【予算委員会】民間試験導入/首相に責任/発端は教育再生実行会議/延期でなく撤回を

 2020年度から始まる大学共通テストについて、営利目的・採算重視の民間事業者への丸投げを主導してきた安倍晋三首相の責任を追及しました。

 受験会場が限定される地域格差や受験料や交通費負担の経済格差が生じるなど英語民間試験の問題点は、教育行政の最も重要な教育の機会均等の原則に反する。

 「教育の機会均等は極めて重要」と答える安倍首相。

 大学入試制度の転換と民間企業の参入への道を開いたのは、安倍首相が主催する教育再生実行会議の『大学入学者選抜改革』の提言(13年)だ。安倍首相の責任を追及しました。

 安倍首相はまともに答えませんでした。

質問で使用したパネル資料(クリックで拡大)

 延期となった英語民間試験ですが、安倍政権は24年に実施を狙っています。大学入試に民間事業者の参入を進める方針そのものに変更はない。英語民間試験だけでなく、理科や社会にも記述式試験を導入する新共通テストそのものを撤回すべきだ。

 萩生田光一文科相は「英語民間試験延期に合わせてセンター試験を見直す。民間ありきで続けていくと申し上げたことはない」と述べました。

 また、菅原一秀前経産相と河井克行前法務相の辞任に対する首相の任命責任。公職選挙法違反なら大臣の資格以前に議員の資格が問われる。このような人物を任命した首相として、辞任の理由を国会で説明せよと求めるのは、最低限の任命責任だ。

 安倍首相は「自ら説明責任を果たしていくと思う」となんら責任を果たさない態度を示しました。

↑質問で使用したパネル資料(クリックで拡大)↑

論戦ハイライト/英語民間試験/延期ではすまない/衆院予算委/塩川議員、首相を追及/教育の機会均等保てぬ

「しんぶん赤旗」11月7日付・2面より

 日本共産党の塩川鉄也議員が、大学入試改革の問題をただした6日の衆院予算委員会。安倍政権がたくらむ大学入試改革が、英語民間試験の導入延期だけではすまない問題が浮き彫りになりました。

“身の丈”の制度

 塩川議員 萩生田文科相の「身の丈」発言は、安倍首相の任命責任も問われている。

 安倍晋三首相 すでに萩生田大臣が撤回・謝罪した。

 来年度からの新「大学入学共通テスト」で英語民間試験に置き換える仕組みを導入することが大問題になっています。萩生田光一文科相は「身の丈にあわせて頑張ってほしい」(10月24日のBS番組)と述べました。

 塩川氏は、「お金のかかる民間試験に行かなければ、入試は受けられない」との高校生の切実な声を紹介。経済格差、地域格差が指摘される英語民間試験の導入が、「身の丈」を強いる制度そのものだと追及し、萩生田氏の辞任を求めました。

 安倍首相は、「教育の機会均等は極めて重要だ」と述べるものの、すでに萩生田氏が謝罪・撤回したと開き直りました。塩川氏は、「教育の機会均等を理解しない人物を文科相につけた任命責任が問われている」と批判しました。

 塩川議員 英語民間試験の導入、大学入試制度の転換をおこなったのは首相が開催する「教育再生実行会議」ではないか。

 安倍首相 (周りを見回してから)(私が)議長です。

 首相が開催する「教育再生実行会議」が2013年10月に出した提言の具体化として文科省は、記述式問題の導入や民間検定試験を活用した英語4技能評価を盛り込んだ「大学入学共通テスト」実施方針を策定しました。

 「営利追求、採算重視の民間事業者に丸投げして教育の機会均等が確保できないのではないか」。文科省方針の問題点をずばり指摘した塩川氏。首相の責任は重大だと追及する塩川氏に、安倍首相は「萩生田大臣が答える」と逃げの答弁に終始しました。

企業ビジネスに

 塩川議員 「大学入試改革」が、民間事業者にとってビジネスチャンスになっている。

 安倍首相 承知していない。

 大手教育関連会社であるベネッセコーポレーションは、その子会社が大学入学共通テストに導入される国語・数学の記述式問題の採点を受託。英語民間試験に採用された「GTEC」(ジーテック)を運営し、関連の参考書・問題集などを販売しています。

