【決算行政監視委員会】新型コロナ/自粛と一体の補償こそ/感染拡大防止に必要

 新型コロナウイルス感染者の急増を受け、政府が検討している緊急事態宣言に関し、「自粛と一体の補償」を明確にすることが感染拡大防止に必要だと求めました。

 私は、現在、学校休校や外出自粛要請、イベント自粛要請など一連の感染拡大防止対策がすでにとられているなか、緊急事態宣言の発令で今までと違う措置が取られるのかとただしました。

 西村康稔経済再生担当相は、「改めて法律に基づいて自粛要請を行うことで、これまで以上に国民へ強いメッセージとして発出される」と答えました。

 私は、国民の理解と協力が一番のポイントだ。自粛要請によって経済的損失を被る事業者等に対する補償をしてこそ感染拡大防止対策が実効性あるものになる。ここを明確にすべきだ、と求めました。

 西村氏は、給付金の創設や無利子融資などの対策を挙げましたが、「国民一人ひとりの努力、自粛によって感染症を封じ込めるのが基本だ」として、「補償措置は難しい」と述べました。

 補償は感染症拡大防止対策として行う問題だ。密閉・密集・密接の『三つの密』の環境をつくらないためには、事業者へ補償して自粛してもらうことが重要だ。

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「議事録」

<第201通常国会 2020年4月6日 決算行政監視委員会第一分科会 1号>

○塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、新型コロナウイルス感染症対策と特措法に基づく緊急事態宣言について、西村大臣に伺います。
 感染拡大防止、蔓延防止対策については、国民の皆さんに手洗いやマスク、三つの密の回避など自主的な行動が呼びかけられており、いわば国民の皆さんの理解と協力が欠かせません。既に、学校の休校や外出自粛要請、施設利用、イベントの自粛要請など、一連の対策がとられています。
 そこで、緊急事態宣言についてなんですけれども、今、緊急事態宣言の発動についてのいろいろな検討をしているという話になっています。その場合に、この緊急事態宣言が発動されることによって、感染防止対策について、今まで行ってきたことに加えてどのような取組が行えるようになるのか、その点についてまず教えていただけますか。

○西村国務大臣 お答えを申し上げます。
 緊急事態宣言を出すかどうかは、専門家の皆様が日々、今の国内の感染状況などを分析を行っており、私も連日その状況を確認し、御意見をいただいているところであります。専門家の意見、皆さんの御意見をしっかりお聞きをしながら適切に判断をしていきたいというふうに考えているところであります。
 その上で、仮に緊急事態宣言が発出されますと、都道府県知事にさまざまな権限が付与されます。例えば、四十五条第一項にありますけれども、外出の自粛要請であります。これは今も、私どもも一般的な要請として行っているところでありますけれども、各県の都道府県知事がそれぞれの状況に応じて外出の自粛あるいは不要不急の活動の自粛などを行っているところでありまして、これを改めて法律に基づいて自粛の要請を行うということで、ある意味でこれまで以上に強いメッセージとして発出されることになると思いますので、国民の皆さんにも一層のこうしたさまざまな、不要不急の活動の自粛など、求められることになるのではないかというふうに思います。
 あわせて、都道府県知事には、施設の使用制限についての要請もできます。これで要請に従われない場合は、指示そして公表という規定もございます。しかしながら、こういった指示についても罰則規定があるわけではございませんので、強制力が強いというものではございません。指示をしながらそれを公表することによって、国民の皆様の意識に訴えて活動を抑えていこう、感染の拡大を防止していこうという発想でございます。
 したがいまして、ちまたで言われるようなロックダウンのような、欧米で行われているロックダウンのようないわゆる都市封鎖、交通機関もとまり、外出も禁止され、外出すると罰則がかかるというふうなことができるわけではございません。仮に緊急事態宣言が発出された後でも、散歩をしたりジョギングしたりすることは当然ですし、スーパーや金融機関や、いわゆる町のライフラインに必要なインフラは動きますので、そういう意味で一段の、御指摘のあった三密を注意するとか、そういった活動を更に推し進めながら、国民全体でこれまで以上に努力をしてこの感染症を封じ込めていこう、そういうことになっていくものだというふうに思います。

○塩川分科員 外出自粛要請とかはこれまでも行ってきたという話もありましたし、一連の自粛要請等々もあるわけですよね。それに加えて何か新しいことをやるのか、そういう仕組みになるのかどうか、そこはどうなんですか。

