【議院運営委員会】補償なき「緊急事態宣言」では感染拡大を防げない

 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言について、安倍首相から報告を受け、質疑を行いました。

 私が、感染防止のための自粛要請によって経済的損失を被る事業者等への補償を行ってこそ、感染拡大防止対策が実効性あるものとなると、迫ると。安倍晋三首相は「個別の損失を直接補償することは現実的ではない」と直接補償を拒否しました。

 私が、規模が大きいから困難なのか、個別の損失の直接補償そのものがだめなのかと、ただすと。安倍首相は、さまざまな事業活動があることを理由に、「自粛を要請している方に限り補償することはバランスを欠く」と答弁しました。

 密閉・密集・密接の『三つの密』の場所にしっかりと自粛を要請することで感染拡大防止対策の実効性が上がる。感染拡大防止という公共の利益のために、営業自粛を実施する事業者に対して損失補償をすることは国民の理解を得られる。自粛要請と一体の補償を実施すべきだと求めました。

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「議事録」

<第201通常国会 2020年4月7日 議院運営委員会 18号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 緊急事態宣言発出に当たって、安倍総理に質問いたします。
 きょうは、自粛要請と一体に補償を行うことを求める立場で御質問いたします。
 コロナ感染拡大を防止するための外出自粛要請、休校要請、イベント自粛要請によって経済的損失をこうむる事業者等に対する補償を行ってこそ感染拡大防止対策が実効性あるものとなるのではないのか、このように考えますが、いかがでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 自粛要請によって生ずる個別の損失に対する補償については、直接の自粛要請の対象となっていない分野においても売上げや発注の減によって甚大な影響が生じていることも勘案しますと、政府として、さまざまな事業活動の中で発生する民間事業者や個人の方々の個別の損失を直接補償することは現実的ではないと考えています。
 しかしながら、実際に、今の状況の中において多くの中小企業、そして小規模事業者の皆様が事業の継続に大変な支障を来しておられるということは、私たちも十分に承知をしております。その中で何とか歯を食いしばって頑張っておられる方々に、何としても事業を継続していただかなければならない。そのために、これまでにない無利子無担保融資など強力な四十五兆円を超える資金繰り支援、そして本邦初となる総額二十六兆円の税、社会保険料の大胆な猶予制度、さらには史上初めての事業者向けの最大二百万円の現金給付など、政策を総動員して事業の継続を後押しし、雇用を守り抜いていく考えであります。
 そして、なるべくこうした資金が必要としている方々にスピーディーに届くように我々も全力を尽くしていきたい、こう考えております。

○塩川委員 補償が困難だという、その理由がよくわからないんです。要するに、自粛要請による影響の規模が大きいのでその損失補償が困難と言っているのか、個別の損失の直接補償がそもそもだめということなのか、これはどちらなんでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 最初に申し上げましたように、では、もし、例えば飲食店等々についてそういう要請をしたとすると、飲食店そのものだけではなくて、そこに仕入れをしている人たちもこれは当然大きな影響を受けていくわけであります。
 ですから、要請をした方々だけにその全額を補償するということは、これは、いわば他とのバランスの上においても現実的ではない、こう考えているところでございます。
 要は、大変経営が困難になっている方々にスピーディーに現金給付、あるいは必要な資金を提供できるようにしていくことが求められているのではないか、このように考えております。

○塩川委員 その補償の額そのものはいろいろ議論になるんでしょうけれども、今総理がおっしゃったように、直接の自粛要請の対象となっている飲食店とかという話がありました。直接の自粛要請の対象となっている分野の事業者に対して休業補償を行うということは、これは、感染拡大防止対策として実効性はあるんじゃないでしょうか。そこはどうですか。

○安倍内閣総理大臣 例えば飲食店、飲食店そのものは、今、自粛の対象としているわけではございませんが、例えばという言い方でお話をさせていただいたわけでございまして、例えばということでいえば、バーとかクラブ等々については、これは自粛を要請していくということになるわけでございますが、例えばそういうところだけではなくて、今言ったように、そこに納入している人たちも大きな影響を受けていくということもあり、ですから、それは自粛要請している方に限ってその額を補償するということはバランスを欠くものとなるんだろうと我々は思っているわけでございまして、今回のこのコロナウイルスの感染症の経済に対するインパクト、その中でさまざまなお願いをしているわけでありますが、これはかなり広く影響を及ぼしている。そういう方々に対して、できるだけ事業の継続をしていただけるような支援をしていくことが重要であろうと我々は考えたところでございます。

○塩川委員 ですから、三密の場となるような場所、感染拡大防止にとって重要な場所について、しっかりと自粛を要請することが感染拡大の防止対策としての実効性が上がるんじゃないかと。その点についてのお答えがないままなんですけれども、改めていかがですか。

○高木委員長 西村国務大臣、時間が経過しております。簡潔にお願いします。

○西村国務大臣 簡潔に申し上げます。
 国民皆さんの一人一人の努力によって全体として努力を重ね合わせながら、そして、みんなで負担を分かち合いながら、この感染症を封じ込めていこうと。
 そもそも法律はそういう体系になっておりますし、それぞれ、しかし、事業が大変な状況に置かれている方が出てきておられますから、我々としては、経済対策で、直接の助成金も含めて、それで、さまざまな事業、業態がありますから、補償ということではありませんが、実際に事業を継続していけるように、雇用を守っていけるように、しっかりと支援をしていきたいというふうに考えております。

○塩川委員 感染拡大防止という公共の利益のために営業自粛を実施する事業者に対して損失補償をするということは、国民の理解を得られると思います。実施すべきだということを申し上げて、質問を終わります。