有無や地形、インフラといった条件も加味して自衛隊施設を対象とした検討をした結果といたしまして、秋田県の新屋演習場と山口県のむつみ演習場を配備候補地としているところでございまして、あくまでも我が国全域を防護する観点から選定したもので、アメリカを防護するといったこととは関係がございません。

○塩川委員 もともと秋田などでも随分議論になっているというのは、朝鮮半島、北朝鮮を想定して、そこからミサイルが出た場合に、秋田の上空を通り越してその先にあるのはハワイだ、山口の上空を飛び越してその先にあるのはグアム、こういったことが前提になっているという批判の声が上がっているわけです。こういった点での配備先の問題点というのが指摘をされている。
 あと、アメリカ太平洋軍のハリス司令官は、昨年二月二十四日の下院軍事委員会の公聴会で、この日本のイージス・アショア導入による効果について問われて、アメリカ海軍や太平洋艦隊がBMDの任務において直面している負荷の一部を軽減することになるだろう、艦船を持ち場から離して他の場所に投入することができるだろうと証言をしています。
 こういった発言を見ても、このようなアメリカの要望に応えるものになるイージス・アショア導入というのは、日本防衛ということでは説明がつかないんじゃないでしょうか。

○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
 イージス・アショアを含みます我が国の弾道ミサイル防衛システムにつきましては、あくまでも我が国の領域を防護する観点から導入を決定しているものでございます。
 また、我が国に対します弾道ミサイルの脅威に対しましては、米軍もイージス艦を我が国に展開するなど、日米間で緊密に連携して対処することといたしてございます。
 このため、これまでも、発射された弾道ミサイルを探知、追尾した情報などは双方向で常時リアルタイムに共有することといたしておりまして、こうした情報共有のあり方につきましては、イージス・アショアの導入によっても変わるものではございません。

○塩川委員 アメリカの軍事戦略に日本が組み込まれるという形で米軍と自衛隊が一体化をしている。そういった点でもこの間の一連の動きというのは看過できないということを申し上げておきます。