○西村国務大臣 繰り返しになりますけれども、例えば施設について、使用の制限であったり、あるいは、催物と法律上は書かれておりますけれども、いわゆるイベントの制限、停止であったり、こういったことについて知事は指示をできるということになります。もちろん、罰則があって強制力があるわけではありませんが、指示を行い、そして公表もできますので、そういったことで国民全体に働きかけることによって、こういった活動自粛を担保しながら感染の拡大を防止していく、国民全体で負担を分かち合いながら、そしてみんなが努力することによって感染拡大を防いでいこう、そういう法体系のもとでそういった措置がとられるようになるということであります。

○塩川分科員 イベントについての自粛の要請も既に一般的なということで行われてきているわけですから、もちろん法律に基づいての指示や公表とかいう手続はありますけれども、基本はやはり要請という形で、事業者側はそれは前向きに受けとめて対応されておられる現状だと思います。
 ですから、そうすると法律に基づいて行うという話になるわけですけれども、でも、そういう点では、緊急事態宣言に基づく権限の前に、二十四条に基づく都道府県対策本部長の権限というのもあるわけですよね。それを法律に基づくという形で行うことというのも、それはそれとして可能だと思うわけです。そういう意味でも、私はやはり、これまで以上に強いメッセージを伝えるというところがポイントであろうと思っています。
 そうした場合に、緊急事態宣言がこれまで以上に強いメッセージを伝えることになるといった場合に、先日、全国知事会の飯泉会長が西村大臣のところにお越しになったとお聞きしました。緊急事態の発動に当たっては、緊急事態措置の実施区域、実施期間、緊急事態の概要を公示することになるわけです。つまり、特定区域に対して一定期間の緊急事態措置が行われることになる。
 全国知事会の飯泉会長は、西村大臣との会談の際に、政府が緊急事態宣言を行う場合には、対象地域の住民がほかの地域に一斉に移動し感染を広げてしまうおそれがあるとして、適切な措置をとるよう要請したということですけれども、この件については大臣はどのように受けとめられたんでしょうか。

○西村国務大臣 今の点をお答えする前に、もう一点だけ、緊急事態宣言を発出した後のことなんですが、医療のことについて、都道府県知事は臨時の医療施設を設置することができるようになります。このときに、設置する際に、さまざまな手続を簡素化して医療施設をつくる。さらに、土地や建物も、同意を得るのが通常ですが、同意がなくともそういったものも使って医療機関にすることができますので、そしてそれには補償の措置が法律上ついておりますので、そういう意味で、医療体制をしっかり確保するということも、緊急事態宣言発出後は知事の権限として、自身の都道府県内で、医療の逼迫している状況を見ながらそういうことができるようになるということであります。
 そして、今御質問ありました、飯泉会長からの御指摘でありますけれども、まさに、大変そういった点、先ほど申し上げたようにロックダウンと誤解されている向きもありますので、仮に緊急事態宣言が発出されれば、その一定期間、都市封鎖のようになるんだったら、もう先にどこか地方に戻ろう、自分のふるさとに戻ろうとか、こういった動きが出てきかねない、これは大変私も危惧をしております。武漢でも、都市封鎖の前に多くの、百万人と言われていますけれども出たというふうに報道がされておりますし、イタリアでも同様のことが起こったというふうに聞いております。
 ですので、まずはロックダウンとは違うというところを丁寧に説明をしながら、通常の人と人との接触、これをできるだけ避けて活動を減らしていくということですけれども、仕事はできます。テレワークもできますし、時差出勤もできます。会社に行っても、距離をとりながら、会議をやるときも、人と人との距離をあける、あるいはテレビ会議でやる。さまざまな手法を通じて人と人との接触を避けながら活動はできますので、専門家の皆さんからも、いわゆるレストランとかカフェはそういうクラスターにはなっていないので、換気をやったり、ビュッフェはやめたり、距離をとるなどの工夫をしながら、通常どおり営業したらいいんじゃないかという御意見もいただいておるところであります。
 そういったことをしっかり説明をしながら、例えば、今大都市部でどんどんふえておりますので、大都市圏で緊急事態宣言が発出されるようなことになったとしても、慌てて別の地域に移る必要はございませんし、それがかえって、仮に若者がわあっと、じゃ、学校も休みだから田舎に戻ろうということで地方に移られますと、地方で、高齢者が多い中で、そこで感染が広がり、地方の方はまだ医療機関も十分な体制ができていない中でそういったことも起こりかねませんので、私ども、もうずっと説明してきているんですけれども、デマも飛んだりしながら、ロックダウンされるとかというふうなこともありました。
 そういったこととは違うということを丁寧に説明しながら、まさに飯泉知事とも共有したところでありますけれども、不要不急の活動を自粛するということと、仮に緊急事態宣言が出されたときのその意味とか、何が変わるのか何が変わらないのか、こういったことをしっかりと説明することの重要性、これを共有いたしておりますので、しっかりと発信しながら丁寧に説明をしていきたいというふうに考えております。