 学校教育や大学入試制度に関する事業を受託し、「教育・入試改革を最大の事業機会と捉え」(ベネッセ社の中期経営計画)収益を上げる同社のビジネスモデルが浮き彫りになりました。

 塩川氏は、GTECにかかわるベネッセ関連法人の「進学基準研究機構」の理事長に元文部事務次官が就き、理事に元内閣官房参与や元財務事務次官などが天下りしていることを暴露し、「官業癒着が問われる問題だ」と指摘しました。

 「それぞれ見識のある方が選ばれている」と強弁する萩生田氏に、「教育のインフラであり、公平・公正が何よりも求められる大学入学テストを、営利を追求する企業、民間事業者にゆだねるのは間違っている」と迫りました。

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「議事録」

<第200通常国会 2019年11月6日 予算委員会 3号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、安倍総理の辞任をした二大臣への任命責任の問題について、総理にお尋ねをいたします。
 菅原経産大臣に続き、河井法務大臣も辞任をいたしました。辞任した二人とも、政治家としてやってはならない公選法違反の買収行為が問われていたわけであります。公選法違反なら、大臣の資格以前の問題、議員の資格が問われる問題であります。
 閣僚を任命するに当たって、安倍総理は、先ほども適材適所という観点から任命したと述べておられましたが、公選法違反が問われていたような人物を大臣、しかも法務大臣にも据えたというのは適材適所だったんでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 私が任命した大臣が就任からわずか一カ月余りで相次いで辞任する事態となったことは、国民の皆様に大変申しわけなく、任命した者としてその責任を痛感をしております。
 速やかに後任の大臣を任命したところであり、国政に遅滞を生じることのないよう、行政を前に進めていくことに全力を尽くすことで国民の皆様への責任を果たしていく考えであります。
 そして、菅原大臣は、党の経産部会長やあるいは経産副大臣を歴任した方であり、河井大臣も、法務副大臣を務めるとともに、議連などを通じ、法務行政に長らく携わってこられた方であります。
 他方、政治は結果責任であり、辞任という結果となった以上、私の人事に対する厳しい御批判は率直に受けとめなければならないと考えております。

○塩川委員 いや、質問に答えていないんですよ。適材適所だったのかと聞いているんです。
 法務行政を担ってきた、そういう人物を法務大臣に据えた。その法務大臣が公選法違反が疑われるような事態で辞任をするということであれば、総理の言っている適材適所とは何だったのか。本当にこういう人物を任命したことは適材適所だったのかと聞いているんです。改めてお答えください。

○安倍内閣総理大臣 まず、適材であったかどうかということについては、先ほど答弁をさせていただいたように、河井大臣は、法務副大臣を務めておられた、いわば法務行政に通じている、また、議連などを通じて法務行政に長らくかかわり、さまざまな貢献もしてこられた方でございますので、法務大臣にふさわしい、こう考えたわけでございます。
 しかし、先ほど申し上げましたように、政治は結果責任でございまして、辞任という結果に至ったことにつきましては、御批判は率直に受けとめなければならない、このように思います。
 と同時に、国会議員として、政治資金、あるいは政治資金規正法、あるいは公選法にかかわる指摘がなされたときには、当然、これは内閣にある者であろうとなかろうと、あるいは与党、野党にかかわらず、しっかりと説明責任を果たしていかなければならない。また、御本人もその説明を果たしていく旨述べておられる、このように承知をしております。

○塩川委員 いや、適材適所だという問題について答えられないということ自身に総理の任命責任が問われているんじゃないでしょうか。
 説明責任を果たすということを求めている、本人が説明責任を果たすだろうと総理はおっしゃっておられるわけですが、責任を持って任命した大臣が辞任する理由について、任命した総理からきちんと説明せよと求めるのが、ある意味、最低限の総理の任命責任じゃないですか。その点、いかがですか。

