【「しんぶん赤旗」掲載】臨時国会/結束と追及(2)/「大学入試改革」/政権の「2本柱」破綻

「しんぶん赤旗」12月12日付・1面より

 臨時国会で大争点となった「大学入試改革」。高校生、受験生、教員などと一体になった野党共闘が重要な成果を挙げました。大学入学共通テストへの英語民間試験の導入を延期に追い込み、公平性が問われた国語・数学の記述式問題の導入も延期の検討にまで追い込んだのです。安倍政権の「大学入試改革」の「2本柱」の破綻を示しました。

法案を共同提出

 野党は、英語民間試験の導入について、国会質問や野党合同ヒアリングで、裕福な家庭の受験生が有利になるという経済格差や、限られた受験会場によって生じる地域格差などの問題を追及。10月24日に、導入延期法案を衆議院に共同提出しました。

 萩生田光一文部科学相がBS番組で「自分の身の丈に合わせて勝負してほしい」(10月24日)と発言し、国民的な批判が起こる中、野党は緊急院内集会「英語民間試験の延期を求める会」(同31日)を開きました。同集会で日本共産党の畑野君枝衆院議員は「『身の丈のほど』を受験生に求めるような格差をはらんだ制度だ」と導入断念を求めました。参加した男子高校生は、友人とネット上で始めた署名がわずか6日間で3万7千人分集まったと報告。高校生は「不当な基準の下で、大事な人生の節目を決められる。それはなかったことにできない」と訴え、制度の見直しを求めました。

 11月1日、政府は英語民間試験の導入の延期を決定しました。同日に野党は「緊急全議員集会」を開き、「全国の高校生、受験生をはじめとする国民のたたかいと、野党の結束した共闘の大きな成果だ」(日本共産党の志位和夫委員長)、「声をあげれば政治は動くという民主主義本来の姿を取り戻すことができた」(立憲民主党の枝野幸男代表)と共闘の成果を強調。同日、国会を訪問した男子高校生は「声をあげたことが初めて実る経験をした」「改悪を止める第一歩を踏み出せた」と喜びを語りました。

きっぱり中止を

 日本共産党の塩川鉄也議員は11月6日の衆院予算委員会で、大学入試制度の転換を行ったのは安倍晋三首相が議長を務める「教育再生実行会議」だと指摘。「公平・公正が何よりも求められる大学入学テストを、営利を追求する民間事業者に委ねるのは間違っている」と迫りました。

 「入試改革を考える会」代表の大内裕和中京大学教授は「(英語民間試験と記述式問題の)2本柱で問題になるのは、入試改革だけでなく教育改革そのものに大きな問題があるということ」とし、「一刻も早く結論を出してほしい。もっと教育現場を大事にしてほしい」(6日の記者会見)と述べました。野党は11月14日、記述式中止法案を提出しています。英語民間試験も記述式試験もきっぱり中止すべきです。