○塩川分科員 やはり緊急事態宣言の発動の場合に、今言ったような、さまざまな誤解とおっしゃるような、そういう状況というのは当然想定され、強いメッセージであればあるほどそういった誤解を与えるようなことがないような対応が求められているわけで、私は、一連の懸念についてしっかり受けとめるべきだと思いますし、慎重に対応すべきだと思っています。
 その上で、やはり国民の皆さんが本当に理解と協力をしてもらうということが一番のポイントであるわけで、そういったときに、この三つの密といったハイリスクの場所を避けることが必要であり、そういった場となるような店舗やイベントをやはり休業、休止をするということがそれを保障することになるわけです。
 そうなると、例えば、先日のテレビ番組で、ノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大学教授が、緊急事態宣言が出た場合に飲食店の休業補償が重要だと指摘をし、これを受けて専門家会議の尾身茂副座長も、夜の町などハイリスクな場所に行かないことを要請し、そこの施設の使用を制限するときに、国の責任で同時に経済的支援をする決断が重要になる、そうしないと、一方的に要請しても実効が伴わないと述べておられました。
 ですから、コロナ感染拡大を防止するための外出自粛要請や休校の要請、イベント自粛要請によって経済的損失をこうむる事業者等に対する補償を行ってこそ、感染拡大防止対策が実効性あるものになるんじゃないのか、ここを明確にすべきではないのか、このように考えますが、いかがでしょうか。

○西村国務大臣 まず大前提として、この法律の法体系が、先ほども申し上げたように、罰則などの強制力を伴うそういう強い措置が入っておりません。施設の利用制限、利用停止にしても指示でありまして、それに対しての強制力はない、公表するということでとどめているわけであります。それとのバランスも含めて、それに対する補償の措置が書かれていないわけであります。
 先ほど申し上げたように、医療機関の設置で、同意なくして、同意があってもなくてもなんですが、施設、建物や土地を使うときには補償の措置が書かれております。あるいは、検疫のために宿泊施設を使う、今いろいろ進められていますけれども、そういったことのときには補償措置がついております。ですけれども、この緩やかな措置である施設の利用制限、これについては法律上書かれておりません。
 これをどう考えたらいいのか私もずっと頭を悩ませてきたところでありますけれども、法体系全体が、自粛もあくまで要請しか法律上はできませんので、外出自粛も、国民一人一人が自覚をしてそれで努力をしていく、その積み重ね、全体として、国民、国全体が一丸となってそうした努力を積み重ねることによって、そしてまた負担も分かち合いながら、この感染症を防いでいこう、拡大を防止していこう、そういう法体系であるように認識を私自身は今しております。
 そうした中で、なかなかさまざまな事業がある中で補償措置というのは難しいんですけれども、しかし大変厳しい状況に置かれているのはもう間違いありませんし、ヒアリングも行ってまいりました。切実な声をお聞きをしてまいりました。
 ですので、私どもとしては、個人に対する給付金、三十万円の給付金、これはもう職種を問わず、本当に生活が苦しくなった人、一定の基準はつくることになりますけれども、しかし厳しい状況に置かれている方は、職種を問わず全ての業種で、働いている方について対象にこれはやっていくつもりでございます。
 それから、中小企業、零細企業についても、個人事業主も含めて、いろいろなイベントの自粛、あるいは飲食店も、個人事業主がやっておられる方もおられると思います、こうした方々に対しても一定の助成金、給付金を創設しようということで、今最後の詰めを行っているところでございます。
 あわせて、さまざまな、公共料金の延納を認めるとか、あるいは無利子融資を今度広げていくことも考えておりますし、それから税金も延滞税なしで猶予するとか、あるいは固定資産税なども軽減することも考えております。さまざまなこうした税制の猶予、軽減措置も考えておりますし、働き方については、雇用調整助成金を要件を拡大して、中小企業の場合は十分の九まで、解雇しない場合はお出しをするということにしております。
 こういったことを、全体を見て、全体の支援を通じて、何とか踏ん張っていただけるように支援をしていきたいと思いますし、終息した後には大々的なキャンペーンで、イベントや飲食や観光や地方経済、本当に苦しんでおられる方々にしっかりと、今までの分も挽回できるぐらいの、そうしたV字回復できるような経済対策を考えているところでございます。

