【予算委員会】カジノ利権追及/規制機関が推進機関に/管理委事務局に事業者

 秋元司被告(自民党離党)の汚職発覚後もカジノ推進に執着する安倍晋三首相を追及。カジノをめぐる利権と癒着の構造にメスを入れた。

 カジノ規制の中核を担う行政組織として新設された「カジノ管理委員会」の事務局が、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)推進事業者から職員を受け入れており、カジノ事業者の都合でルールが作られるのではないか――と追及しました。

 カジノ管理委員会の並木稔事務局次長は、あずさ、PwCあらた有限責任監査法人在籍者がそのまま管理委員会事務局に勤務していることを認めました。

 両監査法人がIRに関する「知見や実績」を売りに、地方自治体によるIR誘致支援業務を行っている。

 武田良太カジノ管理委員会担当相は「日本では誰も経験のないカジノ事業を管理・監督するためにはカジノに関する知見が必要だ」と弁明しました。

 やったことがないならやらなければいい。

 あずさは長崎県・佐世保市のカジノの実施方針検討作業を受注。PwCあらたは、大阪府・市IR事業者選定委員会のメンバーに入っており、さらにPwCグループは大阪府・市のカジノ誘致のアドバイザリー業務を受託しています。これでどうして特定事業者、誘致自治体への肩入れが起きないといえるのか。

 武田担当相は「監査法人の仕事をつまびらかに調べることは無理だ」と答えました。

 規制するカジノ管理委員会が推進機関になっている。野党のカジノ廃止法案の審議、可決を求める。

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論戦ハイライト/衆院予算委/塩川議員の質問/カジノ管理委は“推進委”

「しんぶん赤旗」2月1日付・3面より

 31日の衆院予算委員会で、カジノ事業者の規制・監督などを行うカジノ管理委員会の事務局に、カジノ誘致のコンサルタントを担う大手監査法人の職員が出向している問題を追及した日本共産党の塩川鉄也議員。コンサルの実態を「認識していない」と無責任な答弁に終始する政府に対し、カジノ管理委は「カジノ推進委員会」だと批判し、カジノ廃止を求めました。

規制・監督する組織に誘致コンサルから出向

 カジノ管理委員会は、安倍晋三首相がうたう「世界最高水準の規制」を実践する中核的組織と位置づけられ、1月7日に発足しました。

 塩川氏は、管理委事務局には、カジノ誘致のコンサルタントをしている大手監査法人の公認会計士3人が非常勤国家公務員として出向し、その給与は年収約281万円だと指摘。政府統計によれば、大手法人の公認会計士の平均年収は1200万円であり、出向元の法人から給与の補てんを受けているのではないかとただしました。

 塩川 出向者は監査法人に在籍したまま管理委事務局で勤務しているのではないか。

 並木稔管理委事務局次長 その通りだ。

 塩川 国から約281万円、監査法人から1000万円近い給与をもらっているのではないか。そうすると、どちらに顔を向けた仕事をするのか。出向元で働くことも妨げないのではないか。公平公正が問われる。

 並木 出向者の勤務時間は1日5時間45分だ。出向元での勤務は困難ではないか。

 塩川 「困難」と言うだけで否定はできない。出向元の意を受けて仕事をしている疑念が生じる。

業者の都合で制度設計/公平公正ゆがめられる

 塩川氏は、「有限責任あずさ監査法人」は、「IR(カジノを中核とする統合型リゾート)誘致に向けた地方自治体の検討を支援する」とカジノ関連業務をPRし、長崎県佐世保市のカジノ誘致に向けた業務を受託していると指摘。「PwCあらた有限責任監査法人」のグループも海外での実績をアピールして「IR市場の創造を支援」などとうたっているとして、政府をただしました。