○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、菅原大臣も河井大臣も、辞任に際しての会見で、今後とも説明責任を果たす旨述べていると承知をしておりますが、今後とも、みずから説明責任を果たしていかれるものと思います。

○塩川委員 適材適所だったということをそのまま否定もしない。そういった大臣が辞任をしたことについて、国会で説明するとずっと言ってきている当事者ですよね。そういう人物に対して、国会で事実関係をただす前にやめてしまったわけですから、国会で事実関係を明らかにさせるということが適材適所と言ってきた総理の最低限の任命責任ではないのか、この点についてはっきりお答えください。

○安倍内閣総理大臣 いずれにせよ、お二人とも説明責任を果たしていく、このように述べておられるわけでございます。その中でしっかりと責任を果たしていくものと考えております。

○塩川委員 いずれにせよというのは答弁をごまかすときの言い回しでしかありません。事実解明に背を向けるのでは国民の不信は拡大するだけであります。
 これをしっかりと解明する上でも、菅原、河井前大臣の参考人、ぜひ出席いただきたい、このことを求めたいと思います。委員長、いかがですか。

○棚橋委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

○塩川委員 続けて、萩生田大臣の身の丈発言の問題であります。ここでも安倍総理の任命責任が問われております。
 大学入学共通テストでの英語の民間試験導入は、英検やTOEFL、GTECなど六団体七種類の民間事業者の試験のうち、いずれかを二回まで受け、その成績が受験する大学に提供される仕組みであります。目的も難易度も異なる試験の結果を公平に比較できるのかという問題や、受験会場が限定されるという地域格差、受験料や交通費負担が困難という経済格差、障害者の方への配慮がどうなっているのか、こういった点も大問題となっていたわけであります。それに対して萩生田大臣は、自分の身の丈に合わせて頑張ってと発言をしました。とんでもないことです。
 安倍総理にお尋ねをいたします。
 大学入試の結果は人生に大きな影響を及ぼす。だからこそ、入試は公平公正でなければならない。身の丈発言というのは、教育の機会均等という教育行政の最も重要な原則に反するものではありませんか。総理にその認識はありますか。

○安倍内閣総理大臣 御指摘の発言については、既に萩生田大臣みずからが撤回の上、謝罪したものと承知をしております。
 教育の機会均等を図ることは極めて重要であります。安倍政権としては、幼児教育、保育の無償化や、真に支援が必要な子供たちの高等教育の無償化等に取り組んできたところでありまして、引き続き、子供たちの誰もが、家庭の経済状況にかかわらず、みずからの夢に向かって頑張ることができる社会を目指していきたいと考えております。

○塩川委員 教育の機会均等は極めて重要だと述べられましたけれども、実際にやっていることはまるで逆じゃないかということであります。
 高校生たちは、予備校に行かなくても入試は受けられるけれども、お金のかかる民間試験に行かなければ入試は受けられない、その制度の根幹にかかわる問題を大臣はわかっていないと訴えておりました。教育の機会均等に反する制度の本質をついた声だと受けとめました。教育の機会均等を理解しない人物がどうして文科大臣に適任だと言えるのか、このことが問われているわけであります。
 今回の問題は、延期したから済む話ではありません。このような英語民間試験は一体誰が決めたのか、政府の責任が問われています。
 パネル、配付資料をごらんいただきたいんですけれども、下に書いてありますように、文部科学白書二〇一八から引用した教育再生実行会議の提言と取組を見ていただきたいと思います。
 内閣官房に置かれた教育再生実行会議は、二十一世紀の日本にふさわしい教育体制の構築に向けて教育改革を推進するため、二〇一三年十月に大学入学者選抜改革の提言を出しました。その具体化として、文科省は、ここにあるように、記述式問題の導入や民間の検定試験を活用した英語四技能評価を盛り込んだ大学入学共通テスト実施方針を策定をしたわけであります。
 総理にお尋ねいたしますが、このような英語民間試験実施に道を開いたのは教育再生実行会議であります。この会議は安倍総理が開催している会議ですね。

