【本会議】新型コロナ対策/医療体制の確保、自粛と補償を一体で

 新型コロナウイルス感染症対策。対策を進めるためには、情報を積極的に公開し、政府判断の根拠と展望を示すべきだ。一方的に自粛と協力を求めるだけでは、国民の理解は得られない。問われているのは政府の信頼だ。国民の命と健康を守る医療体制の確保と、自粛要請と補償を一体で行うよう安倍晋三首相に求めました。

 私は、医療体制の崩壊を防ぐために、最優先の課題である医療従事者の感染・院内感染の拡大防止、感染が広がっている大都市の対策について質問。感染者の把握なしに感染防止対策はない。検査体制の抜本的拡充を要求しました。さらに、医療・介護・福祉の現場の感染予防の利用抑制に伴う減収を損失補てんすべきだ、と主張しました。

 また、コロナ危機から国民の暮らしと営業を守るため、自粛要請による収入減少を補償し、安心して休業できるようにすることこそ、実効ある感染症防止対策となる。雇用形態を問わず、賃金・収入の8割を補償し、新型コロナを理由とした解雇などを行わないように対策を講じるよう求めました。

 さらに、消費税5%への減税を。特措法に基づく緊急事態宣言は、発動要件を明確にし、経済損失に対する補償措置、人権侵害に対する救済措置を図ることが不可欠だ。

 安倍首相は「前例にとらわれない思い切った対策を総動員し、感染の拡大が抑制され、社会的不安が払しょくされた段階では一気に日本経済をV字回復させていく」などと答えました。

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 本会議で行った新型コロナウイルス感染症対策の特措法に基づく政府対策本部の設置と、東京五輪・パラリンピックの延期についての安倍晋三首相の報告に対する質問要旨は以下の通りです。

 新型コロナ感染症が広がる中で、国民は、健康と暮らしに不安を募らせています。政府が国民の理解と協力を得て対策を進めるには、現状と対策についての情報を積極的に公開し、政府判断の科学的根拠と展望を示すべきです。

 今、大事なことは、感染症対策に全力を挙げている医療現場を支え、医療体制の崩壊を防ぐことです。医療従事者を感染から守り、院内感染の拡大を防止するためのマスクや防護服などの確保はどうなっているのか。

 感染が広がっている大都市の対策が重要であり、ピーク時の患者想定数に対する病床数や医療機器の確保はどうなっているのか。

 感染者の把握なしに感染防止対策はありません。検査体制、クラスター対策を果たせるよう保健所の人員、予算とも抜本的な拡充を図るべきです。抗体検査も、速やかかつ大規模に実施すべきです。

 一般医療機関の病床を大規模に確保するためには、病床確保に伴う減収分を穴埋めする財政措置が不可欠です。

 公立・公的医療機関が再編・統合され急性期病床が大幅削減となる地域医療構想をただちに撤回すべきです。

 現状でも経営が厳しく、人材不足も深刻な介護施設や障害者施設、作業所や訪問看護事業所などの利用抑制に伴う減収への損失補てんに踏み出すべきです。

 コロナ危機から国民の暮らしと営業を守るため、自粛要請と補償を一体で行うことこそ、実効ある感染症防止対策となる。政府の施策はそうしたものなのか。外出自粛要請、休校要請、イベント自粛要請で経済的損失を被る事業者等に、損失補てんを行うべきです。

 雇用形態を問わず、賃金、収入の8割を補償すること、新型コロナを理由とした解雇、雇い止め、派遣切り、内定取り消し、採用繰り延べを行わないように対策を講じるべきです。