 塩川 両法人がカジノ事業者や誘致自治体へのコンサル業務を行っていることを知っているか。

 武田良太カジノ管理委員会担当相 承知している。

 塩川 特定の自治体に肩入れするのではないかと疑念が生じる。

 武田 わが国で今まで誰も経験したことのないカジノ事業を管理監督しなければならない。カジノの全体像と細部に至る知見がないと管理できない。

 塩川 カジノ専門の知見というが、(監査法人は)カジノを推進する立場だ。

 塩川氏は、「PwCあらた」は大阪府・市のカジノ事業者選定委員会の一員だと強調し、さらに迫りました。

 塩川 この事実を承知しているか。

 並木 地方公共団体の話であり、認識していない。

 塩川 管理委事務局に特定の事業者・自治体に肩入れする立場の法人が入ることなど認められるのか。公平公正がゆがめられる。

 武田 監査法人が他でどういう仕事をしているか、つまびらかに調べるのは無理だ。

 塩川 ウェブサイトを見ればすぐ分かる。どういう人物かきちんと把握しないで働かせているのか。管理委が特定の事業者・自治体に有利な対応をしないと言えるのか。

 武田 管理委に事業者を選ぶ権利はない。(自治体が)正しく選んでいるかを監督する立場だ。

 塩川氏は、カジノ設置は自治体と事業者が一体で申請する仕組みだとして「そういうところに特別な取り扱いがされる疑念がある。制度設計そのものがカジノ事業者の都合でつくられているのではないか」と批判。「カジノは刑法の禁じる賭博だ。賭博の負けという人の不幸を『成長戦略』とするのはあまりに情けない。負の影響を押し切ってまで推進する必要はない」と強調し、野党が共同提出したカジノ廃止法案の審議・成立を強く求めました。


カジノ推進/土台ぐらり/衆参予算委/塩川・大門議員が追及

「しんぶん赤旗」2月1日付・15面より

 カジノ汚職事件を受けて衆参両院の予算委員会が31日開いた集中審議。日本共産党の塩川鉄也衆院議員、大門実紀史参院議員の追及は、あくまでカジノ解禁を推進するという安倍晋三政権の土台を掘り崩すものとなりました。(竹腰将弘)

 塩川議員は、カジノを統制する行政組織として新設されたカジノ管理委員会の事務局職員に、カジノ誘致自治体やカジノ企業と関係がある監査法人から職員が採用されており、公正・中立の看板が成り立たないことを明らかにしました。

 答弁にあたった武田良太カジノ管理委員会担当相は「わが国に存在しなかったカジノ事業、いままで誰も経験したことのないカジノ事業を管理監督しなければならない。カジノの全体像、細部にまで知見がないと管理できない」とのべました。

 日本にこれまでなかったカジノだから、カジノ推進側の事業者を管理委員会に引き込むしかない―あまりに無責任な答弁です。

 塩川氏が「やったことのないものならやらなければいい」ときりかえすと、委員会室から「そうだ」という声があがりました。

 大門氏は、国会でカジノ解禁を先導したカジノ議連(国際観光産業振興議員連盟)の事務局長などを務めた萩生田光一・文部科学相に矛先を向けました。

 大門氏が昨年8月の大阪市内のカジノ推進派集会での萩生田氏の講演内容を紹介すると、萩生田氏の表情はみるみるこわばり始めました。

 カジノの営業期間が初回10年、その後5年ごとに更新となっていることについて「10年たったときに、知事や市長や議会の構成がかわって『やっぱりあんたたち出て行ってくれ』といっても訴訟になる」という住民合意よりもカジノ企業のもうけをあけすけに擁護した発言に委員会室にはどよめきが。

 萩生田氏は「文科相として出席しているこの場では答えられない」といったんは答弁を回避。重ねて答弁を促され「そのうえであえて発言する」ともったいつけたうえ「お好きな部分だけをとってこのメモをつくった」と難癖をつけました。しかし、その後の弁明は、結局この発言の趣旨を認めるものでした。