○安倍内閣総理大臣 私が議長を務めております。

○塩川委員 総理が開催をしている会議体であります。政権復帰直後に最初につくった組織の一つがこの教育再生実行会議であったわけであります。
 ですから、この流れを見ても、英語民間試験の導入、大学入試制度の転換を行ったのが安倍総理であります。教育の機会均等に反する大学入試制度の導入を決めた責任を総理はどう考えておられるのか、何が問題だったのか、お答えください。

○安倍内閣総理大臣 導入の問題点等々については、今回判断をいたしました萩生田文部大臣から答弁させます。

○萩生田国務大臣 各大学の入学者選抜における英語四技能評価の活用を支援することを目的とする大学入試英語成績提供システムについては、文科省が民間試験団体の取組を十分に指導監督することができるような制度設計となっておらず、かつ連携、調整が不十分であったことから、各大学の活用内容、民間試験の詳細事項等の情報提供不足など、準備のおくれにつながることになってしまいました。
 十月末に至っても、経済的な状況や居住している地域にかかわらず、ひとしく安心して試験を受けられるような配慮が不十分な上に、文科大臣として自信と責任を持って受験生の皆さんにお勧めできるシステムになっているとは言えないと判断し、このたび、来年度からの導入見送りを決断したところです。
 大学入試において英語四技能について適切に評価することの重要性に変わりがないことから、どのように評価していくのか、できるだけ公平でアクセスしやすい仕組みはどのようなものなのかといった点について、検討会議を設け、今後一年を目途に検討し、結論を出したいと考えています。

○塩川委員 総理にお尋ねしているんです。こういった会議体をつくって、まさに大学入試改革、英語の民間試験導入に道を開いたというのが総理が開催をする会議だったわけですから、総理の認識をお聞きしている。
 今大臣の方からありましたように、こういった試験実施団体の民間事業者との連携、調整が不十分だったという話があるわけですけれども、それというのはもともと制度に組み込まれた一番の問題から発生しているんじゃないのかということであります。
 問題は、センター試験を廃止をして、新たに導入する大学入学共通テストについて、英語の試験などを民間事業者任せにしたことであります。こういった大学入試制度、大学入学共通テスト、これは教育のインフラであり、公平公正であるはずの大学入学テストにおいて経済格差や地域格差、不公平が生じるというのは、当初から高校、大学関係者が指摘をしていたことであります。
 総理にお尋ねしますが、こういう大学入学共通テストを、採算を配慮しなければいけない民間事業者、営利を追求する民間企業に丸投げをしたのでは、教育の機会均等が確保できないんじゃありませんか。

○安倍内閣総理大臣 既にこうした制度設計上の課題等々について萩生田大臣から答弁がなされたとおりでございまして、そういう観点から今回の延期の判断をされたということではないか、こう思っております。
 グローバル人材を育成する上で英語は重要なツールであることから、萩生田大臣のもとで、大学入試のあり方について、これまで指摘されてきた課題を克服できるようしっかりと検討させたい、このように考えております。

○塩川委員 いや、お答えになっていないわけです。
 採算を重視せざるを得ない民間事業者、営利を追求する民間企業にこういった入学テストを丸投げをするということで、教育の機会均等が確保できないんじゃないのかということを聞いているんです。改めて。

○安倍内閣総理大臣 民間の活用のあり方につきましては萩生田大臣から答弁をさせたい、このように思います。
 その上で、いずれにいたしましても、これは、大学入試では受験生がひとしく安心して受験できる環境を整えることが重要であり、文部科学省においてしっかりと検討させたい、このように考えております。

○塩川委員 もういずれにせよという答弁はやめてほしい。
 大学の入試改革というのが、今民間事業者にとってビジネスチャンスとなっている、そのことが問われているわけであります。
 このパネルの中に記述式問題の導入ということを書いておりますけれども、大学入学共通テストに導入される国語、数学の記述式問題の採点は、誰が幾らで受託をしているんでしょうか。