 中小・小規模事業者に、無利子無担保の融資を速やかに実行するとともに、固定費への直接助成を行うべきです。イベント・公演などの中止に伴う必要経費の補てんを求めます。

 今年度予算を組み直し、5G減税、カジノ予算、軍事費などは見直して、コロナ対応の財源を確保すべきです。

 今こそ消費税を、5%へ減税すべきです。

 特措法に基づく緊急事態宣言に盛り込まれた私権制限は、憲法に保障された基本的人権を制約し、経済活動にも大きな影響をもたらすものであり、慎重であるべきです。

 専門家の科学的知見を踏まえた宣言発動要件を明確にするとともに、私権制限による経済的損失に対する補償措置を行い、人権侵害に対する救済措置を図ることが不可欠です。


「議事録」

<第201通常国会 2020年4月2日 本会議 14号>

○塩川鉄也君 日本共産党を代表して、新型コロナウイルス感染症対策について、安倍総理に質問いたします。(拍手)
 感染が広がる中で、国民は、感染への不安、長引く自粛への不安など、健康と暮らしに大きな不安を募らせています。政府が国民の理解と協力を得て対策を進めるためには、コロナ感染症の現状と対策についての情報を積極的に公開し、国民にきちんと説明し、政府の判断の科学的根拠と展望を示すことです。一方的に自粛と協力を求めるだけでは国民の理解は得られません。問われているのは政府の信頼性であります。
 そこで、大きく二つただしたい。
 第一は、国民の命と健康を守る医療体制です。
 今、最も大事なことは、感染症対策に全力を挙げている医療現場をしっかりと支え、何としても医療体制の崩壊を防ぐことです。
 医療従事者を感染から守り、院内感染の拡大を防止することは、最優先の課題です。感染防護用品であるマスク、ゴーグル、ガウン、防護服、消毒液など、全く足りていません。必要数を確保するためにどのような取組を行っているのですか。
 とりわけ感染が広がっている大都市の対策が重要です。東京、大阪におけるピーク時の入院患者、重症患者を何人と想定して対策を立てているのか、それに必要な病床数は幾つであり、現在確保されているのは幾つなのか、軽症者の隔離施設はどう確保するのか、重症患者の病床確保のために人工呼吸器など必要な医療機器の迅速な確保はどうなっているのか、お答えください。
 次に、検査体制です。
 感染者の把握なしに、感染防止対策はありません。医師が必要だと判断すれば、帰国者・接触者相談センターを介さずともPCR検査を受けられる体制をつくるべきです。公衆衛生を担う保健所が検査体制、クラスター対策を果たすことのできるように、人員、予算とも抜本的な拡充を図るべきではありませんか。
 また、イギリスなどで実施している抗体検査についても、速やかに、かつ大規模に実施すべきではありませんか。答弁を求めます。
 さらに、医療機関への対策です。
 一般医療機関での病床を大規模に確保するためには、病床確保に伴う減収分を穴埋めする財政措置が不可欠であります。
 政府が進める地域医療構想によって、公立・公的医療機関が再編統合され、感染症にも対応する急性期病床が大幅に削減されようとしています。この地域医療構想は直ちに撤回をすべきです。
 加えて、介護施設、障害者施設、作業所や訪問看護事業所など、医療、介護、福祉の現場は、政府の社会保障費抑制政策のもとで、現状でも経営が厳しく、人材不足も深刻です。その上、今回の新型コロナによって、倒産、廃業に追い込まれようとしています。施設、事業所を絶対に破綻させないため、感染予防の利用抑制に伴う減収については損失補填に踏み出すべきではありませんか。
 第二に、コロナ危機から国民の暮らしと営業を守るため、自粛要請と補償を一体で行うことが重要です。
 感染拡大を抑止するための外出自粛要請、休校要請、イベント自粛要請によって経済的損失をこうむる事業者等に対して、損失補填を行うべきです。収入減少を補償し、安心して休業できるようにしてこそ、実効ある感染症防止対策となるのではありませんか。
 政府が言う中小・小規模事業者及び生活困窮者に対する新たな給付金とは、そうしたものとなるのでしょうか。
 安倍総理は、先週の会見で、経済において一番大切な使命は雇用を守ることと表明しました。雇用を守るためには、雇用形態を問わず、賃金、収入の八割を補償することが必要です。また、新型コロナを理由とした解雇、雇いどめ、派遣切り、内定取消し、採用繰延べなどを行わないように対策を講じるべきです。
 中小・小規模事業者に対しては、無利子無担保の融資を速やかに実行するとともに、税、社会保険料の減免、家賃、光熱費、リース代など固定費への直接助成を行い、倒産、廃業を何としても食いとめるべきです。イベント、公演などの中止に伴う必要経費を補填することを強く求めます。
 先日成立した今年度予算も組み直すべきです。5G減税、カジノ予算、軍事費など、不要不急の税財政措置は見直して、コロナ対応の財源を確保すべきではありませんか。
 安倍総理は、新型コロナの経済への影響に対して、リーマン・ショックの規模を上回る対策をとると述べました。昨年、リーマン級の経済危機でないといって消費税増税をしたのが安倍総理です。だったら、今、消費税は五%へ減税すべきではありませんか。
 オリンピック、パラリンピックの一年延期についてお聞きします。
 これは、新型コロナ感染症が一年以内に終息することを前提としていますが、そうした判断の科学的根拠を示していただきたい。
 最後に、特措法に基づく緊急事態宣言は、外出自粛の要請、学校、保育所、老人福祉施設の使用制限、停止の要請、指示、さまざまなイベント等に対する使用制限、停止の要請、指示、臨時医療施設開設のための土地の強制使用も可能となるものです。こうした私権制限は、憲法に保障された移動の自由や集会の自由、表現の自由といった基本的人権を制約し、経済活動にも大きな影響をもたらすものであり、慎重であるべきです。
 宣言を発動する場合には、専門家による科学的知見を踏まえた宣言発動の要件を明確にすることを求めるとともに、私権制限による経済的損失に対する補償措置を行い、人権侵害に対する救済措置を図ることが不可欠だということを強く求めて、質問を終わります。