 「住民が嫌だと言ってもやめさせない」カジノは、いま止めなければなりません。


「議事録」

<第201通常国会 2020年1月31日 予算委員会 4号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 それでは次に、カジノ問題について質問をいたします。
 カジノを中核とするIR事業を職務とする副大臣であったあきもと司議員が収賄容疑で逮捕されました。IR、カジノ参入をもくろむ中国企業が、カジノ事業にかかわる政治家に賄賂を贈り、その見返りとしてIR、カジノの設置数をふやすよう求めていたという政策買収疑惑であります。巨大利権であるIR、カジノの問題が浮き彫りになりました。
 カジノ法のときの国会決議には、「国、都道府県等は、海外のカジノ事業者が民間事業者に選定されることを目指した働きかけに対し、収賄等の不正行為を防止し、選定の公正性・透明性を確保すること。」とあります。懸念されていることが現実になったわけであります。
 そもそも、このようなIR、カジノの導入について前向きな発言をした最初の総理大臣が安倍総理であります。
 総理にお尋ねしますが、安倍総理は、二〇一四年五月、シンガポールでIR、カジノを視察をし、IRは日本の成長戦略の目玉になると述べました。このようにカジノを持ち上げた総理大臣は安倍総理が初めてだった。その結果、今回の収賄容疑、カジノ汚職が起きた。カジノを推進した責任が問われていると思いますが、どのようにお考えか、お尋ねします。

○安倍内閣総理大臣 私は二〇一四年にシンガポールにおいてIRを視察をしましたが、それに先立つ二〇一〇年に超党派の議員連盟が発足して、IRに関する本格的な議論は既に始まっておりました。また、二〇一三年にはIR推進法が国会に提案されていたものと承知をしておりまして、私が言ったことから始まったということではないということは申し上げておきたいと思います。

○塩川委員 この二〇一四年五月を受けて、二〇一四年六月に議員立法のカジノ解禁法の審議入りなんですよ。野党の反対にもかかわらず、それを押し込んでの審議入りが行われたという経緯があるわけです。
 そもそも、その前にも、二〇一三年の国会質疑においても、カジノについては、私自身はこれはかなりメリットも十分にあるんだと思う、こういうことも述べていたわけで、カジノを推進した安倍総理の責任は極めて重大だと言わざるを得ません。
 カジノの問題は利権問題にとどまりません。刑法が禁じている賭博について、公設、公営、公益の場合に限って認めていたものを、民間企業に初めて認めたのがこのカジノ法であります。安倍総理が成長戦略と言うIRの収益の八割はカジノの上がりであります。賭博で負けるという人の不幸を成長戦略と言うのは余りにも情けない話じゃないでしょうか。
 今でさえ重大なパチンコや公営ギャンブルによるギャンブル依存症を更に深刻にするものであり、多重債務を拡大し、治安の悪化や犯罪組織の関与などの負の影響を押し切ってまで推進する必要はない、このことを申し上げておきたい。
 そこでお尋ねしますが、安倍総理、政府は、今回のカジノ汚職を受けて、事業者の選定における公正性、透明性を担保するため、接触ルールをつくる、カジノ管理委員会から接触ルールの必要性について指摘がある、このように述べております。
 そこで、このカジノ事業者の規制、監督を行うとされるカジノ管理委員会について武田大臣にお尋ねをいたします。
 世界最高水準のカジノ規制を行うというカジノ管理委員会というのはどのような役割を持つ機関なのか、簡単に御説明いただけますか。

○武田国務大臣 カジノというものを健全なものとするものであろうかと思います。

○塩川委員 カジノを健全にという話ですけれども、パネル、配付資料をごらんいただきたいと思います。
 このカジノ管理委員会については、政府は、最高水準のカジノ規制を行うことにより、クリーンなカジノ、IR事業を実現をする中核的な役割を担う機関と説明をしています。カジノ規制のルール策定、カジノ事業免許等の審査、カジノ事業者、関連機器等の監督などを行うということです。
 カジノ管理委員会は、カジノ事業者を規制、監督する立場であり、本来、カジノ事業者からの独立が求められるわけであります。
 しかし、政府のカジノ管理委員会事務局及びその前身であるカジノ管理委員会設立準備室に民間事業者が入っています。民間事業者は全体で何人入っているのか、そのうち、監査法人があると思うんですが、どこの監査法人に何人いらっしゃるのか、お答えいただけますか。

○武田国務大臣 カジノ管理委員会事務局に勤務している民間出向者の企業を述べますと、有限会社あずさ監査法人、PwCあらた有限責任監査法人、西村あさひ法律事務所、森・濱田松本法律事務所、日本政策投資銀行であると承知しております。計六名であります。

