【予算委員会】中央公聴会/公文書・カジノ・雇用で発言

 中央公聴会で公述人らは、安倍政権下で相次ぐ公文書管理問題やカジノを中核とするIR(統合型リゾート)誘致問題、雇用・働き方などについて発言し、各党の議員が質疑に立ち、日本共産党からは私と宮本徹衆院議員が質問しました。

 NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子氏は、「桜を見る会」をめぐる公文書管理の問題について陳述しました。

 多重債務問題にとりくむ弁護士の新里宏二氏は、安倍内閣が「経済成長戦略の目玉」として推進するIRの問題について語りました。

 私は、カジノ規制の中核を担う行政組織として新設された「カジノ管理委員会」の事務局が、IR推進事業者から職員を受け入れている問題について質問。

 新里氏は「推進の人が規制側に入る自己矛盾になっている。中立性の担保に大きな問題がある」と指摘しました。

 また、共産党の宮本徹衆院議員が「桜を見る会」の招待者名簿の提出要求をした1時間後に名簿を廃棄した政府の対応について質問。

 三木氏は、「国会で必要な記録が簡単に廃棄をされ、行政側の決めた規則で廃棄しても合法だという状況はおかしい」と批判しました。

 宮本議員は、飲食品配達代行サービス「ウーバーイーツ」など雇用によらない働き方が広がるなか、「どのような保護が具体的に必要か」と質問。

 連合の逢見直人会長代行は、形式的に自営業でも実際は雇用と分類されるべき働き方の場合があり、裁判などを通じてただしていくべきだと主張。新しい働き方に対応した労働法制の見直し、経済法や協同組合法でのカバー(保護)が必要だと語りました。

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衆院予算委中央公聴会/公述人意見陳述/揺らぐ政府の信頼性/情報公開クリアリングハウス理事長・三木由希子さん

「しんぶん赤旗」2月22日付・4面より

 予算の前提として考えるべきことに、政府の信頼性の問題があります。

 昨今、公文書管理をめぐるさまざまな問題が問われています。今は「桜を見る会」が問題になっていますが、少し前は「働き方改革」とか入管法改正をめぐり、そもそも政策の前提となっているデータがおかしいことが国会で明らかになりました。毎月勤労統計の不正、「森友学園」問題での公文書改ざん・廃棄・隠ぺい、自衛隊の日報隠ぺいもありました。こうしたことは公文書管理の問題としても議論されていますが、問われているのは基本的な部分での政府の信頼性の問題です。政府の活動を記録して、根拠を持つことは、権限や立場に対する責任を明確にして仕事をすることですが、それ自体揺らいでいます。行政文書の扱いや内容に問題が生じれば、多くの人は責任回避とか根拠の創作と理解せざるをえません。

 「桜を見る会」の議論では、招待者名簿があるのかどうかが問題になっていますが、首相主催の行事に「誰が参加したのか」などの基本的なことが体系的に記録されていないこと自体が実は大変な問題と言えます。アメリカでは、大統領の日程はかなり詳細に残され、出席者リストが一緒についています。

 首相や官房長官、これを補佐する人、各行政機関の幹部などの高いレベルで政策判断する人たちの活動の記録は残されるべきです。そうでなければ、結果的に責任の所在があいまいになります。今だけではなく、将来に向けても、政策判断する人が責任を負う姿勢を明確にすることが大変重要だと思います。


衆院予算委中央公聴会/公述人意見陳述/カジノ解禁は再考を/弁護士・新里宏二さん

「しんぶん赤旗」2月22日付・4面より

 カジノ担当の内閣府副大臣だった秋元司衆院議員の逮捕は、カジノ解禁が誰のためのものかを考え直す重要な事件です。海外から巨大な投資をするカジノ業者には大きな利益をもたらすでしょう。では住民、誘致自治体の利益になるのか。

 カジノ利用者の7~8割は日本人といわれます。日本人の金融資産1800兆円が狙われているのではないか。地域の疲弊にもつながる。320万人といわれるギャンブル依存症が増加し、治安が乱れ、これまで抑え込んできた暴力団が跋扈(ばっこ)するのではないでしょうか。