○伯井政府参考人 お答えいたします。
 大学入学共通テストの採点事業者につきましては、大学入試センターにおきまして、本年八月三十日、一般競争入札、これは総合評価落札方式でございますが、の開札が行われ、株式会社学力評価研究機構を落札者として決定し、九月三十日には大学入試センターとの間で業務委託契約を契約金額約六十二億、これは今年度から五年間の金額でございますが、で締結され、採点事業者として正式に決定されたところでございます。

○塩川委員 学力評価研究機構というのはベネッセのグループ企業ということでよろしいですか。

○伯井政府参考人 ベネッセが出資している会社でございます。

○塩川委員 学力評価研究機構はベネッセの子会社であります。
 ベネッセは七種類の英語民間試験の一つであるGTECを運営をしております。既に二〇一七年度、一八年度のプレテストの採点もベネッセが受託をしているところです。
 パネルの二枚目をごらんいただきたいんですが、ベネッセの中期経営計画であります。
 ベネッセは、赤い線を引いたところですけれども、教育・入試改革を最大の事業機会と捉え、各事業で成長戦略を推進、競争力のある英語四技能検定、GTECを軸に、総合力を生かした取組を展開し、上にありますけれども、国内教育というところで、教育・入試改革を機会点としたさらなる成長ということで、二〇二〇年度目標、売上高年平均成長率七%ということであります。
 教育・入試改革がベネッセの最大の事業機会、ビジネスチャンスとなっている。このことを総理は御存じですか。

○安倍内閣総理大臣 私は承知をしておりません。

○塩川委員 ベネッセはGTECを運営すると同時に、GTEC関連の参考書や問題集などを販売しています。
 ベネッセの副社長は、大学入学共通テストの民間英語検定の一つにGTECが採用されたことは、下に線を引いたところですけれども、非常に大きな転機と言えますと述べています。
 テストを出題する事業者が、その試験の対策本で利益を上げることができる。公的な大学入試制度を利用して営利を追求するやり方で、どうして公平公正性が確保できるんでしょうか。

○萩生田国務大臣 英語資格検定試験、GTECの実施団体である株式会社ベネッセコーポレーションが試験対策問題集を発行していることは承知をしていますが、文部科学省としては、同社における問題漏えいを防止するための取組として、試験問題を作成する組織と問題集を作成する組織は分離されており、試験問題は担当者のみが入室することができる専用執務室で作成されている、本番の試験で使用される問題が他の用途で使われることのないよう厳密な管理が行われていることなどを確認しているところです。
 このような取組により、試験問題を厳密に管理すべき試験団体が、試験問題を事前に問題集に掲載することで問題集の売上げ向上を図るような行為を防止しようとしているものと承知しています。

○塩川委員 一つのホールディングのもとにあるんですよ。営利企業のもとで活動するわけですから。そういった分離というのはどうやって担保されているのかということについては何の説明もないじゃないですか。
 分離するということ自身も民間企業任せで、どうして営利追求を遮断することができるのか、公平公正性が確保されると言えるのか、このことが問われているわけであります。
 学校教育や大学入試制度に関する事業を受託して、関連事業で収益を上げるというビジネスモデルになっています。ですから、試験情報の漏えいと紙一重ではないかという批判も上がるというのも当然のことであるわけで、ベネッセは二〇一四年に二千万、三千万の個人情報漏えいのあった企業であります。私企業が学校教育や大学入試制度を担うことへの不安があります。個人情報保護の観点からも、大学入学共通テストを民間任せにしてよいのかが問われております。
 そこで、パネルの三枚目ですけれども、ベネッセ関連法人の進学基準研究機構は、ベネッセとともに英語民間試験に指定されているGTECCBTを運営しております。GTECの研究協力などを行っている団体であります。
 そのメンバーはといいますと、赤い字で書いてありますけれども、理事長には文部事務次官、理事には内閣官房参与、財務事務次官を経験した方、またベネッセの副社長もいらっしゃる。さらには、総理のもとに開催されている教育再生実行会議の有識者もいるし、中央教育審議会の会長、高校、大学の接続システム改革会議の座長を務めた方も評議員を務めておられるということです。
 こういった方々がつい最近までこの任にあったということであるわけですが、これは率直に言って、文科省とこの企業の癒着が問われるような問題なんじゃないのか。総理はそうお考えになりませんか。