○塩川分科員 いや、所得が落ち込む、経営が落ち込む、そういった場合についての支援策、これはこれで考える必要があると思うんですけれども、感染症対策として行うといった問題なんですよ。
 つまり、三つの密を避けます、そういった事業者があるわけですよね。大臣の方でも、ライブハウスですとかスポーツジムとか例示もされておられるわけです。そういった事業者に、そこに行くような人たちが、その場が開いていなければそもそも行くこともないわけですから、自粛をしてもらうといったときに、感染症対策の実効性を上げるために、こういう自粛を求める事業者に対して、当面お休みください、ついては一定額、一定割合の補償をしますと、ここをはっきりさせることが感染症対策としては有効なんじゃないのかということなんですけれども、そこについてはいかがですか。

○西村国務大臣 御指摘のように、感染症対策としては、さまざまな活動を減らしていくこと、特に、三密につながるような空間を避けること、場所を避けること、そして特に最近では、大きな声を上げたり呼気を荒げるようなスポーツ、卓球とか剣道なども感染者が出ております、こういったことに注意していただくということが何より大事であります。
 繰り返しになりますけれども、この法律の体系全体で、そういったことも頭に置きながらこの法律は当然できているわけでありますけれども、要請と指示まででありまして、そこから公表があって、その先は、罰則を伴う強制力はない、その全体のバランスの中で補償措置も書かれていないということであります。
 もちろん、この法体系全体について、感染症法との関係も含めて、私は、これは全てが終息して落ちついたときに、今回のこの経験を生かして、教訓として、何をしていけばいいのか、もう一度全体として、法体系そして施策を含めて、これはしっかりと検証して見直していければというふうに考えております。

○塩川分科員 別に私は、特措法のスキームの枠の中でどうしろという話をそもそもしていないわけで、特措法に限界がありますよと。
 その上で、感染症対策の実効性を上げるために、自粛を求める事業者に対して補償を行って、店を閉じてください、お休みくださいと言うのが有効でしょうと。大臣、午前中でもおっしゃっておられたようなスポーツジムだとかライブハウスについて、お休みください、補償しますよと言うことが、そういった三密の場をつくらないことにつながるわけですから、そういうことをやる方が非常にわかりやすく、実効性があるんじゃないのか。改めていかがですか。

○西村国務大臣 正確に申し上げますと、スポーツジム、ライブハウスを、もう営業を停止してください、もちろんいろいろ、クラスターになっているということを含めて、さまざまな通知なり、気をつけてくださいというようなこともやっていますけれども、基本的には、国民の一人一人の努力、自粛によって、活動の自粛によって、全体で感染症を封じ込めようというのが基本的な発想であります。この法律もそうですし、今我々が取り組んでいるのは、全体に外出自粛要請、不要不急の活動を減らすこと、これをお願いしているわけでありまして、基本的にはこうした国民の努力の中で進めていくというのが基本的な考え方であります。
 もちろん、今後、都道府県知事が、緊急事態宣言が発出、もしされれば、その後はそうした施設に対して、施設の利用の停止、これも要請、指示ができるようになりますけれども、その段階でもちろん協力に応じていただくのが、もしそうなれば望ましいわけでありますけれども、全体としてこれは、営業をしていくのに、踏ん張っていただくのに必要な対策をしっかり講じて、補償という、何か一つ一つ算定をしてそれについて補償するということではありませんけれども、実態として、事業が継続していけるように、無利子融資、それから助成金、それからさまざまな、税とか社会保険料の延納を認める、それから免除をする、あるいは雇用調整助成金もあります、こういったこと全体でしっかりと事業が継続していけるように支援をしていきたいというふうに考えております。

○塩川分科員 自粛要請の話は、やはり強いメッセージとなる以上は、停止に近いような形で事業者にとってみれば受けとめざるを得ないわけですよね。
 ですから、自粛という場合に、一般的に国民の理解と協力に基づく取組ということと、やはり、三密を避けるという中で、そういった環境をつくらないという点での事業者側の営業の問題があるわけで、こっちの方はしっかりとした補償がない。補償をすることで、店を閉じてもらって、国民の皆さんがそういう場に行く機会そのものをつくらないような整理を行っていく、ここが一番のポイントだと思うので、私は、やはりそこに踏み出すというか、そこを明確にすることが感染拡大防止対策として今極めて重要だ、感染拡大防止対策の実効性を上げるためには、こういった自粛要請と補償を一体で行うことが必要だということを重ねて申し上げておきます。