 経済効果があるといいながら、負の影響はまったく試算されていません。米国や韓国では、負の影響が利益を相当上回ると報告されています。

 カジノ面積の上限規制緩和は、参入業者の意向があったのではと言われています。

 入場回数制限も極めて不十分です。7日で3回、28日で10回、毎年130回と認めるもので、ギャンブル依存症を拡大する基準です。特定資金貸付業務を認めることも、負けた客に借金をさせて賭博を推奨するもので、ギャンブル依存症の続発を容認しています。

 多重債務者対策として機能していた貸金業規制法の適用も排除されています。資産のある高齢者に大量に金を貸して負けさせることができることになる。

 整備計画の認定更新をしない場合、事業者に損害を補償しなければならないという、後戻りできない規定も盛り込まれています。

 すべてが規制緩和の方向で、カジノ規制は実現されていない。そこに参入事業者の金が政治家にわたり、規制がゆがめられたりすれば、ゆゆしき事態です。カジノの設置を認める特定複合観光施設区域整備法の廃止を検討していただきたい。

会の招待者名簿の提出を要求した1時間後に名簿を廃棄した政府の対応について質問しました。

 三木氏は「国会で必要な記録が簡単に廃棄をされ、行政側の決めた規則で廃棄しても合法だという状況はおかしい」と批判しました。


「議事録」

<第201通常国会 2020年2月21日 予算委員会公聴会 1号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 四人の公述人の方、貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。
 最初に、新里さんにお尋ねをいたします。
 内閣委員会の法案審議の際にも、大変お世話になりました。
 冒頭お話しされていましたように、多重債務問題を取り組んでこられた、そういう経緯の中で、このギャンブルの問題、そして、IR、カジノの問題というふうに取り組んでこられたということを改めて受けとめました。
 そこで、最初にお聞きしたいのが、やはり特定資金貸付けを法定化する、公営ギャンブルでは認められていない事業主による貸付けを可能とする、この重大性の問題です。
 賭博の胴元が金を貸すというあり方という点でも、しかも貸金業法の総量規制を適用しないということを考えたときに、この多重債務問題に取り組んできた経験から、その重大性について御意見をいただきたいと思います。

○新里公述人 ありがとうございます。
 実は、私も依頼者を叱っていたんですね。何でおまえ、また借金つくるんだいと。だけれども、病気なのですね。きちっとした治療をしなければ治らない病気だった。それに自分自身も不明を恥じるところでございましたし、やはり何人かの依頼者が首をつったりして亡くなってきた悲劇を見ているものですから、何としてでも、この借金漬けのギャンブルを国の政策の真ん中にするような政策はあるべきではないというふうに思ってきたところでございます。
 そして、それはまさしく私の経験的なところから出たことということになっていますので、まだチャンスはあるので、野党の方でも法案を出されたと聞いておりますので、まだ間に合う状況ですので、ぜひ廃止の方向を含めて御検討いただきたいというふうに思います。

○塩川委員 冒頭の陳述でもお話しいただいたんですが、自治体が業者と一緒に事業を進めるといった場合に、住民の関与、自治体の関与ということが問われてくるわけですけれども、ただ、この自治体議決の、議決を要する区域整備計画は、初回が十年、その後五年ごとの認定更新ということで、自治体とカジノ業者が結ぶ実施協定は、一方で三十年から四十年の有効期間を設ける、これは大阪の例にもそのことがはっきり示されているわけです。ですから、途中で見直しをしようとしても訴訟が提起をされる、当委員会でも萩生田自民党の幹事長代行がそういう発言をしておられるということなども取り上げられたところですけれども。
 自治体が一旦カジノを導入してしまうと、撤退を望んでも後戻りが不可能な仕組みになっているんじゃないのか。そういう点での議会の議決の形骸化、住民自治そのものをないがしろにする、こういうスキームとなっている。こういう問題点などについて、お考えがありましたらお聞かせをください。