○安倍内閣総理大臣 私はそのベネッセの、いわば、今委員の名前を挙げられたわけでございますが、詳細について全く存じ上げておりませんので、答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。

○塩川委員 萩生田文科大臣はどうですか。

○萩生田国務大臣 それぞれ見識のある方たちが選ばれているんだと思います。一般の財団法人として機構を構成している以上、公平公正な運営をしていただくことが極めて大事だと思っておりますので、お一人お一人の経歴について私がコメントすることは控えたいと思います。

○塩川委員 いや、問われているのは、大学入学共通テストと言われる、まさに教育のインフラ、公平公正性が問われるシステムのあり方の問題なんですよ。そこに営利企業の、営利を追求するようなことが持ち込まれれば、ゆがめられることになるんじゃないのかというのが皆さんの怒りにもあるわけなんですよ。
 ですから、こういった、教育のインフラであり、公平公正が何よりも求められる大学入学テストを民間事業者、営利企業に委ねるというのは間違っているんじゃないですか。

○萩生田国務大臣 そのこと自体が間違っているかどうかも含めてしっかり検証して、一年間かけて、新しい制度をつくり直していきたいと思っております。

○塩川委員 その姿勢が根本から問われている大問題だということを指摘をしたい。
 グローバル人材の育成を求める財界の要求から出発をし、民間企業の活用を促してきたのが安倍政権であります。
 教育の機会均等を壊し、学校教育、大学入試制度を食い物にする民営化、私企業化というのはやめるべきだということを重ねて申し上げておきます。
 そこでお尋ねしたいのは、政府は英語民間試験導入をやめたわけではありません。二〇二四年度に実施を延期をしただけであります。
 この二〇二四年度というのはどういう年かというと、大学入学共通テストがみずから行う英語試験の実施をもう取りやめてしまうという年なんです。二〇二〇年度以降は、この大学入学共通テストが行う英語試験と、一方で四技能を担うという英語の民間検定資格試験、両建てであるわけですけれども、四年後には、この大学入学共通テストが行うものをやめてしまうわけですよね。
 今回の措置というのは、こういう新共通テストの英語試験を民間試験だけにするタイミングに合わせているというだけのことじゃないですか。

○萩生田国務大臣 この延期をする前のルールの中では、確かに二〇二〇年という年月がありましたけれども、これはもう延期をして、令和六年からの実施を目指して検討をするわけですから、当然、大学入試センター試験もそれに合わせて制度を変えていっていただかなくてはならないと思っています。
 民間のいい意味での活用は決して否定しませんけれども、民間ありきでこれを続けていこうということは私は申し上げておりません。少なくとも、きょうまで積み上げてきた中でのヒアリングはさせていただきたいと思いますけれども、そこは、外から見て公平公正ないい制度になれるようにしっかり制度設計をしていきたいと思いますので、また御意見をいただければと思います。

○塩川委員 今後のスケジュール感を含めて見直すというのであれば、二〇二四年度というのは理科や社会にも記述式を導入する年度でもあるんですよ。国語、数学だけじゃないんです。理科や社会にも記述式を導入する。
 英語民間試験の導入を少し後ろにずらしただけで、大学入試に民間事業者、営利企業の参入を進める方針そのものに変更がないということであって、高校生たちは、英語民間試験は新共通テストの一部なんです、国語、数学の記述式の採点の不透明性もぜひ是正してほしい、学生アルバイトの採点でどうして試験の公平性が確保できるのかと声を上げています。
 英語民間試験を導入し、国語と数学に記述式問題を導入する大学入学共通テストそのものを撤回すべきだ、英語民間試験制度だけでなく新共通テストそのものを撤回する、萩生田大臣には大臣の資格がない、直ちに辞任することこそ一番の仕事で、総理は萩生田大臣を罷免すべきだと申し上げて、質問を終わります。