○塩川委員 あずさ監査法人はお二人の方ということでよろしいですか。

○武田国務大臣 あずさ監査法人が二名ということです。

○塩川委員 全体で六人の方が民間からの出向者と今答弁がありましたけれども、あずさ監査法人から二人、PwCあらた有限責任監査法人から一名ということです。カジノ整備法が成立をして、カジノ管理委員会設立準備室が設置をされた二〇一八年八月の直後から在籍をしている方々です。
 更にお聞きしますが、このカジノ管理委員会事務局の監査法人の出向者の方は非常勤国家公務員であります。この方々は、年収ベースで給与は幾らぐらいになるんでしょうか。

○並木政府参考人 お答え申し上げます。
 カジノ管理委員会事務局に勤務しております民間出向者の年収水準についてでございますけれども、室長級でございます政策企画調整官にあっては約三百七十六万円、課長補佐級でございます上席政策調査員にあっては約二百八十一万円となっているところでございます。

○塩川委員 監査法人の出向者の人はこの上席政策調査員ということでよろしいですね。

○並木政府参考人 お答え申し上げます。
 おっしゃるとおりでございます。

○塩川委員 そうすると、監査法人からの出向者がこのカジノ管理委員会事務局で非常勤の国家公務員と勤務をしている。その際は、非常勤の方ですから、年収ベースでいうと二百八十一万円なんですよ。公認会計士の人ですよ。週五日、一日五時間四十五分というのはありますけれども、ボーナスはないという募集要項になっているわけですよね。
 大手監査法人の公認会計士の年収の平均は幾らか。賃金構造基本統計調査によると、年収千二百万円とされております。ですから、年収千二百万円の大手監査法人からの出向者の人が、カジノ管理委員会事務局で年収二百七十万円で働いている、そういう雇用ということなんですね。

○並木政府参考人 お答え申し上げます。
 監査法人の平均賃金について、今先生御指摘の数字、私どもとして把握しているものではございませんけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、カジノ管理委員会事務局に勤務している民間出向者の年収水準は、室長級にあって約三百七十六万円、課長補佐級にあって約二百八十万円となっているところでございます。

○塩川委員 二百八十一万円ということですね。
 把握していないというんですけれども、本当に二百八十一万円で働いてもらっているのかという話なんですよ。一千万を超えるような、そういう額をもらうような公認会計士の人を、三百万にも至らないような、ワーキングプアのような水準の給与でやっている。
 疑念が湧くわけです。非常勤国家公務員の監査法人の出向者の人は、出向ですから、所属する監査法人に在籍をしたままカジノ管理委員会で勤務をしているということですよね。

○並木政府参考人 お答えいたします。
 カジノ管理委員会の民間出向者につきましては、他の行政機関と同様に、それぞれの出向元の企業に在籍したまま非常勤の一般職国家公務員としてカジノ管理委員会事務局に勤務しているものでございます。

○塩川委員 ですから、出向元の監査法人に身分を置いたまま働いているんですよ。
 そうなると、当然、給与の補填を受けているんじゃないかと。送る出向元にすれば、当然そういうふうに考える、当たり前の話だと思うんですよ。
 そうなると、年収千二百万円のうち、国からもらうのは二百八十一万円、残りの一千万円近くは出向元の監査法人からもらっている。そうなったら、どっちに顔を向けた仕事をしているのか。公平公正が問われる事態なんじゃないですか。大臣、どうですか。

○武田国務大臣 給与体系は御承知のとおりでありますけれども、非常勤職員についても、国家公務員法、国家公務員倫理法等の規定が適用されるほか、IR整備法において、事務局職員として一般の国家公務員よりも厳格な守秘義務というものが課せられておりますので、その点は心配ないと思います。

○塩川委員 ですから、給与の大半は出向元の監査法人からもらっているような時点で、否定できないわけですよ。
 その上で、実際に、兼業の非常勤国家公務員でしたら、出向元の監査法人で働くことも妨げないんじゃないですか。どうですか。