○新里公述人 契約期間が三十年とか四十年になっていて、更新が十年で、あとは五年。それについては、議会の承諾をとるという格好で民意を反映させるんだということでは、表面上は非常にいい、前向きな制度だったと思います。
 ただし、先ほどお話ししましたように、大阪の実施要項の中でも、やめましょうと言ってしまったら賠償請求をされるということが、先ほど述べましたように条項の中に入っている。そうすると、一回行ってしまったらもう二度とその意味では撤退ができない、後戻りができないということが制度の中に入っている。これはどっちを向いている制度なんだろうかということからすると、やはり参入業者のための制度になっているのではないか、住民の自治、それがないがしろになっている、形骸化しているのではないかと非常に危惧を持っております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 いろいろな規制措置が行われているのが、実質、骨抜きされているんじゃないかという問題があります。
 そういう点でも、景品表示法の規制についての適用除外の問題、コンプ規制というのが、いろいろ、ホテルに泊まるとか旅行するのについてもその経費負担を軽減する、そういう中でIR、カジノに誘導するという仕組みというのが一つの事業形態として行われているわけですけれども、こういった形で、カジノに縁がないような人も誘い込むような、そういう事業スキームそのものの問題点というのはあると思うんですが、そういうことについて、お考えのところをお聞かせいただけませんか。

○新里公述人 まさしく、カジノに、やろうと思っていない人でも導入させるのがコンプの仕組み。そして、そのコンプの仕組みのおかげで地域にお金がおりない。いわゆる囲い込みになって、先ほど述べましたように、カニバリゼーションというのが生じていって、地域の活性化につながらない、そういう大きな問題を抱えているというふうに思っております。
 ちょっと先ほど言い忘れたのですけれども、貸付制度のところについて、何が一番問題になるのかというと、よく高齢者のたんす預金が狙われるよねと言われていますけれども、いわゆる収入の三分の一の規制というのが外れてしまうと、じゃ、資産もベースにして貸付けの基準がつくれるのではないか。そうすると、無担保の土地があるよねということになれば、資産を当て込んで貸付けができる。
 ですから、非常に大きなお金が貸付けができて、そして最終的には、高齢者の人は取り返しのつかない被害、そこに資産がある中で、取り返しのつかない被害をつくる。その意味では、非常にこの貸付制度というのは罪な制度になっているというふうに思っていて、これでいいんでしょうかねと誰もが思うのではないかというひどい制度だと思います。

○塩川委員 もう一つお聞きします。
 今言ったように、いろいろな規制措置をとって、世界最高水準のカジノ規制とかいうわけですけれども、それが実態を伴っていないんじゃないか。かえって、カジノ事業者に有利な仕組みになっていはしないのか。
 そういったときに、カジノ事業者を監督、規制するカジノ管理委員会そのものの問題点があるということで、私も当委員会でこの問題を取り上げましたけれども、実際に、これまで、カジノ管理委員会の設立準備室とIRの推進室の事務局メンバーが重なっている、併任だ。
 だから、一方で推進の人間と、一方で規制するという人間が一緒に、同じ立場で仕事をしているという点での、まさにカジノ規制がそもそも成り立っているのかということがありますし、カジノ管理委員会が発足して、その事務局構成を見ましたら、そういう中に、監査法人という形でカジノのコンサルをやっている事業者が入っていた。
 そうなりますと、やはり、カジノ事業がうまくいくようなアドバイスをするコンサルの立場であれば、カジノ事業者を優遇する仕組みになっていく。それは、結果とすれば、賭博の胴元がもうかるような仕組みにならざるを得ない。その被害を国民がこうむるということにもつながる。
 やはり、こういった管理委員会の構成そのものの問題点、そのものがカジノ事業者のための事業となっているんじゃないのかという点が問われると思うんですが、その点についてお聞かせいただけないでしょうか。

○新里公述人 カジノ管理委員については中立性の要件があるんですけれども、職員についてはそういう要件がないはずです。
 そして、今おっしゃったとおりに、推進側の人が結局規制側の方に入ってくるという本当に自己矛盾になっていて、更に言うと、そこに推進側の監査法人の方から入ってきて、まあ、収入も非常に少ないみたいで、いわゆる国から出る収入が少ないわけですから、その人は兼任になっているわけですから、大もとのところからも給料をもらっている。では、誰のために働くのかということが見えてくる。
 その意味では、非常に、この管理委員会の職員の規制、規制というんですか、やはり兼任問題であったり、それから中立性が確保されないというところに大きな問題をはらんでいて、更に言うと、管理委員会、規則すらまだいつできるかわからないというのが非常に大きな問題で、事実の方が進んでいくということになっているのではないかなと思います。