○並木政府参考人 お答え申し上げます。
 今申し上げました民間出向者の勤務時間につきましては、一日当たり五時間四十五分ということになっておりまして、基本的には、出向元で勤務することはなかなか困難ではないかというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 困難ではないかと言っているだけで、否定できないじゃないですか。否定できないんですよ。
 そうなると、実際にどういう仕事をカジノ管理委員会事務局で監査法人の出向者の方がやっているかという疑念が湧いてくるわけです。
 出向元の意を体してやっているんじゃないのかという話になった際に、このあずさとPwCの二つの監査法人は、IR、カジノ事業について、事業者や誘致自治体にアドバイスをするコンサルティング業務を行っているんじゃないですか。御存じですか。

○武田国務大臣 御指摘の監査法人につきましてですが、具体的な事業内容の詳細というものまでは政府として承知しておりませんが、これらの法人ないし関連会社がIRに関するコンサルティング業務も手がけているということは承知をいたしております。
 なお、これらはいずれも、外部の独立した立場などから企業の監査等を行っているものであって、IR事業者やカジノ事業者ではないと承知しております。

○塩川委員 カジノ事業者なんて一言も言っていないんですよ。カジノのコンサルの業務をやっているでしょうという話をしているわけです。そのことをお認めになりました。(発言する者あり)いや、IRのコンサルの業務をやっているということは言ったでしょう。だから、カジノ抜きのIRはないんですから。

○棚橋委員長 お待ちください。
 直接はやめてください。もう一度聞きますか。

○塩川委員 いやいや、要らないです。確認しています。
 それで、パネルの方の左下を見てほしいんですけれども、カジノ管理委員会に二名が出向している有限責任あずさ監査法人は、統合型リゾート、IR誘致支援を業務の一つにしています。あずさ監査法人がメンバーとなっているKPMGジャパングループのウエブサイトを見ると、「統合型リゾート(IR)支援 あずさ監査法人は豊富な知見と実績をベースに、IR誘致に向けた地方自治体の検討を支援いたします。」とカジノ関連業務をPRをしています。
 このあずさ監査法人は、長崎県、佐世保市のIR、カジノの実施方針検討作成業務を受託をしているんですけれども、特定の自治体、事業者に肩入れをしているんじゃないのか、こういう疑念が生ずるんですが、これにまともに答えられますか。

○武田国務大臣 先生御承知と思いますけれども、カジノ管理委員会というのは、我が国に存在しなかったカジノ事業、今まで誰も経験したことのないカジノ事業を管理監督しなきゃならないわけであります。カジノの全体像と、あと細部に至るまで、どういったものかという知見がないと管理しようにも管理できないんですね。
 そのためには、やはり、公認会計士等の資格を有する者を含むなど、会計監査やコンプライアンス等の厳正なカジノ規制の立案を行う上で必要な能力、経験というものが我々は求められておる、その上で採用しておるということです。

○塩川委員 大体、そういうやったことないものだったら、もうやらなければいいんですよ。
 IR、カジノの専門の知見というんですけれども、コンサル業務をやっているということは、IR、カジノを推進する立場でのコンサル業務じゃないですか。
 カジノコンサルティング業務を行っているのはあずさ監査法人だけではありません。パネルの右下にありますが、カジノ管理委員会事務局に出向しているPwCあらた有限責任監査法人はPwCジャパングループの一員であります。
 PwCジャパングループのウエブサイトには、「統合型リゾート(IR)事業参入支援 PwCはラスベガスやシンガポールなどの海外IR事業者への業務提供経験を活用し、IR市場の創造を支援します。」と、地方自治体への支援や民間企業への支援のメニューを並べています。
 パネルの二枚目を見ていただきたいんですが、カジノ管理委員会とコンサルタント会社、自治体の関係ですけれども、下の方を見ていただくと、誘致自治体の図のところに、大阪府と大阪市はIR、カジノを設置しようとしておりますが、大阪府と大阪市がIR、カジノ事業者審査のために設置をした大阪府市IR事業者選定委員会のメンバーにPwCあらた監査法人が入っているということは承知していますか。

○並木政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど大臣からも御答弁申し上げたとおりでございますけれども、御指摘の監査法人について、具体的な事業内容の詳細は政府として承知しておりませんけれども、これらの法人ないし関連会社がIRに関するコンサルティング業務を手がけていることは承知しているところでございます。

○塩川委員 具体的に聞いていますけれども、PwCあらたの監査法人は大阪府市の選定委員会のメンバーに入っている、そこはそういうことでいいわけですね。

○並木政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の点は地方公共団体の話でございまして、我々として認識しているところではございません。

○塩川委員 そんなことも知らずにやっているのかと。
 カジノ管理委員会の事務局にいるこのPwCあらた監査法人のスタッフが、同様に、大阪府市のIRの事業者選定委員会のメンバー、同じ法人のメンバーが入っているんですよ。カジノを監督するこういったカジノ管理委員会の事務局に、特定の事業者、特定の自治体に肩入れするような立場の法人が入っている。こんなことがどうして認められるんですか。公平公正、おかしいんじゃないですか。行政をゆがめるものじゃないですか。答えてください。

○武田国務大臣 これは大手の監査法人だと思うんですね。その監査法人がほかでどういう仕事を、つまびらかに調べろといっても、それは無理なことだと思うんですよ、私は。
 そこまでは承知していない。ただし、そうしたIRに関するノウハウを持っているということは承知しておるということです。

○塩川委員 いや、だって、こんなのはウエブサイトを見ればすぐわかる話なんですよ。
 大体、どういう人物がカジノ管理委員会の事務局で働いているのか、こういったことについてきちっと把握しないで働かせているんですか。そっちの方が問題じゃないですか。
 大きいグループだというけれども、大体、PwCジャパングループの代表というのはPwCあらた監査法人の代表執行役なんです。
 ウエブサイトでこのPwCグループのIR事業戦略室のメンバーを見ると、このPwCあらた監査法人のメンバーが室長なんですよ。監査法人の人がIR事業戦略室の責任者なんです。スタッフにはPwCのコンサルのメンバーも入っている。グループで一体でカジノを推進しているということじゃないですか。
 PwCは、ゲンティンとかギャラクシーとか、カジノ企業の会計検査を受任している法人だと報道されています。PwCジャパングループは、二〇一八年に大阪府市の大阪IRの事業化に関するアドバイザリー業務を三億七千七百二十万円で受託をしている、ここに書いているとおりであります。特定のカジノ事業者、誘致自治体とかかわりが深い事業者だ。
 こういった実態で、カジノ管理委員会が特定のカジノ事業者、誘致自治体に有利な対応が行われないと言えるのか、この点について、安倍総理、いかがですか。

○武田国務大臣 先ほど、厳格な守秘義務を縛っておりますし、先生、そもそも、我々管理委員会は事業者を選ぶ権利なんてないんです。正しく選んでいるか、正しいものかどうかというのを監督するのが立場なんです。それを御理解ください。

○棚橋委員長 塩川鉄也君、恐縮ですが、時間ですので、簡潔にお願いいたします。

○塩川委員 だから、誘致自治体と事業者がセットで申し入れてくるということについて、そういうところに特別な取扱いが行われているんじゃないのか、このことが問われているわけですし、そもそも、IR整備推進室にはEYという監査法人のスタッフもいるんですよ。それも同じようにカジノのコンサル業務をやっているんですよ。
 ですから、そもそも、制度設計そのものに、カジノ事業者の都合でつくられているんじゃないのかと。これまでにも、公営ギャンブルでは認めていない顧客への貸付業務をカジノでは解禁をしたり……

○棚橋委員長 塩川委員、恐縮ですが、申合せの時間が来ております。

○塩川委員 一万五千平米というカジノ面積の上限規制が外されるなど、カジノ企業の要求に沿った仕組みがつくられてきた。

○棚橋委員長 塩川委員、恐縮ですが、申合せの時間が来ております。

○塩川委員 こういった点でも、きっぱりと、カジノは要らない、野党のカジノ法廃止法案の審議、可決を求めて、質問を終わります。