○塩川委員 ありがとうございます。
 三木公述人にお尋ねをいたします。
 三木さんのお書きになったものを拝見する中で、公文書管理法と情報公開法は車の両輪だ、行政文書による政府活動に関するアカウンタビリティーが果たされている状態を目指し、政府に対する主権者の基本的権利として、政府が何をしているかについて知る権利があることを基礎づけるものだというのは、まさにそのとおりだと思っています。それが、モリカケ問題で政権中枢の政治プロセスが記録になっていないという点では、権力が民主統制下に置かれていないあかしだということを述べておられました。
 そういう点で、ガイドラインについてなんですが、モリカケ問題を受けてガイドラインが改正されたんですが、そのもとで桜を見る会の問題も起こっています。改めて、このガイドラインをどう評価をするのかについて、お考えのところ、お聞かせいただけないでしょうか。

○三木公述人 ガイドラインの評価はやや難しいところもあるんですけれども、先ほども少し申し上げましたが、全く全てがマイナスの改正ではないとは思っているんですが、全体を見ますと負のインパクトが大きいという評価というのが私の考えであります。
 特に問題だとずっと思っておりますのは、特に加計学園の問題で、打合せの記録が内閣府側になかったということが問題になりまして、重要な政策立案とか事業の実施に影響を与えるものについては打合せの記録をつくろうということになったというところではあるんですけれども、中身の正確性を確保するというために、発言の相手方の確認も求めましょうという仕組みになったということと、あと、この仕組みが入ったことによって、例えば、国家戦略特区も複数の省庁が関与して打合せなどが行われているんですけれども、実際に情報公開請求してどのような打合せ記録を作成しているのか確認しましたところ、各省庁それぞれつくるのではなくて、一本の記録に全て今なっているということなんですね。
 各省庁それぞれ自分たちの仕事の範囲が違いますので、力点とか必要な記録は違うはずなんですけれども、記録を見ますと、決まったこととか確認したことのみが記録されていまして、実際にどのような検討とか、それぞれの省庁がどのような問題意識を持っているのかということがわからない記録に今なってしまっている。これが、結果的にガイドラインがそういうふうに誘導してしまったところがありまして、もっとそれぞれの省庁ごとに、自分たちの仕事の範囲で必要な記録が十分つくられるというような体制になるには、今のガイドラインだと極めて不十分ということなのかなと思っております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 桜を見る会に関する不適切な公文書管理の問題で、冒頭のお話のときにも、総理主催の行事が記録されていないこと自体が問題だというのは、まさに、改めてそのとおりだと受けとめたところであります。
 一年未満の公文書の扱いの問題も極めて重大だったわけで、我が党の宮本議員が資料要求したその一時間後に廃棄をするといった経緯も含めて、公文書管理法では、情報公開請求の対象文書は請求後の廃棄を禁じています。ある意味、国会議員の資料要求というのもそれに準じて扱われるものだと思うんです。そういう点での国会の行政監視機能という点で、この政府の対応について三木さんのお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

○三木公述人 国会議員からの資料要求ですとか、それから問合せがあって確認を求められていることについて、それをきっかけに廃棄をするということは、国会そのものに対する非常にマイナスな対応ということだと思います。
 情報公開請求をしますと、確かに、廃棄期限が来たとしても、決定から一年間は廃棄ができないというふうに政令で決まっております。
 ただ、若干、議員の方の資料要求と異なりますのは、請求対象範囲をある程度特定しなきゃいけないということで、枠を決めなきゃいけないということにはなるんですね。今、国会議員の方からの資料要求は必ずしもそうではないところでなさっているところもお見受けいたしますので、そこは、要求の仕方を工夫するとか、そういうところで、確実に押さえたい行政文書とかが廃棄をしにくい、あるいはされないような対応、あるいは取組をまずされる必要があるのかもしれないというふうには思っています。
 それを踏まえて、やはり国会で必要な記録が簡単に廃棄をされるとか、あるいは、行政側の決めたルールの中で廃棄しても合法であるというような状況は、これはおかしいと思いますので、制度の問題として改善をしていく必要があるのではないかと思っております。

○塩川委員 時間が参りましたので、終わります。
 ありがとうございました。